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タイ政府の統合水管理への取り組み

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1992 年のアイルランドでの“Dubblin Principles”を受けて、タイでは比較的早くから統合水管 理(IWRM)の導入に向けた準備が開始されており、IWRM の導入過程のロードマップが用意さ れ、実施されてきた。

タイで実践されたIWRMの要素は以下のように要約される。

・ IWRM実践プロセスでの重要な要素

明確で共有されたIWRMコンセプトの確立

水に対する人々の意識の向上とプロセスへの参加の重要性の認識

48 ムン中流の広大な氾濫原の利用の一環として、Yasothon Phanom Phrai堰- Sieo Yai支川- Rasi Salaiへの導水の可 能性が, ADCA (Agriculture Development Consulting Association in Japan, 2007)によって検討されている。チー流域の Yasothon Phanom Phrai貯水池(標高125m)から、Rasi Salai貯水池(標高119m)への重力により導水し、さらに Sieo Yai, Thap Than, Samran(標高120~135m)の支川へのポンプ灌漑(低揚程:10m~20m)により、1.0~1.5 raiの灌漑が可能となる計画としているが、計画にはRasi Salai周辺の塩分の問題は考慮さいないが、ランパオ 貯水池の有効貯水量の増加後の運用、計画についての詳細調査がADCAによって提案されている。

タイ国タイ東北地方の水資源管理に係る基礎情報収集・確認調査 ファイナルレポート

IWRMの3つの主要原則の統合(合法化、制度上の枠組み、管理ツール)

政府組織内での制度化

水“先導者(リーダー)”作りによる IWRM 推進の加速とポリシーおよびその実 施過程の継続

・ IWRMの3つの主要原則

(1)合法的権限付与環境の形成 (2)制度上の枠組み作り (3)管理ツールの整備 国としてのWater Visionの確認

国としてのWater Policyの策定 RBCに対する予算編成の確立 水セクターへの予算手続きの確立 草稿されたWater Law

RBCの設立 DWRの発足

水に関する対話 IWRMトレーニング 流域プラン

IWRM実践は下記のプロセスにより進められた。

① 最初のアプローチはコンセンサスの創造であった。広範囲のステークホルダー(地元社 会、学者、研究者、政府等)の支持と承認が欠かせないためである。1999年に国レベル で多くの関係者によるIWRM導入の為の対話が繰り返し行われ、その有用性が確認され た。そして政府に対しIWRMの推進を勧告することが決定され、NWRC(National Water Resources Committee)を通じて閣議に上呈された。

② 同年7月に、National Water Visionを起草するための、Multi-Stakeholderのワークショップ が開催され、その内容は政府により承認された。

③ National Water Visionは2000年3月に、ワークショップにおいて“9 points Water Policy”

としてまとめられ、閣議はこれを承認し、10月には政府が“National Water Resource Policy”

として発表した。

④ 上記と同時期の 1999年 4月に、政府はNWRC の提案に従って 3つのパイロット RBC

(River Basin Committee)の設立を承認した。その後、RBCの設立は全国的に進み、現 在までに国内の25の流域全部で設立が終了している。

⑤ IWRM のトレーニング・ユニットは草の根レベルから政府の政策立案者レベルまでの多 様な関係者に合うように工夫され、トレーニングはRBCメンバーや政府職員に対しても 実施された。

⑥ 水セクターの政府予算手続きについても討議され、各水関連政府機関は予算を申請する 前にRBCの承認を必要とすることが決議され、閣議は2002年6月にこれを承認した。

⑦ 2001年に流域計画の作成が始められ、このプロセスへのステークホルダーの参加が強調 された。即ち、25の流域全てについて、専門家やコンサルタントの協力のもとで、問題 の抽出、水管理の課題の解決、流域計画と流域プログラムの作成を行うそれぞれの過程 において、ローカルステークホルダーが参加することが常態となった。

現在、水関係機関が提案するすべてのプロジェクトでは、計画時の住民参加を通して、

プロジェクト地域のステークホルダーの参加が必須となっている。

⑧ 水関係機関の制度的改革については2002年のMoRNEの創設とDWRの発足があげられ る。DWRは水関係5局からの技術スタッフを中心に編成され、調整機関としての機能が

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期待されており、その任務の主要なものの一つとして、水に対する人々の意識の向上と、

IWRMのコンセプトの推進がある。

⑨ 2004 年、DWR は、断片化している水関連の法、政策、ガイドラインを統一更新する目 的でNational Water Resources Lawの草稿を外部に委託した。全国でのパブリックヒヤリ ングからスタートし、各ステークホルダーからの意見、要望を収集し、その後、法律の 専門家により第 1ドラフトが完成し、多方面への開示や多くのパブリックヒヤリングを 経て加筆訂正され、ファイナル・ドラフトが政府に提出された。現状は閣議・国会への 上呈のための政府による承認待ちの状況となっている。

以上のプロセスそのものが、国の水資源管理システムへのIWRMの導入の実践を具体化するも のであった。

現在、IWRMの導入が試みられた流域は、5.2.2で紹介するチャオプラヤ流域(Upper Ping, Lower

Pingおよび Pasak Sub-basins)、ヨム流域、およびバンパコン流域であり、タイ東北地方ではまだ

統合水管理(IWRM:Integrated Water Resources Management)

IWRM はますます不足に向かう水資源をより効果的に管理するための重要なアプローチとして世 界的に認知されてきており、多くのアジア諸国がこのアプローチに賛同し、持続性のある水管理戦 略としてIWRMを採用している。

1992年、アイルランドのダブリンで水と環境についての国際会議が開かれ、ここで淡水の開発と 管理に関し新しいアプローチの必要性が確認された。今日持続的な水管理のための“Dubblin Principles”と呼ばれるもので、以下の内容が含まれている。

・ 淡水は有限で影響を受けやすい資源である。

・ 水の開発および管理は、水利用者、計画立案者、政策決定者が加わった参加型で行われる ことが重要である。

・ 準備、管理、水の保全などで女性が中心的役割を果たすべきである。

・ 水は経済的価値を持つ経済財とみなされるべきである。

“Dubblin Principles”をうけて、Global Water Partnership(GWP)が統合水管理(IWRM:Integrated

Water Resources Management)を、“水の調整された開発と管理及び土地とその他関連の資源の開発と

管理を促進するプロセスであり、その目的とするものは、かけがえのないエコシステムの持続性を 損なうことなく、結果としての経済・社会の福利を、平等、公平に最大化することである。”とし、

「水資源管理の改善に向けたプロセス」と定義した。

持続的な水管理は、多くの世界水フォーラム, アジア水フォーラムの場で強調され、2002 年のヨ ハネスブルグで開催された持続的開発世界サミットにおいても、以下の共同声明が発表された。

“For every country to have an IWRM plan in place by 2005.”

そして重ねてIWRMはプロセスであることが強調されている。

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本格的なIWRMの導入は行われていない。ただし、チー川の中流域などで、支流域単位での流域 管理が始動している。

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