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第6章  総合考察

第2節  実証研究全体を通しての総括

維持と関係性維持について有用な知見を示した,本章の研究の問題点として、社会的望ま しさ反応の影響について述べられた.

(3)第5章の概要

 第5章では、親密な他者との関係において、h二いの自己評価を維持するように反応でき ていることが個人の適応に結びつくという観点から、第4章で検討された他者よりも優れ ていることに対する感情反応を用いて、個人の精神的健康(主観的幸福感)との関連を検 討した.また、親密な友人に対する感情反応と社会的望ましさ反応との関連についても検 討をIJった,その結果、社会的望ましさ反応は、親密な友人よりも優れていることに対す

る自己の感情反応および他者の感情推測との関連は示されなかった,個人の精神的健康(主 観的i「福感)は、他者関与度低領域における他者のポジティブ感情推測、賞賛的ポジティ ブ感情と正の相関関係があることが示された.この結果から、拡張自己評価維持モデルの 観点から、自他双方にとってポジティブな事態をより認識し、そのように反応すること、

Eた、そのkうな関係性を構築していることが個人の適応と関連していることが示唆され

研究3~5で

具体的な感情内容から検討

研究2で示された

他者関与度×遂行の交互作用

相対的なポジティブ感情

4

3

2

1

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一2

Other Better   Self Better   OtherBetter   Self Better

  自己関与度:高      自己関与度:低

図6-1 研究2で示された親密な友人関係に対する感情反応の図を用いた結果の概要

共感的な反応を示さない、すなわち、従来の自己評価維持モデルに沿った自らの自己評価 維持を志向した反応を示すということになる,しかし、自己関与度が高い遂行領域におい て他者よりも優れている状況に焦点をあて、具体的な感情内容から検討を行った結果(研 究3~5)、具体的な感情内容として「高揚的ポジティブ感情」、「共感的ネガティブ感情」、

「賞讃的ポジティブ感情」の3つの側面が明らかとなり、それらの感情内容の程度は、他 者関与度と他者との親密度(研究3)もしくは他者の種別(親密な友人、知人、好ましく ない他者)(研究4)によって異なることが示されたe研究3では、他者関与度高領域にお いて、他者との親密度の高さが、「高揚的ポジティブ感情」の低さ、一共感的ネガティブ感 情」の高さと関連しており、また、他者関与度低領域においては、他者との親密度の高さ は、「賞讃的ポジティブ感情」の高さと関連していることが示された(図6・2)。

111

n己関lj一度高領域において他者よりも優れている状況(自己関与度高・Self Better)

高揚的ポジティブ感情

共感的ネガティブ感情

賞賛的ポジティブ感情

個人の適応

(精神的健康)

図6-2 研究3~5で示された知見の概要図

 また、研究4では、知人や好ましくない他者と比べ、親密な友人に対して、他者関与度 高領域において一高揚的ポジティブ感情」が低く、「共感的ネガティブ感情」が高いこと、

また、他者関与度低領域では、一賞賛的ポジティブ感情」が高いことが示された.これらの 結果は、自己関与度が高い遂行領域においても、自己の方が優れているという遂行結果に よって、親密な友人が(他者関与度高領域では)ネガティブな比較に苦しみ、(他者関与度 低領域では)反映過程の生起により喜ばしく感じているということを認識し、それによっ て個人は共感的な反応を示すといった拡張自己評価維持モデルの観点と合致するものであ ったcさらに、親密な友人との関係において、他者関与度低領域における賞賛的ポジティ ブ感情が高いほど、個人の適応(主観的幸福感)の高さと関連することが示唆された(研 究5)/一拡張自己評価維持モデルの知見や本研究の3、4の結果から、高揚的ポジティブ感 情の低さや共感的ネガティブ感情の高さは、自己にとってはポジティブであるが、親密な 友人にとってはネガティブな状況において影響する「関係性維持の防衛」を志向した反応 であるのに対し、賞賛的ポジティブ感情の高さは、自己と親密な他者の双方にとってポジ ティブな状況において影響する「関係性維持の促進」を志向した反応であると考えられる.

このように、自己の方が優れていることが、自己と親密な友人、また、その関係性にとっ てポジティブな事態であると推測し、他者からの賞賛的なポジティブ感情を感じることの できる傾向にある1固人、すなわち、そのように感じることのできる親密な友人との関係性 を構築していることが、自己と親密な他者の双方の適応に関連していると推察される。

 以1のように本研究では、これまでの拡張自己評価維持モデルの実証研究において用い られてきた相対的なポジティブ感情を用いた交hl{乍用のパターンでは必ずしも明確にはな らなかった他者への共感的な反応を「高揚的ポジティブ感情」、’賞賛的ポジティブ感情」、

[共感的ネガティブ感情」という3つの感情内容から検討することで詳細な検討を行うこ とをP∫能とし、親密な友人関係における自己評価維持と関係性維持について有用な知見が 得られたと考えられるr