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5. 具体的地域のガス供給インフラ事業の評価

5.2 CO2 削減効果及び環境性評価事業性評価

5.2.2 環境性評価

インドネシアでは、2009年の「環境保護と管理に関する法律(EPMA No. 32)」によって 環境影響評価制度を規定しており、事業の種類に基づいて①AMDAL(環境影響評価手続 き(EIA)が必要)、②UKL-UPL(環境マネジメントとモニタリング計画書の審査手続き が必要)、③SPPL(環境マネジメント計画書の提出のみで審査手続きは不要)かに分類さ れ、対応が求められる。①AMDALに分類された場合、事業者は事業の概要書、環境影響 評価報告書、環境マネジメントとモニタリング計画書の作成及び住民協議を行う必要があ り、当該費用も事業者負担となる。また、事業の立地や特性により国、州、県、市のいず れかが審査を担当することになり、実務は管轄の AMDAL 事務局が行う。本事業は

AMDAL対象となる可能性が高いため、以下、AMDALの手続きを整理する。尚、通常申

請からAMDALを経て許可取得まで、8-10か月程度要するとされる。

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図表 130 AMDAL の手続きフロー

出所:環境省

本事業で検討すべき重要項目を抽出するため、受入基地及びFSRUの設置が検討される 4地域(Bitung、Likupang、Maros、Makassar)の簡易現地調査、ステークホルダーイ ンタビューを行った。

現地調査に際しては、本事業で影響を受けやすい項目(Social/Environmental Receptor)

を抽出し、現状の評価を行った。尚、各Receptorは下記5つの観点から選出した。

 エコシステムへの重要性:Receptorが周囲のエコシステムにどの程度影響を持っ

98 ているか

 法的保護の必要性:各国・地域の法律や国際的なガイドライン、条約によって、

Receptorの保護が義務付けらているか

 適応性:本事業による影響をReceptorがどの程度回避できるか、もしくはその影 響に適応できるか

 耐性:Receptorが一時的または永続的な周囲の変化に対し、どの程度対応可能か

 回復可能性:Receptorが影響を受けた場合、どの程度、どのくらいの時間で影響 から回復できるか

各地域における、重要事項に関する環境・社会面からの評価結果は以下の通りとなる。

1.Bitung

①事業候補地の概況

Bitungの事業候補地は、Bitung SEZの開発が進められているMatuariサブディス

トリクト周辺で、中でも同地区最大のTanjung Merah村、及びManembo-nembo 村 に近い。 また、2017年のMatuari全体の人口は29,101人、総面積は36.1 Km2と なっている。人口の 70%はプロテスタントであり、25%がイスラム教徒、5%がカト リック、またヒンズー教徒、仏教徒も少数存在する。同地域にはマナドやゴロンタロ など他のスラウェシの都市からの転居者に加え、フィリピンからの移民も存在してお り、彼らは主に漁業に従事している。

本調査では下記10か所にて、サイト調査及び現地インタビューを行った。

99 出所:QEnergy, USGC

②社会項目

本事業において留意すべき社会面での項目は下記の通りである。

少 数 民 族・

先住民族

事業予定地周辺に、少数民族や先住民族の居住地域は確認されなかった。

文化遺産 事業予定地周辺は釣り堀や養殖地域であり、文化遺産は確認されなかった。

尚、近隣に観光地であるSari Manembo-nemboビーチが存在している。

そ の 他 コ ミ ュ ニ テ ィ へ の 影 響

Tanjung Merah村でのインタビューにおいて、Bitung SEZの開発計画 に関して村民に対して適切な周知が行われていることが確認された。万 が一住民移転が必要になった場合、住民側から反発が起こる可能性があ るとのコメントを得たが、本事業の予定地は主に沿岸で居住地からも距 離があるため、住民移転の必要性は少ないと考えられる。

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③環境項目

本事業において留意すべき環境面での項目は下記の通りである。

マ ン グ ロ ーブ

マングローブの生態系は、事業予定 地から南部の比較的離れた場所に存 在しており、Bitungの事業予定地周 辺には存在しないことが確認され た。同地では主に釣り堀や汽水海老 などの養殖に向け、用地開発が進ん だことによって、マングローブが減 少したと考えられる。但し、これら 養殖地は現在ではあまり活用されて いないようである。

その他海岸沿いに生息する主要動植 物としては、鷺、ココナッツ、モモ タマナ、ニッパヤシなどがあげられ る。

汽水海老の養殖地

珊 瑚 礁

サイト調査では多数の珊瑚礁は観測 されなかったが、既存地理データに

基づくと Bitung の海岸沿いに珊瑚

礁が存在する可能性があり、実際の

AMDALではより詳細な調査及び影

響の最小化に向けた施策が必要とな る。

Bitung沿岸の珊瑚礁(赤色部分)

海藻 事業予定地周辺に少数の海藻が確認 されたが、これらは野生のもので養 殖等がなされているわけではないと 考えられる。

海藻の様子

漁業 漁業は Bitung における主要産業の

一つであるが、通常沿岸から20海里 程度の水域で行われるため、事業予 定地から十分な距離がある。現地コ

101 ミュニティへのインタビューから も、受入基地の建設など本事業が地 元漁業に与える影響は軽微であると の回答を得た。

2.Likupang

①事業候補地の概況

Likupang の事業候補地は、North Minahasa ディストリクトに属する、East

Likupang サブディストリクトに位置し、2017 年の East Likupang 全体の人口は

18,564人、総面積は152Km2となっている。サブディストリクトレベルでの宗教人口

構成は公表されていないが、North Minahasaディストリクトでは78%がプロテスタ ントであり、14%がイスラム教徒、8%がカトリックとなっている。また、人口の大半 はスラウェシ島の北部に位置するSangir島から移住してきた漁民である。事業候補地 周辺にはプランテーションも存在するが、現状農園従事者はあまり多くない。

漁業の他には観光業が盛んであり、Surwaya ビーチ沿岸やでのボートの貸し出し、

ダイビング、飲食業などへの従事者が多くなっている。特に、隣接する Maen 村では

Casabio Paradiseという大規模リゾートが運営されており、インドネシア国内外から

観光客が訪れている。

本調査では下記10か所にて、サイト調査及び現地インタビューを行った。

出所:QEnergy, USGC

102

②社会項目

本事業において留意すべき社会面での項目は下記の通りである。

少数民族・

先住民族

事業予定地周辺に、少数民族や先住民族の居住地域は確認されなか った。

文化遺産 事業予定地から5km程度離れた場所にWineru村の古い墓地が存在 しているが、周辺地に文化遺産は確認されなかった。

その他コミ ュニティへ の影響

その他社会面での特別な影響は考えられないとされる。

③環境項目

本事業において留意すべき環境面での項目は下記の通りである。

マ ン グ ロ ーブ

マングローブの生態系は、事業予定 地から東部および西部の比較的離れ た場所に存在しており、Likupang の事業予定地周辺には存在しないこ とが確認された。同地では主に観光 リゾートや汽水海老などの養殖地に 向け、用地開発が進んだことによっ て、マングローブが減少したと考え られる。その他海岸沿いに生息する 主要動植物としては、鷺、ココナッ ツ、モモタマナなどがあげられる。

Surabayaビーチ周辺

珊 瑚 礁

サイト調査では多数の珊瑚礁は観測 されなかったが、既存地理データに

基づくとLikupangの海岸沿いに珊

瑚礁が存在する可能性があり、実際

のAMDALではより詳細な調査及び

影響の最小化に向けた施策が必要と なる。

Likupang沿岸の珊瑚礁(赤色部分)

海藻 事業予定地周辺に海藻は確認されな かった。

103 漁業 同地域で漁業は通常沿岸から 10 海 里程度の水域で行われるため、事業 予定地から十分な距離がある。現地 コミュニティへのインタビューから も、受入基地の建設など本事業が地 元漁業に与える影響は軽微であると の回答を得た。

3.Maros

①事業候補地の概況

Marosの事業候補地は、Bontoaサブディストリクトに位置するAmpekale村に近く、

当該地域内では同村が最大となっており、2017年のBontoaサブディストリクトの人口

は28,179人、総面積は94Km2となっている。Bontoaサブディストリクトの人口の100%

がイスラム教徒であり、大半が農業や漁業に従事している。稲作地の他には、養鶏場が 多く存在しており、Bontoa サブディストリクト内の主要な市場 3 つの内の 1 つが

Ampekale村に位置している。

本調査では下記10か所にて、サイト調査及び現地インタビューを行った。

出所:QEnergy, USGC

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②社会項目

本事業において留意すべき社会面での項目は下記の通りである。

少数民族・

先住民族

事業予定地周辺に、少数民族や先住民族の居住地域は確認されなか った。

文化遺産 周辺地に文化遺産は確認されなかった。しかし、村民へのインタビュー

において To’dokと呼ばれる進入禁止エリアが事業候補地の近くに

位置しているとの話があり、実際の事業時には関係省庁への聞き 取り等、詳細調査が必要となる。

その他コミ ュニティへ の影響

本事業の事業者として直接対応が必要になる事項ではないが、

Ampekale 村では PLN による新規発電所の建設が計画されてお

り、住民移転の必要性が出た場合、PLN側の対応につき注視が必 要となる。

③環境項目

本事業において留意すべき環境面での項目は下記の通りである。

マ ン グ ロ ーブ

事業予定地周辺にマングローブが生 い茂っているものの、量は少なく減 少傾向にある。理由として、同地域 は海老やミルクフィッシュの養殖場 の開発が進んでいるためと考えられ る。

マングローブの生態系 珊 瑚

事業予定地周辺に珊瑚礁は確認され なかった。

Maros沿岸のマングローブ

(黄緑部分)