第2章 教育内容論の定着と教材・授業の開発
第3節 教育内容を中心とした授業プランの開発と授業構成
1 授業プランの開発と変化
教育内容を中心とした授業プランとしてまず発表されたのは、「変奏曲」(吉田孝作成、
1982年)と「リズムを発見しよう」(松本正作成、1982年)である。ついで、1983年には
「拍子のおはなし」(八木正一、山中文他作成、1983年)が、そして1986年にははじめて 音楽と社会の関係をとらえるプランとして「要注意歌謡曲」(八木他作成、1986年)が誕 生した。1987年には「あなたも名人になれる演歌づくり講座」(山中作成)、「いい声作ろ う」(吉田作成)、「ロンド・ロンド・ロンド」(八木作成)、「かっぱのすっぱ君と輪唱で遊 ぼう」(出口誉子作成)、「大きい音、小さい音、だんだん大きくなる音だんだん小さくなる 音」(山田潤次作成)、「バロック音楽のお話」(松本正作成)、「これぞ管楽器だ」(山中、三 谷安宏作成)が発表されている。そして、あわせて、まとまった授業プランではなく、授 業アイデアの形のものが発表されるようになった。これは、つまり、ある音楽の仕組みを 教育内容として教材を構成した授業プランではなく、ある教材において、その教材が典型 的にもっている音楽の仕組みの視点からとらえた授業構成のアイデアという形で示された ものである。
1980年代に発表された授業プラン・授業アイデアをまとめると以下の表2−2のように
なる。表中、種別のA は前節88頁であげた①〜④のうち、「① 音楽の一般的な要素」を 中心とするもの」がテーマとなったものである。B は②〜④の内容がテーマとなったもの であり、C は授業アイデアの形で示されているものを指す。C*は Aの授業プランから抽 出された授業アイデアであることを示している。特に1987年以降に授業アイデア(C)が 多くなっており、このことは、教育内容を中心とした授業構成のとらえ方が変わってきた ことをうかがわせるものである。
表2−2 1980年代の授業プラン、授業アイデア
発表
年 タ イ ト ル 教 育 内 容 種
別 出 典
1982 リズムを発見しよう リズム A 千成編:1982, 111-117
1982 変奏曲 変奏曲 A 千成編:1982, 103-108
1982 レロンレロンシンタ 速さ C 千成編:1982, 117-123
1983 拍子のおはなし 拍子 A 八木他:1982a, 1982b
1985 フレーズは大切だ! フレーズ A 有道他:1985
1986 要注意歌謡曲 音楽と社会 B 八木他:1986
1987 これぞ管楽器だ 管楽器のしくみ B 山中他:1987
1987 題をつけよう イメージ C 八木:1987b, 12-16
1987 あなたは映画音楽監督 イメージ C 八木:1987b, 16-18
1987 審査員になろう 歌唱表現 C 八木:1987b, 18-20
1987 おいしい授業 管楽器のしくみ C* 八木:1987b, 39-41
1987 じゃんけん和音 和音 C 八木:1987b, 42-44
1987 リズムサイコロ リズム(技術) C 八木:1987b, 44-45
1987 チャルメラコンクール 楽器の構造 C* 八木:1987b, 47-50
1987 気分はアルプス 楽器の構造 C* 八木:1987b, 50-55
1987 私の名前でメロディーを 作曲 C 八木:1987b, 55-56
1987 つづきを作ろう リズム創作 C 八木:1987b, 56-59
1987 おもしろ歌づくり 作曲 C 八木:1987b, 60-61
1987 音ぬきドングリ 音高 拍 C 八木:1987b, 62-64
1987 人間音階 階名唱 音高 C 八木:1987b, 64-65
1987 魔法の音楽 強弱 C 八木:1987b, 65-66
1987 音楽大なわとび カノン C* 八木:1987b, 66-68
1987 蚊のカノン ストレッタカノン C* 八木:1987b, 68-70
1987 合体輪唱 カノン パートナー
ソング C* 八木:1987b, 70-72
1987 オスティナートで遊ぼう オスティナート C* 八木:1987b, 72-73
1987 カード歌しりとり 階名、フレーズ、節 C 八木:1987b, 73-75
1987 十五夜さんのもちつき 2拍子 C* 八木:1987b, 75-77
1987 バンブーダンス 2、3拍子 C* 八木:1987b, 77
1988 あなたも名人になれる演
歌づくり講座 演歌の構造 B 千成・竹内編:1988, 7-22
1988 いい声つくろう 発声 B 千成・竹内編:1988, 23-30
1988 ロンド・ロンド・ロンド ロンド A 千成・竹内編:1988, 31-42
1988 かっぱのすっぱ君と輪唱
で遊ぼう カノン A 千成・竹内編:1988, 43-55 1988
大きい音小さい音、だん だん大きくなる音だんだ ん小さくなる音
音の大小 A 千成・竹内編:1988, 56-70
1988 バロック音楽のお話 バロック様式 B 千成・竹内編:1988,
110-124
1988 楽譜のお話 楽譜 B 千成・竹内編:1988,
125-129
1988 ひとり一音の音楽 音高、拍 C 千成・竹内編:1988,
129-130
1988 ピッタリ音合わせ 音色 C 千成・竹内編:1988, 131-133
1988 イスとりゲームで和音を
教える 和音 C 千成・竹内編:1988, 133
1988 べんけいがいっぱい カノン、オスティナ
ート C 千成・竹内編:1988, 133-137
1989 ああえおうあ 発声法 B 山田:1989b
1989 パートナーソング遊び カノン、パートナー
ソング C 八木:1989, 59-60
1989 ふりつけ輪唱 カノン C 八木:1989, 62
1989 音分け歌遊び 音高、フレーズ C 八木:1989, 63
1989 歌連想ゲーム レパートリー C 八木:1989, 63
1989 シラソでつくるミニミニ
オペレッタ 運指、メロディー C 八木:1989, 66-68
1989 太平洋横断ゲーム ロングトーン C 八木:1989, 68-72
1989 ピコ式タンギング練習法 タンギング C 八木:1989, 72-74
1989 キャプテン探し 運指、音 C 八木:1989, 75-76
1989 一音リコーダー 運指、フレーズ C 八木:1989, 76-77
1989 リコーダー二人三脚 拍にのる C 八木:1989, 78-80
1989 メロディー笛・紙リコー
ダー 楽器のしくみ C 八木:1989, 82-87
1989 お話クィーカ 楽器のしくみ C 八木:1989, 87-88
1989 手づくりケーナ 楽器のしくみ C 八木:1989, 88-92
1989 パートナー探し 音 C 八木:1989, 94-96
1989 ボディーパーカッション
ゲーム リズム C 八木:1989,96-97
1989 和音いすとりゲーム 和音 C 八木:1989, 97-99
1989 音楽サバイバルゲーム 種々の活動 B 八木:1989, 102-112
1989 シャープ君の音楽探検 世界の民族音楽と旋
法 B 八木:1989, 113-130
1990
「サン・サーンス作曲 組曲「動物の謝肉祭」を 聴こう
パロディ− B 山田:1990
この表の種別にしたがって、次項から、88頁の①に該当する音楽の要素を中心とした授 業プランや、②〜④に該当する、音楽の表現対象を中心とした授業プラン、音楽の表現技 術や楽器を中心とした授業プラン、音楽の機能を中心とした授業プランの具体例、そして その他の授業アイデアの具体例をあげる。