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修繕委員会

ドキュメント内 untitled (ページ 43-47)

修設計を設計事務所に外注しようと考えているのだが、Aさ んは、「それは無駄な出費だ。このマンションの現状は建築 士に頼んで見てもらう必要はない。」と言い張ってきかない。

Aさん以外の修繕委員は、理事長に対し、「われわれの意 見はAさんにことごとく否定されてしまう。こんな状況だから こそ、第三者の専門家をコンサルタントとして招こう。」と意

見が一致している。 

 理事長は、見解の分かれた委員会をどのようにまとめようか、

頭を痛めている。 

           

 築12年目、70戸のマンションでは、ようやく大規模修繕へ の準備がはじまった。理事長のBさんは理事会で修繕委員 会の設置をはかり、理事会の諮問機関としての位置づけで、

定期総会で承認を得てから募集を開始したが、思うように は手が上がらない。 

 このマンションには設計事務所に勤務する1級建築士が いると聞いていたので、声をかけたら参加してくれるという。

他にも、配管工事の会社に勤務している人や電気工事士 など、今までの理事長経験者からふさわしいメンバーの情報 を聞いて、ひとりずつ説得して歩き、6人の承諾を得た。 

 初会合に先立ち、Bさんは建築士のCさんに建築診断・改 修設計・工事監理の仕事をお願いできないかと相談したら、「皆 さんがボランティアでマンションのために汗を流しているときに、

業務としてそういう仕事を引き受けてしまうと、どんなに頑張 って仕事をしても報酬を得ることに対しいろいろなことを言う

修繕委員会 

 修繕委員会(専門委員会)は、どういう人たちで構 成し、具体的にどんなことを話しあったり、調べたり するのでしょうか。実際に修繕委員会を作って活動し ている事例を見ながら考えてみましょう。 

事例1

施工会社の役員が修繕委員になって  生じたトラブル 

事例2

縁の下の力持ちになった 

マンション内の建築関係者 

人が出てくる。あとでそういうトラブルになると思うから、この マンションとは業務では関わりたくない。あくまで修繕委員会 のメンバーとして参加し、できるだけ支援したい。」との考え。 

 BさんはCさんの考えはもっともなことだと考え、Bさんに何 でも頼もうとしていた自分の浅はかさを反省し、Cさんにはア ドバイスをもらうだけにとどめるなど表にあまり出ない形にしよ うと思った。 

 Bさんはさっそく修繕工事実施までのスケジュール表の作 成をCさんに依頼したところ、着工まで1年半という概略スケ ジュールが提案され、委員会で無理のない計画だと判断し、

それに基づいて資金計画の検討に入ることができた。 

 その後の修繕委員会でも、Cさんは目立って活躍するよう な印象は少ないながら要所で専門家らしい判断を示した。

特に診断を担当する外部の設計事務所が決まってからは、

専門的なことをわかりやすく「通訳」する仕事に徹して、理 事会・修繕委員会と設計事務所の橋渡しの役割を負った。 

 無事に大規模修繕が終わったとき、BさんはCさんに感謝 の言葉を掛けたところ「外部の専門家に依頼してものごと が進んだので、注文をつけるだけでよかったから精神的に 楽でした。こういう形でもお役に立てることがわかって嬉し いです。やはり、マンションに住んでいる人が、業務として大 規模修繕に関わるのはたいへん難しいと感じました。」とい う感想を述べた。 

 Bさんはマンション内部の専門家に過大な働きを期待す るのでなく、あくまで意見を聞くだけにとどめたことが、Cさん

の能力を引き出すことに成功した原因だと思った。 

           

 築9年目、25戸のマンションでは、D理事長以下4人の理 事が揃ってマンション管理セミナーに参加し、大規模修繕の 進め方について学んだあと話し合った。自分たちのマンショ ンは人数が少ないから、推薦制で理事を決めるのでさえ大

変な状態だ。乗りかかった船ではないか、大規模修繕が終 わるまで修繕委員兼務という形で全員理事を継続しようと 合意した。 

 定期総会で大規模修繕の方針、スケジュール、予算の大 枠について承認を得てから、Dさんたちは最初に「自分たち のマンションを知るための見学ツアー」を計画して住民への 参加を呼びかけた。 

 「私達の目で修繕が必要な個所を見つけましょう。自分 の財産の価値を保つために、自分の目で状態を確かめまし ょう。それくらいの汗を流してみませんか。」 

 マンション見学会は「5月中旬の日曜日午前10時に管理 員室前集合」としたところ、約半数の12世帯が集まった。管 理会社の職員が説明しながら、一度も目にしたことがない地 下の受水槽室や屋上のエレベーター機械室をはじめ、あま り通ったことのない屋外鉄骨階段も上から下まで歩いてみた。

ほとんどの人は、はじめて屋上に上ってみたが、思いのほか

景色が素晴らしいことを知り、さわやかな風に笑顔があふれた。 

 見学会のあと、昼食を食べながらの懇親会でDさんは参 加者から感想を求めた。 

 ・地下の受水槽室は湿気が多くて鉄骨も錆がひどいが 放って置いてよいのか 

 ・外部の鉄骨階段もよく見るとかなり錆が出ている   ・あちこちでタイルが割れている 

 ・屋上の防水がしわしわになって、大きな膨れもあるが 大丈夫か 

 そうした疑問に対して、Dさんはこう答えた。 

 「私たちのマンションには、建築関係の専門家はいません。

でも、全員が理事の経験者ですから、これから大規模修繕 をどうやって進めていくのか、大変な労力が必要だというこ とだけはわかっていただけると思います。外部の専門家の 力を借りないと進めていけないと思います。皆さんが今日マ ンションをご覧になって、疑問に思ったことをきちんと説明し てくれる専門家を探したいと思います。このマンションは規 模が小さいのですから、全員で大規模修繕に取り組みまし ょう。皆さん、力を貸してください。」 

 集まった人たちが笑顔でうなずくのを見て、Dさんはこれ からの難題を乗り切っていく自信が湧いてきた。 

                                         

 事例1では、理事会で修繕委員会の設置を決めたようで すが、委員会の位置づけや仕事の中身を明確にしておか ないと、トラブルが起きることがあります。 

 建築業界の事情に詳しいと自称するAさんが修繕委員 会での発言を通して、他の委員から反発を買っていますが、

Aさんの発言の一部に利益誘導の匂いが感じられるからで しょう。理事長は修繕委員会に倫理性・公平性を求めてい ますから、ひとりの意見に振り回されるようですと、委員会の

継続が難しくなります。 

 「ウチのマンションには建築に詳しい人がいないから、修

このメン バーを 

「修繕委員会」とか「専門委員会」と呼びます。 

成功への糸口 

 大規模修繕という大事業に取り組むための最初の ステップは、修繕委員会を立ち上げることです。マン ションの規模や理事会の構成によっては、あらたまっ て「修繕委員会」という名称を付けずに、理事会がそ の役割を負っている例も少なくありません。 

 しかし、大規模修繕の準備に取り組んでから、工事 を完了するまで2〜3年を要することが多いので、単 年度で顔ぶれが入れ替わる理事会の場合は話が毎 年振り出しに戻ってしまいます。そこで、検討を開始し てから工事を完了するまで、固定したメンバーで継続 的に事業を進めていくスタッフがいたほうが管理組合 としては安心です。 

事例3

マンション住民に呼び掛けて、 

マンション見学会を開催 

繕委員会を作れない。」ということを耳にしますが、事例の ように、業界の情報を振りかざすAさんのような人がメンバ ーに入っていると、当初の目論見がはずれて修繕委員会の 足並みが揃わなくなることがあります。公募してから理事会 で審査してメンバーを決めるというやりかたが多いようですが、

人選には十分に注意が必要です。 

 事例の中で、理事長が述べているように、「工事に関わり たいという意向があるなら、修繕委員を引き受けるべきでない。」

という考え方は重要です。こういうことをあいまいにしている ために、修繕委員会の中で意見が対立するケースもあるよう です。言い換えれば、「審査される立場」の人が、「審査す る立場」を兼務することはできないということを明確にしてお くことでトラブルを予防することができます。 

 

 事例2では、修繕委員会の設置を総会で承認を得て進 めています。公募では思うように集まらないので、理事長経 験者からメンバーを推薦してもらったという方法は、これから 修繕委員会を立ち上げる予定の管理組合には参考になる でしょう。 

 ここでは、自分の住むマンションでは業務を引き受けたく ないと考える専門家のCさんの働きぶりが光っています。 

 マンション居住者の中に専門家がいると、当初のB理事 長のように、なんでもその人に頼んでしまいたいという、過大 な期待をしがちです。しかし、退職された方は別として、大 規模修繕に関わる専門的な領域の仕事は片手間ではでき ませんから、当然、業務として携わることになります。すると、

そこに住んでいるだけに、何が起きても呼び出されることに なり、24時間休日なしで仕事をするような感覚になりかねま せん。マンションに専門家が住んでいるのに、協力が得られ ないという場合はこのようなことが重荷になっている場合が あります。何を相談したいのか、問題点を絞り込んでからアド バイスをもらうようにすると、相談に乗ってもらえる可能性が 高まります。 

 Cさんの場合は、マンション管理組合のなかで専門分野 の知識を発揮して貰えるように、本人が働きやすい役割をう まく与えられたために、外部の専門家との連携でも相乗効

果を発揮して、マンションにとって最も効果的に専門家の力 を活用できたといえるでしょう。 

 事例1と事例2を参考に、修繕委員会を作るときに、マンシ ョン内に住む専門家には、どんな働きをしてもらいたいのか、

ということを理事会でよく考えてみるとよいでしょう。 

 

 事例3は、小規模なマンションだけに、役員の人材も不足 しており、修繕委員会を理事会が兼務して取り組んでいる

例です。 

 専門家がいないぶんだけ、「自分たちの力を合わせて取 り組もう」としている姿勢が伝わってきます。 

 事例にあるような、マンション見学会は、大規模修繕に対 する意識を高揚するためにも、とくに小規模なマンションには、

ぜひともおすすめしたい行事です。大規模なマンションでは、

同じことを修繕委員会で実施し、その様子をビデオで撮影して、

集会の時に披露するなどの工夫をして、ひとりでも多くの組

合員に、ふだん見えない「保全の必要な個所」「痛み具合」

を知ってもらうことです。 

 また、屋上や外壁の痛み具合、汚れ具合などについて共 通の認識があると、これからの大規模修繕の話し合いが円 滑に進みます。 

 

 理事会で、そろそろ大規模修繕の準備を始めなければと いう話がまずあって、それでは修繕委員会を設置しようかと いう順序で次に進めばよいのですが、面倒だからと先送りし てしまう理事会も見受けられます。 

 修繕委員会を立ち上げるにも、意欲と問題意識を持った 理事が率先して活動し、大規模修繕工事は自分たちの財 産を守ることだと、ほかの人も説得できるような準備をしなけ れば、委員会は「絵に描いた餅」になりかねません。そのた めには、セミナーに参加するなど、初期の情報集めにできる だけの時間と努力を傾けることが必要です。大規模修繕工 事の準備は説得活動だと割り切って、時間をかけて進めて ください。 

 

 以下、修繕委員会の設置時のポイントをまとめておきます。 

 ・修繕委員会の名称はマンションの実情に合わせて変 えてもかまわない 

 ・修繕委員会は大規模修繕工事のための臨時の組織 である 

 ・修繕委員会は理事会の下部組織であり決定権限がな い諮問機関である 

 ・人数はマンションの規模によるが、100戸以下なら3〜10 名程度が適当である 

 ・総務、法規、技術、資金、広報など広範囲の仕事があ るので、技術の専門家にはこだわらない 

 ・必要な人材は説得力のあるまとめ役である   ・修繕委員会のリーダーを必ず決める 

 ・委員会のメンバーを組合員に公表して運営はガラス張 りにする 

 

 つぎに、修繕委員会の運営方法に関して、ポイントをまと めておきます。 

1.理事会との関係を密にする 

 何を検討して、どこまで進んでいるか、問題点は何かなど、

理事会が知らないままでまかせっきりでは、かえってトラブル を産みます。理事のうち何人かが修繕委員を兼務するのは、

その点では望ましいことです。 

2.修繕委員会の検討記録をきちんと残す 

 継続して検討するためには、検討経過の記録を必ず残し ておくことが必要です。理事会への報告にも使えますし、専 門委員会の検討経過を広報することも大切です。 

3.外部関係者との接触は必ず複数で行う 

 施工会社や設計事務所など外部関係者との接触が必 要な場合、つねにふたりで会うことと記録を取ることを心が けるべきです。マンション内で無用の誤解やトラブルを避け るための配慮です。 

4.検討のために必要な費用を管理組合で予算化しておく 

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