分析し,音声認識を利用して発音評価するシステムなどを開発してきた.これらは,オープンスペースラボ に設置され,すでに学生が自発的に学習をしている.さらに,対話シミュレーション機能も利用できる状況 である.教材の開発もマルチメディアを駆使して日本文化や歴史・伝統などに関して発信できるように考案 されており,時代祭や葵祭など京都ならではのコンテンツも充実している.英語だけでなく,さまざまな言 語に対して教材を開発しており,語学教育全般に対して積極的な支援を行っている.現在は,インターネッ トを活用したe-learningシステムへの展開を目指して研究を進めている.
ディジタルコンテンツ研究部門では,ディジタルコンテンツの実世界からの獲得のための研究,獲得した コンテンツに検索のためのインデックスやアノテーションをつける研究,ディジタルコンテンツを作成する ための支援技術の研究を行っている.講義室に設置したカメラを計算機により制御して,講義のアーカイブ を自動で取得する研究は企業との共同研究を経て,実用レベルに近づいている.ここ数年間,運用実験を 行ってきており,取得したコンテンツの質の向上や運用上の問題点の改善に取り組んでいる.多くのディジ タルコンテンツが蓄積されてきたので,今後は,これらの情報抽出処理,検索処理,利用方法の研究を継続 して進めていかなければならない.
アノテーションやインデックスを映像に付加するためには,音声認識技術や画像認識技術が必要になる.
認識精度がそれほど高くなくても利用方法が検索であるということを考えればそれなりに有効であること を大量の蓄積したデータを用いて示してゆくことが重要である.また,画像と音声のそれぞれの特徴を生 かしたアノテーションの方法,インデキシングの方法など部門内での共同研究を積極的に進めていく必要 がある.
コンテンツ作成室で利用できる3次元物体モデル獲得のための研究も進められている.典型的な応用は 電子博物館であるが,現実物体を簡単に3次元モデルとして計算機に入れるための技術は,今後の教材を 作成するための基本技術となる.今後の研究の展開が期待される.また,バーチャルスタジオをもう少し高 度に活用するための技術の研究も進められている.バーチャルスタジオにおいては,演技者の負担が大きい ので,そこに焦点を絞って研究開発を進めている.教材作成においては,先生が演技者になることが想定さ れているので,このような技術を利用して先生方が簡単にバーチャルスタジオを使って教材が作成できるよ うになることが期待されている.
情報デザイン研究分野では,情報メディア技術を利用したさまざまな表現技術の研究が行われている.こ のような研究の成果として,東寺において縁起曼荼羅の展覧会を開催したり,日本文化コンピューティング の概念を提唱したりしている.今後の技術の発展すべき方向,表現技術の目指すべき方向などを探る試み は,他の研究部門にも大きな影響を与えるものと考え,今後の研究,芸術活動に大きな期待を寄せている.
連携研究部門では,遠隔生態観測に関する研究を行っている.森林に各種センサを備えたサーバをおい て,それらを無線LANによって接続し,森林や土壌のダイナミックな状況を取得するシステムの構築,海 中に沈めた全方位カメラからの映像をリアルタイムで教室に伝送するシステムの構築を行っている.これら の研究は,今後の情報科学の広がりを予感させるもので,積極的に推進してゆくべきであると考えている.
同部門ビジュアリゼーション研究分野は,遠隔協調環境での有効な可視化技術の研究,科学的実際的なシ ミュレーション技術の研究を行っている.世の中の大きな流れとして,計算機科学の有効な適用分野として のシミュレーション技術が今後,ますます重要性を増してくるのは明らかであり,スパコンをフルに利用し て最先端の研究成果を目指していってもらいたい.
以上各部門の研究活動を総括してきたが,それぞれの部門は精力的に研究を進めている.情報学の研究分 野では,今後は細分された専門領域をまたがった広い分野での研究が求められている.この視点からセン ターで推進されている研究を考えてみると,今後は部門間連携をもっと進めていく必要性を感じる.例え ば,ネットワーク部門とコンピューティング部門が共同して大学内のキャンパスグリッド研究を進め,大学 全体の計算機環境の改善を目指していくとか,ネットワーク部門とディジタルコンテンツ部門が共同して遠 隔講義,会議関係のアーカイブ化,新しいシステム構築をすすめていくとか,教育支援部門とディジタルコ ンテンツ部門が共同してPBLなどの新しい教育形態に対する教育支援を進めていくとか,さまざまな可 能性が考えられる.
このような部門間連携を積極的に進めるために,今後はセンター推進研究というものを考えていく必要
がある.これは教員会議などで,センターとして推進すべき研究テーマを選定し,そのテーマに多くの部門 が協力して取り組み体制を作るための試みである.センターの概算要求やセンター長裁量経費による経済 的支援などを行うことによって,研究のインセンティブを上げてよい研究成果を出すだけでなく,学内のみ ならず学外に向けても積極的に情報発信を行っていけるものとしていきたい.
第 III 部
教育・社会貢献活動
第 1 章 学部・研究科の教育への参画
センターの使命は全学情報環境の構築支援であるので,教育は大きなミッションではないが,大学のセン ターである以上教育に対する貢献も必要である.センターには情報学的なフィールドがあるので,この利点 を生かして教育に貢献している.現在は,工学研究科,情報学研究科,人間環境学研究科の協力講座として 大学院の研究教育に参画している.これに加えて、「メディア情報処理コース」をJSTの支援により開設 し、社会人に対して、音声、画像、言語、CGなどのメディア情報処理に関する教育を行っている.
1.1 平成 17 年度学部授業担当一覧
1.1.1 工学部
地球工学総論 (前期)
担当: 西村 直志,他(地球工学科関連教員全員) 通常講義と少人数ゼミのハイブリッド形式で実施します.
少人数ゼミは,担当する教官の指定する部屋あるいは研究室または指定の場所で行われ,土木工学,資源工 学,環境工学および関連する分野の最先端の研究,技術開発,大学と社会との連携などに関する話題につい て豊富なメニューを取りそろえています.レポートの発表会も開催いたします.配属される研究室・研究グ ループは,約40です.
工業数学B2 (前期)
担当: 西村 直志,他 フーリエ解析と,その応用としての偏微分方程式の解法を取り扱う.周期関数 に対 するフーリエ級数,非周期可積分関数に対するフーリエ変換,及びそれらの特性に習熟し,種々の工学・数 理物理学の問題への応用力を養うことを目的とする.また,現代的な取扱や,数値解析との関連についても 講述する.
構造力学II及び演習 (前期)
担当: 西村 直志,他 構造解析の基礎理論として,仕事・エネルギー・仮想仕事および補仮想仕事の原理,
相反定理について講述する.さらに,コンピュータを利用した構造解析法として,マトリクス法および有限 要素法などの数値解法の基礎を学ぶ.すなわち,トラス・はり・ラーメン構造などを対象とした剛性方程式 の誘導と解法・応用について講述する.主な講義内容は,以下のとおり.仕事・エネルギーと仮想仕事,不 静定構造物,マトリクス構造解析の基礎と応用,構造各論.「構造力学I及び演習」の知識を前提としている.
構造実験・解析演習 (後期)
担当: 西村 直志,他 構造力学I及び演習,構造力学II及び演習で学んだ理論を,構造実験およびマトリ クス構造解析法に関するコンピュータープログラミングを通じて,体験的理解と応用力の向上を図る.構 造実験においては,構造物の力学特性を実験的に明らかにする基礎理論,次元解析,相似律について述べ,
力,変形,歪に関する実験(基礎計測)を行った後,選択課題に関する応用的な実験を行う(応用計測).ま た,マトリクス構造解析法に関するコンピュータープログラミング実習では,FORTRANをプログラミン