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エネルギー資源のポテンシャル

ドキュメント内 橡99.表紙・裏表紙.doc (ページ 30-33)

第 2 章  電力セクターの現状と将来計画

2.1  社会情勢の現状

2.1.3  エネルギー資源のポテンシャル

下、未成熟な投資環境など、懸念材料も依然残っている。

1)主要産業:農林水産業、鉱業

2)GDP:264億ドル(1998年IMF資料)

3)一人当りGNP:372ドル(1999年IMF資料)

4)経済成長率:6.7%(2000年政府公表)

5)物価上昇率:-0.6%(2000年政府公表)

6)失業率:7.4%(1999年政府公表)

7)貿易額(2000年)、主要貿易品目(2000年)、貿易相手国(1999年)

a)輸出:143億ドル 原油、繊維、履物類

日本、シンガポール、中国、豪 b)輸入:152億ドル

機械、石油製品、衣料品材料 シンガポール、台湾、日本、韓国

8)通貨:ドン(Dong)、為替レート:1ドル=14,071ドン(2000年6月)

9)外国からの投資実績:374億ドル(2000年12月現在)

2.1.3  エネルギー資源のポテンシャル   

(1)カンボジア2 1)水力

カンボジアはバサック川やトンレサップ川などの多数の国内河川を抱えると共に、国際河 川である大河メコンが北部から南部に貫流しており、またメコン河との高低差により雨季・

乾季の調整池となっているトンレサップ湖が北西部に存在することから、膨大な水資源に恵 まれている。

なお、年間の降水量は地域(平地と高地)によって 1,400〜3,600mmと差があるが、そ

の 85%は雨季に集中しており、農業国であるカンボジアにとってトンレサップ湖の調整池

としての役割は絶大である。

現在、全国規模の包蔵水力は正確に把握されていないが、カンボジアが内戦に入る前にメ コン委員会が作成した「メコン開発計画」では、メコン本流の電源開発計画として当時の計 画だけでも合計5〜12GWの開発が考えられていた。

なお、1995年「インドシナ地域の総合開発」においてアジア開発銀行(Asian Development Bank: ADB)が発表した報告によると、カンボジアにおける経済的に開発可能な包蔵水力 は、8.6GWと推定されている。

また、鉱工業エネルギー省(Ministry of Industry, Mines and Energy: MIME)では、全 国の包蔵水力を約10GWと見積もっている。

2 新エネルギー・産業技術総合開発機構(1999)

2)石油・天然ガス

石油・天然ガスの埋蔵量については、ハワイに本部を置く、East West Centerがカンボ ジア沖合に隣接する地域の地質データを基に試算した結果、原油が5,000万〜1億バレル、

天然ガスが1兆5,000億〜3兆5,000億立方フィート存在すると予想している。

3)森林資源

カンボジアは、国土の約 40%がメコンデルタやトンレサップ盆地に代表されるような低 平地や平原であるが、ベトナム、ラオス、タイとの国境沿いには、それぞれ丘陵や高原ある いは山脈が連なっている。これらの高地はいずれも密林地帯となっており、熱帯広葉樹や落 葉樹に覆われた森林が広がっている。こうした高地の森林は、度重なる動乱(内戦や紛争)

の影響から一切植林などされず、人の手が加わらなかったことで幸いにも自然の状態がたも たれている。このため、アジアでも有数の原生林帯が多数残っている。

このようにカンボジアは森林資源に恵まれており、古くから薪や木炭などが盛んに利用さ れてきた。現在でも、多くの家庭では薪や木炭といった非商業エネルギーが生活に欠かせな いエネルギー源になっており、商業エネルギーを遥かに上回る量が消費されている。

しかしながら、近年では森林破壊が大きな問題として浮上してきている。森林破壊の原因 としては、燃料としての薪や木炭の利用や山岳民族による焼き畑農耕に加え、木材輸出を目 的とした森林伐採が上げられている。特に問題になっているのが、無計画な森林伐採である。

動乱が続いていた時期には、対立する各党派とも木材輸出が重要な外貨獲得源であったため、

合法・非合法を問わず各地で森林の伐採が続けられた。このため森林面積は、1960年代か ら1980年代にかけて、20%以上も減少したと伝えられている。なお、1996年末現在の森 林面積は国土の62%となっている。

(2)ラオス3

ラオスでは、商業エネルギーがあまり普及しておらず、国内で使用されるエネルギーの 90%が木材燃料で占められているのが現状である。

1)水力

ラオスの水力資源は非常に豊富で、メコン本流を除いても約26.5GWの包蔵水力がある。

その内18GWが技術的に開発可能であるが、過去30年間で開発されたのはわずか2%にも 満たない。そこで、この豊富な水力の利用促進を目的とした外資の導入が図られ、23 地点 について水力開発の覚書(Memorandum of Understanding)が交わされている。

2)石油

ラオスの石油資源についてはまだ未知数であるが、現在、外資により 3 つの鉱区で探査 が行われている。しかし、ベトナム戦争中に敷設された地雷や不発弾が多数残存することか ら、本格的な探査活動はこれからといった段階である。また、ラオスは内陸国で港がなく、

石油精製施設も持たないため、石油開発には原油輸送、石油精製が最大の問題となる。この

ため、P.S.契約(生産分与契約)の中には、ベトナム東海岸までのパイプライン建設が明記

3 海外電力調査会(1998)

されている。

3)石炭

ボンサリー州、 サヤブリー州、ヴィエンチャン州、シェンクァン州、カモワン州、サラ ワン州で石炭の埋蔵が確認されている。ラオスは森林国家であり、石炭が埋蔵されている可 能性は高いと思われる。現在はヴィエンチャン州のポーチャン地区において年間 1,000 ト ン(1994年)程度の無煙炭が採掘されているにすぎない。しかし、タイとの共同出資によ り、石炭を開発し、それを燃料とする火力発電所を建設して、その電力をタイへ送電する計 画が数ヶ所で進められている。この計画が実現した場合には、石炭の生産量は飛躍的に伸び る可能性がある。

4)木材燃料

ラオスは国土の約半分が森林に覆われており、森林資源は豊富である。しかし、木材や製 材の輸出、違法伐採などにより著しい減少を見せたため、現在伐採は許可制となり、開発公 社により伐採の管理・違法伐採および密輸取り締まりが行われている。薪などの非商業エネ ルギーは、国内エネルギー消費の約90%を占めており、薪の生産量は年率3%(1991〜1994 年)の割合で増加している。

(3)タイ4 1)水力

タイにおける包蔵水力は、およそ15GWと推定されている。2000年4月の段階では、こ

の約 26%に相当する 3,900MW が開発されているに過ぎない。この 3,900MW の内

2,900MWは運転中であり、1,000MW分については建設中または実施決定分である。残り

の11GW(全体の約74%)については、環境負荷が大きく開発が困難であるとされている。

したがって今後の開発については、小規模なもの、環境への影響が少ないものに限られる。

2)石油

石油はこの国の主たるエネルギー源ではないが、確認されている石油埋蔵量はおよそ9.1 億バレルと想定されている。現在国内で消費されるほとんどの石油は、輸入品である。

3)ガス

天然ガスの埋蔵量は約33.3 兆立方フィートであり、この内4.0兆立方フィートが電力産 業で使用されている。回収可能な埋蔵量は29.3兆立方フィートと想定されている。ガス田 のほとんどはシャム湾沖合に位置している。

4)石炭(褐炭)

全国的に様々な褐炭が分布している。推定埋蔵量は、およそ24億トンである。タイ国発 電公社(Electricity Generating Authority of Thailand: EGAT)は、これまでに褐炭を燃

4 EGAT. 2000b.

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