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保健

ドキュメント内 2003 3 (ページ 31-36)

第 1 章 ラオスの貧困概況

1.2. 社会経済開発指標の測定

1.2.4 保健

1980年代半ばから、平均余命の伸び(48歳から2000年に59 歳)に見られるようにラオ スの保健指標は改善してきた42。しかし、表1-21 の保健指標に示してあるように、ラオ スの保健状況(表1-22)は近隣諸国と比較しても低い水準であり、医療サービスの不備 から地域間格差が著しい。特に、国・州・郡・村落など行政単位の全レベルで都市・農 村部の格差は著しく、農村部での公共サービスの提供が著しく不備であり43、農村部で も特に少数民族が居住している遠隔地での健康状況は非常に厳しい状態にある。また、

人口増加率は2001年に2.3%44と他の東南アジア地域で最も高く、急激な人口増加は限ら れた財政を圧迫し、十分な公共サービスが提供できないなどの課題も抱えている。

42一方で、政府と他の援助機関が示している保健指標に大きな違いがあることも注意しなければならない。

43医療機関へアクセスは、全体の62%の村が最も近い医療施設から4km以内であり、24%4-16km14%

16km以上、となっている。北部の場合は平均で26km、中部、南部がそれぞれ、12km、8km。(LECS II

44 World Bank, (2002), W orld Development Report 2001.

表 1-21 保健指標

人 口 保健サービス 栄養失調

乳児 死亡率 (対1,000

出生)

5歳未満 児死亡率

(対1,000 出生)

妊産婦 死亡率 (10万人

あたり)

合計特殊 出生率

(%)

近代的避 妊法知識

(%)*1 予防 摂取率

(%)

*2

低身長 児比率 中度

(%)

*3

低体重 児比率 中度

(%)

*3 データ年 2000*1 2000*1 2000*1 2001*1 2000*1 1997/98*2 2000*1 2000*1

北部 88.1   118.0 540 4.5     n.a. 87.5 n.a .   n.a.

Phongsaly 61.9 77.3 n.a. 5.5 36.6 82.2 8.1 0.2 Luangnamtha 88.3 119.1 n.a. 5.1 60.9 88.9 6.3 2.0

Oudomxay 79.1 111.1 n.a. 5.9 70.3 88.8 8.1 0.5

Bokeo 73.3 91.6 n.a. 4.0 92.9 85.2 10.7 1.5 Luangprab ang 124.8 149.7 n.a. 5.0 72.8 83.3 9.5 1.0

Huaphanh 58.3 94.8 n.a. 6.8 76.6 81.4 8.9 0.1 Xayaboury 46.8 66.1 n.a. 3.5 88.9 100.0 4.3 1.1

中部 75.7 98.9 440 2.6 n.a. 91.1 n.a. n.a.

Vientian M. 17.9 21.4 n.a. 2.4 97.9 97.3 8.7 9.1 Xiengkhuang 69.6 90.4 n.a. 5.8 76.2 88.9 6.7 0.9 Vientian P. 34.9 58.8 n.a. 4.2 90.0 91.6 6.1 0.6 Borikhamxay 26.0 47.7 n.a. 5.0 56.9 86.7 6.2 2.2 Khammuane 91.5 116.2 n.a. 5.5 74.3 88.5 11.4 1.7

Savannakhet 98.7 123.9 n.a. 5.1 84.7 94.3 14.2 1.6

Xaysomboon SR 58.7 68.3 n.a. 7.3 55.4 84.5 3.6 0.7 南部 86.9 107.0 700 5.4     n.a.   92.0   n.a.     n.a.

Saravan e 75.8 96.6 n.a. 5.8 84.8 95.0 6.7 1.0 Sekong 55.4 70.7 n.a. 5.5 36.6 54.7 6.0 0.5 Champasack 77.8 93.8 n.a. 4.9 75.3 100.0 8.0 0.4

Attapeu 93.1 111.7 n.a. 5.8 50.2 66.3 5.7 0.3

都市・農村部

都市部 41.7 48.6 170 2.8 n.a. n.a. n.a. n.a.

農村部 87.2 114.2 580 5.4 n.a. n.a. n.a. n.a.

全 国*2 82.2 106.9 530 4.8 77.6 90.9 8.7 1.4

支出階層別

 貧困層 38.6 38.6 n.a. n.a. n.a. 87.7 n.a. n.a.

 非貧困層 61.4 61.4 n.a. n.a. n.a. 92.9 n.a. n.a.

[出所] *1 SP C, National Statistical Centre, (2001), Lao Reproductive Health Survey 2000.

*2 SP C, National Statistical Centre, (1999), The Households of Lao PDR: Social and Economic Indicators Lao Expenditure and Consumption Survey 1997/98.

[]  *1 いずれかの避妊方法の知識がある女性の割合。

*2 ポリオ、BDGDP T、麻疹をすべて含む。

*3 中度の低身長比率ならびに低体重比率は、(平均値 - 2SD)の値よりも低い5歳未満児の比率

(%)で表す。

表 1-22 近隣国の保健指標

人口増加率

(%)

合計特殊 出生率

(%)

平均余命

(歳)

妊産婦 死亡率 (10万人 あたり)

乳児死亡率

(対1,000 出生)

幼児死亡率

(対1,000 出生)

低体重児率

(%)

データ年 1993-2000 1996 2000 1993-2000 1997-2000 1995-2000 1995-2000 ラオス 2.4 4.5 59.0 530 106 52 75 カンボジア 2.7 4.6 53.4 900 167 36 65 ヴィェトナム 1.8 2.6 67.4 160 43 36 53

タイ 1.2 1.7 68.8 200 26 86 98

マレーシア 2.1 3.2 72.0 80 25 78 96

[出所]  World Bank, (2002), Public Expenditure Review Country Financial Accountability Assessment Vol. II, p.100

母子保健の状態は、乳児死亡率(1,000人あたり82.2人)、妊産婦死亡率(10万人あたり 530 人)などに見られるように、近隣諸国と比較しても特に悪い。高い乳幼児死亡率の 原因は、新生児破傷風やマラリア、下痢など予防可能な感染症や寄生虫などの疾患、栄 養不良にある。妊産婦死亡率が高い原因は、i)自宅での分娩が86.1%と助産婦や医療従 事者の介助なしで出産が行われていること、ii)出産前後で医療ケアへのアクセスが限ら れていること、iii)10 代の若年出産、多産、妊婦の栄養不足などがあげられる45。ラオ スは人口が少ない小国であるため、家族計画よりも出産を奨励する傾向があり、2000年 における家族計画履行率は約32.2%と低く、コンドームの普及率も2.2%と低い。一方で、

政府は1989年から、妊産婦死亡率と乳幼児死亡率が高いことから、母子保健の改善のた めに、出産間隔を置くように奨励している。

ラオスでの主な死亡原因は、マラリア、急性呼吸器感染症、下痢症、結核など感染症で ある。特にマラリア感染の報告は、年間100万件を超え、病院の患者の約40%を占める46。 ビタミンAやヨウ素欠乏症など微量栄養素欠乏症などの非感染症の問題や、安全な飲み 水を確保できないなど公衆衛生の問題も深刻である。

表1-23に貧困層、非貧困層別の医療サービスへのアクセスを示す。病院へのアクセスも

貧困層が 84.2%に対して、非貧困層は 95.7%となっている。その他の医療施設へのアク

セスや医療従事者へのアクセスの割合に関しても、非貧困者よりも貧困者の方が低い。

表 1-23 医療サービスへのアクセス

(単位:%) 

医療

従事者 看護婦 予防摂取 出産介

助率 薬局 コミュニティ

保健員 病院

貧困層 46.8 63.0 87.7 44.6 23.8 41.7 84.2

非貧困層 57.2 63.7 92.9 50.5 37.5 45.9 95.7

合計 53.2 63.4 90.9 48.2 32.1 44.3 91.2

[出所]  Kakwani, N., et al., (2002), Poverty in Lao PDR During the 1990s.

45 SP C, National Statistical Center, (2001), Lao Reproductive Health Survey 2000.

46 World Bank, (2002), Public Expenditure Review Country Financial Accountability Assessment Vol. II, p. 100

地域ごとの保健医療施設へのアクセス見ると(表1-24)、中部および南部では、保健セン ターおよび病院が4km以内にあるのは、それぞれ74〜75%、47〜48%である。一方で、

貧困率が最も高い北部地域におけるアクセスが最も低い。4km 圏内に薬局があるのは 43%であり、保健センターがあるのは4割を下回っており、病院についてはわずか14% に過ぎない。病院で治療を受けるのに、16km以上の移動を伴うのは6 割以上であり、北 部の山岳地帯においては道路など輸送インフラが未整備であることを鑑みると、大多数 が病院へのアクセスを持つことが困難な状況にあるといえる。都市部と農村部で見ても 格差は激しく、都市部では4km 以内に保健センターおよび病院がある率は、それぞれ約 80%、70%であるのに対し、農村部では、それぞれ55%、20%である。

したがって農村では伝統的医療を含む民間療法に依存する傾向が強い(表 1-25)。結果と して、農村部の幼児死亡率は都市部の2倍近く(表1-21)、5 歳未満の栄養失調児は農村・

都市部でそれぞれ 60%、40%となっており、都市・農村部での健康状態の格差がうかが える。

表 1-24 地域別保健医療施設へのアクセス

(単位:%)

        4km以内       4から16km以内           16km以上    保健セ

ンター

病院 薬局 保健セ ンター

病院 薬局 保健セ ンター

病院 薬局 全国 61.5 35.1 68.3 24.3 28.1 20.0 14.2 36.8 11.7 北部 38.4 13.8 43.2 32.6 24.1 31.8 29.1 62.1 25.0 中部 75.0 46.5 86.3 22.2 26.8 9.6 2.8 26.8 4.1 南部 74.1 47.6 79.7 17.3 33.3 16.5 8.6 19.0 3.8 都市部 78.3 69.9 94.3 17.4 17.4 4.3 4.3 13.0 1.4 農村部 54.7 21.4 57.6 27.1 32.4 26.5 18.2 46.2 15.9

〔出所〕Ministry of Health, (2001), Report on National Health Survey: Health Status of the People in Lao PDR, pp.

43-44, Table 4、5、6より作成

表 1-25 民間療法の利用状況

類型 利用率

地域 北部 63.3

中部 33.8

南部 56.7

地区 都市部 33.5

農村部 60.6

雇用状況 家族労働(無給) 64.3

農業・漁業労働者 59.1

学生 46.2

失業者 40.0

政府職員 39.3

雇用者 33.3

民間企業経営者 33.3

民間企業従業員 25.0

臨時労働者 25.0

家事労働者 36.4

教育水準 初等教育 51.4

中等教育 42.3

高等教育 32.1

非フォーマル教育 60.0

全国 52.9

〔出所〕Ministry of Health, (2001), Report on National Health Survey: Health Status of the People in Lao PDR, p.48, Table 44.1より作成

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