第 6 章 本質的学習環境に基づく第 1 次調査と第 2 次調査
それに対して第 1 次調査では一授業平均 5.72%と低い割合ながらも認められた.こ の点を頻度に換算すれば,一時限の授業における平均質問数が約 9 回であったこと
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一方でそのほかのコードから池谷とルサカの授業分析結果の相違点を二点指摘で きる.
まず池谷では八つのすべての授業において「開いた質問(OQ)」は
0.0%であった.
それに対して第
1
次調査では一授業平均5.72%と低い割合ながらも認められた.こ
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表 6-12:ルサカにおける第 1 次調査の授業の過程
教材の内容 教師の指導 生徒の学習 教 生 シ
1 ー ○
・教科書で学習した 等差数列や幾何的 パターンの復習
・答えを生徒より先に言ってし まう.
→(2)
・教師が殆ど話し生徒が聞い ている講義形式の授業.
→(2)
・早口で長い説明.生徒を待 たない.
・半数以上の生徒は等差数 列が減っていく問題では減っ た次の項数を求めることがで きない.
→(1)
・教師から言われたことに片 言で答える受け身な学習.
→(2)
・上位の生徒だけが発言.
・生徒が受け身で教師が話し すぎている(R).
→(1)
・明確な指示をおこなうように して探究的な活動を不える
(T, R).
→(2)
・教師の説明で数学的に曖 昧な説明があった(R).
・生徒の授業参加をうながし たい(T).
・英語を理解できていないの でコードスイッチングを使う
(T, R).
○ ◎ ◎
(1)生徒の理解度を 考え,数の石垣の加 法のみを扱う.
(2)探究的な活動のた め,石垣のルールを 生徒が発見して述べ る.
2 ○ ○
・数の石垣のモデ ルを用いて演示し,
石垣の規則を探究 し,口頭で説明.
・ルールに慣れるた めに加法だけを示 す.
・前回と同じで話し続けてしま い,生徒を待つことができな い(教材の良さがみえない指 導).
→(2)
・生徒から答えを引き出そう と支援し,時間をかけて数の 石垣のルール「隣り合う2数 を足した数が上の石垣に来 る」を引き出してまとめた.
・教師が手がかりを不えても3 段の石垣に潜むルールを見 つけることができなかった.最 後に数名の生徒が発言して ルールを見つけた.→(1)(2)
・誤答しながら数名の生徒が 関わってルールを発見した.
しかし大多数の生徒はルー ルを把握できていない.
→(1)(2)
・探究する活動に生徒は慣 れていないため自由な意見 を言うのが困難.
→(2)
・生徒の理解度に合わせ,時 間を大幅に超過(T).
→(2)
・生徒への数学的な説明が 的確になされ,学習参加を 支援(T, R).
・数学的用語の使い方に気 を付ける.「石垣を前回の数 列と同じパターンがある」と話 して生徒が混乱した(R).
→(2)
○ ◎ ○
(1)数の石垣のルー ルを用いた加減の計 算を扱う.
(2)パターン性を強調 するのは生徒を混乱 させると判断し,計算 の定着を最初に目指 した.
(これら2点は予備調 査の漸進性,後退 性,丌安定性からも 考慮)
3 ○ ー
・復習で加法だけの 石垣を扱い,ルー ルを確認した.
・次に3段の石垣で 加法と減法の関係 に着目.
・復習後,前時のルールの 確認を繰り返した.
・加法と減法の関係をくりかえ し指名して確認.生徒に計算 の順序をたずね,演算決定 を話し合わせた.しかしあまり 強調することはできていな い.
→(1)
・上位生徒の片言やジェス チャーによる尐しの学習参 加.生徒の学習差が大きく,
下位生徒はルールを理解し ておらず適当に計算する姿.
→(1)
・加法と減法の関係性を把 握しておらず,計算の順序と 使う演算が丌正確である.
→(2)
・半数以上の生徒が石垣の ルールを使いこなせていな い(R).
→(1)
・生徒たちは石垣の構造に 埋め込まれた加法と減法の 関係を理解することが難し かったため,演算決定と計算 の順番を指導する必要があ る(T, R).
→(2)
○ ◎ ○
(1)生徒が数の石垣 のルールを把握してい ないので次に進めない と判断した.
(2)再度石垣の三つ の数の関係(下図)に 着目し,計算の順序と 演算の決定に関する 理解を深める.
学 習 内 容
時 限
数 の 石 垣
基 礎 的 能 力
高 次 的 能 力
局所的 授業改善サイクル
授業実施 教師(T)と筆者(R)による
授業反省・評価
授業計画
考慮要因 次回の教材の再構成や 調整
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表 6-12:ルサカにおける第 1 次調査の授業の過程(続き 2)
教材の内容 教師の指導 生徒の学習 教 生 シ
4 ○ ○
・3段の石垣で3桁 までの数を用いて 加法と減法の関係 について着目させ た.
・復習してルールの確認をくり かえす.
・生徒の誤答を活かして授 業.「なぜそうなるのか?」と い質問し,計算決定の理由 についてたずねる.そして生 徒の学習参加をうながす.
→(1)
・加減の関係性を前時より強 調する.
・上位の生徒の正確な解答 を教師が分かりやすく言いか えたり,表現を変えて他生徒 と共有する発言して,生徒の 困難性を緩和する.
→(3)
・前回より多くの生徒が学習 参加,挙手した.
→(1)
・多くの誤答があるものの計 算の演算決定と順序を確認 して計算練習した.演算決定 の理由は難しかったものの,
教師の支援により話し合いの かたちとなった.
→(2)
・誤答の際に友人同士で学 習を支援し合う.上位生徒と 下位生徒の学習差.
→(3)
・生徒が前回よりもルールに 慣れてきて演算を決定でき るようになった(T,R).
→(1)(2)
・加減という基本的計算につ まづいているものの,理由を 考えたりなぜなのか,という質 問も不えて,計算以外にも考 えさせる機会を不える(T, R).
→(3)
・個人名を初めて挙げて生 徒の学習について言及(T).
これ以降続く.
○ ◎ ○
(1)生徒がルールに慣 れてきたので4段の石 垣を用いる.
(2)石垣の段数が3段 から4段に変わっても 計算のルールが変わ らないことを確認す る.
(予備調査の丌安定 性や後退性からも考 慮)
(3)パターン性には言 及しないものの以後の 学習に備えてパターン 性を含む石垣を用意 する.
5 ○ ー
・2桁の数を用いた 4段の石垣を用い た加減の計算練習
・4段の石垣で指導を段階的 に時間をかけた.
・転入生や下位生徒のため にルールを復習して時間を 要した.
・静かな生徒へ教師が働き かけ,学習機会を不えた.
・計算順序を正確に表現す ることができず誤答になった 生徒を非難せずに支援す る,生徒とは発言とともに目で 見て合図するコミュニケー ションを取った.
・ルールの使用を練習してパ ターンに気づいた上位生徒 は新しい石垣を創り出す学 習.
→(1)
・転入生や下位生徒はルー ルを把握していなかったので くりかえし説明した.中位生徒 でも答えは正解でも計算順 序や説明が違う場合があっ た.
・誤答を通して生徒たちは前 回よりもルールを使うことに慣 れてきた(T, R).
→(1)
・協同学習を実施したい.上 位と下位の生徒の学習差が 大きいので生徒同士で教え 合う環境を作りたい(T).
→(1)(2)
○ ◎ ○
(1)前と比較して生徒 がルールに慣れてき たので,色々な種類 の石垣を用いて探究 や発見,話し合い.
(探究の側面を織り込 んでいけないか)
(2)次回は試行錯誤 の石垣を不え,ルー ルは同じで異なる方 法で解く石垣を グループワークで使っ てみる.
6 ○ ○
・3段の石垣で試行 錯誤をしながら計算 し,計算の仕組みを 考える.
・グループワークでは上・中位 生徒と下位生徒同士がグ ループを組んで助けられるよ うにした.
・教師は学習内容を簡潔に 説明して,生徒の学習の時 間を十分に確保した.
・問題の解法過程を生徒に 説明させることを意図した.
片言の意見を言いかえたり 付け加えたりして支援した.
・グループワークでは誤答が あっても現地語で話し合って 友人同士で助け合って誤答 を修正した.
→(1)
・どのように石垣を解いたの か,試行錯誤の方法,注目し た場所や数などを挙げて,ク ラス全体で話し合った.
・前回よりいいグループワーク の授業が展開できて,生徒 同士で話し合っていた(T, R).
→(1)
・教師が適切に介入して生徒 の話し合いの場面を助ける 支援をおこなった(T, R).
◎ ◎ ○
(1)上位生徒がパター ン性に気づいたことも 踏まえ,色々な石垣 の特性を探究して話し 合う.
学 習 内 容
時 限
数 の 石 垣
基 礎 的 能 力
高 次 的 能 力
授業実施
授業反省・評価
授業計画 考慮要因
次回の教材の再構成や 調整
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表 6-12:ルサカにおける第 1 次調査の授業の過程(続き 3)
教材の内容 教師の指導 生徒の学習 教 生 シ
7 ○ ○
・3段の石垣で0,
1,2のカードを入れ てまず石垣をできる だけ多くつくる.
・全部で6つの石垣 ができることの説明 と理由を考える.
・グループワークにより石垣を 作り,理由や説明の段階では 全体で進行した.
・成績に関わりなく多くの生徒 を指名して,黒板で石垣の計 算について説明させた.6つ しかない理由について掘り下 げることはできなかった.
・生徒ができない場合は,教 師ではなく他の生徒が説明し た.
・グループワークで計算と石 垣を作成する学習.
・教師の支援により教室の数 名を除く生徒が挙手して発表 したいと訴えた.→(1)
・作った石垣を発表していくう ちに,同じ石垣が黒板上で見 られるようになり,それらを削 除するようになり,次第に6つ しかできないことがクラスで合 意された.
・教師が多くを話さずに生徒 に発言してもらった(T, R).
・教師自身が6つしかないこと をあらかじめ生徒に言わず,
生徒たちにそれを探させる 意識があり,教師が教材を扱 うことに慣れてきた(R).
→(1)
◎ ◎ ○
(1)続けて探究性を出 した学習ができない か.色々な石垣の問 題をおこない,その中 で理由や説明をおこ なう.
8 ○ ○
・6つの数字カード
(20以下の数)を石 垣に入れて石垣を 完成させる.
・グループ学習を引き続きお こなう.
・生徒たちにあるカードを最 初に選んだ理由についてた ずねた.生徒たちが手順を 答えたり片言だったため,英 語の語彙を手助けしたり,生 徒が言いたくて言えないこと を代わりに表現し直す工夫を した.
・生徒への個別指導時に ルールを把握していない生 徒は支援を求めていた.
・生徒たちは計算の理由や あるカードを選んだ理由につ いて,計算手順を話すことで 答えていた.
・生徒間の学習差.下位生 徒達にとっては2桁でも練習 していいものの,中・上位に は3桁の数をあつかえるか(T, R).
→(1)
・下位生徒への個別指導が 必要(T, R).
→(1)に対する補助
・色々な探究をおこなってき た.パターンの探究をするた めに幾つかの方法を話し合っ た(T, R).
→(2)
◎ ◎ ○
(1)3桁の数を扱う.
(2)次のパターン性の 探究へ繋げるために 正確に3段の石垣で 計算ができるようにな ることを目指す.
9 ○ ○
・3桁の数を用いた 数の石垣の加減.
・パターンの探究を できる生徒にはさせ る.
・誤答の説明や解法過程を たずねる支援をおこなった.
・学習が早く終わる生徒とそ うでない生徒がいたために対 処が難しかった.
・理由や説明はなかなかでき なかった.
・中・下位の生徒達は数が大 きくなったことで混乱して使え ていたルールが使えない.
計算の難易度が上がり,誤 答が増えた.一方で上位生 徒達は学習が早く終わって 退屈そうにしていた.
・生徒たちは授業が終わって も熱中して問題を解いてい た.
・3桁の数では生徒たちが混 乱してしまいルールが使えな くなった.生徒の学習差があ る(T, R).
→(1)
・上位生徒はパターンの探究 ができる.逆に早く終わってし まうので他の問題を用意した り別の準備が必要(T, R).
◎ ◎ ○
(1)3桁の計算の場 合,ルールを知ってい た生徒も数の大きさで 混乱するため,丁寧に 段階的な指導をおこ なう.
(2)教材はそのまま使 用.パターンの探究を おこなう.
学 習 内 容
時 限
数 の 石 垣
授業反省・評価 基
礎 的 能 力
高 次 的 能 力
授業実施
次回の教材の 再構成や調整 授業計画 考慮要因