第 6 章 誘電体マイクロカロリーメータの放射線検出信号パルス波高分布測定 73
6.3 DMC の検出信号整形方法の検討
6.3.4 検出信号パルス波形の比較
表6.1 トリガ信号生成のパラメータと検出信号パルス取得頻度 計測器 パラメータ 条件1 条件2 条件3
SIM910 INPUTS A−B A−B A−B
Couple AC AC AC
Shield GND GND GND
SIM965 FREQUENCY [kHz] 0.3 1 4
TYPE Bessel Bessel Bessel
SLOPE [dB/oct.] 48 48 48
FILTER HPF HPF HPF
Couple AC AC AC
SIM965 FREQUENCY [kHz] 20 10 6
TYPE Bessel Bessel Bessel
SLOPE [dB/oct.] 48 48 48
FILTER LPF LPF LPF
Couple AC AC AC
取得頻度 [events/h] 110 200 140
前置増幅器から出力されているもののノイズと区別できず取得できていなかった検出信号パル スを,フィルタを用いた場合には取得できるようになった結果,取得頻度を改善できたと言え る.検出信号パルスの減衰領域に着目することで,立ち上がり時定数のばらつきや 検出信号 に含まれる立ち上がり時間と近い周期のノイズの影響が小さいトリガ信号を生成できることか ら,フィルタを用いた検出信号パルス取得が適当である.
ノイズ周期
図6.26 整形増幅器を用いた測定による検出信号パルスの立ち上がり時間分布.全138カウント.
図6.27 フィルタ回路を用いた測定による検出信号パルスの立ち上がり時間分布.全264カウント.
フィルタ回路を用いて取得した全 264波形の検出信号パルスを解析して得られたDMC03 のアルファ線検出信号パルス波高分布を図6.28,図6.29および図6.30に示す.図6.28は,バ イアス電圧による制限はなく取得した264波形全てを用いた波高分布,図6.29は,図6.28に 示す波高分布の横軸を拡大したものである.また,図6.30はバイアス電圧が|Vb| ≥ 7 Vで取 得した検出信号パルス119波形を用いた波高分布である.波高分布において,バイアス電圧で 割ったパルス波高値vheight = 0.3×10−3 [-] にピークを確認できた.また,図6.30に示す波 高分布は図6.29に示すものよりクリアなピーク構造を示した.これは,バイアス電圧の大き さを制限することで,アルファ線検出信号とノイズを区別できたためであると考えられる.
図6.28 フィルタ回路を用いたトリガ信号生成によるDMC03のアルファ線検出信号パル ス波高分布(|Vb| ≥0 V)全体.全264カウント.
図6.29 フィルタ回路を用いたトリガ信号生成によるDMC03のアルファ線検出信号パル ス波高分布(|Vb| ≥0 V)拡大.全264カウント.
図6.30 フィルタ回路を用いたトリガ信号生成によるDMC03のアルファ線検出信号パル ス波高分布(|Vb| ≥7 V).全119カウント.
本実験では,周波数フィルタを用いた検出信号パルスの減衰領域に着目する信号生成によ り,検出信号パルスとノイズを効率的に区別する手法を確立し,検出信号パルスの取得頻度を 大幅に改善できた.