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3. スラウェシ島主要地域の天然ガス供給計画の検討

3.3. 主要地域別に見たエネルギー消費・需要の状況

3.3.2 中央スラウェシ

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図表 60 北スラウェシの既存発電所と発電所計画マップ

出所: RUPTL2017より調査団作成

LNGの利用可能性については、既存発電所における燃料転換が想定されるが、経済性の 観点から、基本的には石油を利用した発電所、また50MW といった一定程度の規模以上 が対象になると考えられる。また、立地の観点も必要になる。そのため、北スラウェシに おいては、既存発電所として、一定規模を有する「Minahasa-Kotamobagu」と今後の計 画されているLikupang SEZ近くに立地する「Minahasa-Peaker」と「Sulgagut1」が対 象となると想定される。

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具体的な域内総生産の推移(2013-15)では、2015年までのデータであることから、鉱 業の総生産自体の数値の変化はほぼないが、加工業が2013 年から2015 年にかけて倍以 上に拡大した。その他の主要産業としては、北スラウェシと同じく農林水産業が大きく域 内総生産の30.7%を占めている。次いで建設が14.0%、そして、鉱業10.1%となる。

図表 61 中央スラウェシの域内総生産内訳及び推移(Trillion Rupiah)

出所: Central Bureau of Statistics

ディストリクト別に見ると最も高い地域は、Palu であり、次いで Banggai、Parigi Moutong、Morowaliとなっている。Palu及びParigi Moutongが西エリア、Banggaiと

Morowaliが東エリアであることから、東と西に分かれた経済圏となっている。

図表 62 中央スラウェシのディストリクト別域内総生産

出所: Central Bureau of Statistics

25,000 50,000 75,000 100,000 125,000

2013 2014 2015

農林水産業 鉱業 加工業 電気とガス

水道、廃棄物管理、廃棄物およびリサイクル 建設

卸売・小売業など 輸送/倉庫 宿泊/飲食 情報通信 金融/保険 不動産

事業所専門サービス 政府、防衛、社会保障 教育

医療/介護 その他のサービス

Palu 17,259,127

Banggai 15,245,058

Parigi Moutong 13,310,154

Morowali 12,961,283

Donggala 9,371,076

Morowali Utara 7,837,098

Poso 6,749,133

Sigi 6,686,765

ToliToli 6,099,565

Buol 4,571,253

Tojo Una-Una 4,253,063 Banggai Kepulauan 2,728,001 Banggai Laut 1,704,768

2015 GDP at current prices (million Rupiah)

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PaluとParigi Moutongの西エリアについて、Paluは、中央スラウェシの中心地域とし

て、従前からの商業集積が見られる。また、中央スラウェシ州の州都であり、州政府の省 庁や、PLN 等の地域事務所などが立地している。周辺の主たる産業は農業であり、重工 業は集積していない。現地PLNへのヒアリングでも、Paluの入江西側に幾つか掘削等を 行う会社が5-6社あり、それらが大手顧客として、1社・1MW の契約をしている程度と のことであった。

さらにPaluの北に位置するParigi Mountongの主力産業は漁業である。ただし、加工 施設等の集積は弱く、多くの魚はマッカサル周辺に輸送されて加工が行われている。この ため、Parigi Mountongでのエネルギー需要も大きくないものと想定される。

BanggaiとMorowaliの東エリアについて、Banggaiは、Dongi SelonoのLNG輸出基 地が立地している以外は漁業が中心の地域であり、インドネシアの大手の漁業会社が立地 している。ただし、Parigi Mountongと同じく加工業などの周辺産業は大きくなく、地域 全体としてのエネルギー需要は必ずしも大きくない。

また、Morowali であるが、中央スラウェシが、昨今インドネシアNo1の経済成長を遂 げている背景として、Morowaliでのスメルター投資がある。Morowaliには、スメルター 向けの工業団地が存在し、産業用としてのLNG利用の期待がされる地域である。ただし、

現時点では、工業団地として有している石炭での600MWの発電所について、工業団地へ の供給以外にPLN に売電しているというコメントも有り、新たなガス火力発電所の可能 性は想定しにくい状況にある。ただし、産業用としての熱源利用は考えられる。

また、他の地域については、現地ヒアリングの中では、産業集積や大きな企業立地は確 認されなかった。

加えて、LNGの利用可能性が考え得る発電所であるが、中央スラウェシの現状の発電所 は、以下の図の通りである。現在稼働している発電所は、ディーゼルを利用しているケー スがあるものの10MW 以下の箇所が多い状況にある。理由としては、電力系統につなが っておらず、地域のみへの供給を目的とした発電所が多いからである。また、今後の計画 としては、水力や地熱といった自然エネルギーの活用を目指すものが多い。

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図表 63 中央スラウェシの既存発電所・ネットワーク

出所: RUPTL2017 より調査団作成

図表 64 中央スラウェシの今後の発電所計画・ネットワーク

出所: RUPTL2017 より調査団作成

No System Type Type of Fuel Owner

Installed Capacity (MW)

Capacity Power Net

(MW)

Peak Load (MW) 1 Interconnection Systems 150/70 kV

1.Sistem Palu-Parigl-Poso-Tentena

PLTD Fuel PLN/ Lease 89.5 36.4 139.9

PLTU Coal IPP 66.0 61.6

PLTA/M Hydro PLN/Private 198.0 85.9

2 System Grid 20 kV

2.Luwuk-Toili Fuel PLN/ Lease 23.9 18.0 22.6

Hydro PLN/IPP 8.8 4.2

3.Ampana-Bunta Fuel PLN/ Lease 10.0 8.7 9.9

Hydro PLN 3.3 3.2

4.Toli-toli Fuel PLN/ Lease 22.4 13.1 12.9

Hydro PLN 1.6 1.2

5.Moutong-Kotaraya Fuel PLN/ Lease 14.4 7.5 9.2

Hydro PLN 2.0 1.9

6.Kolonedale Fuel PLN/ Lease 4.1 2.8 7.1

Hydro PLN/IPP 5.0 5.0

7.Burgku Fuel PLN/ Lease 7.5 4.8 3.6

Hydro PLN/IPP 2.0 1.8

8.Banggal Fuel PLN/ Lease 5.9 5.0 3.0

9.Lock Fuel PLN/ Lease 11.6 7.5 6.7

10.Bangkir Fuel PLN/ Lease 3.6 3.1 2.9

11.Isolated scattered Palu Area Fuel PLN/ Lease 5.5 3.4 2.8

12.Isolated scattered Uwuk Area Fuel PLN/ Lease 14.9 10.7 7.8

13.Isolated scattered Toli-Toli Area Fuel PLN/ Lease 2.2 0.8 0.7

Total 502.1 286.4 229.0

NO PROJECT DEVELOPER

ASSUMPTIONS TYPE CAPACITY

(MW) COD STATUS

1 Ampana PLTU PLN 2×3 2018 Construction

2 Luwuk PLTMG PLN 40 2018 Tender

3 MPP Sulteng PLTG/MG PLN 60 2018 Plan

4 Palu 3 PLTU PLN 2×50 2019 Plan

5 Luwuk PLTGU PLN 150 2020 Plan

6 Tolitoli PLTU PLN 2×25 2022 Plan

7 Buleleng PLTM IPP 1.2 2017 Construction

8 Poso 1 PLTA IPP 2×35 2018 Plan

9 Halulai PLTM IPP 1.2 2019 Committed

10 Bambalo 2 PLTM IPP 1.8 2019 Potential

11 Dako PLTM IPP 1.4 2019 Potential

12 Sampaga PLTM IPP 1.2 2019 Potential

13 Tomasa PLTM IPP 10 2020 Committed

14 Koro Kabalo PLTM IPP 2.2 2020 Potential

15 Alani PLTM IPP 5.6 2020 Committed

16 Biak(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ) PLTM IPP 4 2020 Committed

17 Lobu PLTM IPP 5 2021 Potential

18 Banasu PLTM IPP 9 2021 Potential

19 Batu Nobota PLTM IPP 5 2021 Potential

20 Kilo PLTM IPP 10 2021 Potential

21 Paddumpu PLTM IPP 5 2021 Potential

22 Yaentu PLTM IPP 10 2021 Potential

23 Ponju PLTM IPP 3 2021 Potential

24 Bengkoi PLTM IPP 2.5 2021 Potential

25 Bongkasoa PLTM IPP 1.4 2022 Potential

26 Pono PLTM IPP 6 2022 Potential

27 Bongka PLTA IPP 4×70 2024/2025 Plan

28 Marana(FTP 2) PLTP Unallocated 20 2025 Plan

29 Bora Pulu(FTP 2) PLTP Unallocated 40 2025 Plan

JUMLAH 901.5

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図表 65 中央スラウェシの既存発電所と発電所計画マップ

出所: RUPTL2017 より調査団作成

なお,LNG の利用可能性について、一定の規模及び立地の観点から想定されるものは、

既存の「Sistem Palu – Parigi-Poso-Tentena」、と計画として存在する「PLTMG Luwuk」、

「PLTGU Luwak」、「MPP (Mobile Power Plant) Sulteng」の4つである。

現地ヒアリングによると「Sistem Palu – Parigi-Poso-Tentena」に関しては、「Silae」

がディーゼル発電所として機能しているものの、「Silae」自体が当該地域のバックアップ ようであり、基本的にはスタンバイの状況にあり、現時点の運用状況から「Silae」に関し てガス火力発電所に変更することは想定されにくい。

また、今後の計画である「PLTMG Luwuk」、「PLTGU Luwak」、「MPP Sulteng」につ いて、「PLTMG Luwuk」、「PLTGU Luwak」は、2018年を予定していたが、土地収用に 手間取っていて、1 年は遅れる見通しという状況であり、「MPP Sulteng」についても土 地収用が遅れていて、来年実施できるかの見通しが立っていないという状況であった。