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第 4 章 シミュレーションの方法 39

5.4 結論

5.4. 結論 53

54 第5章 緩和現象の研究 則をλ(1)q = A(1)>1(q/N)x(1)>1 とすると,パラメータの大小関係は, x(1)1 < x(1)>1 かつA(1)1 < A(1)>1 と なった. また,指数x(1)1x(1)>1 は,線状高分子鎖の指数2ν+1に近い値になった. このよ うに,自明な結び目においても, 幾何学的拘束の効果はあらわれ,q =1とq >1のベキ 乗則の分離を引き起こすことがわかった.

三葉結び目をもつ環状高分子においても,自明な結び目の結果と同様に, 幾何学的拘 束の効果があらわれ,緩和率分布は波数q=1とq=2と3で異なったベキ乗則に従う ことがわかった. 波数q= 1のベキ乗則をλ(1)q = A(1)1 (1/N)x(1)1 ,波数q = 2と3のベキ乗 則をλ(1)q = A(1)2,3(q/N)x(1)2,3 とすると, パラメータの大小関係は, x(1)1 > x2(1),3 かつA(1)1 > A(1)2,3 となった. この関係は自明な結び目での結果とは異なる. この異なったベキ乗則の結果 から, 各セグメント数N の最も遅い緩和に関係する波数qmin は, N が小さいときには qmin= 2,Nが大きいときにはqmin= 1となることがわかった. この転移に関する特徴的 なセグメント数はNc = 96∼144であり,この転移はセグメント数が大きくなるにつれ て,結び目部分が局在化したためと推測できる. ここで, 結び目部分の局在化とは, 鎖が 短いときには,結び目部分が高分子全体に広がった状態から,鎖が長くなるにつれて,結 び目部分が高分子の一部分に局在し,残りの鎖があたかも結び目による拘束を受けてい ないように振舞う状態になることである. したがって,結び目部分の局在化と,ベキ乗則 で評価された指数の結果から,十分に長い鎖のときには,自明な結び目と三葉結び目の 緩和率分布は最終的に単一のベキ乗則になると推測できる. そして,このような領域で は,結び目による幾何学的拘束の効果は消滅すると推測できる.

5.4. 結論 55

q / N

λ

q

0.001 0.01 0.1 1 10

0.01 0.1

N= 24 N= 36 N= 48 N= 72 N= 96 N=144 N=192

(a)

q / N

λ

q

0.001 0.01 0.1 1 10

0.01 0.1

N= 24 N= 36 N= 48 N= 72 N= 96 N=144 N=192

(b)

【図5.2】: セグメント数N =24, 36, 48, 72, 96, 144, 192の自明な結び目をもつ環状高 分子のq/Nと緩和率の両対数グラフ. 図(a)は緩和モード解析に基づいて評価した緩和 率λ(1)q ,図(b)は線形化近似法に基づいて評価した緩和率λ(LA)q を示す. 各セグメント数 N では,波数q= 1の緩和率を黒色のシンボルで,波数q > 1の緩和率を白色のシンボ ルで表している. それぞれの図中では,実線直線はq= 1の緩和率を, 破線直線はq> 1 の緩和率を, それぞれ線形関数でフィットした結果である. q = 1の緩和率については, N = 48∼ 192の緩和率を,q > 1の緩和率については,q/N ≤ 0.05の領域にあるの緩和 率を用いた.

56 第5章 緩和現象の研究

q / N

λ

q

0.001 0.01 0.1 1 10

0.01 0.1

N= 24 N= 36 N= 48 N= 72 N= 96 N=144 N=192

(a)

q / N

λ

q

0.001 0.01 0.1 1 10

0.01 0.1

N= 24 N= 36 N= 48 N= 72 N= 96 N=144 N=192

(b)

【図5.3】: セグメント数N = 24, 36, 48, 72, 96, 144, 192の三葉結び目をもつ環状高分 子のq/N と緩和率の両対数グラフ. 図(a)は緩和モード解析に基づいて評価した緩和率 λ(1)q , 図(b)は線形化近似法に基づいて評価した緩和率 λ(LA)q を示す. 各セグメント数N では,波数q = 1の緩和率を黒色のシンボルで,波数q > 1の緩和率を白色のシンボル で表している. それぞれの図中では,実線直線はq= 1の緩和率を,破線直線はq=2の 緩和率を,一点鎖線の直線はq= 3の緩和率を,それぞれ線形関数でフィットした結果で ある. それぞれのフィッティングには, N =48∼192の緩和率を用いた.

5.4. 結論 57

(a)

N = 24

(b)

N = 192

【図5.4】: セグメント数 N = 24 (a)と192 (b)の三葉結び目をもつ環状高分子の配座 のスナップショット. 実線と破線の矢印は, それぞれ最長となるN/2セグメントとN/4 セグメントの部分鎖の端点間ベクトルである. それぞれの図では,高分子構造は, 2つの 端点間ベクトルをなす4つの端点セグメントの慣性テンソルの第1主軸と第2主軸の なす平面へ射影している. それぞれの図では, N/2とN/4個のセグメントをもつ部分鎖 が最長となるセグメント対を選んだ.

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