• 検索結果がありません。

5. 具体的地域のガス供給インフラ事業の評価

5.1 天然ガス供給にあたっての前提条件の整理(需要、アセット関連除く)

5.1.1 天然ガス関連規制

インドネシアでは、KBLI(Klasifikasi Baku Lapangan Usaha)と呼ばれる産業分類が 存在するが、本事業の主要収入源は LNG の卸売・流通となるため、KBLI 35202

(Distribution of Natural Gas)に分類される。本事業では、現地政府系企業との特別目 的会社(Special Purpose Company、以下「SPC」)設立を検討しており、SPCはPMA

(Penanaman Modal Asing)と呼ばれる、外国資本の入った企業として分類される。現

時点で、KBLI 35202向けにPMA内での外資の出資比率の制限は敷かれていない。但し、

2016年5月12日付大統領規程2016年第44号において、エネルギーセクターでの「条 件付きで開放されている事業分野」が規定されており、今回の事業範囲では陸上パイプラ インの建設は内資のみ、海上パイプラインの建設では外資の参画が 49%までに制限され ている。陸上貯蔵施設の建設事業に関しても、内資に限定されている。従い、これらイン フラの建設部分に関しては、現地EPC企業との協業が必要となる。

また、2006年3月29日付商業省規程第11号に基づき、卸売・流通業に参画するPMA に対し、現地のディストリビューターを少なくとも1社アポイントすることが規定されて いる。従い、事業開始に際しては現地のディストリビューターとの契約書に対して公証人 からの認証取得の上、商業省への登録が必要となる。

88

また、業種の区分に関係なく、資本金について、土地建物を除く投資額の合計が100億 ルピア、引受資本金と払込資本金は同額で、25億ルピア以上を満たす必要がある。

図表 123 インドネシアにおいて特定の条件付きで開放されている事業分野

(エネルギーセクター)

出所:インドネシア投資調整庁

加えて、土地の所有権は、インドネシア国民にのみ認められており、法人は所有権に代 わる権利を得た上で、各種施設を建設する必要がある。

図表 124 土地に関して取得できる権利

国の許可が必要な権利 当事者間で移転・取得が可能な権利

所有権(HM) 賃借権(HS)

事業権(HGU) 小作権(HUBH)

建設権(HGB) 土地質権(HG)

利用権(HP) 滞在権(HM)

開墾権(HMT) 農地賃借権(HSTB)

森林産出物採取権(HMHH)

出所:JETROホームページより作成

更にインドネシア国内の税制の大きなものとして、法人税と付加価値税などがあるが、

法人税率については、基本的に25%であり、株式の40%以上を公開し、株主300人以上 で各株主の出資比率5%以下の状態が暦年 183 日以上続いた上場企業の場合は20%、年 間売上高500億ルピアまでの小企業は48億ルピアまでの課税所得に対して税率は通常法

人税率25%の半分の12.5%、年間売上高48億ルピア以下の企業は、毎月の売上高に対し

て1%の課税となっている。付加価値税については、天然ガスは課税対象外となっている。

89

また、本事業には以下優遇制度の適用可能性があり、実際の事業開始時はインドネシア投 資調整庁(BKPM)への申請が必要となる。

①法人税優遇制度(Tax Allowance)

所得税法第31A条に基づき、一定の事業、または国家として優先度の高い一定の低開発 地域における事業は下記優遇措置を受けることが可能である。

・ 有形固定資産(土地含む)への投資額の30%を上限とする、純利益の控除(事 業開始から6年間、年5%の控除を適用)

・ 加速償却

・ 欠損繰越控除期間を5年から10年まで延長

・ 所得税法第26条における配当への10%の税率適用

②減免制度(Tax Holiday)

インドネシア政府は新技術の導入や国家経済での戦略的価値といった観点からパイオニ ア産業を定義しており、上記優遇制度が受けられないパイオニア産業の事業に関し、法人

税の10%から100%までの軽減制度を提供している(適用期間は5年から10年間)。尚、

現時点でパイオニア産業に含まれるのは、金属、原油精製、基礎有機化学品、産業機械、

加工業(農業、林業、漁業)、情報通信、海上輸送、及び経済インフラ事業となっている。

また、本制度の適用には以下の要件を満たす必要がある。

・ 事業者が新規納税者として登録すること

・ パイオニア産業として認められていること

・ 1 兆ルピア以上の投資計画を有しており、既に関係省庁より許可を得ているこ と

・ 財務省の定める負債資本比率上限(4:1)を満たしていること

・ 投資額の最低10%をインドネシアの金融機関に預け入れすること

・ 2011年8月15日以降にインドネシアで法人設立許可を取得していること

尚、調査団が把握する限り、当該事業と類似の事業で上記優遇措置が適用されているも のは以下の通りである。

90

図表 125 インドネシアにて税制優遇を受けているガス・インフラ関連事業例

①法人税優遇制度(Tax Allowance)

②減免制度(Tax Holiday)

出所:弁護士事務所へのヒアリング

また、本事業において必要となる主要な許認可は以下の通りである。

名称 管轄省庁 内容

石油ガス商業ライセンス Oil and Gas Wholesale Trading License

エ ネ ル ギ ー 鉱物資源省

石油・ガスの輸送、貯蔵、卸売等に必要となる。申請には商務書 類、技術書類が必要であり、技術書類には事業計画(LNG供給・

販売計画(販売価格含む)、各施設の立地、事業スキーム、財務 分析等)、LNG供給元・販売先との契約書、インフラ設備の概要

(FSRU の技術詳細、パイプラインのルート等)、環境ライセン スなどが含まれる。石油・ガス総局(MIGAS)の確認後、エネ ルギー鉱物資源省が発行。20年間有効。

※事業開始に必要となる他の許認可取得に時間を有する場合、エ ネルギー鉱物資源省が一時的ライセンス(3年間有効)を発行す る場合もある。

輸入ライセンス Importing License

商業省 輸入ライセンスの取得には、まず輸入者番号 (Angka Pengenal Importir or “API”) を商業省から取得する必要がある。APIには 下記の2種類があり、輸入者はいずれかの番号を選択する。本事

91

業では、SPCLNGを輸入する場合はAPI-Uを取得し、建設 に従事する EPC コントラクターが API-P を取得することにな る。

General API (API-Umum or “API-U”) :商業化される原材 料や製品の輸入

Producer API (API-Produsen or “API-P”):事業活動に必要 な資材等の輸入.

APIを取得後、商業省へ輸入者として登録、ライセンスを取得と なる。ライセンスは3年間有効である。

石油ガス設備許認可 Technical lisence for general oil and gas installation and equipment

エ ネ ル ギ ー 鉱物資源省

石油・ガス事業の関連設備納入にあたり、①デザイン承認申請、

②事業者内部での安全検査及び承認、③操業許可申請を行う必要 がある。本事業で許認可の対象となる主要設備は、以下が想定さ れる。

パイプライン

LNG受入・貯蔵・処理施設

安全設備 環境ライセンス

Environmental License

環境森林省 環境影響評価(AMDAL)の内容及び事業内容を提出し、環境ラ イセンスを取得。ライセンスの有効期間は基本的に取得済みの商 業ライセンスに準ずる。

危険物輸送許可 Hazardous and Toxic Substance

Transportation Approval

運輸省 ISOコンテナやローリーで陸上ガス輸送を行う場合、輸送ルート や輸送設備の詳細、車両登録書を提出の上、危険物・有害物質の 輸送許可が必要となる。6か月間有効。

特別海運許可証 Special Sea

Transporation Company Operational Business License

投資調整庁 運輸省

通常石油・ガス下流セクターは本許可書の取得が義務付けられて いないが、調査団が弁護士事務所経由で運輸省に確認した限り、

FSRU やコンテナ船を扱うガス事業者による特別海運許可証の 取得が通例となっている。許可取得にと併せ、オペレーション計 画の提出、船舶の登録が求められ、また船舶を第三者から購入す る場合、所有者の名義変更手続が必要となる。更に、中古船を FSRUに改造する場合、運輸省に船舶の概要を提出し、使用目的 変更の許可(Ship Function Repurpose Certificate)を取得する 必要がある。

用地開発許可 Location Permit

各州政府 LNG貯蔵施設の建設など、事業実施のための用地を第三者から 取得する場合に必要となる。3年間有効。

尚、PMA への出資者が所有する土地を活用する場合、本許可の 取得は不要となる。

建設許可 各県・市政府 構造物建築に際し、各県からの許認可が必要となる。各県が発行

92 Building Construction

Permit

するもので提出書類も地域により異なるが、通常は商務書類及び 技術書類(建築図面、電気配電計画等)が必要となる。

電力調達ライセンス Power Procurement Lisence

エ ネ ル ギ ー 鉱物資源省

施設に自家発電設備を設置する場合、容量に応じて下記対応が必 要となる

200kVA 以上:オペレーションライセンス取得(10 年間有

効)、半年ごとに事業レポートを提出

25-200kVA:登録証明書取得、毎年事業レポートを提出

25kVA以下:エネルギー鉱物資源省へ報告書提出