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水資源(利水)の課題

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3.15 水資源開発管理の課題

3.15.1 水資源(利水)の課題

タイ国タイ東北地方の水資源管理に係る基礎情報収集・確認調査 ファイナルレポート

本格的なIWRMの導入は行われていない。ただし、チー川の中流域などで、支流域単位での流域 管理が始動している。

タイ国タイ東北地方の水資源管理に係る基礎情報収集・確認調査 ファイナルレポート

まま、蒸発、またはメコン河に流去している。

図3.15.1に水資源量から開発量(既存の水利用)を差し引いた値の分布(支流域別の開発ポテ

ンシャル)を示した。図に見るとおり、水源が豊富で開発可能な資源を有する地域は、コン、チ ー、ムン流域とも下流域に限られる。タイ東北地方における水資源は偏在し、広い天水田が広が り最も水源へのニーズが高いムン上流~中流域での開発余力はあまり残されていない。

(2)貯水損失

タイ東北地方では、8 割近くがなだらかな起伏平原であり、貯水容量を大きくとれる大規模ダ ム建設適地が少ない。中小規模の貯水池も、面積は広いが水深の浅い非効率的な形状となってい る。Ubonratダムの有効利用水深は7m、またLam Paoでは6m、中規模ダムでは3~4mであり、

年間貯留量の1/3~1/8(33%~13%)が蒸発・浸透で失われている。

(3)貯水池運用

貯水池は、概ね以下のような貯水・運用が基本となっている。

10,000 MCMの有効貯水量は雨季の最後(10月および11月)に向け、満水になるよう、貯水。

乾季の末(5月)の経年貯留量は2,000MCMであり、雨季(6月~7月)の水田への補給灌漑用 に利用。

残り6,500MCM(65%)を乾季の灌漑に使用50

貯水池の運用上の課題は貯水池の規模または、置かれた水文条件によって異なるが、タイ東北 地方の2大大規模貯水池(UbonratおよびLam Pao)の運用状況を以下に要約する。

a) UbonratおよびLam Pao貯水池

Ubonrat貯水池およびLam Pao貯水池の運用の概要を表3.15.1に示す。

3.15.1 UbonratおよびLam Pao貯水池の運用の概要

Ubonrat (Capacity of 1,760) Lam Pao (Capacity of 1,060) Items

Wet Dry Total Sep Mar Wet Dry Total Sep Mar 1. Average Year

Reservoir Inflow Reservoir Outflow Remained Capacity

2,170 1,280 1,110

230 660 400

2,400 1,940 -

780 260 960

25 120 590

1,930 1,240 640

140 600 50

2,070 1,840 -

660 370 1,200

13 120 630 2. Wet Year

Reservoir Inflow Reservoir Outflow Remained Capacity

3,740 2,530 1,560

220 1,030 420

3,960 3,560 -

1,410 610 1,560

40 190 800

2,630 1,240 830

170 800 40

2,800 2,600 -

950 650 970

18 155 210 3. Dry Year

Reservoir Inflow Reservoir Outflow Remained Capacity

830 400 400

200 420 170

1,030 600

-

340 30 380

20 50 160

1,330 840 460

130 360 100

1,460 1,200 -

520 190 700

8 85 130

< Ubonrat貯水池運用 >

放水量・利水量:平均年におけるUbonrat貯水地への年間の流入量は2,400 MCMであるが、放流

50灌漑調査(MRC 2009)によると、乾季の灌漑用水は2,400 MCMであり、ダムの放水量6,500 MCMとは大きな 開きがみとめられる。貯水池の運用が実態に即応していない可能性も指摘される。

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量は1,940 MCMと少ない。その差460 MCMは貯水池からの蒸発・浸透、および貯水池周辺のポ

ンプ揚水で失われる。乾季の流入量は230 MCMあり、この間の放流量は660 MCMであることか ら、その差 430 MCM がダムからの貯水量からの放流量となるが、乾季の放水量は、有効貯水量 1,760 MCMに比べ少ない。

貯水量: 平均年における雨季末の貯留量は1,100 MCM、豊水年においては1,560 MCMと増加す るが、有効貯水量1,760 MCMに満たない。これに比べ、雨季の放流量は1,280 MCMと多く、下 流(Phong支流域)で、すでに河川流量が多いことを考え合わせると、1,000 MCM以下が妥当で あり、運用の効率化が必要である。

経年貯留:雨季終了時点の経年貯留は、平均 400 MCM51と多いが、これも運用により 250~300 MCM程度に低減できる可能性がある。

洪水調節:ダムの調節により洪水期9月の放流量1,410MCMは610MCMと減少、また渇水期3

月流量は25 MCMから120 MCMと増大するが、貯水池の調節機能を増強できる可能性がある。

<Lam Pao貯水池運用>

Lam Paoの貯水池運用もUbonrat貯水池と同じような問題を抱えている。

放水量・利水量: 年間の流入量は2,700 MCMであるが、放流量は1,840 MCMと少なく、その差

230 MCMが貯水池からの蒸発と浸透で失われている。また、乾季での貯水池からの放流量は平均

年で460MCM (600-140)、また豊水年で630MCM(800-170)であり、乾季の放流は、ダムの有効

貯水量1,060MCMと較べると少ない

貯水量:乾季末の貯水量は、平均年で640 MCMであり、豊水年で840 MCMと増加するが、有効

貯水量の1060 MCMと比べ少ない。

経年貯留: 雨季終了時点の経年貯留は、平均500 MCMであり、運用により低減できる可能性を 有する。

洪水調節:現在、満水位(FWL)、高水位(HWL)を、これまでの162mおよび標高164mから、

標高164mから標高165.5mに引き上げる計画が実施中である。これにより、有効貯水量が現在の

1,060 MCMから1,630MCM(総貯水量1,981MCM)に増加し、また洪水調節容量も1,100 MCM/

月(420m3/sec)程度まで増強される予定となっている。

b) 貯水池運用の課題

Ubonrat、およびLam Pao貯水池ともに、それぞれの有効貯水量(Ubonrat:1,760 MCMおよびLam Pao:1,065MCM)と比較し、十分な流入量(Ubonrat: 2,400 MCMおよびLam Pao: 1,070MCM)をも つが、何れも、蒸発、漏水および貯水池利用による損失の問題を抱える。また、両者とも雨季の 間の放流量(Ubonrat: 1,280 MCMおよびLam Pao: 1,240MCM)が多く、このため雨季末に満水と ならず、引き続く乾季において放流量は少なくなり、貯水地の機能を十分に発揮できていないと いう課題を持つ。

51 Nong Wai Projectプロジェクトの260,000raiの灌漑地への雨季作の補給用水源と考えられる。

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(4)灌漑用水

灌漑農地面積は7.5百万raiと農地面積の15%と少ないが、灌漑事業により周囲(支流域)の流 況は大きく変化する。受益地以外の 85%において、事業によりさらに深刻な水不足が生じている ことも考えられる。

作物の多様化方針に従い、地表水および河川流出の少ない地区では、米作に替わり、消費水量 の少ない作物(キャッサバ、メイズ、サトウキビ、パラ・ラバーなど)への転換も進められてい るが、作物の多様化に応じた灌漑計画の定期的な見直しは行われていない。

乾季の灌漑面積について、貯水池からの放水量と灌漑面積に開きが認められる。個々の灌漑事 業地区において、雨季、乾季の灌漑用水の使用実態を十分に調査する必要がある。

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