2.1 業務評価
2.1.2 業務評価
業務の評価については統一的な見解で行わなければならないが、各サービス毎にさまざまな要件がある のでそれを加味して行うこととする。2005年度は機構が発足したが、それぞれのサービスは継続しなけれ ばならず、さらに、新たな業務を取り入れるために現在のサービス内容の再検討を行う必要があった。
1) 学術情報ネットワークサービス
本サービスは,京都大学において電気やガスと同等と考えられる重要なライフラインであり,教職員 が分け隔てなく享受できなければならないものである.そのため,運営については多大な労力を要し ている.特に,老朽化しているKUINS-II/ATMの機能を維持しつつKUINS-IIIへの代替経路への切 り替え,建物工事に伴う経路の切り替え,桂地区における新たなネットワークの構築を行っている.
また,遠隔地における高速ネットワークへの切り替えも順次行い,さらに,週1回ではあるが数少な い要員を宇治,桂地区へ派遣し,さまざまな懸案を処理して教育・研究活動におけるITインフラの 平等性を確保している.
ネットワークの維持・管理と同様,重要なものとして不正アクセスspamメール対策がある.不正ア クセス対策ではセキュリティポリシで許された範囲内の情報のみを検索・表示するデータベースや警 報検索システムを開発した.Spamメール対策では,全学共通経費が認められて対応機器を購入し,
本学に流入するspamの90%が削減された.
他に,地域活動,講習会,ニュースの発行等でも良好な評価を得ている.
中期計画における項目は,順調に進行している.
2) コンピューティングサービス
本サービスは,大型計算機システムを用い大規模かつ高速な計算機機能を学外,学内の学術研究者へ の提供,多様な分野を対象とした計算機科学・シュミレーション科学のための計算機環境の整備・提 供および利用者支援である.
計算機環境としては,スーパーコンピュータシステムと汎用コンピュータシステムで導入した計算サー バを一体化して運用している.ソフトウェアとしては,多彩なアプリケーションソフトウェアと数値 計算ライブラリを提供している.利用者支援としては,プログラム相談,プログラム講習会等があり,
プログラム講習会については年々に特徴を持たし好評を得ている.特に,UNIX入門は好評で定員を オーバーしたため急遽追加で講習会を行った.また,全国共同利用施設として様々な利用制度を検討 している中で,試行としての機関定額制度は引き続き実施された.さらに,学術研究目的に限られて いたスーパーコンピュータを試行であっても教育利用に供したことは評価できる.なお,大型計算機 システムの計算機環境を利用して研究者向けメールサービス,ホームページサービスを行っている.
大型計算機システムの運用では,地下計算機室の空調設備の見直しと効率化,ノード縮退による効率 的な運転により,前年度比20%以上の電力費の削減を実現したこと,長年の課題であった法人収入 分の還元がなされることとなったことは,大型計算機システムの運営に一光をさすと評価できる.
中期計画における項目は,順調に進行している.
3) 情報教育支援サービス
本サービスは,教育用コンピュータシステムを中心に授業や自習に利用するPC端末,学生・教職員 向けメール,情報コンセント,ダイアルアップ接続等の多彩なサービスを行っている.PC端末につ いては,3ヶ所のOSL,10学部のサテライトに約1200台が設置され,ピーク時の平均稼働率が400 台を超える状態である.また,導入後4年を経過し,利用頻度の高さからPC端末や付随するネット ワーク機器の故障が目立ち始めているが,迅速に対策を講じており評価できる.
利用者については,本学の学生はもとよりメールシステムを中心に計算機環境を持たない(持てない)
教職員や,2006年度から開始予定の図書館の電子ジャーナル利用のための登録が増え,利用者層とそ の利用目的が多様化する傾向にある(総登録者数:21000 強,新規登録者数:5500強).また,平日 の夜間開館や昨年より試行されている土曜開館も好評を得ており,評価できる.
さらに,教育用コンピュータシステムの更新に向けた取り組みとして,附属図書館の図書館システム との合同調達については,今後の評価となるであろう.
中期計画における項目は,順調に進行している.
4) 語学教育支援サービス
本サービスは,教育用コンピュータシステムで調達されたWindows及びMacintoshを基としたCALL 教室と自習学習用のCALL環境を提供している.
CALL教室は,教卓,学生卓,各種メディアに対応するAVシステムが備えられ,マルチメディアを 利用した言語学習に適した環境となっており,全学共通教育の外国語科目の授業で好評を得ている.
ただ,教室を利用する教員,補助するTAの機器への熟練度により様々な問題が生じるが,適正なサ ポート体制を整えている.また,発声音をグラフ化し,各々の発声に関わる不備な個所を指摘・学習 できるシステムは一見に値する.
CALLメディア教材の開発では,ULANプロジェクトの一環としてCD-ROMベースで利用していた
教材のe-learning化を進め,授業での試行を行い好評を得ている.また,初修外国語教材の開発では
本学の中国語担当の教員の熱心な協力の下,発音学習用教材の試用とマルチメディア教材の開発及び 作成に至ったことは,本学教員のメディアセンターへの期待が大きいことが実証されたと考えて良い のではないだろうか.
中期計画における項目は,順調に進行している.
5) 学術データベースサービス
本サービスは,主としてホームページサービスとデータベースサービスを提供している.
データベースサービスは,INSPECや大学の研究者が開発したデータベースの検索機能を提供してい る.現在,INSPECを含め7種類のデータベースを提供しているが,需要と経費の問題から今年度限
りでINSPECの提供を停止しなければならないことは残念なことである.
ホームページサービスは,利用者が専用のサーバを維持・管理することなくホームページを公開でき るものである(ホームページのコンテンツの維持・管理だけの労力ですむ).発足当初は,グレード として1種類であったが,同じ大型計算機システムの機器を利用して別のグループが同じサービスを 提供するのは違和感があり,本サービスに統合されグレードは2種類となった.さらに,容量の問題 やデータベース連携等現在提供しているグレードを上回る要望があり,新たなグレードを追加して現 在は3種類のグレードによりサービスを展開している.今年度末での利用者は,グレード1(松)で 6件,グレード2(竹)で95件,グレード3(梅)で86件となっている.特に,竹サービスの伸びが 著しい.本サービスについては少なからず要望が出されているが,全体的としては好評である.
6) 遠隔講義支援サービス
本サービスは,遠隔講義の支援,遠隔会議・研究会の支援,イベント中継,アーカイブ,教室予約シ ステムを提供している.
学内での遠隔講義支援では,吉田地区,宇治地区,桂地区間で高精細遠隔講義システムを用いた京都 大学キャンパス間遠隔講義を支援している.特に,工学系の桂地区への移転に伴い,桂地区との遠隔 講義は増加するものと考えられる.
国内での遠隔講義支援は,後期において慶応義塾大学藤沢キャンパスと京大,広島市立大学間におい て3点講義を支援した他,大阪大学,YRP,筑波大学,帝国ホテル等との遠隔講義を支援している.
国際遠隔講義支援では,UCLAと京大の2地点,国立台湾大学と京大の2地点,マラヤ大学・精華大 学と京大の3地点の講義を支援し,好評を得ている.また,UCLA,国立台湾大学との遠隔講義の後,
受講生が各々の大学を訪問し,双方の受講生との交流を行っている.単なる遠隔講義の支援だけでな く,遠隔講義の受講生が交流を行うことは重要なことである.
会議・研究会においても学内,国内,国際様々な地域・場所で行われているが,特に,国をまたがっ た遠隔講義や会議・研究会においては,機器の問題,通信環境の問題,さらに時差の問題等様々な要 因が加味されてくるので,講義支援,会議・研究会支援で蓄積されるノウハウについては貴重なもの があると評価できる.また,遠隔講義中継システムが整っていない場所で行われるイベント中継等に ついては,ハンディ遠隔講義システムが威力を発揮し,評価は高い.
遠隔講義支援においては,単なる中継に終わらず講義の再現・配信のためにアーカイブシステムを構 築しており,今年度末には新たなシステムの導入が行われた.このように遠隔講義支援が支援にとど まらす,次のステップを目指していることは評価に値すると思う.ただ,研究システムを実用に供す る段階の部分もあるので,技術職員,TAにとっては最新技術を習得し,支援を行うには相当の努力 が必要であると感じている.