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整形増幅器を用いた信号取得

第 6 章 誘電体マイクロカロリーメータの放射線検出信号パルス波高分布測定 73

6.3 DMC の検出信号整形方法の検討

6.3.2 整形増幅器を用いた信号取得

DMC03 を極低温に冷却し,エネルギー 5.5 MeV のアルファ線を照射した.動作温度

100 mKに保持したDMC03を周波数0.01 Hzで10+10 Vに振動する正弦波電圧でバイ アスし,検出信号パルスを取得した.ノイズ低減のためGM冷凍機を停止して測定した.

まず,これまでの実験と同様,図6.13に示す通り,電荷有感型前置増幅器の出力電圧を整形 増幅器により整形増幅した信号をトリガ信号として検出信号パルスを取得した.整形増幅器の 整形時間は10 µsである.動作温度100 mK,バイアス電圧+7 VにおけるDMC03の検出信 号パルスおよび整形増幅器により生成したトリガ信号を図6.21に示す.図6.21(a),(b),(c) はそれぞれ,検出信号パルスに含まれるノイズ部分を拡大した波形,検出信号パルスである電 荷有感型前置増幅器出力,トリガ信号である整形増幅器出力を示す.また,図6.21の円は電 荷有感型前置増幅器出力またはトリガ信号である整形増幅器出力,実線は電荷有感型前置増幅 器出力を関数フィッティングした波形を示す.検出信号パルスは2 mVの波高値を持ち,振幅

が約3 mVppで検出信号の立ち上がり時間に近い周期約30 µsのノイズを含んでいた.

6.21 整形増幅器を用いて取得したDMC03の検出信号パルス.動作温度100 mK,バ イアス電圧+7 V(a)電荷有感型増幅器出力ノイズ(b)検出信号パルス(c)整形増幅器出 力(整形時間10µs).

電荷有感型前置増幅器出力のSNの周波数スペクトルを図6.22に示す.SN計測のための波 形として,トリガ時刻を0 sとし,時間2750 2250µs(レコード長5000 µs)における電 荷有感型増幅器の出力を20波形取得した.この波形の前半2750∼ −250 µsをノイズ,後 半250 2250 µs を検出信号として,高速フーリエ変換(FFT: Fast Fourier-Transform し,各波形の周波数成分を求めた.さらに,FFTした信号とノイズの周波数成分をそれぞれ 20波形で平均し,それらの比を求めた.SNの周波数スペクトルより,周波数10 kHz以上の 領域にはノイズが多く含まれておりSN = 1程度であり,周波数10 kHz以下の領域において SN> 1となることが分かった.一般に電荷有感型前置増幅器を用いた信号読み出しでは,入 射粒子のエネルギーや信号生成過程等の検出器の特性に関する情報は検出信号パルスの立ち上 がり領域のみに含まれており,検出信号パルスの減衰領域は電荷有感型前置増幅器のフィード バックによって決定されている.半導体検出器において,整形増幅器の整形時間は検出信号パ ルスの立ち上がり時間の23倍に設定し(10),市販の整形増幅器の整形時間は数µsである.

これは通過域が数100 kHzの周波数フィルタに相当するが,DMCの検出信号パルスのSNに おいては,この周波数領域に多くのノイズが含まれている.すなわち,整形増幅器を用いた DMCの検出信号パルス整形の場合,SNが非常に悪い周波数領域から検出信号パルス取得の ためのトリガ信号を生成していたことになる.そして,これが検出信号パルスの取得頻度低下 の原因であると考えられる.

整形増幅器の 通過周波数帯域

検出信号の 減衰成分

6.22 電荷有感型増幅器出力の信号ノイズ比.20波形の平均値.