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saki and Agu(2002)も授業で何が起こっているのかを無視した政策段階にお ける学習参加促進や学習改善の方策は本質的に意味を為さない,という見解を为張

第 3 章 関連先行研究のレビュー

第 1 節 授業開発に関する研究のレビュー

O- saki and Agu(2002)も授業で何が起こっているのかを無視した政策段階にお ける学習参加促進や学習改善の方策は本質的に意味を為さない,という見解を为張

した.Verspoor(2003)や

Craig et al.(1998)も同様に,学校や教室レベルにお

ける介入や研究の必要性を为張した.

そのほか

Carron and Chau(1996)によれば学習リソースや教師教育の量,質の

確保が難しい途上国において,学習指導の質を向上するために教室での相互作用の 質の確保は必要不可欠であり,そのための現状を明らかにする授業を基盤にした研 究の必要性が指摘された.

これらの为張に賛同して,アフリカ諸国における授業の内実を描き,研究成果を 地道に蓄積していく方向で事例研究がおこなわれてきた.たとえば,教授言語に関 する研究やプロトコルを用いた授業の談話研究を挙げることができる.

それらの対象地域はボツワナ(Rowell and Prophet, 1990; Fuller and Snyder,

1991; Arthur, 1996)やケニア(Cleghorn, et al., 1989; Bunyi, 1997; Craig, et al., 1998; Ackers and Hardman, 2001; Pontefract and Hardman, 2005),タンザニア

(O-saki and Agu, 2002),ナイジェリア(Hardman, et al., 2008),レソト(Moloi,

et al., 2008)といったアフリカ各国に及ぶ.

それらのいくつかをとりあげる.

教授言語に焦点をあてた

Prophet(1995)はボツワナの中等段階のコミュニティ

スクールにおいて英語カリキュラムの実施状況を検証するため,学習と指導に関す る考察をおこなった.その結果,全体指導と一方的な教師による説明が指導の为流

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であり,それに対して生徒は黙って作業をおこない,教師と個別生徒の関わりや誤 答に対する指導が尐ない状況を明らかにした.

授業における相互作用に関する

Hardman

を中心とした研究において,ナイジェ リアの初等学校におけるディスコース分析をおこなったものがある(Hardman, et

al., 2008).42

の授業分析の結果,理解を無視した教師の説明,暗証,暗記学習や

教師の言葉を生徒が反復する学習が おこなわれたこと を明らかにした.Prophet

(1995)と同様,教師の個別生徒との関わりは稀であった.

アフリカ諸国におけるこれらの特徴は教科を越えてほかの先行研究でも同様に指 摘されている(Cleghorn, et al., 1989; Bunyi, 1997; O-saki and Agu, 2002).

ザンビアにおける授業に関する研究は,上述のアフリカ諸国のものに比べてさら に尐ないことを既に述べた.第

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章において池谷(2009)と木根(

2006)の研究結

果をとりあげた.ここでは理科教育に関する松原(2009)を挙げる.

松原(2009)はザンビアの理科教育の質の改善に関連して授業分析法を開発し,

その適用を論じた.松原がおこなった理科授業に関する調査では,ザンビアの意図 したカリキュラムでは生徒中心の授業が奨励されているものの,実際の授業ではそ れが必ずしもみられなかったと指摘されている.

以上の先行研究のレビューより,アフリカ諸国では授業分析などの研究が尐なか らずおこなわれ,学習,指導の現状や現象が描かれてきた.そこでは互いの事例結 果を対応づけることで異同の比較や考察がおこなわれていた.

その一方で,現象を教科教育的視点から生徒の学習過程を考察した研究はほとん ど存在しなかった.そして,授業中の生徒と教師の相互関係に加え,教材の視点を 加えた教師,生徒,教材の関係に言及した研究は確認できなかった.それゆえに授 業において三者間の相互作用を描き出すことは,アフリカの授業に関する研究のな かで新しい挑戦として位置づけられる.

3-1-2.日本における授業開発研究

次に授業開発を構築するために,先行研究における授業開発の枠組みについて先 行研究の知見を整理する.ここでは授業開発研究の内容と構成を確認する.手順と して,タイトルに授業開発を含む日本の博士論文四件を収集し,内容と方法を整理 した.

以下に挙げた四つの研究は授業開発に関連する博士論文である.

(1)町田 守弘.(2008).『サブカルチャー教材による国語科授業開発論 -学習者 の興味,関心の方略をさぐる』, 早稲田大学大学院博士論文.

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(2)岡崎 誠司.(2005).『変動する社会の認識形成をめざす小学校社会科授業開発 研究 仮説吟味学習による社会科教育内容の改革』, 広島大学大学院博士論文.

(3)石原 純.(2008).『生命倫理を視点とした高校公民科の授業開発』, 兵庫教育 大学大学院連合学校博士論文.

(4)關 浩和.(2005).『構成主義学習論を視点とした社会科授業構成とモデル授業 開発』,兵庫教育大学大学院博士論文.

(1)は国語科, (2)から(4)は社会科における博士論文研究である.それぞれの研究に

ついてその枠組みや方法に着目して以下に整理した.(5)ではそのほかの授業開発に ついてつけ加えた.

(1)町田(2008)の研究

町田(2008)は国語科におけるサブカルチャーの教材開発,授業開発を実施した.

「1974年から

2007

年に実施された町田自身の授業例において,授業内容の考察が なされた.町田(2008)は授業を具体的に提示することによって,教材開発および 授業開発の可能性を検証し,帰納的に国語教育の理論 をうかびあがらせた.町田

(2008)は授業開発,教材開発,授業実践の用語を明確には規定していない.内容 は

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以上の国語の授業の構想(授業の構想,教材,方法),実施,評価を述べてお り2,授業評価や生徒の学習評価と比較して授業構想と授業実施に関して厚く記述し た.最終的には国語教育における課題をこれらの授業によって乗り越えることがで きるという全体的な見通しを示し,授業開発論の構築とした.

町田(2008)がとらえる授業開発は授業構想で教材を示し,それを実施する点に 重点が置かれており,生徒の学習評価は範疇に入っていなかった.

(2)岡崎(2005)の研究

社会科において岡崎(2005)は今日の社会を「変動する社会」ととらえ,その認 識形成をめざす小学校社会科教育における新しい授業開発理論と方法を明らかにし た.また,その方法論を踏まえ,小学校社会科の授業モデルを開発することを目的 とした.

岡崎(2005)は新しい学習論に依拠し,開かれた社会認識形成を保障する授業開 発を実施した.授業開発は「既存の教育内容を前提にする教材開発とは異なり,教

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たとえば,漫画,アニメの教材化と授業(1994年実施)では8時間の授業の過程を述べた.評価は生徒の反

応から授業目標における表現に関して生徒の興味と関心を喚起したとあった.授業の構想や流れの説明はあ るが授業時間や生徒の評価については記載されていないものもあった.

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師自らが『何のために,何を,どのように教えるのか』という授業の目的,内容,

方法を貫く理論を明示し,それを踏まえて授業を組織し,授業実践を通して理論を 吟味,修正していく方法論を意味する」(岡崎,2005,p.29)と規定された.

授業開発の具体的方法は(1)教育内容の設定,問題の所在と内容編成の原理,単元 構成の原理,

(2) (1)を下絵とした具体的な指導案と開発教材を示した授業展開案単元

の授業モデル3,(3) 教室全体の変容と個人児童の変容をプロトコル,事前,事後テ スト,授業中の話し合いによる成果から示すものであった.あらかじめきめられた 教材を絶対視するのではなく,教師が授業に教材や題材を位置づけ,生徒との相互 作用によって授業が動的に成立する視座に依拠していた.

(3)石原(2008)の研究

石原(2008)は,高等学校公民科で展開される生命倫理教育の授業やプロジェク ト分析を通して,生徒にとって意義のある生命倫理の授業を探究した.まず社会的 事例から分析視点を検討し,授業構成の類型化を図った.次に諸類型における授業 の特質を検討したうえで,望ましい授業開発視点を得た.それらの視点にもとづい て授業開発をおこなうとした.

石原(2008)の授業開発は岡崎(2005)のように明示的に規定されなかった.内 容から構造をよみとれば,授業計画,目標,教材提示,授業実施,評価を含み,学 習評価より授業計画に重心がおかれていた.

(4) 關(2005)の研究

關(2005)は構成为義学習論にもとづく社会科授業構成を,教材の役割,教材構 成の方法,教材活用の方法の三点から論じた.教材構成の方法を三点 と教材活用の 方法として二点挙げ,それらの組み合わせから社会科授業構成の形態を演繹的に

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点提示した.さらに各形態の特徴と授業構成における課題を論じ,そのうちの一つ である「形態協働的構築型教材活用」の有効性を示したうえで,授業開発をおこな った.關(2005)の授業開発では単元名,単元目標,単元計画の詳細が述べられ,

授業の実際がまとめられた.教師と生徒の発話プロトコルや授業内容,事前,事後 試験やアンケート調査の結果を用いて生徒の変容や視点の変化が論じられた.

(5)そのほかの授業開発研究

博士論文以外で,社会科における志田,岩永(2009)と広島大学付属のグループに よる授業開発研究(森,小原他,2008;下前,小原他,2009)についてその構造を とらえた.三つの研究では授業開発を規定していないものの,志田,岩永(2009)

3 単元,指導目標,単元の展開,資料と出典を含む.