第 3 章 インドシナ地域における国際連系送電線プラン
3.3 インドシナ地域における国際連系送電線の実現可能性(2015 年断面)
3.3.1 供給信頼度面からの検討結果
(1)各国の現行開発計画
最初に、カンボジア、タイ、ベトナム、ラオスが各国の開発計画に従い電源を開発し、
単独で運用している場合の2015年における供給信頼度レベル(LOLE)を表3-1に示す。
全系統とも各国の供給信頼度目標を満足している。現行開発計画での各国の電源設備量と 構成比率を図3-4に示す。
表3-1 2015年における各国開発計画に基づく信頼度(LOLE)
供給信頼度目標値
(hr)
開発計画ベース
(hr)
供給予備力[参考]
(%)
カンボジア 160 29 10
ラオス 24 4 15
タイ 24 3 12
ベトナム 24 1hr以下 27
出所:各国の電力開発計画をもとに作成
37 Prutichai Chonglertvanichkul、 関昇、横澤康浩、毛利雅彦(2000)「メコン川流域諸国・地域での 効率的電力系統整備について」IDE-JETRO
図3-4 2015年における各国開発計画に基づく電源設備量と構成比率
カンボジアは自国内水力電源の開発を行い、水力比率が3割に増加。タイはガス・石油・
石炭を中心に自国内で電源の開発を行い、水力電源を他国から輸入する計画。ベトナムは 国内で産出するガスを中心に開発を行い、ラオスは全ての自国内需要を水力で賄う方針で ある。
このように、各国とも経済性で優位があるため、自国内の一次エネルギー賦存量の多い ものから開発する計画となっている。
(2)2015年における国際連系送電線による電源設備削減効果の検討
対象4カ国間の10のモデルケース(図3-5-1〜10)について、連系送電線による供給信 頼度向上効果について検討した。
検討にあたっては、供給信頼度基準を全系統24hrとした。2015年において、各国が単 独で運用している条件で、本検討における供給信頼度規準(24hr)を満足させたものを
Base Caseとして各モデルケースを比較した。ただし、ラオスとタイの間は、現在の連系
状況を考慮し、送電線容量100MWで連系されているものとする(図3-5-0)。このときの 各国の最大電力と電源設備量を表3-2に示す。
電源設備開発削減量の算出にあたっては、Base Caseで供給信頼度目標に合わせた電源 設備量に適合するように、各国から提出された電源開発計画に基づき、電源設備開発量を 調整する形で決定した38。なお、計算に必要な需要想定誤差、出水変動などのデータが不 足している場合には、実績および他国のデータから推定した。また、融通電力に関しては、
不足率一定、融通上限は予備率で3%〜5%とした。
表3-2 各国の最大電力と電源設備量(Base Case)
カンボジア タイ ベトナム ラオス Total 最大電力(MW) 454 38,519 17,847 548 -電源設備量(MW) 573 45,984 20,866 1,038 68,461
供給信頼度基準(hr) 24 24 24 24
-予備力(%) 11.0 9.2 8.6 8.8 -
38 例えば、Base Caseにおける必要な電源設備量が10,000MW(2015年)となった場合、2015年に計 画されている電源地点をいくつか選択し、2015年時の電源設備量が10,000MW程度になるように調整 するということ。そのため、計算上の電源開発削減可能量と実際の電源開発削減量は若干異なる。
Hydro 42%
Gas+Oil 37%
Coal 13%
Others 8%
ベトナム Total: 25,800 MW
Hydro 31%
Gas+Oil 43%
Others 26%
Total: 1,100 MW カンボディア
Hydro 100%
Total: 790 MW ラオス
Hydro 19%
Gas+Oil 56%
Coal 25%
Total: 46,900 MW タイ
Hydro 42%
Gas+Oil 37%
Coal 13%
Others 8%
ベトナム Total: 25,800 MW
Hydro 42%
Hydro 42%
Gas+Oil 37%
Gas+Oil 37%
Coal 13%
Coal 13%
Others 8%
Others 8%
ベトナム Total: 25,800 MW
ベトナム Total: 25,800 MW
Hydro 31%
Gas+Oil 43%
Others 26%
Total: 1,100 MW カンボディア
Hydro 31%
Hydro 31%
Gas+Oil 43%
Gas+Oil 43%
Others 26%
Others 26%
Total: 1,100 MW カンボディア Total: 1,100 MW
カンボディア
Hydro 100%
Total: 790 MW ラオス
Hydro 100%
Hydro 100%
Total: 790 MW ラオス Total: 790 MW
ラオス
Hydro 19%
Gas+Oil 56%
Coal 25%
Total: 46,900 MW タイ
Hydro 19%
Hydro 19%
Gas+Oil 56%
Gas+Oil 56%
Coal 25%
Coal 25%
Total: 46,900 MW タイ Total: 46,900 MW
タイ
図3-5-0 Base Case
図3-5-1 Case 1: タイ-ラオス-ベトナム連系 Base Case
LAOS System THAILAND
System
VIETNAM System 100MW
CAMBODIA System Thailand
Laos
Vietnam Cambodia
既設連系線
Case 1
LAOS System THAILAND
System
VIETNAM System 100MW
CAMBODIA System Thailand
Laos
Vietnam Cambodia
既設連系線 新設連系線
図3-5-2 Case 2: タイ-ラオス-ベトナム連系(電源線活用)
図3-5-3 Case 3: タイ-カンボジア-ベトナム連系
650MW+連系容量
1100MW+連系容量 Case 2
LAOS System THAILAND
System
VIETNAM System 100MW
CAMBODIA System Thailand
Laos
Vietnam Cambodia
既設連系線 電源線活用 連系線
Case 3
LAOS System THAILAND
System
VIETNAM System 100MW
CAMBODIA System Thailand
Laos
Vietnam Cambodia
既設連系線 新設連系線
図3-5-4 Case 4: カンボジア-ベトナム連系
図3-5-5 Case 5: タイ-ラオス-カンボジア-ベトナム連系(電源線活用)
Case 4
LAOS System THAILAND
System
VIETNAM System 100MW
CAMBODIA System Thailand
Laos
Vietnam Cambodia
既設連系線 新設連系線
1100MW+連系容量 Case 5
LAOS System THAILAND
System
VIETNAM System 100MW
CAMBODIA System Thailand
Laos
Vietnam Cambodia
既設連系線 電源線活用 連系線 新設連系線
図3-5-6 Case 6: タイ-ラオス-カンボジア連系(電源線活用)
図3-5-7 Case 7: タイ-ラオス-ベトナム-カンボジア連系(電源線活用)
1100MW+連系容量 Case 6
LAOS System THAILAND
System
VIETNAM System 100MW
CAMBODIA System Thailand
Laos
Vietnam Cambodia
既設連系線 電源線活用 連系線 新設連系線
650MW+連系容量 1100MW+連系容量
Case 7
LAOS System THAILAND
System
VIETNAM System 100MW
CAMBODIA System Thailand
Laos
Vietnam Cambodia
既設連系線 電源線活用 連系線 新設連系線
図3-5-8 Case 8: タイ-ラオス-ベトナム-カンボジア-ラオス連系(電源線活用)
図3-5-9 Case 9: ラオス-カンボジア連系
650MW+連系容量
1100MW+連系容量 Case 8
LAOS System THAILAND
System
VIETNAM System 100MW
CAMBODIA System Thailand
Laos
Vietnam Cambodia
既設連系線 電源線活用 連系線 新設連系線
Case 9
LAOS System THAILAND
System
VIETNAM System 100MW
CAMBODIA System Thailand
Laos
Vietnam Cambodia
既設連系線 新設連系線
図3-5-10 Case 10: タイ-ラオス-ベトナム-カンボジア-ラオス連系(電源線活用)
650MW+連系容量
1100MW+連系容量 Case 10
LAOS System THAILAND
System
VIETNAM System 100MW
CAMBODIA System Thailand
Laos
Vietnam Cambodia
既設連系線 電源線活用 連系線 新設連系線
(a)タイ−ラオス−ベトナム連系 連系線のみケース(Case 1 図3-5-1)
タイ系統とベトナム系統間をラオス系統経由で連系した場合について、連系送電線容量 を増加したときの供給信頼度向上による電源設備開発削減量を検討した。
図 3-6 に示されるように、2015 年における電源設備開発削減量は、連系送電線容量
1,000MWで飽和し、連系された系統全体で370MW程度である。
0 100 200 300 400
0 500 1000 1500 2000 2500
Capacity MW
Reduction MW
Laos Thailand Vietnam Total
図3-6 Case 1での電源設備開発削減量
(b)タイ−ラオス−ベトナム連系 電源線活用ケース(Case 2 図3-5-2)
タイ−ラオス−ベトナム連系を考える場合、ラオス国内には、非常に近接した地点にタ イ向けとベトナム向けの水力開発計画が存在する地域がある。よって、この送電線の容量 を増加して、連系送電線として活用すれば、連系送電線の建設コストの削減を図ることが 可能である。具体的には、 Nam Theun 水力開発地域からの常時潮流をタイ系統へ
1,100MW、ベトナム系統へ650MWとした場合を検討した。
Case 2での連系の効果を図3-7に示す。連系送電線容量1,000MWで飽和し、このとき の電源設備開発削減量の合計は370MW程度である。
0 100 200 300 400
0 500 1000 1500 2000 2500
Capacity MW
Reduction MW
Laos Thailand Vietnam Total
図3-7 Case 2での電源設備開発削減量
(c)タイ−カンボジア−ベトナム連系 連系線のみケース(Case 3 図3-5-3)
タイ系統とベトナム系統間をカンボジア系統経由で連系した場合について、供給信頼度 向上による電源設備開発削減量を検討する。
2015年における連系線のみの場合での連系の効果を図3-8に示す。この場合も連系送電
線容量1,000MWで飽和し、連系された系統全体での電源設備開発削減量は390MW程度
である。なお、タイ系統とラオス系統間には既設の連系送電線があるため、ラオスでも若 干の電源設備開発削減効果が発生する。
0 100 200 300 400 500
0 500 1000 1500 2000 2500
Capacity MW
Reduction MW
Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
図3-8 Case 3での電源設備開発削減量
(d)カンボジア−ベトナム連系 連系線のみケース(Case 4 図3-5-4)
カンボジア系統とベトナム系統を連系した場合について、供給信頼度向上による電源設 備開発削減量を検討する。
2015年における連系の効果を図3-9に示す。この場合は連系送電線容量100MWで飽 和し、連系された系統内での電源設備開発削減量は35MW程度である。
0 10 20 30 40 50
0 20 40 60 80 100 120 140
Capacity MW
Reduction MW
Cambodia Vietnam Total
図3-9 Case 4での電源設備開発削減量
(e)タイ−ラオス−カンボジア−ベトナム連系 電源線活用ケース(Case 5 図3-5-5) タイ系統とベトナム系統間をラオス系統ならびにカンボジア系統を経由して連系した場 合の電源設備開発削減量を検討した。なお、建設コスト削減の観点から、タイ系統−ラオ ス系統間の連系には、Case 2同様に電源線を活用するものとした。
Case 5における連系の効果を図3-10に示す。連系送電線容量1,000MWで飽和し、こ のときの電源設備開発削減量の合計は410MW程度である。
0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
0 500 1000 1500 2000 2500
Capacity MW
Reduction MW
Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
図3-10 Case 5での電源設備開発削減量
(f)タイ−ラオス−カンボジア連系 電源線活用ケース(Case 6 図3-5-6)
タイ系統とラオス系統間との連系に加えて、カンボジア系統を連系した場合の電源設備 開発削減量を検討した。なお、建設コスト削減の観点から、タイ系統−ラオス系統間の連
系にはCase 2、5同様に電源線を活用するものとした。
Case 6における連系の効果を図3-11に示す。連系送電線容量100MWで飽和し、この ときの電源設備開発削減量の合計は100MW程度である。
0 50 100 150
0 50 100 150 200 250
Capacity MW
Reduction MW
Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
図3-11 Case 6での電源設備開発削減量
(g) タイ−ラオス−ベトナム−カンボジア連系 電源線活用ケース (Case 7 図3-5-7) タイ系統とベトナム系統間をラオス系統経由と、カンボジア系統経由の2ルートで連系 した場合の電源設備開発削減量を検討した。なお、建設コスト削減の観点から、タイ−ラ オス−ベトナム連系にはCase 2同様に電源線を活用するものとした。
Case 7における連系の効果を図3-12に示す。連系送電線容量500MWで飽和し、こ
のときの電源設備開発削減量の合計は410MW程度である。
0 100 200 300 400 500
0 500 1000 1500 2000 2500
Capacity MW
Reduction MW
Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
図3-12 Case 7での電源設備開発削減量
(h)タイ−ラオス−ベトナム−カンボジア−ラオス連系 電源線活用ケース
(Case 8 図3-5-8)
次に、Case 7に加えてラオス系統とカンボジア系統間を連系した場合の電源設備開発削
減量を検討した。なお、建設コスト削減の観点から、タイ−ラオス−ベトナム連系にはCase 2同様に電源線を活用するものとした。
Case 8における連系の効果を図3-13に示す。連系送電線容量500MWで飽和し、この
ときの電源設備開発削減量の合計は410MW程度である。
0 100 200 300 400 500
0 500 1000 1500 2000 2500
Capacity MW
Reduction MW
Cambodia Laos Thailand Vietnam Total
図3-13 Case 8での電源設備開発削減量