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各国政府は、国内貧困ラインを用いて、自国内における金銭 的貧困をモニタリングしている。この基準では、消費または所 得水準が国内で設定された基準値を下回る家庭で暮らしている 人々を、貧困と見なす。国内貧困ラインは現地通貨で評価され、

全国標準が反映されている。

絶対的貧困ラインは、基本的条件を満たすために必要な最低 限の所得または消費水準を示しているが、一部の政府は「相対 的貧困」ラインを利用している。この基準においても通常の消 費への参加と国の生活水準が考慮されるが、全国の平均所得水 準との関連から貧困が評価される(欧州連合および経済協力開 発機構も、相対的貧困ラインを用いて加盟国間および他国との 貧困レベルの比較を行っている)。

国内貧困ラインの大きな利点は、各国固有のものであり、国 ごとの特徴と発展レベルが反映されていることである。しかし、

用いられる方法論は国によって大きく異なっており、各国間で

比較することはできない。

シリアのデータによれば、同国では 2011 年に始まった紛争により、国内貧困ライ ンを下回る生活を送る人々の比率から見て、極度の貧困層の割合が急増したことが示 唆されている。その割合は、2007 年の 12.3% から、2013 年には推定で 43% ま で増加した

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。また貧困は、危機から逃れている数百万人に上る難民に対しても懸念 される問題である。2014 年には、国連難民高等弁務官が、ヨルダンおよびレバノン の登録済みシリア難民の 10 人中 7 人が貧困と見なされうるとの推計を出した

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。こ れら難民の半数は子どもたちである。

特に懸念される他の地域はサハラ以南のアフリカであり、全世界における極度の貧 困層の中で大きな割合を占め、その割合はさらに増加している。現在の動向に基づけば、

2030 年には 1 日 1.90 米ドル未満で生き延びている世界の子どもたちの 10 人中 9 人が、サハラ以南のアフリカで生活していることになる(図 3.2. を参照)。

図 3.1.

多くの子どもたちが極度の貧困の中で生きている

2012 年の、低所得国および中所得国における総人口および極度の貧困層の総数に占める 18 歳未満の子どもの割合(%)

総人口 極度の貧困層の総数

(1 日 1.90 米ドル)

66% 54%

34% 46%

18 歳未満児 おとな(18 歳以上)

推計値は、極度の貧困層の総数に占める子ど もたちの割合として提示されている。分析で は、人口の年齢構成の変化に応じて極度の貧 困層の年齢特性がどのように変化するかとい うことと、富の五分位別の合計特殊出生率が 考慮されている。

データ不足と貧困率の低さのため、分析には 中東と北アフリカ、ヨーロッパ、中央アジア は含まれていない。

すべての低所得国および中所得国に関する割 合は、サハラ以南のアフリカ、南アジア、ラ テンアメリカとカリブ海諸国の各地域に関す る世界銀行のデータに基づいて推計されてい る。その他の地域に関するデータは、算出時 点では入手できなかった。

注:貧困率は世界銀行の PovcalNet と Global Monitoring Report 2015/2016 から入手。年齢別の分類は国連経済社会局の 2012 推計値から入手。富の 五分位別の合計特殊出生率は人口保健調査(2005 年以降)から入手。子どもの貧困の推計値は、地域の貧困集団に関する統計値などをもとに計算しており、

世帯の収入や消費に関する調査をもとに分析したものではない。

1 日 1.90 米ドルという新しい国際貧困ラインを用いた子どもたちの推計値は、未入手である。しかし、全世界の極度の貧困層の最新プロファイル(1 日 1.25 米ドルという以前の水準に基づく)により、極度の貧困層の人々の 47% が 18 歳以下であったことが明らかになった。最初の推計値の算出に使用したデー タは、過去の調査に基づくランキング・プロファイルに依拠したものであったため、プロファイルは有効な参照を提供すると考えられる。

出典:ユニセフのための Overseas Development Institute による計算(2016 年)。データは、世界銀行(2016 年)、国連経済社会局(2013 年)、DHS(2015

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世界子供白書 2016 子どもたちと貧困:悪循環を断ち切る

>> 極度の貧困の中で生きる子どもたち

100%

80%

60%

40%

20%

0

2002 2012 2030

30.2%

37.5%

52.9%

32.4%

10.9%

27.3%

5.1% 3.9%

6.5%

88.3%

0.7%

サハラ以南のアフリカ 南アジア

東アジアと太平洋諸国 ラテンアメリカとカリブ海諸国 地域:

4.5%

図 3.2.

2030 年には、極度の貧困層の子どもたちの 10 人中 9 人がサハラ以南のアフリカで生活してい ることになる

2002 年、2012 年、および 2030 年(予測)における、世界銀行の地域別の極度の貧困層(1 日 1.90 米ドル)の子ど もたちの推定割合(%)

注:データ不足と貧困率の低さのため、分析には中東と北アフリカ、ヨーロッパ、中央アジアは含まれていない。貧困率の予測値は、世界銀行のグローバル・

モニタリング・レポート 2015/2016 で公表された予測値に基づく線形補間であり、過去 10 年間における平均成長率を想定している。推計値は、極度の貧 困層の総数に占める子どもたちの割合として提示されている。分析では、人口の年齢構成の変化に応じて極度の貧困層の年齢特性がどのように変化するかと いうことと、富の五分位点別の特殊合計出生率が考慮されている。

出典:ユニセフのための Overseas Development Institute による計算(2016 年)。データは世界銀行(2016 年)、国連経済社会局(2015 年)と DHS(2005 年以降)による。

コラム 3.2.子どもの多次元的貧困の測定

理想としては、すべての国が金銭を基準とする指標と多次元 的指標の両指標を使って貧困状態にある子どもの数を報告する ことが望ましい。

前述の国内貧困ラインや国際貧困ラインなど、金銭を基準と する指標はすでに貧困削減の進捗状況を報告するために幅広く 使用されている。これらの指標は、国内、地域および世界的レ ベルでの金銭的な貧困状態にある子どもの人数、すなわち子ど もの貧困率を推定するための基盤とすることができる。

子どもの多次元貧困指標はそうしたデータに深みと複雑性を 加える。これは各国の経済および社会の状況に合わせて修正し て適用することができ、貧困削減に向けた国内の取り組みの進 展に関する情報を提供する。

多次元貧困指数(MPI)は貧困に関するデータの強化を目的 とするツールの一例である。この指数は健康、教育、物質的な 剥奪といった 3 つの次元の不利益を、10 項目の評価基準を使っ て把握する。子どものデータを別途集計することが可能な MPI データのレポートは、評価基準の少なくとも 3 分の 1 の指数 について満たされていないとき、その個人を貧困状態にあると 見なしている。

多次元貧困分析(MODA)は、ユニセフが公平性に重点を置 いて世界の子どもたちの貧困と剥奪をより精緻に分析するため に開発したもうひとつのツールである。子どもが経験する貧困 の影響はおとなとは異なるため、このツールは世帯ではなく、

子どもを分析単位とする。

サハラ以南のアフリカは、18 歳未満の子どもたちが人口のおよそ半数を占める、世 界で最も若者の比率が高い地域であるため、これだけの集中は特に憂慮すべきことで ある

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。今後 15 年間にわたり、同地域は全世界の子どもたちの人口増加分のほぼす べてを占めることになるだろう。現在の傾向がこのまま続けば、2030 年にはサハラ 以南のアフリカの 1 億 5,600 万人の子どもたちが、1 日 1.90 米ドル未満で生き延び るために苦闘することになると考えられる。そして彼ら全体で、全世界の極度の貧困 層の半分近くを占めることになる

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サハラ以南のアフリカでは、他の地域と比べて貧困がより広く蔓延しているだけで なく、その程度もより厳しいものとなっている。同地域の貧しい人々は平均的に、1.90 米ドルという極度の貧困の基準値を超える生活水準の実現に向けた努力を、世界の他 の地域における同様の人々よりも低い基点から始めることになる。2012 年には、同 地域の約 8,900 万人(人口のおよそ 10%)の人々が、1 日 80 セント未満で生活し ていた。サハラ以南のアフリカでは、極度の貧困の基準値を下回っている人々は、平 均して 1 日 1.20 米ドルで生活しており、これに対して南アジアにおける極度の貧困 層の人々は 1 日 1.50 米ドルで暮らしている

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「中程度の貧困」の中で生活する