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第4章 支援システム構想検討

4.1 空港

4.1.1 大樹町多目的航空公園

多目的公園は、北海道広尾郡大樹町にあり大樹町が管理する場外飛行場である。滑走路は、

1000m×30m のアスファルト舗装であり、大型機の離着陸に当たっては本格的な拡張工事が必要 となる。滑走路周辺は、一部民家があるものの大部分は農地と大樹町所有地である。近隣には 定期便就航の十勝帯広空港、大型船舶が接岸できる十勝港があり、アクセス性も良好である。

また、大樹町は 20 年以上前から北海道スペースセンター構想に参加しており、大樹町をベー スとした航空宇宙構想を構築している。各種宇宙航空関係の試験の他、1993 年には航空宇宙技 術研究所(当時、現宇宙航空研究開発機構:JAXA)と多目的航空公園の利用に関する協定を締結 するほか、2006 年 6 月には米国のベンチャ企業ロケットプレーン社がスペースポートの候補地 の一つとして視察を行っている。ロケットプレーン社は、2006 年に NPO 法人北海道宇宙科学技 術創成センター(HASTIC)とサブオービタル商業宇宙飛行の国内(北海道)導入計画推進等に 関する業務提携を行っている。大樹町は住民、漁業関係者を含めて、宇宙航空事業の展開につ いては全面的な協力が得られるものと考える。

(1) 空港利用状況及び施設

1993 年の用地取得・用地造成・周辺整備から始まり、1995 年に多目的航空公園としてオー プンした。1997 年には航空宇宙技術研究所(当時、現在の宇宙航空研究開発機構:JAXA)と航空 公園使用に関する協定を締結する。1998 年には滑走路舗装(L=1,000m,W=30m)が行われた。そ の後、2002 年に成層圏プラットフォーム大樹実験場用地の造成、2003 年に JAXA 及び独立行政 法人情報通信研究機構(NICT)により成層圏プラットフォーム大樹実験場地上設備(ハンガ、

管制棟、気象観測装置他)を整備した。2006 年に NICT 所有の管制棟、気象観測装置の JAXA へ

の移管を行った。

多目的航空公園は、空港法の定義による場外飛行場であり、所有、管理、利用許可は大樹町 が行う。滑走路は 1,000m と空中発射システムの運用のためには、大規模な工事を要するが、

大樹町は 20 年以上前からスペースポート構想検討を進めており、全面的な協力が得られるも のと考える。また、米国のベンチャ企業ロケットプレーン社が米国本土、ハワイ、日本をつな ぐ宇宙環境事業構想の一環として、大樹町をスペースポートの候補地の一つとして調査をして いる。

多目的鉱区公園の諸元及び概要を表 4.1.2-1 に示す。

(2) 周辺環境

大樹町多目的航空公園は東部と南部が海に面しており、滑走路の海側一体は大部分が町有地 であるが、北部と西部は農地が広がり滑走路の北部及び南部に隣接し、各 1 軒の酪農家が居住 している。滑走路の拡張に当たっては、東部の国道まで約 4km が農地である。多目的公園は、

東面及び南面が太平洋に隣接しており、滑走路を離陸した航空機は人家の上空を通過すること なく海上に出ることができる。飛行場での施設建設及び滑走路の拡大に当たっては、安全確保 上から農地の買収の他、2 軒の酪農家の 2 軒の酪農家の協力が必要となる。

大樹町多目的航空公園の位置を図 4.1.1-1 に、下地島空港の周辺環境を図 4.1.1-2 に示す。

(3) アクセス性

器材等の搬入方法として、JR 帯広から陸上輸送(1 時間)、とかち帯広空港から陸上輸送

(40 分)及び北海道広尾郡大町の十勝港から陸上輸送(30 分)の 3 方法が考えられる。とか ち帯広空港への一日の定期便は、羽田便が往復 4 便、名古屋便が往復 1 便、函館便が往復 2 便 就航している。海上輸送の十勝港は、太平洋に面した広尾町にあり、えりも岬の北北東約 42km、

釧路港の西南約 120km の地点に位置しており、首都圏と北海道とを結ぶ海路の最短距離に位置 している。十勝港は 6 つの埠頭を持ち、1970 年に国から重要港湾の指定を受け、以後北海道開 発局帯広開発設計部により計 6 つの埠頭をもつ港へと整備され、第 4 埠頭には載荷重量 4 万ト ンの大型船が着岸できる水深 13 メートルの岸壁を備えている。

*重要港湾(じゅうようこうわん):

日本における港湾の一区分で港湾法第 2 条第 2 項において「国際海上輸送網又は国 内海上輸送網の拠点となる港湾その他の国の利害に重大な関係を有する港湾で、政令 で定めるもの」と定義され、約 128 港が港湾法施行令により重要港湾として指定され ている。

十勝港の概要を表 4.1.1-2 に示す。

表 4.1.1-1 大樹町多目的航空公園の概要及び諸元 項 目 概 要 種別 場外離着陸場

設置管理者 大樹町

所 在 地 北海道広尾郡大樹町字美成 169

標点位置 北緯 42°30' 00" 東経 143°26' 30"

標高 14.3m 空港面積 4,300 平方 m

滑走路

1,000m×30m

空港概要

平成 5 年 用地取得・用地造成・周辺整備 平成 6 年 格納庫建設・駐車場整備

平成 7 年 駐車場舗装・多目的航空公園オープン

平成 9 年 航空宇宙技術研究所(当時)と航空公園使用に関する協定を締結 平成 10 年 滑走路舗装(L=1,000m,W=30m)

平成 14 年 成層圏プラットフォーム大樹実験場用地造成

平成 15 年 JAXA 及び NICT により成層圏プラットフォーム大樹実験場地上設 備(ハンガー、管制棟、気象観測装置他)整備

図 4.1.1-1 多目的航空公園の位置

図 4.1.1-2 多目的航空公園の周辺環境

図 4.1.1-3 滑走路の状況

図 4.1.1-4 成層圏プラットフォーム大樹実験場地上設備(ハンガー)

図 4.1.1-5 格納庫外観

表 4.1.1-2 十勝港の概要

太平洋に面した広尾町にあり、えりも岬の北北東約 42km、釧路港の西南約 120km の地点に 位置する。重要港湾の指定を受け、6 つの埠頭をもつ港へと整備され、第 4 埠頭には載荷重量 4 万トンの大型船が着岸できる水深 13 メートルの岸壁を備えている。

昭和 4年 広尾港修築工事に着手 40年 十勝港に港名を改称 45年 重要港湾の指定を受ける

51年 南ふ頭岸壁(-7.5m)供用開始 …① 53年 第3ふ頭岸壁(-7.5m)供用開始 …② 平成 2年 第3ふ頭岸壁(-10.0m)供用開始 …③ 8年 第4ふ頭岸壁(-8.0m)供用開始 …④ 11年 関税法に基づく「開港」に指定

12年 第4ふ頭岸壁(-12.0m)供用開始 …⑤ 16年 第4ふ頭岸壁(-13.0m)供用開始 …⑥