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切断・切削

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第 3 章 鋼材加工

3.4 切断・切削

向上により,圧延方向による材料の機械的性能には大きな影響が生じなくなりつつある.近年では,罫書き段階 における各鋼材の材料への配置(板取)について,特に圧延方向に配慮する必要がなくなっているが,適用され る材料の性能によっては,その方向性が無視できない場合も想定されるので,そのような場合には,以下のよう な規定を参考にするとよい. 

道路橋示方書では鋼板の圧延方向と圧延直角方向で伸びについては

10

%〜

15

%,絞りについては

5

%〜

15

%程 度圧延直角方向が小さく,またシャルピー吸収エネルギーは圧延直角方向が圧延方向の

1/2

程度の値を示す場合 がある,と記述されており,同士方書では,主要部材の主応力方向は,圧延方向に一致させる事を原則とすると 決めている.また,

AASHTO

でも主要部材のウエブやフランジと引張り主部材の添接板は,主となるロール方 向が引張り力や圧縮力の方向と平行になるように,切断・製作しなければならないと規定している.よって,鋼 材の品質に方向性がある場合には,そのことを考慮して原板への各鋼材の配置には充分な配慮を施す必要がある.

各鋼材は原板から切り離されると,材質や圧延方向が判らなくなるので,板取りの最終段階で,これら性能に 影響する情報が正しく各鋼材に転記されたことを確認することが,品質の確保上必要である.厳格な品質管理を 要求される場合には,これら情報が間違いないことの記録(証拠)を残し,品質管理上のエビデンスとし,保管 する必要が生じる場合がある. 

   

3.4

切断・切削   

切断・切削は作業時に生じる加熱冷却の過程で鋼材の性能を損なわず,また,最終的な必要精度を確保でき  る方法であること 

 

【解  説】 

  鋼材の切断方法は,鉄を溶融させ酸化反応の助けを得て切断する方法と機械的に切断する方法に大別される.

溶融切断ではその熱源としてガス,プラズマ,またはレーザー等の各種切断方法が一般的であるが,いずれの場 合も切断された鋼板が熱的な影響を受け,部分硬化により性能を損うことがないように十分配慮された手法また は方法である必要がある.一般に鋼構造物の製作過程で用いられている切断の状況写真を写真-解

3.4.1〜3.4.3

に 示す.

           

      写真-解3.4.1  ガス切断状況      写真-解3.4.2  プラズマ切断状況 

                   

        写真-解3.4.3  レーザー切断状況   

一般に用いられる鋼種・板厚では,前述の各種熱源を用いた切断の場合,大きく鋼板の性能に悪影響を与えるこ とはないと考えられ,広く用いられているが,熱源毎の得失については,表

-

3.4.1

が参考となる.また,現在 鋼構造物製作のために開発された切断装置では,切断可能板厚に限界があり,通常の構造用鋼材を切断する場合,

レーザー切断の場合で

25mm

程度,プラズマ切断の場合で

40mm

程度と言われている.ガス切断は100mm以上 の板厚でも切断可能であり,一般の鋼構造物に用いられる板厚範囲であれば,十分に切断可能であると言える.

 

          表-解3.4.1  切断熱源による得失 

    レーザー切断  プラズマ切断  ガス切断 

パワー密度  大  中  小 

切断速度  中  大  小 

切断溝幅  小  大  中 

切断寸法精度  良  普通  悪 

切断面傾斜度  良  悪  良 

切断面粗さ  普通  良  普通 

上縁の溶け  良  悪  普通 

多本同時切断  困難  普通  容易 

網掛け部分:他の切断方法より優れている項目     

機械的な切断方法の場合にも切断作業時の冷却が十分施されていれば切断部分の材質劣化はさほど問題とな らない場合が多い.基準によっては,切断面の硬度を規定している場合もあり,切断面の硬度上昇を生じさせな い適正な手法で行われなければならない. 

切断精度に対する要求性能としては,後の施工段階で品質上の問題をおこさない精度,表面粗度,切断面の直 角度等々が確保できる方法である必要がある.もちろん切断だけでは,そのような精度確保ができない場合,切 断面に対し切削を用いて最終的に精度の確保をするという手法も考えられるので,構造物が要求する精度から,

各鋼材に求められる必要精度の確保において,切断・切削の各種方法を用いて,その精度確保をすることが重要 である.道路橋示方書では切断・切削面に対し表-解

3.4.2

のような精度が求められている. 

 

  表-解3.4.2    切断,切削面の品質   

    主要部材  二次部材 

  最大表面あらさ i)        50 μmRy以下    100 μmRy以下 iii)     ノッチ深さ ii)          あってはならない    1 mm以下       スラグ        塊状のスラグが点在し付着しているが,こん跡を残さず容易に剥離するもの

    上縁の溶け          わずかに丸みをおびているが,滑らかな状態のもの 注):  i) 最大表面粗さとは,JIS B 0601(1994)に規定する表面粗さの最大高さとする 

       ii)  ノッチ深さは,ノッチ上縁から谷までの深さを示す        iii)  切削による場合には 50μmRy以下とする 

なお,JIS B 0601(1994)に規定する最大高さ

Ry

とは,「基準長さ毎の最低谷底から最大山頂までの高さ」のこ とであり,図

-

3.4.1

に概念図を示す.ただし,最新版の

JIS B 0601(2001)

では,表面粗さは

10

点平均値

R

ZJIS

として規定されている.

 

      図-解3.4.1  Ryの概念図   

機械的な切断を用いる場合には板端部に肩落ちやかえりがどうしても生じるので,その鋼材の使われる場所や 要求性能を判断して使用の可否が定められる場合がある.例えば,道路橋示方書では,フィラー,タイプレート,

型鋼,板厚

10mm

以下のガセットプレートおよび補剛材には機械的な切断(せん断切断)を,はなはだしい肩 落ち,かえりまたは不ぞろい等を平滑に仕上げることを条件に許容している.

近年は,

ISO 10721-2

のように,ガス切断や機械的な切断は,切断縁が最高硬さや粗さの国内規準を超えない

場合に許可されると品質のみを規定する基準や,AASHTO のように,切断面の目視検査基準と手直し要領が定 められており,出来上がった切断面の品質がある一定の基準を満足すれば手法については問わないという考え方 が一般的である.

  最終的に鋼構造物の防錆方法として塗装が選択される場合には,鋼板の端部でフリーエッジとなる部分の塗膜 厚確保が非常に難しく,面取り加工が要求される.面取り加工に対する要求性能は,構造物の種類やその鋼板が 用いられる部位によって大きく異なるが,近年では,グラインダーによる仕上げ以外に,切削で端部を

2R

3R

に加工することが多くなっている.

R

面取り加工は専用の固定式加工設備,簡易型の機械や手動の切削機等々が 用いられる.その施工例を写真

-

3.4.4

と写真

-

3.4.5

に示すので,参考にされるとよい. 

       

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