第2章 落語の興行分析
4. 世代交代の進展状況
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表 2-8 回数上位 20 名
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落語協会副会長でもある市馬が急速に回数を伸ばし、この3人がこの年の回数トッ プ3となっている。
図 2-15-1 人数・登場回数の推移(小さん一門)
ちなみに小さん一門は、90 年データから第3世代が登場する唯一の一門になって いるが、これは小さんの孫・花緑のデータで、95 年までは彼単独の数値である。中 学を卒業してすぐ入門した花緑は、89 年に二ツ目昇進するや否や頭角を表し、その 後5年で大抜擢されて真打に昇進している。
(2)志ん生一門
一門の規模(人数)では小さん一門に次ぐが、この一門の第2世代は、人数が順 調に増えているのに比べて回数の上乗せが少なく、全体としては右下がり気味であ る。85 年に回数が突出したのは、志ん橋がこの年だけ 47 回も登場したのが最大の 要因と考えられるが(他の年は 10 回台)、85 年→90 年は回数上位の一門ほど登場回
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数合計が減少しており(上記の小さん一門も大きく減らしている)、全般的に「登場 機会の均等化」が図られた年と考えられる。
第2世代を牽引するのは志ん輔である。85 年に真打昇進した後も堅調に毎年トリ を勤め続け(真打披露興行以降全くトリを勤められない、という落語家も実際には 数多い)、00 年・05 年には回数上位 20 位にもランクインしている。第3世代には、
2003 年に抜擢で真打昇進し、その後着実に寄席での実績を上げている菊之丞がいる。
図 2-15-2 人数・登場回数の推移(志ん生一門)
(3)彦六一門
近年上り調子の一門である。80 年代に入ってまもなく彦六が亡くなり、続いて「落 語四天王」に数えられた 5 代柳朝も病に倒れてしまった。グラフで見ると、この頃 に世代交代を果たしたと考えられるが、その柳朝の弟子から、2人の実力者が現れ た。そのうち1人は小朝なのだが、「カケブレへの登場回数」という視点のみで見た 場合、先述のとおり、彼自身はあまり大きな貢献はしていない。しかし、彼の一番
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弟子・圓太郎が大活躍しており、00 年・05 年は上位にランクインしている。ちなみ に小朝と圓太郎は 7 歳違いで、どちらも第2世代に入っている。
そして、真打昇進を弟弟子の小朝に先んじられ、一時期は不遇の時代を経験した 一朝が、現在の寄席では非常に重要な地位を占めている。安定した実力を買われて、
自身の登場回数も伸ばしているが(05 年は小さん一門の3名に次ぐ第4位にまで躍 進)、近年は弟子の育成の面でも功績があり、2012 年に久し振りの大抜擢で真打昇 進を果たした一之輔は、この一朝の弟子である。
図 2-15-3 人数・登場回数の推移(彦六一門)
(4)圓生一門
80 年データでは3番目に大きな勢力を誇る一門だったが、その後は衰退傾向であ る。落語協会分裂騒動の影響を最も大きく受けた一門なので、部外者が言うのも口 幅ったいが仕方のないことかも知れない。各個人の登場回数で見ると、2000 年頃ま
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では圓彌・圓窓・川柳が、そして圓彌が亡くなり、圓窓がかつてほど寄席に出なく なった現在は川柳が、寄席の出番を稼いでいる。
さらに、近年この一門は、正統派・圓生の芸の継承という本筋とは全く別の局面 で注目されるようになっている。圓生門下ながら「新作派」として独自の高座を開 拓した圓丈の元に弟子が多く集まり、現在圓丈一門は、5 代圓楽を除く圓生の直弟 子の中で最も大所帯になっているのである。圓丈の存在は、一門の枠を超えて、喬 太郎(さん喬門下)・彦いち(木久扇門下)、さらには芸協の春風亭昇太らの活動に も影響を与え続けている他、近年は二番弟子の白鳥が寄席で度々トリを任されるま でに成長している。
図 2-15-4 人数・登場回数の推移(圓生一門)
(5)三平一門
05 年までにカケブレに登場した第3世代落語家がいないため、第1・第2世代の みの図になっている。先代三平の直弟子が 13 人おり一門の人数は多いのだが、登場
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回数データは、第1世代はほぼこん平単独の、第2世代はほぼ、しん平とたい平の 登場回数の合計となっている。
先代三平が 80 年に 54 歳の若さで没し、その時点で唯一の真打だったこん平が一 門を引き継いだが、当時の彼自身のまだ 30 代という若さ、そして、寄席に自分の居 場所を作れたのは結局彼1人のみという現実が、その後「一門の勢い」を形成でき なかった理由と考えられる。だが、05 年の襲名以降、9 代正蔵がこぶ平時代のよう なマスコミ露出を控えて寄席での活動を重視しており、古典落語を演じることが前 提の「落語研究会」にも時折出演するようになっている。下記グラフの集計期間に は含まれないが、2010 年のカケブレ登場回数が最も多かったのは正蔵であり、寄席 の世界における彼の今後の動向が注目される。
図 2-15-5 人数・登場回数の推移(三平一門)
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