第 2 章 日本の役員報酬の問題点とコーポレート・ガバナンス
2.6. 日本の役員報酬データについて
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以上、上記の2名は日本の慣行を前提とすれば、飛び抜けて報酬金額が高額である。アン グロサクソン型の企業統治を前提にするのは良いとしても、高額な報酬だけを世界標準で 捉えすぎている感が否めない。日本で企業経営をするのであれば、日本の風土、日本型経営 慣行に沿った報酬が存在する筈であると考えても不思議ではないだろう。日本の企業で米 国の役員やCEOの報酬をベースに報酬額を決定することについては、誰もが納得するよう な決定的な貢献度が示されない限り若干無理があると思われる。業績を低迷させておきな がら、高額な報酬を当たり前のように受け取るという行為は避けるべきであろう。
経営者の報酬が増えれば、その分従業員への給料も増やさなければ企業全体で不平不満 が生じることも考えられる。しかし、従業員の給与や賞与は削減されていても、役員の報酬 だけは増加している企業も少なくない。2010年3月期、日本で役員報酬が開示された当時、
ボーナスを減額された野村證券の社員が社長の報酬を知って激怒したというの話はよく知 られている。役員の報酬は、経営目標としてのROIやROE の向上が達成できなかったと しても、せめて売上や利益等に連動させていく必要があるのではないだろうか。
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上昇するということは、業績が向上しているからだといいうことになる。業績の向上こそが 役員の報酬を増額させる唯一の理由であると解釈することが出来よう。しかし、44 名の役 員の中で企業の売上がマイナスになっているにも関わらず、翌年に報酬額が増加している 役員が6名存在している。さらに、純利益が低下しているにも関わらず、翌年に報酬額が増 加している役員が24名も存在している。このことは、日本の企業では役員報酬が業績とは 無関係で決まっていることを裏付ける1つの証拠であるとも考えられよう。純利益を増加 させることが経営者の能力そのものを表すものではないが、数値だけを見ると半分以上が 成果を出さずして報酬額を釣り上げている。
日本の役員報酬体系は、2つの形に分かれていると思われる。1つは、業績と連動させず に飛び抜けて高額な報酬を受け取っているケースである。もう 1 つは、中間管理職の給与 水準からいくらか上乗せして報酬を決めているケースで、無難な報酬体系のように思われ る。日本では役員報酬額は、経営者の貢献度合い、売上、純利益に連動していないと考えら れる。そのような企業を株主は支持するであろうか。また、報酬の決定が不明確な企業につ いて、コーポレート・ガバナンス上問題のない企業と言って良いのだろうか。
2010年3月期から2012年3月期までの3期間の3期目(2012年3月期)に役員報酬 額を減額した役員は72名存在した。純利益が減額しているため、役員報酬額を引き下げて いる役員、逆に3期連続で純利益を増加させているにも関わらず、3期目に役員報酬額を減 額している役員もいる。したがって、相当数の企業で、業績が必ずしも役員の報酬に関連し ているわけではない。以上みてきたように、日本の役員報酬額は財務指標である売上、純利 益、ROE等に連動していない企業が多数存在する。
日本では、役員報酬額が 5 千万円ぐらいの間で推移している企業が圧倒的に多いという 報告もある。これらの企業における純利益の額は、概ね2,000億円以下である。また、純利
益が2,000億円以下の企業においては、役員の報酬が5千万円~8千万程度となっている。
純利益が3,000億円程度だと、多くの役員の報酬が1億円を超えることが多くなる。
本章では、日本的経営慣行について概観したうえで、米国の経営スタイルと比較し、日本 の企業はコーポレート・ガバナンスをこれまで以上に推進していく必要があることを提唱 した。そのためにはまず経営者の意識改革が重要である。つまり、「企業は株主のもの」で あるという考え方を日本の企業の経営者に定着していく必要があると思われる。さらに、株 主を含めたステークホルダーからの監視体制を整える必要もあろう。
機関設計においては、今後は徐々に監査役会設置会社から委員会設置会社への移行が進
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むと思われる。日本の経営者のリスク・テイクは国際的みて低い。今後はもう少し、リスク を調整しながら、高いリターンを獲得できるような経営を目指す必要があろう。さらに国際 的な水準からみて、日本企業の収益性が低い点も気になるところである。高いリターンを獲 得し、株価を上昇させるような適切なインセンティブを経営者に与える必要があるだろう。
筆者は日本企業においても出来る限り業績連動型の報酬制度を導入する必要があるのでは ないかと考えている。
日本の企業の役員報酬が業績と連動しているか否かについても、データを用いて概観し た。部分的なデータであるが、その示唆するところでは、実際の役員報酬の増加は売上・純 利益に連動していない。また、日本の企業において、役員報酬の決定方法が不明確であり、
中間管理職時代の報酬からいくらか上乗せして、役員報酬が決められているケースが多く 存在した。今後、日本の企業においても、株主を重視した経営、つまり、コーポレート・ガ バナンスの徹底がなされる必要があろう。そのためには、まず、役員報酬が株主に納得して もらえる方法で決められ、報酬額も株主が納得する金額であるべきだろう。業績が低迷して いる企業の役員が自らの報酬を増加させることはあってはならない。
日本の企業の役員報酬が業績と連動しているか否かについても、データを用いて概観し た。データ分析の結果、実際の役員報酬の増加は売上・純利益に連動していない点が明らか になった。また、日本の企業において、役員報酬の決定方法が不明確であり、中間管理職時 代の報酬にいくらか上乗せして、役員報酬が決められているケースが多い点を主張した。今 後、日本の企業においても、株主を重視した経営、つまり、コーポレート・ガバナンスの徹 底がなされる必要があろう。そのためには、まず、役員報酬が株主に納得してもらえる方法 で決められ、報酬額も株主が納得する金額であるべきだろう。業績が低迷している企業の役 員が自らの報酬を増加させることはあってはならないことと考える。
日本企業の多くは株価を高める経営をしていないし、今後も株価を高める企業価値拡大 経営は日本では根付かないかもしれない。しかし、日本の経営者は、当期純利益が減少した のであれば、報酬を減額する必要性について、今後もっと真摯に取り組むべきであろう。さ らに、業績連動型の報酬であるストック・オプション制度についても、もっと積極的に報酬 システムに取り入れる必要があると思われる。
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