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対象と方法

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第 II 章

第 2 節 対象と方法

2-1 対象と調査項目

調査対象者は,平成19年10月1日時点に都市部A市に住んでいる65歳以 上の在宅市民25,316人とした.調査方法は,平成 19年10月2日から19日 に調査票を郵送し,記入後に郵送により15,428人(回収率60.9%)の調査票 を回収した.

そのうち,下記の質問項目に欠損のない65〜84歳の男女4,920人*1(男性 3,064 人,平均年齢71.4歳,SD=±4.95,女性 1,856人,平均年齢71.4 歳,

SD=±4.94)*2を抽出し分析に用いた.分析に用いたデータは全体の19.4%(有 効回答率)であった.分析に用いた調査項目は,性と年齢の基本属性,社会経 済的要因として教育歴と収入,主観的指標として幸福感,生活満足感,主観的 健康感である.

主観的幸福感の設問*3は,「全体的にいうと,現在,あなたは幸せだと思い ますか」とした.回答は,1「非常に幸せ」,2「やや幸せ」,3「あまり幸せで はない」,4「全く幸せではない」の4選択肢からひとつを選択してもらった.

分析には選択肢番号を反転して用いた.

主観的健康感の設問*4は,「あなたは,普段ご自分で健康だと思いますか」

とした.回答は,1「とても健康である」,2「まあまあ健康である」,3「あま り健康ではない」,4「健康でない」の4選択肢からひとつを選択してもらっ た.分析には選択肢番号を反転して用いた

生活満足感の設問*5は,「全体的にいうと,あなたは現在の生活に満足して いますか」とした.回答は,1「はい」,2「いいえ」,3「どちらともいえない」,

*111)年齢(2)性別

*2調査票の回収は,男性7,130人(46.9%,女性8,064人(53.1%)であったが,問54世帯 収入の回答が,男性3,509人(回答率49.2%,女性2,397人(回答率29.7%)と低かった.

このため,論文の分析に用いた全ての変数に欠損のない対象者数が,男性3,064人,女性

1,856人となった.

*37幸福感

*44主観的健康感

*56生活満足感

の3選択肢からひとつを選択してもらった.分析には,1「いいえ」,2「どち らともいえない」,3「はい」として用いた.

教育歴の設問*6は,「最後に卒業した学校はどちらですか」とした.回答は,

1「小学校」,2「中学校」,3「高等学校」,4「大学・大学院」,5「その他」, 6「答えたくない」の6選択肢からひとつを選択してもらった.「5その他」,

「6答えたくない」の回答は,欠損値として分析から除外した.

収入の設問は,「昨年度の世帯全体の収入はいくらでしたか.年金などを含 めてお答えください」と質問し,回答は,(     )万円 の括弧に数字を 記入してもらう方式とした.分析に当たっては,世帯収入*7を世帯人数*8の平 方根で除する等価収入*9を用い,日本版総合的社会調査(JGSS)139)を参考に して,1「100万円未満」,2「100〜200万円未満」,3「200〜300万円未満」, 4「300〜400万円未満」,5「400〜500万円未満」,6「500〜600万円未満」, 7「600〜700万円未満」,8「700〜800万円未満」,9「800〜900万円未満」, 10「900〜1,000万円未満」,11「1,000〜1,200万円未満」,12「1,200〜1,400 万円未満」,13「1,400〜1,600万円未満」,14「1,600〜1,850 万円未満」,15

「1,850〜2,300万円未満」,16「2,300万円以上」のカテゴリを用いた.

*658教育歴

*754世帯収入

*853生計を共にする世帯人数

*9等価収入= 世帯収入

生計を共にする世帯人数

2-2 分析方法

先 行研 究 44, 75, 134) と 重回 帰 分析 によ る 媒介 分 析の 結 果を 参考 に モデ ル を設定(図II.1)し,共分散構造分析を行った.NFI (Normed Fit Index),CFI (Comparative Fit Index),GFI (Goodness of Fit Index),AGFI (Adjusted Goodness of Fit Index),AIC(Akaike’s Information Criterion,赤池情報量基準),RMSEA (Root Mean Square Error of Approximation),χ2値の適合度指標によりモデル を修正しながら適合度の高いモデルを採用した.モデルの適合度を確認した 後,男性と女性の2群,男性と女性(年齢を投入)の2群,性別・同居家族の 有無別4群を同時分析し,標準化直接効果,標準化間接効果,標準化総合効果 を比較した.標準化間接効果の信頼区間はブートストラップ法 149, 150) による バイアス修正済の値を用いた.*10 パス係数の統計的有意性は,5%有意水準と し,検定統計量(Critical ratio,以下C. R.と略)の絶対値が1.96以上とした.

データの集計,分析には統計パッケージSPSS11.5 for WindowsとAMOS5.0 for Windowsを用いた.

個人情報とプライバシー保護については,2007年8月にA市と協定書を結 び,公務員としての守秘義務を確認するとともに,大学側で扱う個人情報は個 人が特定できないIDとした.また,首都大学東京都市システム科学専攻倫理 委員会の承諾(2007年9月20日)を得て実施した.

*10ブートストラップ法を用いて算出した標準誤差は,大標本下ではデルタ法(Sobel test)と あまり変わらないことが知られている150, 158)

デルタ法(Sobel test)は,間接効果αβ の標準誤差sαˆβˆ を,

   sαˆβˆ=

αˆ2s2βˆ+βˆ2s2αˆ+s2αˆs2βˆ

によって求める.sαˆ sβˆはパス係数αa:媒介変数への効果)とβb:間接効果)の標 準誤差である(図I.10150).大標本下ではs2αˆs2ˆ

β は非常に小さい値となるので,実際の計 算の際には省略されることが多い.その他の変法もある147)

II.1 仮説モデル:社会経済的要因と『幸福感』『生活満足感』『主観的健康感』

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