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図4−3Aの出来事連関
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図4−4Aと教師の関わりと中退規定要因の関連
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1.配慮一教師集団の配慮されたAとの関わり
先述したように,中学時代のAは,いわゆる配慮の必要な生徒であったが,A自身 も図4−3(教育・職業キャリア)に示した中学生活からわかるように,中学担任,中学教 師,養護教諭は肯定的に関与してくれたと指摘している。
具体的には,Aの進路選択・決定時においての,担任の関わりは,「結局,成績のこと が中心だったように思う」と,進路指導状況に不満を表しながらも「成績が悪かった ので入れる学校がなくて,担任の先生は大変だったが,とても熱心に考えてもらった。
先生はいつでも相談にのってくれてよかった」と述べているように,熱心であり,よ かったと感じている。
また,養護教諭や前担任と,希望校や将来についての相談をしたり,補習などで教 科担当の教師と学習や雑談をすることで,中学3年の時期には充実した生活を送って おり,担任教師を中心に,教職員のAに対する支援体制は,ある程度整っていたとい
える。
Aは,「将来なりたい職業の資格を取るため,自分の今の成績から考えてそこしかな いので,高校に入ったら自由にできるし,仲のよい先輩がいるから」という理由で,高 校を選択・決定する。そして,希望校に入学することにより,Aの心的状況も,より
「安定」した状態であった。
中学時代の教師の関わりとしては,成績を中心に進路を決定した傾向があり,進学 指導についての課題は残るものの,一方的で管理的な指導という枠を越えた,個に応
じた関わり方,いわゆる配慮がなされた関わりであったと言えるであろう。
2.無関与一教師集団のAに対しての無関与
高校に入学し,1学期初期において,中学時代の友達や先輩と一緒に行動することが 多くなり,頻繁に外泊など夜遊びを繰り返すようになる。
家庭環境や中学校での生活状況の連絡を受けているにも関わらず,担任やその他の 教師は,この時期においてAとほとんど話することはなく,校則違反となる服装や髪
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型を直させるような指導をする程度で,教師集団とAとはほとんど関わりのない,無 関与の状態であった。
また,図4−3(家族キャリア)で示しているように,同時期の家庭においてもストレス が増加していることが確認でき,心的状況も「不安定」な状態となっている。
この時期に,Aが指摘する中退規定要因の中の,いわゆる発端の要因「仲間集団」(図 蛋4)が出現している。つまり,本人はこのままでよいのかという悩みを持ちながらも,
家庭でのストレスや,誘われても断れない性格などにより,グループ内の先輩や同級 生に誘われるがままに行動するようになった。
3.対処一教師の問題行動を抑止するためだけの対処
1学期中期になると,喫煙,深夜俳徊,バイクの無免許運転などの問題行動を頻繁に 起こすようになり,そのことが学校に報告されることとなる。つまり,この時期にお いて,中退規定要因の一つである「問題行動」(図4−4)が出現する。
この時期の教師との関わりについては,担任の呼び出し相談により,問題行動の事 実の確認および指導,学校での生活態度の注意,家庭での生活についての指導が中心 となっている。そして,生徒指導担当の教師からも,同様の指導を受けるが,問題行 動に対する一方的な指導に対し,反感さえ抱いている。また,家庭で反省をさせるこ
とに関しても問題行動および生活態度についての内容の反省がほとんどであった。
つまり,問題行動を二度と起こさないようにという,問題行動を抑止するためだけ の対処にとどまっている傾向があった。この頃から,学習に対しての興味・関心もな
くなっており,Aの不満や不安はさらに大きくなっている。
4.放置一教師集団のAに対しての放置的姿勢
問題行動を起こし,心身ともに不安定な状況にあるAにとって,学校に行かないこ とは大きな打撃となる。学習に対しての意欲の欠如および欠席などにより,さらに学 業においても不安材料が増え,1学期中期頃から,以前にも増して学習内容がわからな
くなり「学業不振」(図4−4)の状態となる。しかし,また夏休みには問題行動を起こし
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てしまい,このままでは学校を辞めないといけないという意味の指導も受けている。
2学期初期の担任の関わりについては,Aに対して声かけなどを行い,心配はしてい るものの,問題行動の防止を目的とする言動が多かった。また,その他の教師の関わ
りも,問題行動を起こしたことにより,厳しい姿勢で対応されることが増えてくるよ
うになった。
その時の状況を「先生によって対応が全然違った。問題行動をした後は,無視する 先生や嫌みをいう先生もいた」と述べている。
Aにとって,学業不振や家庭のこと,友達のこと,そして問題行動と心的状況が極め て「不安定」であるにも関わらず,問題行動の抑止のための管理的指導は行うが,教 師集団のAに対しての関わりは,それ以上踏み込もうとしない,もしくは踏み込めな い,つまり放置的な状態であり,さらに次の問題行動を起こす契機となっている。
5.指導一教師のAに対する強制的指導
2学期中期から後期にかけて,再三にわたって問題行動について指導されていたにも かかわらず,喧嘩・喫煙をしたことが発覚する。担任は,呼び出し相談や家庭訪問など を行い,問題行動や生活態度のことを注意しながらも,相談回数を重ねるうちに,学 校を辞めることについての話を出すようになり,「辞めさせたくないが,このように問 題行動が続いたら,辞めるしかない,どうすることもできない」と,中退せざるを得
ない状況をAに伝える。
この時期からは,Aも学校に残ることをあきらめるようになり,中退後のことを考 えるようなった。また,その時の状況を,「何とかしてほしい気持ちがあったが,問題 行動の件があったので,何も言える状況ではなかった」と述べている。
生徒指導担当の教師との相談もあったが,あくまでも問題行動や生活態度,社会に 出ることの厳しさなどに関しての指導にとどまっている。そして,本人の「辞めたら 就職するしかない」という進路変更を余儀なくされている状態にもかかわらず,進路 関係の教師との相談は1回も行われていない。
Aは中学時代の担任にも,状況を説明したり,悩みの相談に何回かは行っているが,
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ほぼ中退を決心してからであり,ほとんどの内容が中退してからの話であった。
1年2学期末,担任,保護者などとの相談の末,就職は保護者の方で面倒を見るいう ことで中退することとなる。
6.支持一教師(キーパーソン)のAへの支持的な関与
Aは中退後,職を転々としているが,図4−3(キーパーソン)で示されるように,辞職 するときにおいて,必ず中学時代の担任に何回か相談に出向き,仕事の状況や将来に ついての悩みなどを話している。
また,中学時代の担任教師も,機会を見つけては電話などで様子を聞くようにして いた。Aは中学の担任に関して「中学の担任と話をできたことが一番よかった,もう 少し真剣に自分の道を考えたいと思った」と述べている。
その後「職場が自分に合っていない,友達が夜遊びに誘うので仕事に出るのがつら い,仕事よりも遊びたい」などの理由で,2回の転職の後,中学担任や両親と相談の末,
中学時代からのなりたい職業の一つであったサービス業関係の会社に就職を希望し,周 りの協力もあって,ほぼ希望通りの職業に就くことが実現した。
職場においては,上司に恵まれ,仕事の内容から,生活全般にわたり面倒を見ても らいながら,充実した生活を送っている。そこでは,挨拶・掃除の仕方から免許取得 の勉強のこと,家庭での生活のことまでも指導を受け,熱心に関わってもらっている。
上司は単なる雇用者としてだけではなく,Aを支持し,支える存在となっている。
現在の心的状況は「安定」しており,資格を取るために勉強も始めるようになって いる。付言しておくが,現在においても高校側の追指導などはほとんどなかったと指 摘している。
最後に,Aは将来の計画について,以下のように述べている。
「いろいろ職業を変わったが,今の職業に満足しているのでこのままずっ と続けていきたい。将来は資格を取り直して,経営する立場になりたいが,
まだはっきりとどうしたいかわからない」
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ドキュメント内
高校中退者のライフコース分析による中退規定要因に関する研究
(ページ 148-167)