第 5 章 泥炭地における火災予防の体制/システム構築
5.4. 地域密着型の熱帯林・泥炭地火災予防管理システム
5.4.1. 準備と情報普及
(1)準備・情報普及手順
火災のリスクは雨季には低いと考えられている。中部カリマンタン州では、雨季は一般 に12月から5月までである。したがって、乾季到来前のこの時期に、準備・情報普及・周 知・能力強化活動の大部分を実施しなければならない。
森林・泥炭地火災 に 関 す る 準 備 と 周知
村落レベルで消防隊(RSA)を設置する。
各RSAの火災管理戦略、作業計画およびモニタリング計画を策定する。
村落火災監視所を設置する。
火災多発地域に防火帯を設ける。
パトロール用の連絡道路を造る。
堰堤を造り、乾燥する傾向があって泥炭火災が発生しやすい地域の水 位を高める。
森林・泥炭地火災管理に関する地域社会間の協定がまだ存在しない場 合は、そのような協定を(村落規則とともに)作成する。火災管理協 定がある場合は、年1回または毎年乾季到来前に規則を周知させる。
火災危険を周知させ、野焼きによらずに土地を開墾・管理する方法に 関して村人を訓練する。
村落の火災多発地域と泥炭地の地図を作り、それらの地域の地主名を 記録する。
毎年、村人から民間部門、県当局、村長まで、火災予防管理用の人的 資源と財源の一覧表を作成する。
消火用具、輸送手段、水源(井戸、ドリルなど)、それらの配給ネット ワークを準備する。
警告標識を作って村落と火災多発地域に設置し、村長が火災予防活動 について発表する。
RSAメンバー向けに訓練や再教育活動を実施する。
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(2)消防隊(RSA)の設置
① 組織構造
すべての村に、森林・泥炭地火災予防管理を扱う組織を設置しなければならない。この 組織は、消防隊(Regu Siaga Api、RSA)の形で、村落レベルで標準的な火災予防・早期 発見活動を編成する必要がある。RSA リーダーが、組織の管理チームメンバーを主導し なければならない。RSAリーダーは村長に直属させ、RSAの組織とその火災管理活動の 管理に責任を負わせる必要がある。コンセッション地域の近くに地域社会の土地がある 場合、コンセッション所有者は村長やRSAリーダーと、森林・泥炭地火災予防管理活動 を調整すべきである。
RSA リーダー、書記、出納係およびメンバーは、村落集会で合意によって選出すること ができる。それぞれのRSA組織は少なくとも10~15人で構成すべきであり、RSAメン バーの基本的要件は以下のとおりである。
- 森林・泥炭地火災の影響を直接受ける村人であること。
- 17~50歳の成人で、さまざまな状況に対応できること。
- 心身ともに健康であること。
- チームで協力する能力があること。
- 火災管理活動の経験を有する者であることが望ましい。
組織構造を以下の図5.5に示す。
図 5.5 消防隊(RSA)の組織構造 村長
RSAリーダー
• K E T U A
• FUN GSI :
• -Meng ambil keput
usan
• -Mem
bagi
RSAチーム
RSAチーム RSAチーム RSAチーム
出納係 書記
② RSAの推奨される機能と任務
a. RSAの組織的な機能と任務
1)火災予防・早期消火活動を行う。
2)各村落で森林・泥炭地火災の影響に取り組むために努力する。
3)村落で火災緊急時にRSAの職務と救出作業を遂行し、必要に応じて近隣村落のRSA
組織の消火活動を支援する。
4)以下のために研究機関と協力し、支援する。
•森林・泥炭地火災の分野で研究活動や科学技術開発を実施する。
•技術・情報システム(例:インターネット、GPS、マッピング)を開発する。
•地域社会向けの教育・訓練プログラムを実施する。
5)利害関係者とのパートナーシップやネットワーク構築を開発する。
6)村落規則を促進し、地域社会に周知させる。
7)RSAの運用資金を調達する。
b.各RSAポストの機能と任務
1)村長:
a)乾季が近づくと、村長は RSAや他の地域社会リーダーを集めて村落集会を開き、
各地域の火災管理行動計画を考案する。
b)監視、火災の早期鎮圧、近隣村落への報告、村落の境界外で森林・泥炭地火災が発 生した場合における村落地域周辺のコンセッション所有者への報告を含む行動計 画を実施する。
c)森林・泥炭地火災を防止するために、村落規則を作成・発行する(まだ存在しない 場合)。
d)村長は職務の遂行にあたって、現地の教師や宗教指導者、地域社会リーダー、先住 民代表、村落当局者と連携する。
e)分区長に対し、行動計画と予防管理努力の現状を定期的に報告する。
f)村人を集めて、お金や米など RSA の行動を支援するうえで役立つ物品の形で自発
的に貢献するよう奨励することにより、森林・泥炭地火災予防管理努力に対する 認識を高める。
2)RSAリーダー:
a)RSA組織を代表して決定を下す。
b)メンバーに任務を割り当てる。
c)会議資料を作成・配布する。
d)村長とともに、その年の火災被害地域を観察することによって毎年、火災多発地域 の地図を作成・更新する。
e)メンバー、道具、監視所の準備をはじめとする RSA の準備作業について村長に報
告し、村長を通して(連携協定があれば)村落周辺のコンセッション所有者にも 伝える。
f)RSAメンバーを調整し、乾季に各地域で日常的モニタリングを実施する。
g)乾季に気候条件に関する情報を提供する事によって、共同体全体に早期警報を出す。
3)書記:
a)組織のメンバーのリストを作成する。
b)必要な通信に対応する。
c)議事録を作成し、下された決定を記録する。
d)パトロールと火災監視所の人員配置のシフト表を作る。
e)モニタリング報告書を作成する。
4)出納係:
a)RSAの財務記録を報告する。
b)RSAの財務計画を立案する。
c)RSAの財務・会計活動を実施する。
5)RSAメンバー:
a)それぞれの村落で森林・泥炭地火災の予防・早期消火計画を策定するにあたって、
RSAリーダーを援助する。
b)前年の火災、火災の原因・発生源、地域社会の農村地帯の状態に基づいて、それぞ れの村落で火災多発地域の地図作成を支援する。
c)地域社会の火災予防管理を変革する主体になる責任を負う。
d)地域社会全体に、村落地域であれ他の地域であれ場所を問わず、不要なぼやを見つ けたら消し止めるよう念を押すことによって、火災予防の重要性に対する認識を 高める。
e)乾季が近づいてきたら、ローテーションに従い毎日、火災監視所に人員を配置する。
③ 村落周辺のコンセッション所有者の推奨される機能と任務
コンセッション地域が村落に隣接している場合、その所有者は、以下の活動に積極的に 参加すべきである。
a. プロジェクト目標や計画を含めて、各村落にコンセッション地域の境界を周知 させる。
b. 村長とともに、コンセッション所有者の森林・泥炭地火災予防・早期消火戦略 に関する年次作業計画と長期作業計画(すべての周辺村落におけるRSA設置の 発案を含む)を立案する。
c. それぞれの地域で、森林・泥炭地火災予防管理に関する村落規則の作成を奨励 する。
d. 地方政府と連携してRSA組織の持続可能性を促進する。
④ 連絡・連携および報告の流れ
村落と周辺コンセッション地域の利害関係者に対し、森林・泥炭地火災に関する情報を 適時提供することが非常に重要である。以下の図5.6に示される承認された連絡・連携・
報告の流れに従って、火災予測、準備、毎日のパトロール、早期消火を行わなければな らない。
図 5.6 連絡・連携および報告の流れ
a. RSAリーダーは、地域社会やパトロール、衛星観測など、さまざまな情報源か ら情報を受け取り、メンバーと連携しながら次の適正水準の準備を決定する。
b. RSAリーダーは、村長や村落の書記、その他の当局者に現場確認の結果を報告 し、他の村落のRSAリーダーや周辺地域のコンセッション所有者とさらに連携 しなければならない。
c. RSAリーダーは村長と連携しながら、RSAメンバーに命令して適切な防火・消 火行動を起こせるようにする。
d. RSAメンバーが火災に対処できない場合、村長は直ちに他の当局や機関にその 旨報告するか、分区長に報告しなければならない。
e. 分区長は、地域の警察署長や軍と連携する。
f. 火災が制御不能に陥った場合、分区長は県知事に報告しなければならない。
⑤ 能力強化・キャパシティビルディング
村落レベルで合理的・総合的なシステムを実施するために、人々の能力を開発し、現場 作業に必要な水準に引き上げる必要がある。すべての村落の能力強化に適用できる万能 のアプローチはない。適切な基礎知識と技能の提供によって、各自の村落で森林・泥炭 地火災を予防管理するために必要なステップに向けて、RSA メンバーを準備させること が重要である。
この必要な能力を評価したうえで、どのような情報や支援が必要か決定しなければなら ない。能力強化ニーズを確認したら、RSA メンバーをはじめとする村落の利害関係者に 必要な訓練を提供することができる(訓練モジュールについては、添付の「地域密着型 の熱帯林・泥炭地火災予防管理システムに関する能力強化訓練モジュール」を参照)。評 価チェックリストについては以下の表5.2を参照のこと。