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緊急事態および長引く危機における教育

複雑な緊急事態や長引く危機が、従来以上に教育を受ける権利を妨げるようになっ ている。緊急事態は、一時的に子どもたちの生活や教育を妨げるのみにとどまらず、

幼児期全体を通して、また時には生涯にわたって教育への扉を閉ざしてしまう。武力 紛争、伝染病、あるいは自然災害は、あらゆる子どもの生活を破壊する可能性があるが、

最も貧しくて立場の弱い子どもたちが最もその影響を受けやすい。

最近の報告によれば、人道的緊急事態や長引く危機のために、35 カ国の 3 〜 18 歳の子どもたち 7,500 万人以上が教育を中断させられている。彼らのうち 1,700 万 人以上が、難民、国内避難民、あるいは問題を抱える他のグループに属している(コ ラム 2.2. を参照)

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。特に紛争の影響下にある女子たちは、より平穏な環境にいる女 子たちと比べて、就学していない可能性が 2.5 倍高い

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紛争状態においては、学校が破壊され、教師や生徒の命が危険に晒されることにより、

教育は直接的または間接的に打撃を受けることが多い

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。教育を攻撃から守る世界連 合(GCPEA)による調査では、2013 年までの 5 年間に 70 カ国で行われた生徒、教 師、機関に対する攻撃の記録は数千件に及んだ。これらの事例には、爆撃、誘拐、不 当逮捕、生徒や教師の拷問や殺害などが含まれている

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教育:公平な機会の創出

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ダマスカスのカファルバトナ村で 薪を運ぶ 2 人の少年。(シリア)

©UNICEF/UN06854/AlShami

具体例は数えきれないほどある。ナイジェリアでは、武装グループのボコ・ハラムが、

2014 年の大規模攻撃で数百人の女性や少女を誘拐した。また 2012 年から 2014 年 の間に、同グループはナイジェリア北東部で 314 人の就学児を殺害した

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。同グルー プが暴力的活動を開始してから 2015 年末までの間に、600 人を超える教師が殺害さ れ、1,200 校を超える学校が損傷または破壊された

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またイエメンやシリアをはじめ、他の多くの国でも教師や子どもたちが攻撃、誘拐、

殺害されている。2014 年だけで、アフガニスタンでは学校への攻撃が 163 件あり、

中央アフリカ共和国では 9 校が攻撃され、イラクでは学校への攻撃が 67 件報告され た

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コラム 2.2.武力紛争が教育に及ぼす重大な影響

出典:

ユネスコ統計研究所およびユニセフ「“学校に通えない子どもたちに関する世界イニシアチブ”調査結果〜反故にされた約束、「万人のための教育を」を再び(Fixing the Broken Promise of Education for All: Findings from the Global Initiative on Out-of-School Children)」UIS、モントリオール、2015 年、p. 49。

ユニセフ「Syria Crisis Education Strategic Paper」2016 年ロンドン会議用資料、ニューヨーク、2016 年 1 月、p. 1。

国連難民高等弁務官「Education Sector Situation Analysis」2015 年 11 〜 12 月 用、「Syrian Regional Refugee Response」ウェブサイトに掲載

<http://data.unhcr.org/syrianrefugees/country.php?id=122> 2016 年 1 月 12 日にアクセス。

ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所「Education under Fire: How conflict in the Middle East is depriving children of their schooling」アンマン、2015 年 9 月 3 日、p. 6。

教育のためのグローバル・パートナーシップ、「コンゴ民主共和国」ページ <http://www.globalpartnership.org/country/democratic-republic-of-congo>

2016 年 4 月 8 日にアクセス。

MICS 2001 年および 2010 年、DHS 2007 年および 2013–2014 年。

紛争が子どもたちに及ぼす影響は直接的で、命を脅かすこと が多い。また、子どもたちが生まれながらの能力を最大限発揮 できるよう支援すべき教育制度の発展を阻害してしまう。シリ アにおける最近の状況が、紛争がいかにして教育の進歩を停滞 させ、さらには逆行させてしまうかを示している。

現在の危機が始まる前の 2010 年には、同国の初等学校就学 年齢児のほぼすべてと、前期中等学校就学年齢児の 90% が学 校に通っていた。しかしその 5 年後、シリアでは 5 ~ 17 歳の およそ 210 万人の子どもたちが非就学児となっていた。さら に近隣諸国において、就学年齢にある約 70 万人(就学年齢に ある難民人口の半数)のシリア難民の子どもたちが非就学の状 態にあった。

紛争から逃れている 460 万人近い難民の半数以上が子ども で、その多くが現在、教育機会の剥奪による希望のない未来に 直面している。近隣諸国は、こうした難民の流入に懸命に対処 しようとしている。レバノン政府は寄付者の支援を得て、公立 学校にシフト(二交代)制を導入することで大量の非就学難民 児を受け入れる、革新的な制度を導入している。その結果レバ ノンでは、約 15 万人の難民の子どもたちが同国の公立学校に 入学している。

しかしながら、シリア難民の子どもたちの教育ニーズと、彼 らにもたらされる学習機会との間には未だ大きな隔たりがあ

る。難民の子どもたちの教育継続能力を妨げる大きな要因のひ とつとして、指導に用いる言語が挙げられる。さらに、難民が 暮らしている国の大半では、公共制度においてシリア人教師が 雇用されていない。

紛争によって教育が中断されているのは、シリアだけではな い。ガザでは、学校インフラへのダメージにより、50 万人近 くの子どもたちが、2014 ~ 2015 学年度の始まりに教室に戻 ることができなかった。イエメンでは、紛争によって何千もの 学校が閉鎖され、2015 年 8 月の時点で 180 万人の子どもた ちが教育を受けられなくなっており、この数は、同国での暴力 的活動がエスカレートする前の 160 万人から増加している。

スーダンでは、一部の地域で数十年にわたって続いている戦い により、300 万人を超える子どもたちが教育の機会を奪われて いる。中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、南スーダンでは、

従来から教育における慢性的欠陥が際立っていたが、武力紛争 により、前進がさらに停滞している。

1993 年から紛争が続いているコンゴ民主共和国では、就学

年齢に相当する 350 万人超の子どもたちが学校に通えないま

まになっている。それでも最近のデータでは、2001 年の

51% から 2013 年には 87% と、初等教育の就学率が着実に

向上していることが示されている。同時に、少年と少女、都市

部の子どもと農村部の子ども、最富裕世帯の子どもと最貧困世

帯の子どもの間における就学率の格差も縮小を続けている。

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世界子供白書 2016

紛争により家を離れなければならなくなった子どもたちや家族は、しばしば恒久的 な避難を強いられることになる。2014 年末には、全難民の半数が 10 年以上にわたっ て避難生活を続けており、また国内避難民の半数以上は、3 年以上にわたって住む場 所を持てる兆しがない状況にあった

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。彼らにとっては、避難生活が新たな日常になっ ている。

しかし、子どもたちの生活における長引く危機の原因は、紛争だけではない。気候 変動によってもたらされる危険も大きくなっており、干ばつや洪水に関連するリスク が増大している。気候関連の災害は子どもたちの命を脅かし、教育を中断させ、虐待、

育児放棄、人身売買、児童労働といった、より高いリスクに晒す

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またこれらの災害は、学校インフラにも甚大なダメージをもたらす可能性がある。

例えば、2015 年にサイクロン・パムがバヌアツを襲った際、国の約 80% の学校が その影響を受けた。一部の学校は損壊し、それ以外は避難所として使用された

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。こ の問題は、小さな島国の中で多くの学校が不可避的に沿岸地域に置かれている、太平 洋地域全体に当てはまる。地域全体を通して、気候変動および気象関連の緊急事態が、

子どもたちに質の高い学習機会を提供する取り組みの妨げとなっている

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紛争や気候変動の問題を抱えているものの、教育は人道支援要請のうちわずかな部 分を占めるにすぎず、さらに実際に資金がつくのはその中でもごく一部である。2013 年には、人道支援の呼びかけによって集められた資金のうち、教育に割り当てられた 額は 2% に満たなかった

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。この数字は、人道的文脈の中で教育の優先順位が低いこ とを示唆し、危機の影響を受けている両親や子どもたちの強い願望とは不思議なこと に整合しない

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。子どもたちにとって、学校に戻ることは、安心感、日常感、さらに はより良い未来への希望を取り戻すことにつながるはずである。

さらに深刻な問題は、援助の仕組みが実際のニーズとあまり整合していないことで ある。長期的な避難生活の見通しに直面している子どもたちのための教育資金を、短 期的な(かつ常に資金不足となる)緊急事態の訴えを通じて調達することは不可能で ある。迅速な対応は長期的な資金調達と結びつける必要がある。従来は二分されてい た開発の専門知識と人道支援との間には、これらをつなぐ包括的なアプローチが必要 である。人道支援と開発支援を結びつけることにより、緊急事態または緊急事態後の 教育プログラムは、子どもたちに、活気を取り戻して生産的で平穏かつ充実した生活 を送るチャンスをえることができるはずである。

教育:公平な機会の創出

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