第3章 その他の芸能興行についての集計
3. 現役期間についての集計
表 3-3 掲載の上位者は、すべて平成以降に活躍した力士になっており、近年、現 役期間が長期化している可能性がある。しかし、そもそも力士の現役期間はどのよ うな傾向にあるのかのデータがない。そこでまず、力士の現役期間に着目して集計 を行ってみる。
1981 年~2000 年入門者のうち既に引退した者について現役期間のヒストグラム を描くと、次ページ図 3-3 のようになる。現役期間は、宝塚と同様に「引退年-入 門年+1」で算出した。
全平均は 6.12 年だが、宝塚の現役期間ヒストグラムとは形状が大きく異なり、大 半が2年目までに辞めている。これは、相撲界は体格審査のみで入門でき、土俵に 上がるまでに能力的な選別を一切受けていないことが原因と思われる。
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図 3-3 力士の現役年数ヒストグラム
さらに、各現役年数別の最高位(現役期間中に到達できた最高の地位)の構成比 を図 3-4 に示す。2年目までで辞めた力士の大半は、序の口止まりであったことが 分かる。圧倒的多数を占めている「そもそも相撲界が合っていなかったと思われる 者」は、ほとんどが2年目までに序二段にも上がれずに現役を去る、と考えられる。
現役期間が長くなると、当然、相対的に上位に到達できた力士の比率が高くなる。
ここで注目したいのは、最高位である横綱まで到達した力士は、12~16 年で引退し ていることである 。これは、このくらい現役を続けると、能力があり頂点まで上り つめた人でも基本的な体力のピークを越えてしまうということであり、それ以上の 期間現役を続けて、給料さえもらえずに引退する力士が相当数存在する状況を見る と、宝塚の契約更新制度の重要性が認識できる。
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図 3-4 現役年数別最高位構成比
また、図 3-3 をよく見ると、まず 10 年に小さなピークがあり、20 年を境にして、
それを超えて現役を続ける人数が格段に減少していることが分かる。相撲界は、全 体の中での自己の絶対的評価が曖昧な宝塚と異なり、番付によって自分の現状を明 確に把握できるため、「まだ上がれる」といった現役継続の判断は容易に行えるで あろうが、番付が停滞し始めたとしても「今場所は対戦相手が強すぎた」「怪我さ え治れば頑張れる」というような理由付けができてしまい、自らの能力を見極めて
「辞める」と決断するのは難しいと思われる。そのため、区切りを付けるタイミン グとして、「節目の年」とされる 10 年、20 年を目安にする力士が多いのではない だろうか。
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だが、10 年で辞める力士と 20 年で辞める力士では、相撲界への印象が大きく異 なると考えられる。図 3-4 を見ると、10 年で辞めているのは9割が幕下以下であり、
「自分は関取にはなれない」とあきらめていった者たちだが、20 年で辞めている者 の半数は関取経験者であり、同期入門者もほとんどが既に引退していると想定され るため、自分はやれるだけのことはやった、という達成感を持って引退できるので はないだろうか。
ちなみに、「関取経験者」に絞って現役年数のヒストグラムを描くと図 3-5 のよ うになり、平均値(14.64 年)付近をピークとした、ほぼ正規分布に近い形となる。
図 3-5 力士の現役年数ヒストグラム(関取経験者)