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研究方法

ドキュメント内 図 の 目 次 (ページ 46-54)

9-2 調査項目と操作的定義

第II章で分析に用いた,2007年調査の調査項目は,性と年齢*19の基本属 性,社会経済的要因として教育歴と収入,主観的指標として幸福感,生活満足 感,主観的健康感である.

主観的幸福感の設問*20は,「全体的にいうと,現在,あなたは幸せだと思い ますか」とした.回答は,1「非常に幸せ」,2「やや幸せ」,3「あまり幸せで はない」,4「全く幸せではない」の4選択肢からひとつを選択してもらった.

分析には選択肢番号を反転して用いた.

主観的健康感の設問*21は,「あなたは,普段ご自分で健康だと思いますか」

とした.回答は,1「とても健康である」,2「まあまあ健康である」,3「あま り健康ではない」,4「健康でない」の4選択肢からひとつを選択してもらっ た.分析には選択肢番号を反転して用いた

生活満足感の設問*22は,「全体的にいうと,あなたは現在の生活に満足して いますか」とした.回答は,1「はい」,2「いいえ」,3「どちらともいえない」, の3選択肢からひとつを選択してもらった.分析には,1「いいえ」,2「どち らともいえない」,3「はい」として用いた.

教育歴の設問 *23は,「最後に卒業した学校はどちらですか」とした.回答 は,1「小学校」,2「中学校」,3「高等学校」,4「大学・大学院」,5「その 他」,6「答えたくない」の6選択肢からひとつを選択してもらった.「5その 他」,「6答えたくない」の回答は,欠損値として分析から除外した.

収入の設問は,「昨年度の世帯全体の収入はいくらでしたか.年金などを含 めてお答えください」と質問し,回答は,(     )万円 の括弧に数字を 記入してもらう方式とした.分析に当たっては,世帯収入*24を世帯人数*25

*1911)年齢(2)性別

*207幸福感

*214主観的健康感

*226生活満足感

*2358教育歴

*2454世帯収入

*2553生計を共にする世帯人数(問48同居家族 の項目とあわせて確認・修正)

平方根で除する等価収入*26を用い,日本版総合的社会調査(JGSS)139) を参 考にして,1「100万円未満」,2「100〜200万円未満」,3「200〜300万円未 満」,4「300〜400万円未満」,5「400〜500万円未満」,6「500〜600万円未 満」,7「600〜700万円未満」,8「700〜800万円未満」,9「800〜900万円未 満」,10「900〜1,000万円未満」,11「1,000〜1,200万円未満」,12「1,200〜 1,400万円未満」,13「1,400〜1,600万円未満」,14「1,600〜1,850万円未満」, 15「1,850〜2,300万円未満」,16「2,300万円以上」のカテゴリを用いた.

第III章で用いた2004年の調査項目は,健康関連指標として生活満足感,主 観的健康感,ADL,外出頻度,および,教育歴,性別を用いた.収入は2001年 の調査項目を用いた.生存日数は,2004年から3年間の追跡調査結果である.

教育歴*27は,1「尋常小学校」,2「旧制高等小学校」,3「実業学校」,4「旧制 中(女)学校」,5「旧制専門学校」,6「新制小学校」,7「新制中学校」,8「新制 高等学校」,9「専門学校」,10「短期大学」,11「大学(旧制も含む)」,12「大 学院」,13「その他」,14「学校にはいかなかった」,15「答えたくない」,の15 件の選択肢として2004年に調査した.分析では,1「中学校まで」,2「高等学 校まで」,3「専門学校・短期大学・大学」の3群に再分類した.再分類のカテ ゴリは,1「尋常小学校」,2「旧制高等小学校」,6「新制小学校」,7「新制中学 校」,14「学校にはいかなかった」,を1「中学校まで」,3「実業学校」,4「旧 制中(女)学校」,8「新制高等学校」,を 2「高等学校まで」,5「旧制専門学 校」,9「専門学校」,10「短期大学」,11「大学(旧制も含む)」,12「大学院」, を3「専門学校・短期大学・大学」の3群である.13「その他」,15「答えたく ない」を欠損値とした.

収入は,2001年調査の設問*28「去年1年間のあなた方(ご夫婦の合計)の 収入はどのくらいでしたか(年金や仕送りも含めます)」を用いた.回答は,1

*26世帯収入を家族数や構成の違いを考慮して,どの世帯の収入にも比較できるように以下の ように調整した“square root scale”を用いた.等価収入= 世帯収入

生計を共にする世帯人数.この他に,

単純に世帯員数で除する方法,世帯主を1,世帯主以外の大人を0.7,子供を0.5で換算し,

その合計で除する方法(OECD equivalence scale, “Oxford scale”, “old OECD scale”,世帯 主を1,世帯主以外の大人1人を0.5,子供1人を0.3で換算し,その合計で除する方法

OECD-modified scale)などがある.

*272004年 問11-11教育歴

*282001年 問11-4収入

「なし」,2「100万円未満」,3「100〜200万円未満」,4「200〜300万円未満」, 5「300〜400万円未満」,6「400〜500万円未満」,7「500〜700万円未満」,8

「700〜800万円未満」,9「800〜900万円未満」,10「900〜1000万円未満」,11

「1000万円以上」,12「答えたくない」の12件から選択してもらった.分析に は,1「100万円未満」,2「100万円から300万円未満」,3「300から700万 円未満」,4「700万円以上」に再分類して用いた.

健康関連指標の項目は,2004年調査のデータを用いた.生活満足感の設問

*29は,「現在の生活に満足していますか」とした.回答は,1「はい」,2「い いえ」,3「どちらともいえない」,の3選択肢からひとつを選択してもらった.

分析には,1「いいえ」,2「どちらともいえない」,3「はい」として用いた.

主観的健康感の設問*30は「ご自分で健康だと思いますか」とした.回答は,

1「健康である」,2「まあまあ健康である」,3「あまり健康ではない」,4「健 康でない」の4選択肢からひとつを選択してもらった.分析には選択肢番号を 反転して用いた.

ADLの設問は,Katzら140) の指標を参考に,「自分でトイレに行けますか」

*31,「自分でお風呂に入れますか」*32,「続けて1キロぐらい歩くことができ ますか」*33の3つの設問を用いた.各設問の選択肢,1「はい」,0「いいえ」, を合計して3から0のADL得点とした.

外出頻度の設問*34は「外出回数(隣近所を含む)は,どのくらいですか」と した.回答は,1「ほぼ毎日」,から,5「月1回以下」,の5選択肢とした.分 析には,1「月に1回以下」,2「月に1回以上」,3「週3〜4回以上」に再分類 して用いた.

*292004年 問9-3生活満足感

*302004年 問9-1主観的健康感

*312004年 問6-4 ADL(トイレ)

*322004年 問6-5 ADL(風呂)

*332004年 問6-10 ADL(歩行)

*342004年 問11-4外出頻度

9-3 媒介分析

媒介過程の検討には,Baron & Kenny141)による媒介分析(mediation analysis) の方法を用いてモデル構成の参考とした.媒介変数の効果を含む最も単純なモ デルは,独立変数,従属変数,媒介変数の3変数から成る(図I.10).

媒介変数が効果を持つと結論づけるための三つの条件が,以下のように示さ

れている141–146).本研究では,2.(パスb)と3.(パスc)について,重回帰

分析およびCox比例ハザード分析を用いた.1.(パスa)についは,共分散構 造分析を用いて確認した.

1. 独立変数の変動が想定される媒介変数の変動を有意に説明する (パス a).

2. 媒介変数の変動が従属変数の変動を有意に説明する(パスb).

3. 独立変数が従属変数に及ぼす有意な効果(パスc)が,パスbを統制した 時には有意でなくなる.もし,この時点でパスcの効果が0になれば,

媒介変数による説明力は最大になると考えられる(完全媒介).逆にこ の時点でパスcの効果がある場合,検討された媒介変数以外の効果の存 在が推測されることになる(部分媒介).

媒介変数

(b)間接効果

((Q

QQ QQ QQ QQ QQ QQ 独立変数

(a)媒介変数への効果  mmmmmmmmmmmmm66

(c)直接効果

// 従属変数

I.10 媒介分析の基本モデル(Baron & Kenny, 1986

媒介変数が複数のモデルは,媒介変数間に関連がないモデルと媒介変数間に 関連があるモデルがある.媒介変数間に関連がないモデルには,MacKinnon135)

らのTwo mediator model(図I.11),Preacherら136) のA Single-Step Multiple Mediator Modelなどがある.媒介変数間に関連があるモデルには,Fletcher137) のDistal mediation models,Taylorら138) のThree-path mediated effect model

(図I.12)など*35がある.

M1

b1

&&

MM MM MM MM MM MM M

X

a2

&&

MM MM MM MM MM MM M

a1

88q

qq qq qq qq qq qq

c

// Y

M2

b2

88q

qq qq qq qq qq qq

X: Independent variable, M1: Mediator, M2: Mediator, Y: Dependent variable

I.11 Two mediator model (MacKinnon, 2008)

M1 β2 //

β6

++V

VV VV VV VV VV VV VV VV VV VV VV VV VV

V M2

β3

&&

MM MM MM MM MM MM M

X

β1

88q

qq qq qq qq qq

qq β5

44h

hh hh hh hh hh hh hh hh hh hh hh hh hh h

β4

// Y

X: Independent variable, M1: Mediator, M2: Mediator, Y: Dependent variable

I.12 Three-path mediated effect modelTaylor & Tein, 2008

*35Fletcher137)の モデルとTaylor138)のモデルは,名称が異なっているが同一のモデルで

ある.

標準化直接効果と標準化間接効果(媒介効果)の推定値と信頼区間

媒介分析の結果を参考に仮説モデル(図I.7,図I.8(p.33))を設定し,共分 散構造分析を行った.共分散構造分析では,標準化直接効果と標準化間接効 果(媒介効果)の推定値と信頼区間はブートストラップ法によるバイアス修

正済の値147–150) を用いた(第II章図II.6,表II.10(p.66),図II.9,表II.17

(p.76),図II.13,表II.30(p.97),第III章図III.3,表III.7(p.117),図III.5, 表III.13(p.126),図III.7,表III.23(p.141)).

標準化直接効果と標準化間接効果(媒介効果)の差の検定は95%信頼区間 を用いた.

9-4 倫理規定

2004年調査の個人情報とプライバシー保護については,東京都立大学とA 市が協定書を結び,公務員としての守秘義務を確認するとともに,大学側で扱 う個人情報は個人が特定できないIDとした.個人を識別できる個人情報は関 与していない.

2007年調査の個人情報とプライバシー保護については,2007年8月にA市 と協定書を結び,公務員としての守秘義務を確認するとともに,大学側で扱う 個人情報は個人が特定できないIDとした.また,首都大学東京都市システム 科学専攻倫理委員会の承諾(2007年9月20日)を得て実施した.

第 10 節 論文構成

本論文は,以下のIV章から構成される.

第I章 序論

第II章 都市在宅高齢者における社会経済的要因と幸福感・生活満足 感・主観的健康感の共分散構造分析

第III章 都市在宅高齢者における社会経済的要因および健康関連指標 とその後の生存日数の共分散構造分析

第IV章 まとめ

第I章では,“社会経済的要因”(“ ”は潜在変数を示す)である『等価収入』

(『 』は観測変数を示す)および『教育歴』と,主観的指標である『幸福感』

『生活満足感』『主観的健康感』および『生存日数』との関連を明確にする必要 性と学術的背景について述べた.また,研究意義,研究目的,研究方法,調査 方法,論文構成についても本章で言及した.

第II章では,都市在宅高齢者を対象として,“社会経済的要因”と,主観的 指標である『幸福感』『生活満足感』『主観的健康感』との関連を,重回帰分析,

共分散構造分析を用いて明らかにした.

第III章では,都市在宅高齢者の追跡調査データを用いた.共分散構造分析,

Cox比例ハザード分析および重回帰分析を用いて,“社会経済的要因”および,

“健康関連指標”である『生活満足感』『主観的健康感』『ADL』『外出頻度』と

『生存日数』との因果関係を検討した.

第IV章では,本論文の全体的な結論として,『生存日数』やSWBを支える

“社会経済的要因”の意義を述べた.また,本論文の研究成果をふまえて,今後 の研究課題を考察した.

ドキュメント内 図 の 目 次 (ページ 46-54)