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防ぐことができる子どもと母親の死亡をなくすために必要な投資は、大きな投資効 果をもたらす。その規模は、リスクに含まれる潜在的なコストをも反映したものになる。

幼児期の疾病は、命を奪ったり苦しみをもたらしたりするだけでなく、子どもたち自 身や彼らのコミュニティ、国の潜在能力を徐々にむしばんでいく。栄養不良と幼児期 の疾病は、認知発達に悪影響を及ぼし成人になったときの生産性を低下させる。保健 制度によって疾病を予防できない場合、治療費や生産性の損失という形で社会がその 代償を払うことになるのである。逆に、母親と子どもの健康や栄養状態が向上すれば、

建設的なサイクルを作り出すことができ、子どもたちは自分たちの生まれながらの能 力を発揮して、コミュニティや国の繁栄を支えることができる。

防ぐことができる子どもと母親の死亡を効果的になくすには、どれだけのコストが 伴うのだろうか。「女性と子どもの健康のための世界的な投資」の枠組みにおいて確立 された詳細な財務コスト計算により、有用な知見が導き出される

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子どもの健康:公平な人生のスタート

>> 公平性の目標

死亡率が高い 74 の国に対する 6 つの中核的投資パッケージには、追加年間支出に おいて約 300 億米ドルのコストがかかり、これは現在の水準を 2% 上回ることになる。

この支出パッケージは、栄養を共通のテーマとした上で、妊産婦および新生児の保健、

子どもの保健、予防接種、家族計画、HIV /エイズ、マラリアを対象とする。この投 資によって、2013 年から 2035 年の間に、推定 1 億 4,700 万件の子どもの死亡、

3,200 万件の死産、500 万件の妊産婦の死亡が回避される。

実際にこうしたアプローチをとった場合、74 カ国における人口の 20% の最貧困層 に利用可能な基本的な母子保健の水準を、20% の最富裕層に利用可能な母子保健の水 準にまで引き上げることが可能になる。

確実にすべての子どもたちの権利が認められ、尊重されるよ うにするためには、出生数と死亡数を正確に数えることが第一 歩となる。しかしながら、100 を超える開発途上国では、正確 な出生および死亡データを生成するために必要な、住民登録お よび人口動態統計(CRVS)制度が整備されていない。

全世界で、出生登録されなかった 5 歳未満の子どもが 2 億 3,000 万人いる。この数値のうち、サハラ以南のアフリカの子 どもたちが 39%、南アジアの子どもたちが 44% を占めている。

信頼できるデータがない場合、CRVS 制度がない国の子どもの 死亡率の推定は、調査回答、国勢調査情報、およびその他の情 報源を利用する最新の統計モデルに基づいて行われる。しかし いかなるモデルであろうと、出生および死亡登録に基づいた質 の高い入力情報の代わりにはなり得ない。

家庭調査は、親の資産状況、居住地、教育水準その他を含めた、

社会経済的特徴による子どもの死亡率の違いに関する有用な情 報をもたらす。しかし、幼児期における不利な状況が際立つ地 域の詳細を示すためには、さまざまな人口集団に関するデータ をより細かく分類することが必要となる。すなわち、それらの 社会集団および地域に関するデータ報告を収集、統合し、迅速 化する必要がある。

こうした状況は、原因別の死亡率に関する情報が得られない ことでさらに複雑化する。例えば、幼児の急性下気道感染症

(ALRI)の世界的件数の推定値は病院からの報告データをもと にしているが、貧困世帯では専門的ケアへのアクセスが限られ ているため、病院からの報告データには反映されず、低所得コ ミュニティにおけるインフルエンザに伴う ALRI の発生率は過 小評価されてしまう。また、新生児における重篤な細菌感染に ついて得られる世界的推定値は 550 万人から 830 万人までと 大きな幅があり、基礎となるデータの不確実性を反映している。

調査の増加により著しい進歩があったものの、保健支援の対 象を追跡するデータにも、依然として大きな隔たりが存在する。

そうしたデータは説明責任を果たす上で重要であり、支援がど こまで届き、どの程度の格差があるのかといった情報をもたら す。あらゆる国がすべての指標について報告する能力を持って いるわけではないが、既存の調査ツールに調整を加え、ケアの 質に対してより明確に焦点を合わせることができる。

し か し 結 局 の と こ ろ、CRVS 制 度 に 代 わ る も の は な い。

2024 年までに CRVS の普遍的導入を実現するためのコストは、

73 カ国(中国とインドを除く)で 38 億米ドルになると推定さ れる。それまでの間、保健制度の対象の拡大と新たな情報通信 技術の応用により、特定の疾病に関する不可欠な情報と併せて、

重要な出生および死亡登録情報を生成することができる。

コラム 1.2. 誰もが大切なひとり:子どもの生存率に関する 質の高いデータの重要性

出典:

世界銀行/世界保健機関「Global Civil Registration and Vital Statistics: Scaling up investment Plan 2015–2024」2014 年 5 月 28 日、p. 2。

ユニセフ「すべての子どもが生まれながらに持つ権利:出生登録における不平等と傾向(Every Child’s Birth Right: Inequities and trends in birth registration)」ニューヨーク、2013 年、pp. 6、36。

Nair, Harish その他「Global burden of respiratory infections due to seasonal influenza in young children: A systematic review and meta-analysis」「ラ ンセット」誌、第 378 巻 9807 号、2011 年 12 月 3 日、p. 1925。

Seale, Anna その他「Estimates of possible severe bacterial infection in neonates in sub-Saharan Africa, South Asia, and Latin America for 2012: A systematic review and meta-analysis」「ランセット」誌、第 14 巻 8 号、pp. 731–741、2014 年 8 月。

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世界子供白書 2016

また、この投資に対して予想される社会的および経済的な投資効果(生産性、生産 高の増加、および健康の改善に伴うより広範なメリット)も非常に大きく、すべて合 わせるとコストの 9 倍にも上る

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子どもと母親の死亡をなくすための投資に対して予想されるその他の投資効果には、

次のようなものがある。

• 教育的成果の向上、働き手としての参加、社会的貢献を通じた、保健および栄養 支出に対する少なくとも 10 倍の投資効果

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• 予防接種への投資 1 米ドルごとに 16 米ドルの投資効果。新しく、より高価なワ クチンが導入されても、予防接種が保健計画における最も費用対効果の高い対策 のひとつであることに変わりはない

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• 栄養改善の投資 1 米ドルごとに 16 米ドルの投資効果。

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子どもの栄養不良は国 の GDP(国内総生産)の 1.9%(エジプト)から 16.5%(エチオピア)の間の コストがかかる。

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• 母乳育児の保護、促進、サポートを通じた年間総額 3,020 億米ドルの節約

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「Global Investment Framework (世界的な投資の枠組み)」は、リソース不足が原 因で、費用対効果の高い支援を提供しきれないでいる保健システムの問題を解決する 方法を見出した。年間 100 億米ドルの追加コストで、54 万 4,000 人のコミュニティ 医療従事者と 67 万 5,000 人の看護師、医師、助産師の提供を含めた、性と生殖に関 する保健ケア、妊産婦ケア、新生児ケア、子どもの保健ケアの提供が強化できるので ある

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子どもの健康:公平な人生のスタート

>> 保健への投資効果の大きさ

ナン・ドイさんの子どもサオ・ンガ ちゃん(4 カ月)。地区母子保健チー ムが実施している成長モニタリング と予防接種の順番を待つ。(ラオス)

©UNICEF/UNI76591/Holmes