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語学教育システム研究分野

ドキュメント内 iii I (ページ 154-159)

第 3 章 教育支援システム研究部門 145

3.2 語学教育システム研究分野

3.2.1 スタッフ

職名 氏名 専門分野

教授 壇辻 正剛  言語学,音声学, CALL 助手 坪田 康  音声情報処理, CALL 助手 河上Bonnie Jennifer志貴子 日本語・日本文学, CALL

3.2.2 研究内容紹介

語学教育システム研究分野の研究内容

 語学教育システム研究分野では, CALL(コンピュータ支援型言語学習)システムを円滑に行なうことを 目的とした環境の構築に関わる研究と,特色ある大学教育(いわゆる特色GP)に関連したマルチメディア CALL教材開発の研究に重点を置いて研究活動を推進している. いわば, CALLシステム運用の側面支援の 研究である. 次世代型知的CALLシステム開発の進展とグローバル化社会に備えて,発信型の英語教育を重 視したマルチメディアCALL教材のコンテンツ開発である. もう一つの重点事項はマルチリンガリズムへ の対応である.  当研究室が推進しているマルチメディアCALLを利用した外国語教育の展開においては, 外国語教育の全ての側面をCALLで代用しようとしているわけではない. 現在のCALL技術の限界や有効 性を考慮して,当初は基礎的な分野で,コンピュータの利用が有効であると考えられる部分のCALL化を図 り, 徐々により高度な内容のCALL化を可能にする方策を試みている. 近年は以下のようなCALLによる 外国語教育の展開を推進している.

1.次世代型知的CALLシステムの開発

 次世代型知的CALLシステムとは,学習者の入力音声を音響分析し,音声認識を利用して発音評価 し,ネイティブスピーカーとの差異を示してインタラクティブに学習者に教示を与えるCALLシステ ムである. 自宅や自習室での自律学習が可能なように設計されているが, CALL教室で利用する場合 はより高度な利用法が可能である. 教師が発音に関する音声学的な知識を解説したり, CALL教室に 備えられたCCDカメラを用いてフォルマントによる母音チャートを作成し, 自分の発音時の舌の前 後位置,高低位置等を予測させたりするといった作業を教師の指導で教室内で行なうという形態も可 能である.

 対話シミュレーションCALLも自律学習可能なように設計されており,現にオープン・スペース・

ラボラトリーと呼ばれる自律学習コーナーのCALLパソコンにプリインストールされている. CALL 教室で利用する場合は,対話の背景にある言語文化の特性について,教師が解説を加えて,学生のモチ ベーションを高めるといった利用法が可能である.

次世代CALLシステムの研究では,コンピュータを利用した学習者の英語発音自動診断システムの研 究を推進した. 平成16年度以降は特に発音診断の基礎となるデータベースの構築に力を入れた. 京都 大学の学生約100名及び兵庫県立大学の学生約150名の日本人英語学習者の英語発音データベースを 作成し,平行してネイティブスピーカーによる評価を行ない, CALLシステムに反映する研究を推進 した.

2. マルチメディアCALL教材の開発

 当研究室では,日本の文化や歴史・伝統等に関して発信のできるコミュニケーション能力の養成を 目指したマルチメディア英語CALL教材の開発も行なってきた. オリジナルなマルチメディア・コン テンツの開発とそのための言語データベースの整備も重要な研究課題である.

 また,文部科学省の研究委託事業として平成16年度に発足した「知的資産の電子的な保存・活用を 支援するソフトウェア技術基盤の構築」の研究開発課題である「ユビキタス環境下での高等教育機関

向けコース管理システム」の研究分担課題として,東大寺大仏殿の3次元モデルを利用した英語CALL 教材開発の研究を推進した.

3.マルチリンガルCALLの研究

 マルチリンガルCALLの開発研究に関しては,本学人間・環境学研究科の中国語部会の先生方との 共同研究として,中国語CALL教材の開発研究に着手した. これは,高等教育研究開発推進機構の特色 GPの助成を得て,研究に着手したものである. 本年度は発音学習用教材の授業への展開を試るととも に,マルチメディアCALL教材の開発にも着手した.今後数年間に亘って,重点的に中国語CALL教 材の開発を推進し,全学共通教育の外国語科目の中国語の授業に積極的にCALL教育を導入し, 本学 学生の中国語運用能力の向上に貢献することを目指した教育支援の積極的な顕現として位置付けられ るものである. また,中国語以外にロシア語のCALL教材開発の第一歩として,ロシア語8時間コー ス講義の収録を行った.

ドイツ語のCALL教材の開発に関して,本学人間・環境学研究科ドイツ語部門の教員の展開する「総 合ドイツ語CALL(文法)」の開発に積極的に協力して,研究開発支援を行なった. これらのCALL教 材は, 学術情報メディアセンター南館内のCALL教室で外国語科目の授業において実際に利用され, 本学学生の教育に貢献している.  さらに,他の研究・教育機関との共同研究も積極的に推進した. 従 来,科学研究費補助金の助成を得て研究開発を行なってきた京都の名所・旧跡を題材にしたCALL教 材の作成に関しては, 京都外国語大学との共同研究を行なった. 金閣寺や清水寺を舞台にした英語と スペイン語のマルチリンガルCALL教材の研究開発を展開し,国際会議での研究発表も行った. また, 東京都立大学との共同研究として,留学生用マルチメディア日本語CALL教材の開発研究も行なった.

 さらに,大学だけではなく高等学校との連携も視野に入れて,スーパー・イングリッシュ・ランゲー ジ・ハイスクールの指定を受けている紫野高校や京都外大西高等学校や滋賀県立米原高等学校と英語 CALL教材の共同研究開発を念頭に入れて,研究打ち合せを重ねた.

 このように当語学教育システム研究分野では,本学学生の外国語運用能力向上に資するCALL運用 に密接に関連した研究を推進した.

3.2.2.1 壇辻 正剛

コンピュータを利用した音声分析や,マルチメディアを応用した言語教育の研究を進めている. コミュニ ケーション能力の養成に重点を置いた会話重視型の外国語教育をe-learningに展開する研究を進めている.

音声や画像・映像を内蔵したマルチメディア・データベースを構築して会話の場面をコンピュータ上に再現 して学習者に刺激を与え,外国語の習得を支援するいわゆるCALL(コンピュータ支援型言語学習)システ ムの研究を推進している.その過程で言語学的な知見,音声学的な知見を応用して,第二言語の習得を支援 する方策を探っている.学習者の外国語発音を自動的に分析・評価し,教示を与えて矯正を試みるシステム の開発・研究も行なっている.

また,CALL教材作成に利用可能なマルチメディア・コンテンツの開発研究も進めている.コンテンツ開 発においては,言語と文化の関係に重点を置いている.CALL教材開発の基礎となる学習者のマルチメディ ア音声データベースの構築を進めているが,従来の音声のみの収録ではなく,画像や映像を利用して,口唇 の形状や動態変化,喉頭の制御等の観察が可能になるデータベースの構築を目指している.フィールドワー クにおける言語音の分析に関する研究を進めると共に,子音や母音の分析レベルを超えて,弁別素性の音響 的側面及び聴覚的側面に関して新たな理論的枠組みを提供することを目的として研究活動を推進している.

3.2.2.2 坪田 康

音声情報処理技術を用いた発音学習システムの研究・開発を行なっている.非母語話者の音声は母語話者 の音声と比べてバリエーションに富み,誤りを含んでいるため学習者の第一言語(L1)と第二言語(L2)を考

慮した処理が必要である.実際には,L1として日本語をL2として英語を対象として研究を行なっている.

また,学習者へのフィードバックに関して,優先して学習すべき誤りの提示や,発音方法の違いを図や動画 などを用いて提示する方法も必要である.実際には音響的な情報だけでなく,音響的な情報に基づいて調音 的な情報を推定してより分かりやすいフィードバックに関する研究を行なっている.

さらには,人工知能的な技法を応用して各学習者に最適な学習スケジューリングを提供する方法につい ても検討している.将来的には,仮想的な教師が学習者と会話を行いつつ,発音診断を行い,最適な指導を する自動チュータリングを行うシステムの研究・開発を目指す.

3.2.2.3 河上Bonnie Jennifer 志貴子

コンピュータ支援型言語学習(CALL)の研究,及びマルチメディア語学教材の開発に取り組んでいる. 日 本人大学生のニーズに合った英語教材の開発に努めると共に,大学の授業・CALL教室において,マルチメ ディアCALL教材の幅広い展開・活用を志向している. 教材は, 神社仏閣など, 日本の文化遺産, また日本 の歴史や文学にまつわる事柄を題材にしている. 第二言語の習得に留まらず,自国の文化について学識や理 解を究めることも,外国人との交流を深めるために必要であり,著しく国際化が進む現代社会で活躍する上 では欠かせない条件である. この点を重視し,必要な学識・伝達能力を身につけるための教材作りに力を注 いでいる. さらには,当研究分野が独自に開発したマルチメディアCALL教材の試用に際して,学生の成績 内容を分析した結果を踏まえ,学生・教師の,教材についてのフィードバックを基に,どのような学習内容・

学習方法が必要であり,有効且つ適切であるかを見極めつつ,教材の改善・充実化を図っている.

また,ここ一,二年は, CMS (コースマネージメントシステム)に利用可能な語学教材の開発にも取り組ん

でおり,今後もonline learningを用いた語学学習の様々な可能性を検討していきたい.

3.2.3 研究業績

3.2.3.1 著書 該当なし

3.2.3.2 学術論文 国際論文誌(査読付き)

壇辻 正剛,坪田 康, “第二言語の音声習得とCALL”,音声研究, 9巻, 2号, pp. 5–15, 2005.

朴 瑞庚,坪田 康,壇辻 正剛,大木 充, “韓国人学習者の日本語語頭有声破裂音の習得における自己モ ニタリングの効果”,音声研究, 9巻, 2号, pp.47–58, 2005

壇辻 正剛, “計算機による外国語学習支援”,電子情報通信学会誌, Vol. 88, No. 8, pp. 672–677, 2005-8.

国内論文誌(査読付き)

該当なし 国際会議

(著者,タイトル,会議名,巻,号,開始〜終了ページ,発行年月)

Ishikawa Yasushige, Tateiwa Reiko, Kawakami Bonnie Jennifer Shikiko, Tsubota Yasushi and DANTSUJI Masatake, “Development of Multimedia-Based English-Spanish CALL Teaching Aid for Japanese Learners”, EUROCALL Conference, 2005-8.

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