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第 4 章 冷却システムの構築 34

4.9 冷却システムの冷却試験

4.9.3 ガス調整

IVC のリーク修理後,冷却試験を行ったが,極低温ステージにおける最低到達温度は約 650 mKであり,このときの1Kポットおよび分溜器の温度はそれぞれ1.6 Kおよび800 mK であった.本冷却において,極低温ステージにおいて最低温度100 mK以下を達成した冷却 を再現できなかったことは,循環ラインのブロックにより循環ガスを漏洩したことが原因と言 える.循環ガス量の調整を行った.図4.13に示したガス追加経路の場合,追加するガスに含 まれる不純物を除去できない.そこで,図4.22に示すように,循環ライン外部にLNTを増設 し,LNTを通してガスを追加できるようにした.

V6

LNT

3He or 4He ガス

ポンプ

V14

4.22 LNTを用いたガス追加経路

極低温ステージにおいて相分離温度である800 mK程度以下の温度を保持できるのは30分 程度であったため,飽和蒸気圧の違いを利用した3Heガスと4Heガスの分離は困難であった.

しかし,ガス回収時最初に回収されるガスは比較的3Heが多く含まれているものと考え,これ まで希釈冷凍機運転に用いていた循環ガスを3Heが多く含まれるガス(3He-rich)と4He が 多く含まれるガス(4He-rich)に分別し,ガス調整を試みた.さらに,純3Heガス,純4Heを 追加してガス調整を試みたが,極低温ステージにおける最低到達温度は約550 mKであり,こ のときの1Kポットおよび分溜器の温度はそれぞれ1.6 Kおよび800 mKであった.分溜器の 最低到達温度は約550 mKであった.その後,冷却の度に最低到達温度は上昇していき,極低 温ステージで1 K 程度の温度までしか冷却できなかった.また,ワンショット運転の場合に も,最低到達温度は極低温ステージおよび分溜器においてそれぞれ1.1 Kであった.

1Kポット,分溜器,極低温ステージの温度がほぼ等しいこと,冷却を繰り返すと最低到達 温度が高くなってきたことから,IVC の真空漏れが疑われる.リーク修理後,室温において リークがないことを確認していたが,4 Kまたはそれ以下の温度に冷却しているときにのみ現 れるリークがある可能性がある.IVCを液体4Heに浸漬し,1Kポットを駆動した状況で,ヘ リウムリークディテクタを用いてリーク試験を実施したが,バックグラウンドが大きく,リー クレート105 Pa·m3/sオーダー以上のリークがないことしか確認できなかった.再度,室温 においてヘリウムリークディテクタを用いてリーク試験を行ったところ,温度計·ヒーター配 線をIVCに導入するために,IVCトップフランジに溶接したコネクタからリークがあること が分かった.コネクタは図4.23に示すように,金属とセラミックを接合したハーメチックコ ネクタである.リークの原因は,コネクタ内部のセラミックが割れていること,コネクタと IVCトップフランジの溶接部分が割れていることが考えられるが,これらの根本的な修理は困 難である.ただし,1 K程度までの温度領域における多数の配線を必要とする低温実験には有 用である(25)

大気側 真空側 コネクタ筐体

セラミック 端子 

溶接箇所 

4.23 IVCトップフランジのコネクタ