マンションの管理規約は、いわばそのマンションの 憲法です。
マンションの実状に合わせて、区分所有法など法 律の許す範囲で独自に決めることができます。原始 規約(分譲時の最初の管理規約)を20年以上も使い 続けていると、実状に合わない部分がたくさん出て きます。「わたしたちの管理規約」をつくるには、ど んなことに気をつけたらよいのでしょうか。実際に管 理規約や使用細則をつくった事例を紹介します。
事例 管理規約づくりの
いろいろ
話し合って決めました。施工業者を決定する手順、理事会 と修繕委員会の役割、工事監理の必要性、工事記録の整備、
工事金の支払方法などを定めました。
管理規約を使いやすくファイル化
Fマンションは築25年のため居住者の多くが入れ替わって、
その間に何度かの規約改正が行われました。ところが理事 会で調査してみたところ、各区分所有者で手持ちの規約改 正箇所をきちんと修正しているいる人はほとんどなく、それよ りも規約原本を持っている人がきわめて少ないことがわかり ました。このままでは、中古住宅として販売されたり、賃貸化 が進むとトラブルが多発する危険があります。
そこで、新理事会では総会で「規約集改訂版の発行」の 議決を得て、検討委員会を設置して1年がかりで編集作業 を終えました。
目次と索引を設けて使いやすくしたほか、
①管理規約本文 ②管理規約の別表 ③使用細則等 ④各種届出用紙 ⑤管理委託契約書
ごとに、台紙の色を変え、さらに2穴綴じ込みのファイル形式 にして、今後の加除訂正を容易にしました。大変使いやす いと好評で今まで管理規約を読もうとしなかった人も、読ん でくれているようです。
①管理規約改正の方針を決める
改正作業には時間も労力もかかり、またきちんとした改正
をしないと、あとで問題が発生します。まず、理事会が改正 の方針を正式に表明することが第一歩です。
②管理規約改正に取り組むことを広報する
管理組合だよりなどの広報で管理規約の改正作業に着 手することを広報します。これは規約改正作業への関心を 呼び起こすことにつながります。
③管理規約改正のワーキンググループをつくる
大規模修繕の時に修繕委員会をつくるのと同じ考え方で、
小委員会をつくることにより、実際に活動するスタッフを明確 にします。
④ワーキンググループで現在の管理規約で改正すべき点を 洗い出す
現在の規約のあら探しをするつもりで、小さな部分までを 徹底的に点検してみましょう。もちろん、アンケートなどによっ て住民の皆さんから意見を集める方法を併用すると、関心 が高まります。
⑤再点検には、標準管理規約を物差しにする
標準管理規約は国がつくった管理規約のモデルですから、
望ましい管理規約の内容を確かめるには最も確かなお手本 になります。また標準管理規約についての解説書などを参 考にすると理解が深まります。((財)マンション管理センター「マ ンション管理シリーズ・標準管理規約の解説」など)
⑥ワーキンググループで管理規約の改正案をまとめる 標準管理規約の内容をそれぞれのマンションの実状に合 わせて、書き換えや追加をすることによって、改正案ができ ます。十分な時間をかけて取り組みましょう。
⑦理事会で、管理規約改正案の検討をする
⑧管理規約改正案の説明会を開く
総会の前に説明会を開き、十分に質疑応答を重ねてお きましょう。
⑨管理規約の改正案を総会に提案し、3/4の特別決議で 可決する
議事録への署名捺印は議長及び集会に出席した区分 所有者の二人で足ります。
⑩改正された管理規約を全区分所有者に配布し、保管する 原始規約と変更決議した議事録を保管します。実務上は、
変更後の内容を反映した書面に理事長が規約の内容に相 違ない旨を記載して署名捺印したものを保管します。
規約と同時に使用細則を見直す作業も必要になるでしょう。
使用細則で一般的に規定の対象としている事項は、およそ 次のとおりです。
・専有部分の用途制限に関すること ・ペット飼育の制限に関すること
・ピアノなど楽器の演奏時間や夜間のステレオ・テレビ等 の音量制限に関すること
・悪臭や煤煙・漏水等の防止に関すること
・危険物や重量物の搬入の禁止・制限に関すること ・専有部分の増改築の禁止に関すること
・専有部分の模様替えその他各種工事の制限または実 施方法に関すること
その上で、
次のような手順をきちんと踏 めば、専門知識がなくても管 理規約の改正が可能になります。区分所有者は管理組合の一員としてマンションの 維持管理に努め、共同生活から生じるさまざまな問題 を解決する責任があります。
マンションの中で起こるさまざまな問題の答えを出 そうとするときに、最大のよりどころとなるルールが管 理規約です。このことから管理規約は「マンションの 憲法」と呼ばれます。それなのに、マンションを購入し たときに販売会社が作成した「原始規約」を、10年以 上も一度も修正せずに使い続けているマンションが あります。実態とかけ離れてしまい、管理規約なんて 一度も見たことがないという理事の方もいるようです。
理事会で規約を検討するなら、まず、標準管理規 約との比較をしてみることをおすすめします。法律独 特の言い回しに慣れていない私たちでも頭を悩ませ なくてもいいように、要件を整えてくれたのが標準管 理規約です。標準管理規約は建物の区分所有等に 関する法律の定めに沿って、だれにもわかりやすく表 現されています。標準管理規約をそのまま受け入れる マンション管理組合が増加していることがその証明と もいえます。
管理規約づくりのヒント
・塵芥の処理に関すること
・屋上、階段室、廊下、エレベーター、集会室など共用部 分や附属施設の利用方法、あるいはバルコニー、専用庭、
駐車場など専用使用部分の使用方法に関すること ・看板、広告物等の掲示の禁止・制限に関すること
1.マンションの実態にあった管理規約にする
2.管理規約は、専門家がいなくても手順を踏めば必ず改正 できる
3.1年以上の時間をかけてもよいから、じっくりと取り組む 4.改正作業は、ワーキンググループなど専任の委員で取り
組む
5.管理規約と同時に、使用細則の見直しも検討する
管理規約づくりのポイント
PO INT
使用細則モデルの入手方法
一 口 メ モ(財)マンション管理センター・ホームページの「法令」
をクリックすると、中高層共同住宅使用細則モデルが 掲載されています。
・○○マンション使用細則(PDF)
・専有部分の修繕等に関する細則(PDF)
・専用庭使用細則(PDF)
・駐車場使用細則(PDF)
・自転車置場使用細則(PDF)
・集会室使用細則(PDF)
・ペット飼育細則例1(PDF)
・ペット飼育細則例2(PDF)
追加資料98ページから99ページ参照
80戸のマンションで1期・2期の理事長を務めたAさんは、
管理会社が持ってきた第1期の決算書を見て「管理業務委 託費」という一項目だけで年間800万円もの支出があるのに 驚き、管理会社にその内訳を提出するように命じた。
しかし、管理会社は「管理委託契約書の中で、管理委託 業務費は監査の対象外です。ただ、仕様書には業務費の 内訳項目が出ています。」との回答。
さっそく、管理委託契約書・別表の仕様書を見ると、管理 委託費の内訳は事務管理手数料・清掃派遣費・定期清掃費・
建物設備点検費・植栽費・貯水槽清掃費・除雪費・消防設 備点検費・緊急通報システム費・自動ドア保守点検費など が含まれていて、それぞれの契約の内容・期間・金額が明 確になっていない。そこで、再び「第2期は、この内容では契 約更新をしない。内訳を明確にしなさい。」と指示した。
第2期予算書は、除雪費・植栽費は管理組合が契約先を 探し独自に契約することより合計約30万円減額。管理会社 経由で入荷している灯油単価が高すぎるので、管理組合 が灯油販売会社と交渉して単価5円減額し、年間20万円 節約。その他、事務管理手数料・清掃業務費を見直させて 合計200万円ほど支出を減らした。
第3期は各種契約のほとんどを管理会社経由にせず、委 託先と直接契約することにより、さらに年間100万円減額し たほか、管理委託契約を見直して複数の管理会社から見 積書を徴収し比較検討のうえ、管理会社も変更してしまった。
60戸のマンションで、会計担当理事になったBさんは10年 前に監事を引き受けて失敗した時のことを思い出した。監 査のときもそれまで会計監査などしたことがなく、管理会社 の担当者から、「ここと、そこの数字、合ってますね。」「次は、
この書類のここと、預金の残高証明書が一致していますね。」
などと、誘導されて30分で監査を終えて印鑑を押した。しかし、
定期総会の席上、前年度の理事長から「昨年度の繰越金 が100円間違っているから、もし今年度の決算書が正しいと すれば、繰越金が100円違うはずだ。残高証明書と繰越金 が何故一致しているのか。」と指摘されて右往左往した。
10年経った今でも会計担当理事として何をどうしてよいか わからない。
管理組合会計の問題点は標準管理規約のようなモデル がないし、どんなところに気をつけたら良いのかよくわからない。
監査の仕方をどこかで教えてくれるわけでもなく、結局は管 理会社の言いなりでよくわからないまま印鑑を押してしまう のではないか。
Bさんは手元にある15年間の議案書をもとに、15年間の 決算書を1枚にまとめてみた。すると、15年間管理費を一度 も値上げしていない中で、繰越金がどんどん減っていること に気がついた。第1期から第5期まで毎年剰余金を修繕積 立金会計に繰り入れていたのに、その金額が年々減って、6 期からは繰越金として扱うようになり、その金額が最近は少 しずつ減りはじめている。繰り越し金が減るということは、単 年度で赤字ということだ。これまでの定期総会では、管理会 社はいつだって「このマンションの会計は、たいへん健全です。」
と言っていたが、もう、単年度赤字が4年続いていて、このま までは、来年度は管理費の値上げが必要になる。その理由は、
事務管理費や管理員業務費などが、毎年わずかずつなが