第 3 章 インドシナ地域における国際連系送電線プラン
3.3 インドシナ地域における国際連系送電線の実現可能性(2015 年断面)
3.3.2 燃料費面からの検討結果
ここでは、2015年における各モデルケースの年経費削減量について、前項の供給信頼度 面の検討において、各モデルケースで効果が飽和した連系送電線容量における年経費削減 効果を算出した。
年経費算定にあたっては、各国から提出されたデータおよび国内で調査した資料などを 基に作成した、建設単価、燃料費を用いた。(表3-4)固定費の算出条件としては、定額償 却、金利10%、その他経費1〜2.5%とした。
融通料金(Power Exchange Rate)については、予備力不足(Reserve Margin Shortage)
の場合と経済融通(Economical Power Exchange)の場合に分けて検討した。予備力不足 の場合には、受電系統側はピーク電源の固定費相当分である 10¢/kWh に融通受電時に最 も高い価格の燃料費分を加えたものを送電系統側に支払うこととした。一方、経済融通の 場合は、受電系統側は火力電源の焚き減らし(発電所運転時間の削減)分の燃料単価と送 電系統側からの融通原資となる電源の燃料単価との平均を融通料金として送電系統側に支 払うこととした。
表3-4 建設単価および燃料費
建設単価 Unit: US$/kW
Cambodia Laos Thailand Vietnam
Hydro 1,200 940〜2,360 830 1,200
Gas C/C 547 - 453 407
Coal - - 727 764
燃料費 Unit: ¢/103kcal
Fuel Type Cambodia Laos Thailand Vietnam
Hydro 0.00 0.00 0.00 0.00
Gas 1.32 - 1.34 1.22
Coal - - 1.21 0.52
Oil 1.81 - 1.81 1.74
Diesel 5.52 - 2.99 3.40
始めに、Base Case(図3-5-0)における各系統の年経費を表3-5に示す。
表3-5 2015年のBase Caseにおける各系統の年経費
Unit: MUS$/yr Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
固定費 81 138 3,668 1,942 5,828
燃料費 59 0 5,692 1,776 7,527
電力購入費 - -13 13 - -
合計 140 125 9,373 3,718 13,356
融通送電ロス - - - - 1
需要(TWh) 2.5 2.8 245.9 109.4 360.6 発電コスト(¢/kWh) 5.7 4.6 3.8 3.4 3.7
(1)各ケースの検討結果
(a)Case 1:タイ−ラオス−ベトナム連系(連系線のみ)モデルケース
Case 1について、連系送電線容量1,000MW時の年経費、年経費削減効果、発電電力量
の変化を表3-6、7、8に示す。
各国から提出された開発計画を基に検討すると、各国の電源設備の開発繰り延べ可能量 は、ラオス系統においては水力発電所8MW相当、タイ系統においてはガス火力発電所を 70MW相当、ベトナム系統ではガス火力発電所250MW相当である。この開発繰り延べに よる固定費の削減量は連系された系統全体で 27MUS$/yr 相当となる。また、燃料費は ラオスの水力電源の潜在能力を活用することなどで、全体で53MUS$/yr相当を削減可能 となる。
表3-6 各系統の年経費(Case 1)
Unit: MUS$/yr
Laos Thailand Vietnam Total
固定費 138 3,661 1,921 5,720
燃料費 0 5,625 1,790 7,415
電力購入費 -25 52 -27 -
合計 113 9,338 3,685 13,135
融通送電ロス - - - 8
需要(TWh) 2.8 245.9 109.4 358.1 発電コスト(¢/kWh) 4.1 3.8 3.4 3.7 削減可能量(MW) -8 -139 -223 -370
表3-7 年経費削減効果(Case 1)
Unit: MUS$/yr
Laos Thailand Vietnam Total
固定費 -1 -7 -20 -27
燃料費 0 -67 +14 -53
電力購入費 -12 +39 -27 -
合計 -13 -35 -33 -80
融通送電ロス - - - +7
表3-8 連系による各系統の発電電力量の変化(Case 1)
Unit: TWh
Fuel Type Laos Thailand Vietnam Total
Hydro +1.1 0.0 +0.3 +1.4
Pumped Hydro - -0.0 -0.0 -0.0
Coal - -1.6 +0.2 -1.4
Gas - -0.5 +0.6 +0.0
Oil - -0.0 +0.0 -0.0
Diesel - 0.0 +0.1 +0.1
Total +1.1 -2.2 +1.1 +0.0
Purchase -1.1 +2.2 -1.1 -
(b)Case 2:タイ−ラオス−ベトナム連系(電源線活用)モデルケース
次に、Case 2について、連系送電線容量1,000MW時の年経費、年経費削減効果、発電 電力量の変化を表3-9、10、11に示す。
各国から提出された開発計画を基に検討すると、Case 2での各国の電源設備の開発繰り 延べ可能量は、ラオス系統においては水力発電所8MW相当、タイ系統においてはガス火 力発電所を100MW相当、ベトナム系統ではガス火力発電所230MW相当である。この開 発繰り延べによる固定費の削減量は連系された系統全体で29MUS$/yrとなる。また、燃 料費はラオスの水力の潜在能力を活用することなどで、全体で55MUS$/yrが削減可能と なる。
表3-9 各系統の年経費(Case 2)
Unit: MUS$/yr
Laos Thailand Vietnam Total
固定費 138 3,658 1,923 5,719
燃料費 0 5,623 1,790 7,413
電力購入費 -24 54 -30 -
合計 114 9,335 3,682 13,131
融通送電ロス - - - 6
需要(TWh) 2.8 245.9 109.4 358.1 発電コスト(¢/kWh) 4.1 3.8 3.4 3.7 削減可能量(MW) -8 -134 -228 -370
表3-10 年経費削減効果(Case 2)
Unit: MUS$/yr
Laos Thailand Vietnam Total
固定費 -1 -9 -19 -29
燃料費 0 -69 +14 -55
電力購入費 -11 +41 -30 -
合計 -12 -37 -35 -84
融通送電ロス - - - +5
表3-11 連系による各系統の発電電力量の変化(Case 2)
Unit: TWh
Fuel Type Laos Thailand Vietnam Total
Hydro +1.1 0.0 +0.3 +1.4
Pumped Hydro - -0.0 -0.0 -0.0
Coal - -1.6 +0.2 -1.4
Gas - -0.6 +0.6 -0.0
Oil - -0.0 +0.0 +0.0
Diesel - 0.0 +0.1 +0.1
Total +1.1 -2.2 +1.2 +0.0
Purchase -1.1 +2.3 -1.2 -
(c)Case 3:タイ−カンボジア−ベトナム連系(連系線のみ)モデルケース
次に、Case 3について、連系送電線容量1,000MW時の年経費、年経費削減効果、発電 電力量の変化を表3-12、13、14に示す。
Case 3での各国の電源開発繰り延べ可能量は、カンボジア系統では石油火力発電所とデ
ィーゼル発電所の合計42MW相当、タイ系統ではガス火力発電所を150MW 相当、ベト ナム系統ではガス火力発電所220MW相当、また、タイ系統と100MWで連系しているラ オス系統において水力発電所 22MW 相当である。この開発繰り延べによる固定費の削減 量は連系された系統全体で43MUS$/yr相当となる。また、燃料費はベトナムのガス火力 からの経済融通を活用することなどで、全体で14MUS$/yr相当が削減可能となる。
表3-12 各系統の年経費(Case 3)
Unit: MUS$/yr Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
固定費 75 133 3,654 1,923 5,785
燃料費 49 0 5,661 1,804 7,513
電力購入費 12 -9 38 -41 -
合計 136 124 9,352 3,686 13,299
融通送電ロス - - - - 12
需要(TWh) 2.5 2.8 245.9 109.4 360.6 発電コスト(¢/kWh) 5.5 4.5 3.8 3.4 3.7 削減可能量(MW) -38 -14 -117 -221 -390
表3-13 年経費削減効果(Case 3)
Unit: MUS$/yr Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
固定費 -5 -6 -14 -18 -43
燃料費 -11 0 -31 +28 -14
電力購入費 +12 +4 +24 -41 -
合計 -5 -2 -20 -31 -57
融通送電ロス - - - - +11
表3-14 連系による各系統の発電電力量の変化(Case 3)
Unit: TWh
Fuel Type Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
Hydro +0.0 -0.1 0.0 +0.3 +0.2
Pumped Hydro - - +0.4 +0.0 +0.4
Coal - - -0.6 +0.2 -0.4
Gas -0.1 - -1.0 +1.2 -0.0
Oil -0.2 - +0.4 +0.0 +0.3
Diesel +0.0 - 0.0 +0.0 +0.1
Total -0.3 -0.1 -0.8 +1.7 +0.6
Purchase +0.3 +0.1 +1.4 -1.7 -
(d)Case 4:カンボジア−ベトナム連系(連系線のみ)モデルケース
次に、Case 4について、連系送電線容量100MW時の年経費、年経費削減効果、発電電 力量の変化を表3-15、16、17に示す。
Case 4では、カンボジア系統でのみ電源開発の繰り延べが可能となる。その繰り延べ量
は、カンボジア系統のディーゼル発電所の 18MW 相当である。この開発繰り延べによる 固定費の削減量は全体で2MUS$/yr相当となる。また、燃料費はベトナムのガス火力から の経済融通を活用することなどで、全体で8MUS$/yr相当を削減可能となる。
このケースのように、系統規模の大きく異なる系統間では、連系による効果は少なくな る。
表3-15 各系統の年経費(Case 4)
Unit: MUS$/yr
Cambodia Vietnam Total
固定費 78 1,942 2,020
燃料費 46 1,782 1,828
電力購入費 9 -9 -
合計 134 3,714 3,848
融通送電ロス - - 1
需要(TWh) 2.5 109.4 111.9
発電コスト(¢/kWh) 5.4 3.4 3.4
削減可能量(MW) -15 -19 -34
表3-16 年経費削減効果(Case 4)
Unit: MUS$/yr
Cambodia Vietnam Total
固定費 -2 0 -2
燃料費 -13 +6 -8
電力購入費 +9 -9 -
合計 -7 -3 -10
融通送電ロス - - +1
表3-17 連系による各系統の発電電力量の変化(Case 4)
Unit: TWh
Fuel Type Cambodia Vietnam Total
Hydro +0.0 +0.0 +0.0
Pumped Hydro - +0.0 +0.0
Coal - +0.0 +0.0
Gas -0.2 +0.2 +0.0
Oil -0.1 0.0 -0.1
Diesel -0.0 - -0.0
Total -0.3 +0.3 +0.0
Purchase +0.3 -0.3 -
(e)Case 5:タイ−ラオス−カンボジア−ベトナム連系(電源線活用)モデルケース 次に、Case 5について、連系送電線容量1,000MW時の年経費、年経費削減効果、発電 電力量の変化を表3-18、19、20に示す。
Case 5での各国の電源開発繰り延べ可能量は、カンボジア系統では石油火力発電所とデ
ィーゼル発電所の合計37MW相当、ラオス系統では水力発電所31MW相当、タイ系統で はガス火力発電所100MW 相当、ベトナム系統ではガス火力発電所220MW 相当である。
この開発繰り延べによる固定費の削減量は連系された系統全体で40MUS$/yr相当となる。
また、燃料費はラオスの水力の潜在能力を活用することなどで、全体で57MUS$/yr 相当 が削減可能となる。
表3-18 各系統の年経費(Case 5)
Unit: MUS$/yr Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
固定費 76 131 3,658 1,923 5,788
燃料費 48 0 5,631 1,791 7,470
電力購入費 12 -24 45 -33 -
合計 136 107 9,335 3,681 13,259
融通送電ロス - - - - 10
需要(TWh) 2.5 2.8 245.9 109.4 360.6 発電コスト(¢/kWh) 5.5 3.9 3.8 3.4 3.7 削減可能量(MW) -37 -18 -131 -224 -410
表3-19 年経費削減効果(Case 5)
Unit: MUS$/yr Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
固定費 -5 -8 -9 -18 -40
燃料費 -12 0 -60 +15 -57
電力購入費 +11 -11 +33 -33 -
合計 -5 -18 -37 -36 -97
融通送電ロス - - - - +10
表3-20 連系による各系統の発電電力量の変化(Case 5)
Unit: TWh
Fuel Type Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
Hydro +0.0 +1.0 0.0 +0.3 +1.3
Pumped Hydro - - +0.0 -0.0 +0.0
Coal - - -1.4 +0.2 -1.2
Gas -0.2 - -0.5 +0.7 +0.0
Oil -0.2 - -0.0 +0.0 -0.2
Diesel +0.0 - 0.0 +0.0 +0.1
Total -0.3 +1.0 -1.9 +1.3 +0.1
Purchase +0.3 -1.0 +2.0 -1.3 -
(f)Case 6:タイ−ラオス−カンボジア連系(電源線活用)モデルケース
次に、Case 6について、連系送電線容量100MW時の年経費、年経費削減効果、発電電 力量の変化を表3-21、22、23に示す。
Case 6では、タイを除いた各系統で電源開発の繰り延べが可能となる。その繰り延べ量
は、カンボジア系統ではディーゼル発電所37MW相当、ラオス系統では水力発電所14MW 相当である。この開発繰り延べによる固定費の削減量は全体で7MUS$/yr相当となる。ま た、燃料費はラオスの水力の潜在能力を活用することなどで、全体で27MUS$/yr相当を 削減可能となる。
表3-21 各系統の年経費(Case 6)
Unit: MUS$/yr
Cambodia Laos Thailand Total
固定費 76 136 3,668 3,880
燃料費 45 0 5,680 5,724
電力購入費 8 -26 17 -
合計 129 111 9,365 9,604
融通送電ロス - - - 4
需要(TWh) 2.5 2.8 245.9 251.2 発電コスト(¢/kWh) 5.2 4.0 3.8 3.8
削減可能量(MW) -35 -8 -57 -100
表3-22 年経費削減効果(Case 6)
Unit: MUS$/yr
Cambodia Laos Thailand Total
固定費 -5 -2 0 -7
燃料費 -15 0 -12 -27
電力購入費 +9 -13 +5 -
合計 -11 -15 -8 -34
融通送電ロス - - - +4
表3-23 連系による各系統の発電電力量の変化(Case 6)
Unit: TWh
Fuel Type Cambodia Laos Thailand Total
Hydro 0.0 +0.7 0.0 +0.7
Pumped Hydro - - -0.0 -0.0
Coal - - -0.3 -0.3
Gas -0.2 - -0.0 -0.2
Oil -0.1 - -0.1 -0.1
Diesel -0.0 - 0.0 -0.0
Total -0.3 +0.7 -0.5 -0.1
Purchase +0.3 -0.7 +0.4 -
(g)Case 7:タイ−ラオス−ベトナム、タイ−カンボジア−ベトナム連系(電源線活用)
モデルケース
次に、タイ−ラオス−ベトナム、タイ−カンボジア−ベトナム連系(電源線活用)モデ ルケースについて、連系送電線容量500MW時の年経費、年経費削減効果、発電電力量の 変化を表3-24、25、26に示す。
Case 7での各国の電源開発繰り延べ可能量は、カンボジア系統では石油火力発電所とデ
ィーゼル発電所の合計38MW相当、ラオス系統では水力発電所11MW相当、タイ系統で はガス火力発電所を150MW相当、ベトナム系統ではガス火力発電所220MW相当である。
この開発繰り延べによる固定費の削減量は全体で39MUS$/yr相当となる。また、燃料費 はラオスの水力の潜在能力を活用することなどで、全体で52MUS$/yr相当が削減可能と なる。
表3-24 各系統の年経費(Case 7)
Unit: MUS$/yr Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
固定費 76 136 3,654 1,923 5,789
燃料費 48 0 5,638 1,790 7,475
電力購入費 13 -26 46 -33 -
合計 136 111 9,337 3,680 13,264
融通送電ロス - - - - 9
需要(TWh) 2.5 2.8 245.9 109.4 360.6 発電コスト(¢/kWh) 5.5 4.0 3.8 3.4 3.7 削減可能量(MW) -36 -17 -132 -225 -410
表3-25 年経費削減効果(Case 7)
Unit: MUS$/yr Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
固定費 -5 -2 -14 -18 -39
燃料費 -12 0 -54 +15 -52
電力購入費 +13 -13 +33 -33 -
合計 -4 -15 -35 -37 -91
融通送電ロス - - - - +8
表3-26 連系による各系統の発電電力量の変化(Case 7)
Unit: TWh Fuel Type Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
Hydro +0.0 +1.1 0.0 +0.3 +1.4
Pumped Hydro - - +0.2 -0.0 +0.1
Coal - - -1.1 +0.2 -0.9
Gas -0.2 - -0.8 +0.6 -0.3
Oil -0.2 - +0.1 +0.0 -0.0
Diesel +0.0 - 0.0 +0.0 +0.1
Total -0.3 +1.1 -1.7 +1.2 +0.3
Purchase +0.3 -1.1 +2.0 -1.2 -