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4. 火山災害における避難指示と想定外リスク

5.5 結言

本章では,災害応急対策における意思決定の正統性を評価するために,災害後に観測される新 聞報道や web 上における発言や記事の内容を分析してマクロ討論領域における討論内容の全体 像を把握するための方法論を提案した.過去に行われた災害応急対策における意思決定プロセス に関する正統性を評価し,今後想定される災害における有効な災害応急対策の立案に資すること を目指して,オントロジーの概念を援用して観測される発言や記事の内容を概念化し,その内容 を体系的に把握した.

まず,危機管理の特徴を述べた上で,これまであまりなされてこなかったマクロ討論分析にお

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いて,人々の要求表現を網羅的に把握することが,社会的意思決定の正統性担保にとって重要で あることを指摘した.次に,災害応急対策の正統性を担保する上で重要となる事前期に対策すべ き事項を発見する方法論を提案した.その際,オントロジーの概念を援用して,対策事項は予測 困難な自然災害に対応できるよう抽象的な概念として発見することができた.さらに,実際の災 害応急対策を事例とし,これまであまりなされてこなかった社会的意思決定の正統性評価を目的 とする定量的なマクロ討論分析を行った.その結果,既往研究の定性的な考察では見えてこなか った問題を発見でき,本章の有効性を示すことができた.討論的代表性の観点からマクロ討論領 域における正統性要件を評価することに成功している.また,社会的意思決定の正統性担保の観 点から,将来起こりうる自然災害に対して,どのような対策事項に関して議論を蓄積すべきかに ついて政策的示唆を与えることができた.

最後に本章の課題を整理する.オントロジーの構築に関しては,まず,データから要望を抽出 する機械処理精度を向上させなければならない.今回,人々の要望を16種類に分類したが,そ の内の10種類しか把握できておらず,肝心の網羅性に関して不十分である.また,今回は得ら れたオントロジーの上位概念をメタ概念として任意に取得しており,より明確な基準が必要であ る.一方,マクロ討論の正統性評価の観点からは,本章の分析は討論的代表性の観点からの評価 にとどまっており,メタ合意の観点からマクロ討論の正当性を評価する手法の開発が求められる.

最後に,本章ではミクロ討論領域である現地対策本部の活動の記録との比較からマクロ討論領域 の正統性を考察した.しかし,実際のミクロ討論,ミクロ-マクロ討論を分析したわけではない ため,より詳細な評価をするためには,これらの討議録が必要である.社会制度の構築過程など の討論過程を討議録として記録・保存することが,極めて重要である.

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6. 水害の避難指示等の意思決定に関する展開