• 検索結果がありません。

ラオス

ドキュメント内 橡99.表紙・裏表紙.doc (ページ 41-48)

第 2 章  電力セクターの現状と将来計画

2.2  電力セクターの現状と将来計画

2.2.2  ラオス

(1)電気事業の組織形態

工業手工業省(Ministry of Industry and Handicrafts: MIH)が直轄するラオス電力公社

(Electricite du Laos: EdL)が、発電から送配電まで一貫して国内の電力供給を行ってい る。また、主要県郡では分散型ディーゼル発電および小水力を MIH が開発、県が運営し、

電力供給を行っている。国外向け電力輸出用のBOT計画や電力政策の重要事項については、

首相府内の MIH、大蔵省、国家計画委員会、EdL などから構成される Lao National Committee for Energy(LNCE)のエネルギー電力委員会(Committee for Energy and Electric Power: CEEP)で決定される。

(2)電力需要想定とその課題

1997年から2000年の4年間のラオス国内年間電力需要量は、平均14%の高い伸びを示 している。ラオス国内の電化率は、ADBや世銀の支援もあり、着実に向上してきている。

現在電化中の中央‐2および南部15を考慮すると、今後10年間も平均10%以上の伸びを示 すと考えられる。また、2020年の最大電力は約800MW16と想定されている。(図2-6参照)

15 ラオスの電力系統については、中央-1(ヴィエンチャン特別市および周辺5県、1特別地域)、中央-2(サ バナケットなど2県)、北部(5県)、南部(4県)の4つの系統に大別できる。

16 EdL. 2001.

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900

1992 1997 2002 2007 2012 2017 年

最大電力(MW)

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000

電力消費量(GWh)

最大電力(MW) 電力消費量(GWh) 出所:Power Development Plan up to 2020, July 2001, EdL

図2-6  電力消費量の推移および需要想定(ラオス)

ピーク需要は、4月(乾季)の高気温時期に発生する。これは冷房需要および電灯需要に よるものである。現在のところピーク時おける負荷制限などは行われていない。参考までに、

ラオスのヴィエンチャン系統における2000年の最大電力発生日(4月3日)の日負荷曲線 を図2-7に示す。

出所:EdLからの入手データより作成 0

10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110

0 6 12 18

時刻

負荷(MW)

図2-7  日負荷曲線(ラオス・ヴィエンチャン系統)

EdLによれば、年負荷率の想定値は2005年で44.7%、2010年で48.3%、2015年で51.4%、

2020年で53.1%17となっている。一方、ヴィエンチャン系統の2000年における毎日毎時間

のデータを基に算出した2000年の実績年負荷率は57.2%である。この値に比べてEdLに よる将来の年負荷率の想定値は低すぎるため、今後再検討する必要があると考えられる。

17 EdL. 2001.

年間電力量:490GWh 年負荷率  :57.2%

需要想定手法は、過去 3 年間の平均値に基づいて外挿する方法を採用している。各県の GDPを基にした想定は、正確な GDPデータが入手できないため行われていない。今後詳 細な想定を行うためには、カンボジアと同様に、国内系統の拡大に伴う潜在需要の増加を的 確に把握し、電力需要と相関があると考えられる諸データ(GDP、産業別需要、家庭用電 化製品の普及率など)を継続的に収集・分析する環境づくりが必要である。また、先程も述 べたとおり、年負荷率については将来の想定値が現状と大きく乖離しており18、現状との整 合性から判断すると将来計画における年負荷率の想定値は再検討する必要があると考えら れる。

このような需要想定手法に対して、ADBの「Power Sector Strategy Study」では、需要 想定手法の見直しを行っている。この中で示されている需要想定手法は以下のとおりである。

電力量(MWh)については、地域毎の売上電力量から想定し、最大電力(MW)につい ては、全地域の想定負荷率を用いて電力量を割戻すことにより算出している。

地域は、北部、中央-1、中央-2、南部の4つに分け、需要の種別としては、家庭用と非家 庭用に分けて想定している。このように需要の種別を分類するのは、ラオスの需要の半分近 くが家庭用需要であるためと考えられる。需要想定は、ベースケースと高成長ケースの 2 つについて、2010年まで行われている。

家庭用需要の想定は、家庭数と想定した年間平均消費電力の積により算出している。ここ で、1家庭当たりの平均消費電力の伸びは6%/年と想定している。また、新規電化家庭につ いては、初年度は40kWhと仮定している。家庭数については、ベースケースでは、現在の 家庭数256,000に加えて、2010年にはさらに190,000家庭が電化され年間2,100GWhの 需要となると想定している。高成長ケースでは、2010年における農村部の家庭電化の増加 分280,000(180GWh)を更に追加し、2,280GWhと想定している。

送電端における電力需要を算出するために、送配電ロスは以下のように想定されている。

現状の送配電ロスは、ノンテクニカルロスを含め26%である。過去5年間の送配電ロスは 減少しており、今後 10 年も減少傾向を示すものと想定しており、2000 年で 25%、2005 年以降はで20%と想定している。

負荷率については、需要種別の負荷率データがないため、過去の全体負荷率の実績および 将来の主要負荷の伸び率を考慮して想定している。ここで、家庭用需要の負荷率はその他需 要の負荷率より小さく設定されている。

本調査では、電力量については公式に発表されている想定を採用し、最大電力については、

修正を加えた負荷率にて算出したものを用いた。また、ラオスの電力系統は小さなものも含 めて16系統に分かれており、現在それらは連系されていない。

よって本調査では、今後ヴィエンチャン系統が順次拡大し、他系統と連系していくものと 考え、2000年のヴィエンチャン系統の実績データを基準として、順次需要が拡大する条件 で想定を行った。(図2-8、9)

18 需要想定に使用されているラオスの全系統の実績負荷率は、負荷制限を行っていないこと、家庭用需要

(主に電灯)中心であることなどから、2000年のヴィエンチャン系統の実績より調査チームが算出した

負荷率57%に対して、43%と低い水準となっている。

最大電力(MW):2010年、2015年の想定値で2000年の3.7倍、5.6倍 2000年〜2020年の年平均伸び率10.6%

電力量 (GWh):2010年、2015年の想定値で2000年の3.7倍、5.6倍 2000年〜2020年の年平均伸び率10.6%

0 100 200 300 400 500 600 700 800

2000 2005 2010 2015 2020 YEAR

最大電力(MW)

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000

2000 2005 2010 2015 2020 YEAR

電力量(GWh)

図2-8  ラオスの需要想定(MW) 図2-9  ラオスの需要想定(GWh)

(3)発電設備 1)現状

総発電設備容量は640.7MWであり、内訳は水力発電設備が39ヵ所で628.0MW(98%)、 ディーゼル発電設備が14ヵ所で12.7MW(2%)である。水力発電設備の概要は表2-4に 示すとおりである。なお、BOTで運営されているIPP発電所については、発生電力量の99%

をタイへ輸出している19

2)電源設備計画

ラオスにおける電源開発の優先順位 1位は水力発電である。2015年までに新たに20地 点(5,937MW)の発電所建設計画がある。計画ではEdLが開発する地点が6ヵ所(295MW)、 IPPにより開発する地点が 14 ヵ所(5,642MW)となっている。IPP プロジェクトの中の 一つであるNam Theun 2プロジェクトに関しては、その実現の如何によってはラオスだけ でなく、今後のメコン河をめぐるインドシナ域内の水力開発の方向性に大きく影響すること から注目されている20

ラオスの発電設備容量および国内販売電力量の推移をそれぞれ図2-10、11に示す。

19 IPPからのラオス政府の収入は、水使用料(Royalty)、税金、IPP株式からの収入などである。株式の 保有率は、プロジェクトにより異なるが20〜60%程度であり、Nam Theun2プロジェクトの場合は、25%

で計画されている。株式保有のための資金はADBや世銀などから調達している。

20 世銀は、Nam Theun 2プロジェクトへの融資条件として、ラオス政府に対してマクロ経済の安定・ガ バナンスの強化・住民参加の推進などの様々な課題をクリアすることを求めており、諸課題解決のため TAも供与している。20014月にはIMFがラオスに対するPRGF(Poverty Reduction and Growth Facility)供与(400US$:3年)を承認し、マクロ経済面での健全さが一応認められたこととなり、

プロジェクト実現の可能性も高くなったとも言われている。

表2-4  ラオス国内水力発電設備

発電所名 最大出力

(MW)

形態 運転開始年

Theun Hinboun 210.0 BOT 1998

Nam Ngum 121 150.0 EdL 1971

Houay Ho 152.1 BOT 1999

Nam Leuk 60.0 EdL 2000

Xeset 1 45.0 EdL 1991

Selabam 5.0 EdL 1969

Nam Phao 1.6 県営 1995

Nam Ko 1.5 県営 1997

Nam Dong 1.0 EdL 1970

MicroP/S 30個所 1.8 県営

合計 628.0

出所:海外電力調査会(2000)『海外諸国の電気事業』第2編より作

出所:EdLからの入手データより作成 0.0

1,000.0 2,000.0 3,000.0 4,000.0 5,000.0 6,000.0 7,000.0 8,000.0 9,000.0

1995 2000 2005 2010 2015 2020 年

発電設備容量(MW)

水力(IPP) 水力(EdL) 石炭(EdL)

図2-10  発電設備容量の推移(ラオス)

21 Nam Ngum発電所は、日本を含めた世界12ヵ国の支援で1971年に運転を開始した発電所で、日本の 技術・設備も多く活用されている。

出所:Power Sector Strategy Study, 2001, ADB 0

500 1,000 1,500 2,000 2,500

1995 2000 2005 2010

販売電力量(GWh)

家庭用 非家庭用

図2-11  国内販売電力量の推移(ラオス)

3)電力需給バランス

現在の電力需給バランスとしては、国内の電力需要が総発電設備量の 25%程度と小さく 需要に対する設備量としては十分であるが、国内系統が連系されていないために、各系統別 にみた場合には、中央‐1および南部系統における余剰電力をタイに輸出22し、電力が不足 している中央‐2および北部系統で、タイやベトナムから電力を輸入23している。

2000年時点でのラオス国内の予備率は76%であるが、今後10 年間の需給バランスをみ ると、2005年に運転開始予定のNam Mang 3発電所が完成しない場合には電力不足が生じ、

タイおよびベトナムから国内需要用に電力を輸入しなければならない。また、2003年から 2005年に関しては、予備率も適正予備率と言われている25%を下回ることとなり、厳しい 運用を強いられることとなる。

(4)国際連系 1)現状

現状はヴィエンチャン近郊で、115kV送電線3回線を経由してタイ系統と連系しており、

Nam Ngum発電所およびNam Leuk発電所(合計210.0MW)の発生電力のうち、ヴィエ

ンチャン特別市を中心とした国内需要の余剰分をタイへ輸出24している。

22 余剰電力に、タイへの売電専用IPPであるTheun Hinboun およびHouay Ho2つの発電所からの 輸出分を加えると、国内発電量の4割強を輸出していることになる。ラオス政府としても、売電収入を 国家財政の主要な骨格と位置付けている。

23 電力量でみると、IPPを除くタイへの電力輸出量の50%弱を結局は逆輸入している。

24 タイのEGATEdLに支払う電気料金はドル建である。ただし、PPAの電気料金自体はBahtで契約 されているため、次のように為替レートが決められている:支払いの50%については1US$ = 28Baht の固定レート、残りの50%については変動レート。料金単価は、ピーク時1.22Baht/kWh、オフピーク

1.14Baht/kWhである。ラオス側の発電機の故障などにより、タイ側から緊急の電力融通を受けた場

合には、通常の料金に0.5¢/kWh上乗せしたものを支払うことになっている。タイへの輸出量の確定方 法は、ヴィエンチャン系統での余剰分をフォントン変電所にて計量している。なお、融通電力量を計測 するkWh計は2年に1度校正を行う。

ドキュメント内 橡99.表紙・裏表紙.doc (ページ 41-48)