第4章 支援システム構想検討
4.2 航空機
4.2.2 欧州における類似技術の動向調査
(1)特色
MiGBUS Space Coaster の特色は、ロシアで開発、製造され、軍用機として高い性能を誇る MiG31 を武装解除し観光用に使用することである。これにより、追加の開発期間、開発費用を より低く抑えることができ、安全性、信頼性の確保に関する費用も低減できると考えられてい る。
また、基本的に一般の空港及び軍用の基地を使用することとなっていることから、固定され た射場が必要なく、世界各国の空港を利用して運用することができるとされている。
ミュンヘン-マジョルカ島間の飛行イメージを図 4.2-6 に示す。
図 4.2-6 ミュンヘン-マジョルカ島間 飛行イメージ
(2)運営管理
この計画では、ロシア連邦の航空機メーカーである MiG Corp. が MiG31 の運営管理 (武 装解除を含む)を行うこととされている。MiG31 の機体は同社とリース契約し使用すること が想定されており、リース料の見込みは 2003 年時点で Euro 18,000/h であった。内訳は、
MiG31 の武装解除費用が Euro 4million、キャビン設置用の改修費用が Euro 1.5million である。これにより、運用費用及び先行投資額を低く抑えることができる。
(3)耐空証明
ヨーロッパ域内での観光サービスとして発案されていることから、MiGBUS Space Coaster ヨーロッパ域内の耐空証明取得が必要である。
耐空証明取得の順番として、以下の事が考えられている。
① 軍用の MiG31 を武装解除し、Russian Federal Aviation Authority(ロシア連 邦航空局)より民生用途でのロシア国内耐空証明を取得する。これは、MiG31 の製 造国であるロシアであれば、耐空証明が取り易いと考えられるからである。
Munich
Mallorca
②ロシア国内耐空証明取得後、European Aviation Safety Agency(EASA:欧州航空 安全局)より欧州での使用のため耐空証明を取得することとなっている。
(4)航空機情報
MiG31 は基本的に軍用機であることから、ロシアから Mig31 の詳細な技術情報を他国に提 供することは困難である。しかしながら、運用に際しては航空機の技術情報を保持してい なければ安全な運行はその為、ロシア連邦航空局と当該国航空局間(この計画の場合ではド イツ)で守秘義務契約を結び、ロシア航空局を経由して限定された情報或いは同等情報を 提供する。
(5)空港
既存の空港の利用が想定されている。そのため、MiG31 を MiGBUS Space Coaster へ改造す る際は空港施設を使用できるようにすることとなっている。
また、メンテナンスセンターとして軍の基地を活用することが検討されており、ミュンヘ ンのドイツ空軍基地等が候補として挙がっているようである。
この他、運用時には復路出発空港付近にリモートメンテナンスセンターが必要となる。
(6)安全確保
MiGBUS Space Coaster に異常が発生し航行を継続できなくなった場合に備え、キャビンを MiG31 より切り離すシステムが予定されている。
緊急時のキャビンへの安全確保の流れを図 4.2-7 に示す。
図 4.2-7 緊急時キャビンに対する安全確保の流れ
減速用パラシュート展開及び
MiG
31 機体からの分離a)
陸 上 へ の 着 陸(エアバッグ上)
着陸支援設備展開 パラシュート展開
b)
フロートによる着水パイロットの放出
(7)MiGBUS Space Coaster の発展形
MiGBUS Space Coaster はその性能から、以下の様々な用途へ発展する可能性があると考えら れている。
①MiGBUS Space Coaster 次世代機
②無人宇宙往還機デモンストレーター
③MiGBUS マイクロ衛星打ち上げ機 図4.2-8 にその概要を示す。
図4.2-8 MiGBUS Space Coaster の発展形
MiGBUS Space Coaster は乗員の安全確保のためキャビンの分離機構を設置することを予定し ており、また、キャビンの形状は空中発射システムのロケットの形状に類似点が見られること などから、MiGBUS Space Coaster 実現のためには空中発射システムと同様の技術的課題がある ものと思われる。MiGBUS Space Coaster が実用化されれば、上述の③ように空中発射システム として転用することが容易になるであろう。