第 5 章 泥炭地における火災予防の体制/システム構築
5.4. 地域密着型の熱帯林・泥炭地火災予防管理システム
5.4.5. 設備とインフラ
① 深井戸
土地管理には大量の水が必要であり、消火活動だけでなく植物の維持などのニーズにも 利用される。一般的に「深井戸」と呼ばれる泥炭地の井戸は、乾季に水を入手するため の方法の1つである。この方法は、水源を利用しにくく(例:川から遠い)、火災が頻発 する傾向のある地域で特に有用である。
a. 削井設備
深井戸の掘削には以下の表5.3に示す設備や材料が(セット単位で)必要である。
表 5.3 掘削設備・材料のリスト
番号 Nama alat dan bahan Jumlah(数量)
1 直径1.5インチ・長さ4mの塩化ビニルパイプ 5本
2 直管継手5個 5個
3 配管接着剤と白いダクトテープ 1本
4 携帯ディーゼル駆動ウォーターポンプ(クボタGS/KS160) 1台
5 ドリルビット 1本
6 ドリルパイプと接続部品 20m
7 U形管継手 1個
8 パイプレンチ 2本
9 パイプクランプロック/万力 1個
10 弓のこ 1本
11 エンジンをドリルパイプに接続するためのプラスチックホース 1本 12 その他の支援用具(なた、くわ、シャベル、斧、ゴムタイヤ、
プラスチックシート、バケツ、大量の水など)
b. 井戸掘り 1) 準備
a) 長さ2~3メートルの塩化ビニールパイプを用意し、弓のこで切り込みを入 れ、吸水線を作る。(図 5.16)
図 5.16 準備(1)
*井戸の底に設置する塩化ビニールパイプに弓のこで切り込みを入れる。
b) 井戸を掘る場所を決める。
c) 深さ±50cmで50cm四方の貯水池を造る。底に防水シートを敷いて、水が地 面に染み込まないようにする。
d) ドリルビットで掘削パイプを準備し、ホースに接続してディーゼル駆動 ウォーターポンプから排水する。
2) 機械据え付け
a) ディーゼル駆動ウォーターポンプと十分な燃料・オイルを準備する。
b) ドリルと貯水池の吸水エンジン・パイプにホースを接続する。
c) ドリルビットから水が出て来るまで、ディーゼル駆動ウォーターポンプを作 動させる。
3) 掘削
a) 指定された場所にドリルビットをゆっくり差し込む。
b) クランプロック/万力を使って、泥炭層を貫通するまでパイプを押し込みな がら半分回す。(図 5.17)
図 5.17 掘削(1)
c) 最初のパイプが地表に50cmだけ突き出るようになったら、ディーゼル駆動 ウォーターポンプの速度を落とし、パイプクランプを使って継手を開け、別 のパイプを接続する。
d) そのパイプを接続したら、ディーゼル駆動ウォーターポンプの速度を高める。
e) 2本目のパイプが地面に入ると、通常、ドリルビットが硬い花崗岩土壌に触 れる。ドリルを強く押しながら半回転技術を利用し、動きが弱くなったと感 じたら、少し速度を高めて掘削した土を穴から出せるようにする。
f) 3本目のパイプを挿入すると、細砂土質に達するはずである。
g) 細かい砂粒を貯水池ですすいでドリルから取り除き、砂がポンプに入らない ようにする。
h) 4本目のパイプは粗砂と細かい砂利に達するはずである―これはドリルが水 源に届いたことを示すしるしであり、届いていなければ5本目のパイプを挿 入する。
i) ドリルビットが水源に達したら、ディーゼル駆動ウォーターポンプをオフにし て速やかに掘削パイプを引き抜き、下の砂に固着する(はまり込む)のを避 ける。
j) すでに基部に切り込みを入れ、先端を密閉した塩化ビニールパイプを挿入す る。パイプは地面に押し込むことによって挿入する。パイプが水源に到達す るまで挿入する。(図 5.18)
図 5.18 掘削(2)
*掘削パイプを引き抜いた直後にパイプを挿入
k) ディーゼル駆動ウォーターポンプを設置し、塩化ビニールパイプに接続する。
井戸から水が流れ出るまでポンプを作動させる。
図 5.19 掘削(3)
c. 深井戸の掘削にあたっての留意事項
1) 泥炭地の井戸の水深は通常さまざまである。
2) ポンプから少量の水しか出てこない場合は、塩化ビニールパイプとポンプの継 手を確認する。漏れていたら輪ゴムで密封する。
3) 火災が発生しやすい森林・泥炭地域で利用可能な水源を確認し、地図を作成す ることが推奨される。これは乾季に実施し、森林・泥炭地火災が発生した場合 に、これらの確認された水源がまだ水で満たされている見込みを高めるべきで ある。さらに、水源の位置の地図を作成し、火災発生時に見つけやすいように しなければならない。
以下の図 5.20 は、井戸掘りプロセスと、掘削道具およびディーゼル駆動ウォーターポン プの配置を示している。貯水池からポンプで水を汲み上げ、ホースと掘削パイプに流す。
この散水の圧力で、掘削進行中に土がほぐれる。井戸から出て来る水は貯水池に還流さ せる。このプロセスは水源に到達するまで続く。
図20 深井戸掘削作業における器具と揚水機械の配置
図 5.20 深井戸掘削作業における器具と揚水設備の配置 井
戸 掘削 パ イ プ
U形管
パイプに水を流すためのプラ スチックホース
パイプクランプ ロック/万力
ディーゼル駆動 ウォーターポンプ
押 し 下 げる
吸引ホース
底にプラスチック 防水シートを敷いた
深さ50cmの貯水池
泥炭層
オーガーヘッド
泥炭地では、水源の深さが異なる場合がある。したがって、井戸の深さはどこでも同じ になるわけではない。しかし一般的に言えば、水源は深さ12~20メートルで見つけるこ とができる。下の図 5.21 は、水源に到達するまでにドリルが貫通する泥炭土のさまざま な層を示している。
図21 井戸の深さと泥炭地の土層
図 5.21 井戸の深さと泥炭地の土層 井戸掘削パイプ
オーガーヘッド
深さ2~6メートルの泥炭層
深さ7~8メートルの花崗岩層
深さ8~12メートルの細砂土層
深さ12~20メートルの粗砂層と
細かい砂利
12~20メートル 地下水源
② 火災監視所
a. 火災監視所は、RSAのモニタリング・消火活動のために設置され、現地で技術的活 動を支援することを目的としている。
b. これらの監視所は、泥炭の表面から約12メートルの高さに設置すべきであり、さま ざまな方角から火災ホットスポット地域をモニタリングするために多くの場所に建 てることができる。したがって、火災対応の早期警戒や準備に役立つと期待される。
c. 火災監視所は各村落が管理し、将来、コミュニティー・サービス・エリア(例:自 動車修理店、補水所、その他の生産活動)としても利用できるだろう。
③ 輸送手段
a. パトロールやモニタリング活動を効果的に実施するために、RSAチームは、大型ボー トなどの簡単な交通手段にアクセスできる必要がある。
b. RSAメンバーが緊急時にタイムリーな援助を提供するために、ボートなどの輸送手 段をいつでも利用できるようにしておかなければならない。
c. 大型ボートやスピードボートは、近辺の地域社会や企業などから借りることができ る。
d. 水上運送の準備に加えて、乾季到来前にパトロール用の連絡道路を造っておくこと が重要である。乾季には近くの川や水路の水位がかなり低くなり、水上交通手段(大 型ボートなど)が通行できるゆとりを十分に確保できないからである。
④ 消火器具
a. RSA にとって最小限必要な器具
防火・消火活動にあたって RSA が利用する器具には、少なくとも以下を含めなけれ ばならない。(表 5.4)
表 5.4 RSA が必要とする器具の種類と最小数量
番号 消火器具 数量 備考 1 ロビン製ディーゼル駆動ウォー
ターポンプとサクションホース
2 台
2 0.5 インチ送水ホース 10 ロール 各 50m 3 地表火災用消火器 2 台
4 泥炭火災用消火器 2 台
5 送水管 2 本
6 深井戸用オーガー 1 本 井戸掘り器具の完全なリスト は前章(セクション 3.5.1)
に列挙してある。
7 1,000 リットル水コンテナ 2 個
8 すき 2 本
9 くわ 2 本
10 斧 2 本
11 鎌 2 本
12 手引き鋸 2 本 13 携帯ポンプ Jufa、15 リットル 2 台 14 携帯無線 2 台 15 バケツ 2 個
16 ゴムブーツ 15 足 チームメンバー1 人当たり 1 足
17 耐煙性透明グラス 15 本 チームメンバー1 人当たり 1 本
18 ジャンプスーツ 15 着
19 陸上車または水上乗り物 1 台 大型ボート/スピードボート または二輪車
上記の器具に加えて、防火・消火活動にあたって RSA チームの努力を支援するための補 助器具も必要である。(表 5.5)
表 5.5 RSA 用の補助器具リスト
番号 補助器具 数量
1 GPS 1 チーム当たり 1 台
2 村落/火災多発地域の地図
3 50m と 100m の距離を測定できる巻尺または同等品 1 チーム当たり 1 個
4 コンパス 1 個
5 デジタルカメラ 1 台
6 デスクトップ・コンピューター
(インターネットが必要または利用可能な場合) 1 台 7 火災マップ作成用の文具(大判紙) 10 枚 8 消失泥炭の深さの測定器 1 本 9 記入用のクリップボード、鉛筆/ペンおよびノート
(各人) 1 組
10 風力計(風速測定器) 1 台 11 湿度計(空気湿度測定器) 1 台
12 SSB 無線 1 台