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予熱

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第 5 章 溶接接合

5.4 予熱

溶接に先立って,溶接割れを防止するために必要に応じて予熱温度を設定し,予熱を行わなければなら ない.

予熱においては熱変形への配慮も必要となる.予熱温度が高い場合や細幅断面部材の場合などでは特に熱変形 が大きくなり部材精度の確保が難しくなるため,溶接後の溶接変形が最小限となるように対称的に予熱(溶接)

するなど予熱順序(溶接順序)を十分検討するのがよい.また,狭隘部での高温の予熱は溶接作業環境が悪くな るため安全面にも配慮が必要となる.このように,熱変形の低減や作業環境の改善を行う必要がある場合は,予 熱温度を低減することができる予熱低減鋼などの採用の検討を行うのが望ましい.

表-解5.4.1  PCM値と予熱温度の標準  予熱温度( 板厚区分(㎜)

PCM 溶接方法

t25 25t40 40t100

SMAW 予熱なし 予熱なし 予熱なし

0.21

GMAWSAW 予熱なし 予熱なし 予熱なし

SMAW 予熱なし 予熱なし 予熱なし

0.22

GMAWSAW 予熱なし 予熱なし 予熱なし

SMAW 予熱なし 予熱なし 50

0.23

GMAW,SAW 予熱なし 予熱なし 予熱なし

SMAW 予熱なし 予熱なし 50

0.24

GMAW,SAW 予熱なし 予熱なし 予熱なし

SMAW 予熱なし 50 50

0.25

GMAWSAW 予熱なし 予熱なし 50

SMAW 予熱なし 50 80

0.26

GMAW,SAW 予熱なし 予熱なし 50

SMAW 50 80 80

0.27

GMAW,SAW 予熱なし 50 50

SMAW 50 80 100

0.28

GMAWSAW 50 50 80

SMAW 80 100 100

0.28

GMAWSAW 50 80 80

      SMAW:低水素系の溶接棒による被覆アーク溶接        GMAW:ガスシールドアーク溶接

       SAW  :サブマージアーク溶接

    注 1)予熱なしについては,気温(室内の場合は室温)が5℃以下の場合は結露除去のためのウォームアップ(20℃程 度に加熱)を行う.

        2)予熱温度算定式

        Tp(℃)= 1,440Pw392         Pw PCMHGL/60+K/400,000       ここに,

        Tp:予熱温度(℃)

        Pw:溶接われ感受性指数         PCM:溶接割れ感受性組成(%)

        PCM=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+B

        3)表中の予熱温度は下記の仮定に基づき,算出したものである.

          a) 溶接金属の拡散性水素量(HD

      低水素系被覆アーク溶接の場合          HGL2ml/10g       サブマージアーク溶接およびガスシールドアーク溶接の場合         HGL1ml/10g           b) 溶接継手の拘束度(K

      橋梁溶接継手の平均的な拘束度として板厚t200倍を想定        K=200t(N/㎜・㎜)

      板厚tは,50㎜以上の場合は50㎜とする.

表-解5.4.2  鋼構造物の溶接継手の拘束度 溶接継手の位置 板厚(h)

拘束度係数

Ko Kg/㎜・㎜

拘束度

K Kg/㎜・㎜

横隔壁 16 102 1,640

縦隔壁 13.5 93 1,260

船側外板 20 44 890

船底外板 28 25 690

28 26 730

28 28 780

上甲板 32 40 1,280

船体構造

32 38 1,220

甲板 30 29 880

縦桁 30 18 550

30 13 400

船体構造

30 13 380

かど継手(箱桁部材) 50-75 16 900

50-75 69 3,440

50-75 68 3,420

橋梁

50-75 40 1,980

かど継手(箱桁部材) 32-38 11 340 ダイヤフラムとウェブ 19-38 11 200

橋梁

ダイヤフラムとフランジ 25-50 14 700

橋梁

ダイヤフラムとフランジ 40-60 45 1,800

柱梁仕口 12 41 490

28 39 1,090

建築鉄骨

34 19 630

赤道帯縦継手 32 26

(41) 830 (1,300) 赤道帯と下部温帯間横

継手 32 31

(81)

1,000 (2,600)

球形タンク

極板取付け溶接継手 32 38 (66)

1,200 (2,100)

板厚50㎜以下の場合  :開先の縁からA(=4×t),かつ50㎜を超えない位置 板厚50㎜を超える場合:開先の縁から75㎜離れた位置

突合せ継手の例      T継手の例

図-解5.4.1  予熱温度の測定位置 

【解  説】 

  組立溶接は,本溶接の溶接方法によっては全て再溶融される場合もあるが,一般には再溶融せずに残留するこ とが多いため,組立溶接の品質を確保するために本溶接と同様な管理が必要となる.なお,設計において組立溶 接を再溶融させる要求がある場合は,サブマージアーク溶接など組立溶接を確実に再溶融できる溶接方法の採用,

または本溶接の際にアークエアガウジングやグラインダーにて組立溶接を除去しながら溶接するなど,予め施工 方法を計画しておくのがよい.本溶接の際に組立溶接を除去する場合は,母材を傷めないように注意が必要であ る.組立溶接が再溶融しない溶接方法で完全溶込み溶接を行う場合は,溶接品質を確実に確保するために組立溶 接を裏はつり側に行うのがよい.また,疲労を考慮するすみ肉溶接継手の部材端部は確実に溶込みを得るように 施工することが重要であり,組立溶接で部材端部を廻し溶接とするか,または図-解

5-5.1

[本州四国連絡橋公団,1993]

に示すように組立溶接を部材端部より

30

㎜以上を残す施工方法とするのがよい.

組立溶接の脚長および長さは,本溶接中においても確実に部材形状の保持ができるものとし,また組立溶接が 完了した部材を安全に運搬できるようにする必要がある.ただし,組立溶接の脚長を不必要に大きくすると,特 にすみ肉溶接の本溶接において組立溶接の影響により脚長の不連続が生じるので,本溶接に影響がない組立溶接 の最小脚長を設定しておくのがよい.しかし,組立溶接は溶接長が短く拘束度が高くなるため,組立溶接の最小 脚長および長さは鋼材や溶接材料の耐割れ性を考慮する必要がある.道路橋示方書・鋼橋編では

490N/㎜

2鋼の

T

継手でルートからの割れを防止できる組立溶接として脚長

4

㎜以上,長さ

80

㎜以上と規定している.また,

溶接継手の厚いほうの板厚が

12

㎜以下の場合または

P

CM

0.22

%以下の場合は長さ

50

㎜以上としている[日本道 路協会,2002a].

ISO 10721-2

では組立溶接の長さは溶接継手の厚いほうの板厚の

4

倍以上とし,溶接割れを防止す るのに十分な入熱量であれば

50

㎜まで短くできるとしており,脚長の規定はないが溶接割れが防止できる入熱 量で溶接することとしている[ISO,1999].このように,組立溶接は本溶接のビード形状への影響が最小限となり,

かつ溶接割れが防止でき,形状保持も確実に行える脚長や長さとするのがよい.特にルート割れやヒールクラッ クは外観検査では確認できないため,予熱条件も含め確実にルート割れやヒールクラックが防止できる施工条件

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