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日本における広域運営

ドキュメント内 橡99.表紙・裏表紙.doc (ページ 133-136)

第 5 章  国際連系送電線実現に向けての支援

参考 1  日本における広域運営

(1.1)電力会社の形態 

日本では発電から配電まで一貫して行う一般電気事業者(電力会社)が10社あり、それ ぞれ決められた地域に電気を供給している。図-参1に日本の電力会社間の連系状況を示す。

10社のうち沖縄を除く9社の電力系統は、北から南まで約2,000kmの日本列島を250kV 以上の超高圧送電線などの電力設備で連系されている。

北海道

東京

四国

中国  関西 中部 九州

北陸 東北

50Hz 60Hz

図-参1  日本の電力会社

(1.2)広域運営体制 

広域運営のためのネットワークを有する一般電気事業者と卸電気事業者で中央電力協議 会54(Central Electric Power Council)を組織し、各社の負担金で運営している。中央電 力協議会の中には、各社の社長で構成する中央電力委員会(Central Electric Power Committee)を設置し、電力需給の安定ならびに事業運営の効率性向上などの広域運営に 関する重要事項の審議を行っている。また、広域給電運用の日常管理、電力融通の斡旋・調 整・指示を行う実務機関として、関係各社の出向社員で構成される中央給電連絡指令所

(Central Load Dispatching Liaison Office: CLDLO)を任意団体として設置し、各社の負 担金で運営している。

(1.3)広域給電運用の仕組み 

電力融通には「二社間融通」(Bilateral Power Exchange)と「全国融通」(Nationwide Power Exchange)がある。

「二社間融通」は、会社間で締結された契約に基づき実施され、特定電源または特定地域 の需要を対象に実施される。

54 中央電力協議会の詳細については、http://www.cepc.gr.jp/を参照。

「全国融通」は、中央電力協議会の会員会社が締結した契約などに基づき実施され、需給 の不均衡を緩和するために行う「需給相互応援融通」(Power Exchange for Mutually Balancing Demand and Supply)、軽負荷時のベース供給余力を相互に有効活用するために 行う「広域相互協力融通」(Wide-Area Mutual Cooperative Power Exchange)、送受電会 社間の運転費の格差を利用して、双方の運転費を節減する「経済融通」(Power Exchange for Economical Operation)がある。

経済融通は経済性を追求する市場として、特定規模電気事業者(Power Producer and Suppliers: PPSs)にも開放している。

1)需給相互応援融通電力

ある電力会社が、設備のトラブルや、天候の急変などによる需要急増で供給力不足が発 生した場合、または予想される場合に、供給力に余裕のある電力会社から電力を応援融通 するものである。電力料金単価は、送電側の会社の運転費単価(燃料費に相当)に、固定 費に相当する加算金を加える。受電側の会社が受電を申し入れる時期によって、「運転予 備電力」(Power Exchange for Balancing Demand and Supply Using Hot Reserve)

(随時)と「随時応援電力」(Unscheduled Power Exchange for Balancing Demand and Supply)(原則前日)に分けられ、加算金の値が両者で異なっている。

2)広域相互協力融通電力

例えば、需要の下がる深夜に大雨により水力の発電量が多くなり、自系統の供給力が需 要を上回ってしまうような場合に、他系統にその余力を送電して資源の有効活用を図るも の。電力料金単価は、送電側の会社の運転費単価と受電側の会社の運転費単価の平均とす るが、送電側の会社の運転費単価は基本的には余剰分であるため、相当低いレベルに設定 されている。送電側の会社が送電を申し入れる時期によって、「広域協力 A 電力」

(Wide-Area Cooperative Power A)(前日15時まで)と「広域協力B電力」(Wide-Area Cooperative Power B)(随時)に分けられ、送電側の会社の運転費単価はAとBで異な る。

3)経済融通電力

各社間の運転費に差がある場合、低運転費の発電設備に余力のある会社がその設備の出 力を増加して送電し、一方、高運転費の会社が発電設備の出力を抑制し、双方の発電設備 を効率的に運用してトータルの運転費の節減を図るもの。電力料金単価は送電側の会社の 運転費単価と受電側の会社の運転費単価の平均とし、双方が均等にメリットを享受する。

(1.4)新しい経済融通の仕組み 

日本では2001年4月1日から新しい経済融通の仕組みを導入した。

あらかじめ「経済融通斡旋システム」に登録した経済融通参加者は、インターネットを介 して、中央給電連絡指令所に受電(または送電)希望の申し出と、その希望に対する送電(ま たは受電)の応募の申し出を行う。その申し出に対して、中央給電連絡指令所では「経済融 通斡旋システム」により、経済効果の大きいものから順次選定して、自動的に組み合わせ処

理を行い、経済融通電力の受給を決定し各社に指示を出す。

(1.4.1)斡旋のスケジュール 

需給状況に応じた柔軟な対応ができるように、対象時間を毎日 2 回に分けて斡旋を行っ ており、各斡旋は二つのステップに分かれている。

当日の22時から翌日の13時までの受給を対象とする一次斡旋の場合は、ステップ1と して、17時から17時30分まで送電希望の申し出を受け付け、希望内容を参加者に開示し た後17時30分から18時まで受電応募の申し出を受け付ける。18時から19時の間で単価 差が最大となる送電者・受電者を選定し、組み合わせ結果を参加者全員に開示し、成立した 関係者には受給内容(料金、送受電量、時間など)を通知する。

ステップ2は、19時から19時30分まで受電希望の申し出を受け付け、希望内容を参加 者に開示した後19時30分から20時まで送電応募の申し出を受け付ける。20時から21時 の間で同様に単価差が最大となる送電者・受電者を選定する。

翌日の13時から22時までの受給を対象とする二次斡旋は、翌日の8時から12時の間で、

一次斡旋と同様の手順で実施される。

(1.4.2)経済融通の判定方法 

経済効果の判定に際しては、希望者と応募者の単価差が大きい組み合わせから順次選定す る。その際、電気の受給経路で必要となる電力中継に関わる経費や送電ロスも考慮している。

なお、受給時間は30分単位、受給電力は1000kW単位で決定される。

(1.4.3)料金の精算 

送電者、受電者間での料金の授受については、地域の電力会社が仲介して決済している。

このため、地域の電力会社以外の参加者は、あらかじめ契約を結んだ地域の電力会社と金銭 の授受を行うシステムとなっている。

受電者は、受電者と送電者の申し出単価の平均に、電気の受給経路で必要となる電力中継 に関わる経費(振替供給料金)と送電ロス分の1/2の料金を加えたものを支払う。その他に、

送電者・受電者双方がそれぞれ、中央給電連絡指令所に融通成立料金として 0.01 円/kWh を支払う。

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