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研究4 他者よりも優れていることの喜びと苦痛:親密な友人、知人、

第4章  親密な友人関係における自己評価維持と関係性維持:

第2節  研究4 他者よりも優れていることの喜びと苦痛:親密な友人、知人、

好ましくない他者との比較

(1)問題と目的

 本研究では、研究3で挙げられた3つの問題点を改善し、再度検討することである。本 研究では、(1)他者よりも優れている状況に関するシナリオを用いることで状況の刺激を 統制し、(2)具体的な他者として、親密な友人、知人、好ましくない他者に特定し、その 他者に対する感情内容を比較する実験的デザインを用いて検討を行うr(3)また、感情内 容の項日については、研究3で示唆された感情内容に沿って、それぞれの項目を追加して 検討を力う.

(2)方法 1)実験計画

他者関’元度(高vs.低)x比較他者(親密な友人vs.知人vs.好ましくない他者)の2

×3の被験者間要因計画であった.

2)実験参加者

 都内大学生239名を対象に質問紙実験を行った.そのうち分析に必要な項目に回答して いない21名を除いた218名(男性98名、女性120名.平均年齢19.50歳、SD=1.61)

を分析の対象とした。

3)実施時期

 本調査は、2010年6月中旬に実施したr

4)実験手続き

 個別自記人形式ソ)質問紙実験形式で実施した。講義時間の一部を利用し、集合調査形式 で実施した。実施時間は約20分であったc

5)質問紙構成  1.対象人物の選定

 「現在最も親しいと思う同性の友人」(親密な友人)、「大学の同級生の中であまり親し くはないが、会話をする程度の同性の人」(知人)、「大学の同級生の中で顔見知り程度の人 で、あまり 緒にいたくないと思う同性の人」(好ましくない他者)のいずれかを1人挙げ、

その人物のイニシャルを記入するように求めたt以降の質問にはここでイニシャルを記入 した対象人物について回答するように教示した。また、回答者が「好ましくない他者」の イニシャルを記人しづらいという可能性やそれに伴う倫理的問題に対処するため、rイニシ

vノレを記人したくない場合には、無理に記入しなくてもよいこと、また、その場合には、

イニシYルを記入したっもりで以降の質問に回答すること」という旨を教示した。

 r親密な友人」、’知人」、r好ましくない他者」のいずれかに回答するかは、被験者間要 因としてランダムに割り当てた.この質問項目により、「親密な友人」、「知人」、r好ましく ない他者1のいずれかを対象人物とするように振り分けられた.

 2.シナリオの提示

 対象ノ\物と資格試験を受けた状況のシナリオを提示した。シナリオは、t自己にとって 重要なある資格試験を自己と対象人物が受ける状況」に関するものであり、その試験の結 果が’ホ象人物よりも自己の方が優れていた」という内容で構成されていた。また、この

シナリオにおいて、対象人物の資格試験に対する関与度(他者関与度)が操作された.他 者関与度高条件と低条件の2種類があり、そのいずれかを被験者間要因としてランダムに 提示したc提示したシナリオは、図4・2に示す。

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あなたと『○○さん』※1は、ある資格を取得するために試験を受けました。

その資格を取得するためには、2つの試験で良い点数を取ることが条件であり、

今回は1つ目の試験を受けることになっていました。

あなたにとって、その資格は自分の将来に関係しているものだったので、

あなたは、その資格を取ることをとても重要だと思っていました。

『○○さん』にとっても、その資格は自分の将来に関係しているものだったので、

『○○さんも、あなたと同じくらいその資格を取ることをとても重要だと思っていました。※2 一週間後、1つ目の試験の結果が通知されました。

あなたは『○○さん』と、その試験の結果をお互いに見せ合うことになりました。

あなたの結果はとても良い点数でしたが、

『○○さん』の結果はあまり良い点数ではありませんでした。

※1.『⊂)○さん』と記述された箇所は、イニシャルを記入した対象人物であることを教示し

※2 卜線の箇所か、他者関与度条件として操作された。他者関与度低条件では、’『○○さん』

にとって、その資格は自分の将来にそれほど関係しているものではなく、『○○さん』は、あ なたほどその資格を取ることを重要だとは思っていませんでした。」と記述された、

図4・2 研究4において提示されたシナリオ(他者関与度高条件)

 3.自己の感情反応

 シナリオの状況において自分の方が優れていたことに対して、自分自身がどのように感 じると思うかを16項115件法(「1.あてはまらない」~’5.あてはまる」)で評定さ せた.項目は、研究3で用いられた自己のポジティブ感情、ネガティブ感情の10項目に 新たに白己のポジティブ感情3項目(「相手よりも優れていたことについて優越感を感じ る口、「相fも喜んでくれると嬉しく感じる。」、「相手も誇らしく感じていると嬉しく感じ る。」)と自己のネガティブ感情3項目(「相手が私に脅威を感じているのではないかと不安 に感じる。」、[相千から妬まれるのではないかと不安に感じる。」、’相手が苦痛を感じてい るσ)ではないかと不安に感じる。」)とを加えた計16項目で構成された。

 4.他者の感情反応推測

 シナリオの状況において自分の方が優れていたことに対して、他者はどのように感じて いたと思うかを5件法W].あてはまらない」~「5.あてはまる」)で評定させた。項

目は、研究3で州いられた他者のポジティブ感情推測、ネガティブ感情推測の10項目に、

新たに他者のポジティブ感情推測2項目(「嬉しさを感じるc」、「心地よさを感じるr.」)と 他者のネカティブ感情推測2項目(「不愉快に感じるr.」、「悔しさを感じる。」)を加えた計

14項目で構成された.

 5.他者との親密度

 想起した状況の他者とどのような関係であるかについて、10項目5件法で評定させた,

∫n目は、研究3で用いられたものと同じ項目で構成された(e.g.,’協力的な関係」、親密 な関係」、「誠実な関係」)-

 6、シナリオの想像度

 提示したシナリオの状況についてどのくらい良く想像できたかにっいて、r1.全く思 い出せなかった」~’5,とても良く思い出せた」までの5件法で評定させた。

※ 研究3と同様に、本研究の質問紙は、順序効果を考慮し、F3.目己の感情反応」、F4.

他者の感情推測」、「5.他者との親密度」の質問項目の順序を調査対象者間で変更した,

具体的には、e3.自己の感情反応」と「4.他者の感情推測」の順序を逆にしたもの、 F5.

他者との親密度」の質問順序を「1.対象人物の選定」の後に入れたものを組み合わせた 4種類(他者関与度の操作を含めて8種類)の質問紙を調査対象者間でランダムに配布し た.回答の際には、最初の質問項目から順番に回答するように調査対象者に教示した。

(3)結果

1)他者との親密度

 他者との親密度の10項目にっいて、主成分分析を行った.研究3と同様に、共通性の 低い1項目(「競争的な関係」)を除外した9項目の第1主成分が抽出された(α=.93)。項

Mは、「協調的な関係」、「親密な関係」、「友好的な関係」、r幸福な関係」、「心地よい関係」、

「誠実な関係1、「信頼した関係」、「敵視した関係」(逆転項目)、「衝突の多い関係」(逆転 項目)であった。これらの項目を平均化し、「親密度」としたt対象人物で親密度に差がみ

られるかを検討するために「親密度」を従属変数とした対象ノ\物(親密な友人VS.知人VS.

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好kしくない他者)×他者関与度(商vs.低)の2要因被験者間計画の分散分析を行ったr.

その結果、対象人物のi-1効果が有意であった(.F(2,212)=111.50, P<.001,partial l12=.51)。

多rE比較(B〔}nferroni)の結果、全ての水準で有意差が示され、親密な友人(Mニ4.13, SD

=O.72)、知人(M=3.14,SI)=O.72)、好ましくない他者(M=2.30, SD=O.75)の順で、

親密度が高いことが示された(ps<.001, ds=1.16~2.52).他者関与度の主効果および対 象人物×他者関1ノ度の交fl二作用効果は有意ではなかった(Fs<1.13, ns.,partial n2<.01).

これらの結果から、対象人物が適切に認識されていたと解釈されたc

2)シナリオの想像度

 シナリオの想像度の’γ均値は、3.64(SD=1.06)であった.理論的中間値(3)よりも

イ」意に高いことが・∫≒された(t(217)=8.91,ρ<.001,d=O.85).また、シナリオの想像度に

おける対象人物、他者関与度の.1三効果および交互作用効果は5%水準で有意差は示されな

か・)た(Fs<.2.93, ns.、 partlal n2<.02),以上の結果から、シナリオが適切に想像されて いたと解釈された.

3)自己の感情反応

 自己の感情反応16項目に対し、因子分析を行った(主因子法・varimax回転)。その結 果、3因子が抽出され、第1因子は一共感的ネガティブ感情」、第2因子はe高揚的ポジテ

ィブ感情」、第3因子は償賛的ポジティブ感情」と解釈された。また、信頼性の検討のた め、クローンバックのα係数を算出したところ、各下位尺度とも.80以上の内的一貫性が みられた俵4・7)。3因子それぞれを平均化し、対象人物および他者関与度ごとの平均値 と標準偏差を算出した(表4-8).

 これらの白己の感情反応が、対象人物および他者関与度によって差がみられるかどうか を検討するために、自己の感精反応の3因子それぞれを従属変数とした、他者関与度(高 vs.低)×対象人物(親密な友人、知人、好ましくない他者)の2要因被験者間計画の分

散分析を行った.その結果を従属変数ごとに記述する.