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援助額・重点分野の推移と主要ドナー

ドキュメント内 2003 3 (ページ 91-97)

第 3 章 貧困削減へ向けた国際協力

3.1. 援助の概況

3.1.1 援助額・重点分野の推移と主要ドナー

ラオスの純援助受取額(以下:ラオスへの援助総額)は、1990年代前半に増加傾向を示 している。1991年に約1.4 億ドルだった援助総額は、1996年に約3.3 億ドルとピークを 記録した。この間に、援助総額の対GDP比率は15%から18%ほどに増加している。し かし、1997年以降、ラオスへの援助総額は低下傾向を示し、2000年には約2.8 億ドルま で減少した。この間、援助総額の対GDP比はおよそ20%に増加しており、これはアジア 通貨危機の影響による GDP の低下が原因であることがうかがえる。その結果、1990 年

代末には、援助への依存度が、周辺の重債務国のそれと比較しても非常に高い水準とな っている74。(表3-1)

援助総額に対する主要ドナーの占める割合の変化を見ると、1990年代前半のラオス援助 の中心的なドナーは、アジア開発銀行(ADB: Asian Development Bank)、世界銀行(WB:

World Bank)、日本、スウェーデンであった。1991年には、ADBの年間約3,000 万ドル

(援助総額の約20%)をトップに、いずれも約1,500〜2,000万ドルほどの援助を行ってい た。その後、ほぼすべてのドナーが援助額を増加させているが、特に増加が著しかった

のはADB、日本、WBであり、1996 年にはADBが8,300万ドル、日本が5,700 万ドル、

WB が5,900 万ドルの援助額を供与した。同年、これらのドナーが行った援助の合計額

は総援助額の60%以上に及んでいる。また、ドイツ、フランス、EC、オーストラリアと いったドナーも援助規模を1,000万ドル以上に増加させた。

しかし、1997年以降、日本の援助が増加を続けたのに対して、ほぼすべてのドナーが援 助額を縮小させている。その結果、日本の援助額は ADBを超え、2000 年には 1.1 億ド ルを拠出、総援助額の約40%を占める単独のトップドナーとなった。同年ADBは4,700 万ドルの融資を行っており、日本と ADB の総援助額に占める割合は 60%近くなってい る。現在、その他の主要ドナーは、WB、スウェーデン、ドイツ、フランス、オースト ラリアであり、それぞれが年間約1,000〜1,700万ドル、総援助額の5%ほどを占めている。

(表3-2)

総援助額のセクター別割合は小刻みに変化してきたが75、全体としては1997 年を境に大 きな変化が認められる。1990 年代前半から 1997 年に至るまで、主に運輸、エネルギー セクターからなる経済インフラ分野の占める割合が増加しており、社会インフラ分野や 生産分野の占める割合は減少傾向にあった。その結果、1997年には経済インフラ分野が 援助総額の66%を占め、社会インフラ分野と生産分野はともに6%程度に縮小している。

しかし、1998〜1999年には、経済インフラ分野の占める割合が急減する一方、主に医療 保健、教育、水・衛生、政府・市民社会支援などの占める割合が急増した。2000年には、

援助額全体の5割近くがこれらの社会インフラ分野に向けられている。なお、運輸セク ターを含む経済インフラ分野の占める割合は、2000年に回復の兆しを見せているが、こ れが持続的な傾向であるのか現時点では明確でない。その他、生産分野については農林 水産業が大半を占めているが、1990年代の前半から総援助額に占める割合は減少傾向に あり、2001年には10%ほどとなっている。(表3-3)

各ドナーのセクター別援助配分を見ると、全体的な傾向として、社会インフラ分野はす べての主要ドナーが少なくとも15%程度のシェアを確保しているのに比べると、経済イ ンフラ分野や生産分野への配分にはかなりのばらつきが見られる。1990年代の各ドナー の資源配分を巨視的に分類するとすれば、ADB、日本、WB、ドイツなどは経済インフ ラ分野(特に運輸セクター)に重点を置いているのに対して、オーストラリア、ノルウ ェー、UNDP といったドナーは社会インフラ分野へ重点を置いている。後者は教育や保 健セクターなどのサブセクターに加えて、政府・市民社会への支援を行っているという 共通点を持つ。また、生産分野への主要ドナーは、スウェーデン、UNDP、フランス、

74例えば、1990 年代の対GDP 援助総額比の平均はカンボジアでおよそ 12%であるのに対し、ラオスは約 17%となっている。

753-3で、セクターの割合が毎年変化を見せているが、これはOECDのデータが毎年のコミットメント額 ではなくディスバースメント額であることにも要因している。

日本、ADBであるが、日本やADBが農業セクターに重点を置いているのに対して、ス ウェーデンやUNDPが林業セクターに重点を置いているなど、セクターレベルの資源配 分でドナーの間に一致した傾向はない。(表3-4)

現在ラオスで活動する主要な援助機関は、いずれも貧困削減政策への支援を表明してい る。また、1990 年代の後半には、UNDP がコーディネーション役を務めて、円卓会合

(RT M:Round Table Meeting)や国連国別チーム(UNCT: United Nations Country Team)会 合といった幅広いドナーが参加する協調体制が確立している。ただし主要ドナーの間で 貧困削減に対するアプローチの違いが顕在化しており、ドナー協調が体制化された現在 も多くの課題に直面しているのが現状である。この点については3.1.2節でさらに詳しく 説明する。

また、ラオスにおける国際 NGO(INGO)に関する公式資料は少ないが、ラオス政府が 2001年に発表した外国援助政策(Foreign Aid Report)によれば、1999年度のNGOによ る援助資金の合計は 1,260 万ドルとなっている。これは、日本を除く主要二国間ドナー の支援額とほぼ同じ水準であり、ラオスにおける NGO 活動の規模の大きさを示してい る。ラオス政府によれば、NGOからの援助額は、約71%が、教育、医療保健などを中心 とする社会インフラ分野へと向けられている。

表 3-1  ODA純受取額の推移(1991〜2000年)

ODA純受取額合計 二国間援助 多国間援助

金額

(100万ドル)

対GNP

(%)

金額

(100万ドル)

純受取額合 計に対する 割合(%)

金額

(100万ドル)

純受取額合 計に対する 割合(%)

1991 141.25 15.01 66.79 47.28 74.46 52.71 1992 164.13 13.85 76.87 46.83 87.26 53.16 1993 201.85 15.24 92.19 45.67 109.66 54.32 1994 215.89 14.00 123.75 57.31 92.14 42.67 1995 308.52 17.50 170.02 55.10 138.50 44.88 1996 332.07 17.74 147.49 44.42 184.58 55.58 1997 328.23 19.30 164.76 50.20 163.47 49.80 1998 282.22 23.09 165.72 58.72 116.50 41.28 1999 294.98 21.21 210.48 71.35 84.50 28.65 2000 280.34 17.12 194.26 69.29 86.08 30.71 [出所] OECD の ホー ムペ ージ (URL:http://www.oecd.org/) の International Development Statistics Online

DatabaseからReference Section: Total Net ODA/OA (DAC2a)を用いて作成

表 3-2  ODA純受取額のドナー別割合の推移(1991〜2000年)

1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 純援助受取

総額

(100万ドル) 141.3 164.1 201.9 215.9 308.6 332.5 329.1 282.6 295.4 281.2 DAC諸国

(%)

日本 14.55 15.11 20.03 28.11 31.62 17.27 23.88 30.28 44.86 40.86 スウェーデン 10.21 9.69 8.41 6.12 4.33 5.33 4.70 4.24 3.91 5.18 ドイツ 4.22 4.48 3.63 4.16 5.62 6.89 5.05 6.50 7.33 4.73 フランス 9.43 5.25 4.07 6.60 2.73 4.93 4.48 4.13 3.61 4.55 オーストラリア 5.33 6.44 5.15 4.94 4.24 3.73 4.33 3.69 2.90 4.20 ノルウェー 1.62 1.74 1.30 2.58 1.34 1.26 1.63 2.53 2.22 3.02 スイス 1.26 1.33 2.13 3.02 1.82 0.94 1.45 0.19 0.38 0.56 米国 0.71 0.00 0.00 0.00 0.65 0.90 0.61 2.71 2.04 0.96 その他 -0.06 2.79 0.96 1.76 2.75 3.11 3.92 4.36 3.98 5.04 小計 47.28 46.83 45.67 57.31 55.10 44.36 50.06 58.64 71.24 69.09 国際機関

(%)

ADB 21.71 12.59 22.71 11.10 19.91 25.16 26.00 22.47 14.82 16.82 WB 10.62 22.97 18.55 12.13 8.78 17.75 12.43 8.38 6.27 5.95 EC 1.70 1.87 1.76 3.02 3.55 3.85 4.47 4.89 3.68 2.76 UNDP 5.50 4.20 2.60 2.05 1.51 2.59 2.37 1.60 1.48 1.00 IMF 8.52 5.06 4.06 3.91 5.15 1.66 1.00 -2.86 -2.62 0.00 UNICEF 1.66 1.63 1.31 1.68 1.21 1.15 0.57 0.59 0.99 0.78 その他 2.99 4.84 3.33 8.78 4.78 3.36 2.84 6.14 3.98 3.31 小計 52.71 53.16 54.32 42.67 44.88 55.52 49.67 41.22 28.60 30.62 その他 0.01 0.01 0.00 0.02 0.02 0.12 0.26 0.13 0.16 0.29 総合計 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 [出所] OECD のホームページ(URL:http://www.oecd.org/)の International Development Statistics Online

DatabaseからReference Section: Total Net ODA/OA (DAC2a)を用いて作成

表 3-3 ODA/OA純受取額のセクター別割合の推移(1991〜2001年)

(単位:%) 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 社会インフラ 12.3 7.0 47.8 17.9 25.4 13.8 6.9 26.5 36.3 47.5 17.7

教育 7.1 0.3 22.7 3.9 7.8 2.0 1.4 11.0 7.1 12.1 4.1 保健 0.0 0.0 1.2 0.6 14.4 1.0 0.5 1.9 15.7 13.3 5.4 水・衛生 4.3 2.7 23.4 8.5 0.7 1.5 1.7 8.3 0.1 12.7 3.1 人口プログラム 0.0 0.0 0.1 0.0 0.0 0.1 0.0 0.1 0.3 0.4 0.6 政府・市民社会 0.4 0.2 0.4 0.1 0.8 2.1 1.9 0.5 8.7 6.3 2.6 その他 0.5 3.8 0.0 4.7 1.7 6.9 1.4 4.7 4.4 2.8 1.9 経済インフラ 62.7 14.6 35.3 46.7 42.8 38.5 66.4 53.0 17.6 30.0 53.0

運輸 58.2 2.0 18.6 26.1 35.2 7.5 66.2 27.2 10.1 28.0 48.4 通信 4.0 10.9 1.6 2.7 6.9 0.0 0.0 1.1 4.4 0.1 4.2 エネルギー 0.5 1.7 15.1 17.9 0.7 24.2 0.1 24.5 2.8 1.9 0.0 銀行・金融 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 6.8 0.0 0.0 0.1 0.0 0.4 ビジネス・その他 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.0 0.0 生産セクター 3.8 36.7 9.9 20.0 3.8 11.2 5.9 11.0 13.5 6.9 9.5

農・林・水産 3.7 36.7 9.8 20.0 3.6 11.2 5.8 11.0 12.4 6.6 9.3 工・鉱・建設 0.1 0.1 0.1 0.0 0.1 0.1 0.0 0.0 0.6 0.2 0.2 貿易・観光 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.5 0.1 0.0 マルチセクター 2.8 36.9 4.6 5.1 11.4 10.4 16.1 2.4 11.2 4.0 9.2 プログラム 17.0 2.7 0.0 9.1 10.3 14.2 1.9 5.5 14.3 8.2 9.0 債務関係 1.2 1.8 2.3 1.0 1.9 10.3 0.5 1.4 2.5 1.4 1.3 緊急援助 0.1 0.3 0.2 0.2 4.1 1.3 1.9 0.2 0.7 0.9 0.2 分類不可 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.3 0.5 0.1 4.1 1.1 0.0 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

[出所] OECDのホームページ(URL:http://www.oecd.org)の Creditor Reporting System のOnline Database からCRS/Aid Activities - Aggregated by sectors : 1990-2001を用いて作成。

[注] データは2002年10月にシステムで公開されているものを使用。

全てTOTAL100%とした場合の割合である。

表 3-4 主要ドナーのセクター別資源配分 (1991〜2001)

(単位:%) 日本 スウェー

デン

ドイ

ツ フランス オーストラ

リア ノルウェー ADB WB UNDP 社会インフラ 14 25 14 27 63 59 21 15 40

教育 4 1 4 7 32 19 9 5 0

保健 3 3 1 2 15 2 4 5 0

水・衛生 7 9 7 6 3 1 8 0 1

人口プログラム 0 0 0 0 1 19 0 0 5 政府・市民社会 0 3 2 1 8 17 0 0 34

その他 0 9 1 12 6 1 0 5 1

経済インフラ 53 46 32 9 9 14 62 49 3 運輸 42 46 13 2 7 0 31 40 0

通信 5 0 19 2 0 0 0 0 0

エネルギー 6 0 0 5 1 14 27 9 0

銀行・金融 0 0 0 0 1 0 4 0 3

ビジネス・その他 0 0 0 0 0 0 0 0 0 生産セクター 12 22 0 14 8 4 10 2 19

農・林・水産 12 21 0 14 7 4 10 2 7

工・鉱・建設 0 0 0 0 0 0 0 0 9

貿易・観光 0 0 0 0 1 0 0 0 3

マルチセクター 5 6 8 21 13 18 7 13 9

プログラム 12 0 8 26 0 0 0 21 0

債務関係 4 0 29 1 0 0 0 0 0

緊急援助 0 1 5 0 5 4 0 0 4

分類不可 0 0 3 1 2 1 0 0 26

合計 100 100 100 100 100 100 100 100 100 [出所] OECDのホームページ(URL:http://www.oecd.org)の Creditor Reporting System CRS)のOnline

DatabaseからCRS/Aid Activities - Aggregated by sectors : 1990-2001を用いて作成。

ドキュメント内 2003 3 (ページ 91-97)