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溶接施工試験

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第 5 章 溶接接合

5.8 溶接施工試験

溶接欠陥の種類 補修方法

溶接割れ 溶接割れの原因を究明し,その原因にあった補修方法にて行う.溶接割れは完全に 除去する.

ピット アークエアガウジングまたはグラインダーにて除去し,再溶接する.

ビード表面の凹凸 グラインダーにて仕上げる.

アンダーカット 程度により,グラインダーにて仕上げるか,アンダーカット箇所を再溶接する.

オーバーラップ グラインダーにて仕上げるか,オーバーラップ箇所を再溶接する.

アークストライク 溶接後グラインダーにて仕上げる.ただし僅かな痕跡なものはグラインダー仕上げ のみとする.

内部きず アークエアガウジングまたはグラインダーにて完全に除去し,再溶接する.

開先溶接余盛り過大 許容値内となるようにグラインダーにて仕上げる.特に止端部は滑らかに仕上げる.

スタッド溶接部の外観不良

および曲げ試験不合格 スタッドジベルを母材の手前で切断し母材面まで平滑に仕上げた後,再溶接する.

【解  説】 

  溶接施工試験は,設計で要求された溶接継手の性能を確実に確保できるかを確認するために行い,使用する鋼 材の溶接性や溶接材料の特性,溶接部の機械的性質や内部品質など,溶接施工試験で何を確認するかを明確にし て実施する.下記事項に該当する場合は溶接施工試験を行うことが望ましい.

1)

被覆アーク溶接,マグ溶接,サブマージアーク溶接以外の溶接方法にて行う場合

2)

使用実績がない鋼材や溶接材料を使用する場合

   

3)

採用する溶接施工方法(開先形状,予熱,溶接方法,溶接姿勢など)の施工実績がない場合

  鋼道路橋は,調質鋼または厚板となる

SM570, SMA570W, SM520

SMA490W

においては

1

パスの入熱量が

7,000J/

㎜を超える場合,

SM490

SM490Y

においては

1

パスの入熱量が

10,000J/

㎜を超える場合に溶接施工試験

の実施を規定しており[日本道路協会,2002a],「

5.1

溶接継手の要求性能」で記述したように,入熱量が高くなるエ レクトロガスアーク溶接やエレクトロスラグ溶接,および多電極でのマグ溶接やサブマージアーク溶接を採用す る場合は溶接施工試験を実施し,特にじん性について十分確認しておく必要がある.

  溶接施工試験は,採用する開先形状や溶接方法および溶接姿勢ごとに行うのが望ましいが,使用する鋼材の種 類や板厚および溶接材料,すみ肉溶接の脚長については,区分を設定して行うのがよい.この区分については,

JIS Z 3040

「溶接施工方法の確認試験方法」や

JIS Z 3422-1

「金属材料の溶接施工要領およびその承認−溶接施工

法」が参考にでき,この規格における突合せ継手の母材の厚さの区分を表-解

5.8.1

に,すみ肉溶接継手ののど厚 の区分を表-解

5.8.2

に示す.例えば,突合せ継手の溶接施工試験で試験材の板厚が

20

㎜の場合,この試験が有 効となる実際の突合せ継手の板厚範囲は,多層溶接では板厚

10

40

㎜,両面

1

パス溶接では

16

22

㎜となる.

すみ肉継手ではのど厚による区分となる.

5.8

  溶接施工試験   

設計で要求された溶接継手の性能が確保できることを確認するために,必要に応じて溶接施工試験を実 施するものとする.

表-解5.8.1  突合せ継手の母材の厚さの区分 

単位:

mm

母材の厚さの区分 (T)

試験材の厚さ  (t) 片面1パス溶接

または両面1パス溶接 多層溶接

3以下 t以上  2t以下

3を超え12以下 3以上  2t以下

12を超え100以下 0.5t以上  2t以下

最大150 100を超えるもの

0.8t以上  1.1t以下

0.5t以上  1.5t以下

表-解5.8.2  すみ肉継手の場合のすみ肉溶接ののど厚の区分        単位:

mm

試験溶接ののど厚 

(l)

すみ肉溶接ののど厚の区分 

(L)

10

以下

0.75l

以上 

1.5l

以下

10

を超えるもの

10

以上       母材の厚さは区分としない

  溶接施工試験の試験項目は,試験の目的に応じて選定するのがよい.参考に,鋼道路橋における試験項目およ び試験体形状と試験片採取位置を表-解

5.8.3

および図-解

5.8.1,2

示す[日本道路協会,2002a].なお,衝撃試験の採取 位置は,大入熱溶接ではボンド部からも採取するなど,試験の目的に応じて検討するのが望ましい.

  製作する鋼構造物の施工実績がない場合は,必要に応じて実物大試験体を用い,溶接品質だけでなく溶接収縮 量や溶接変形,および全体形状も確認し,そこで知り得た事項を実施工に反映させることも考えられる.

  溶接品質が最終的な品質検査で不適合と判断された場合に是正処置が困難な場合は,溶接過程において適切な 方法で溶接品質を確認することが望ましい.ISO 10721-2では,応力と直角方向の開先溶接部の機械的性質はタ ブ材試験により確認するのが望ましいとしており,継手引張試験,曲げ試験,衝撃試験を実施することにしてい る[ISO,1999].

表-解5.8.3  溶接施工試験の試験項目  試験の

種類 試験項目 試験片

形  状

試験片

個  数 試験方法 判  定  基  準 引張試験 JIS Z 3121

1号 2 JIS Z 2241 引張強さが母材の規格値以上

型曲げ試験

19㎜未満裏曲げ)

19㎜以上側曲げ)

JIS Z 3122 2 JIS Z 3122 原則として,きれつが生じてはならない

衝撃試験 JIS Z 2202

Vノッチ 各部位3 JIS Z 2242 溶接金属および溶接熱影響部で母材の 規格値以上(3個の平均値)

マクロ試験 ――― 1 JIS G 0553

に準ずる 欠陥があってはならない

開先溶接試験

非破壊試験 ――― 継手全長

JIS Z 3104 または JIS Z 3060

各基準による すみ肉

溶接試験 マクロ試験 ――― 1 JIS G 0553

に準ずる 欠陥があってはならない

引張試験 JIS Z 1198 2 JIS Z 2241

降伏点:235N/㎜2以上 引張強さ:400〜550 N/㎜2以上 伸び:20%以上

ただし溶接部で切れてはならない スタッド

溶接試験

曲げ試験 JIS Z 3145 2 JIS Z 3145 溶接部にきれつを生じてはならない

 (a) 溶接金属部       (b) 熱影響部  

図-解5.8.1  開先溶接試験の試験体形状と試験片採取位置 

t

t/4または t/4付近

t

t/4または t/4付近 HAZ1(フュ−ジュンライ

ンの外側1mmにノッチ中央 を合わせる)

 

試験  

 

試験   型曲げ 試験   型曲げ

試験  

 

試験   マク

試験  

   

   

100以上

100以上 板厚により変化する 25以上 10

実際に用いる 開先とする

250以上

図-解5.8.2  すみ肉溶接試験の試験体形状と試験片採取位置

【解  説】 

  融接による溶接接合を行うと,溶接熱による材料の膨張・収縮により溶接ひずみが生じる.この溶接ひずみに より,「

7.4

部材の精度確認」に示した許容値から外れるなど鋼構造物の性能に影響がある場合には矯正する必 要があり,矯正の方法としてプレス矯正やローラー矯正などの機械矯正法,およびガス炎による線状加熱矯正法 がある.加熱矯正法は加熱温度および冷却温度の管理が重要であり,温度については「

3.7

歪矯正」を参考にす るとよい.なお,加熱矯正法による温度管理は一般的に温度チョークなどの感温材にて行われている.

  溶接ひずみの角変形への対策として,組立前に角変形する逆方向に角変形する量を予ひずみとして設けておく 方法があり,溶接後のひずみ矯正が困難な継手やひずみ矯正の省力化に有効である.

【解  説】 

  溶接部の仕上げは,景観への配慮,疲労強度向上など設計で要求される性能を確保させるために適切な方法で 行わなければならない.

景観への配慮のための余盛りビード仕上げは,突合せ継手の余盛りビードをディスクグラインダーにて母材面 まで平滑に仕上げることが多いが,過度な削り込みにより母材厚以下とならないようにし,特に片面裏波溶接の 場合は,溶接による角変形が生じ母材厚以下まで削り込む恐れがあるため注意する必要がある.なお,母材面の 削り込みが過度にならないように削り込み深さを

0.5

㎜以下として仕上げるのがよい.

  疲労強度の向上のための仕上げでは,突合せ継手の場合は上述した余盛りビードの仕上げ方法にて行うのが望 ましく,特に止端のラインが残らないように滑らかに仕上げるのがよい.また,仕上げ後のグラインダー跡が疲 労に影響するため,グラインダー跡の方向(仕上げ方向)は応力が作用する方向とすることや,表面粗さにも配 慮が必要である.本州四国連絡橋公団の「鋼橋等製作基準」では表面粗さは

50s

50µmRz

)以下としており[本 州四国連絡橋公団,1993],これが参考にできる.T継手や十字継手の仕上げも突合せ継手と同様であり,溶接ビー ドの波目や止端のラインが残らないように滑らかに仕上げ,仕上げ方向や表面粗さにも配慮するのがよい.ビー ド全体のR仕上げや止端部のR仕上げの要求がある場合は,仕上げ見本やRをゲージにて管理するのが望ましい.

     

     

マクロ試験片 7t

t 7t’

tʼ 

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