第五章 ケニア国学習指導要領の動詞 による分析
第三節 日本国初等教育学習指導要領の動詞による分析
app lyin g, to calculate, solvin g, in volving, based curved,m akin g,interpretin g,determ ining
D D raw in g, readin g, interpretin g, given , introducin g,, solvin g,in volvin g
この表に関する考察は,日本の学習指導要領との対比で、後ほど行う。ここでは結果の 提示のみに留めておく。
(する) よむ 増える 構成する (できる) (みる)
B 理解する 測る 用いる 知る 測定 関係
(できる) (する) 意味
C 通す 考察する 観察する 作る 操作 理解
(できる) (する) 構成する 知る 着 目する かく
第 3 学年
A 深めや 知る ■(できる) 用いる 理解 計算
伸ばす 成 り立つ 考える (する) 変化 交換
(いる) かける 理解する 増減する 結合 意味
表す よむ 分かる 等分する 立式
できる
B 理解する 測定する 測る 用いる 測定 意味
知る (できる) (する) 応 じる 理解 計算
選ぶ つける 表す 深める
求める
C 深 め る 構成する 用いる (でき■る) 理解 作図
(する) 知る 通す 着 目する 関係
関連する
表す よむ (できる) (する) 関係
分かる 用いる 当てはめる 調べる 分類する 整理する まとめる かく 知る
第 4 学年
A 表す (いる) 深める 知る 理解 意味
まとめる 理解する 応 じる 用いる 計算 関係
分かる (する■) ■ 見積もる 伸ばす 交換 結合 (できる) 成 り立つ かける 割る 分配
変わる 考える 着 目する 適用する (ある)
B 理解する 求める 知る 深める 測定 意味
測定する (できる) (ある) 理解
C 観察する 構成する (できる) (する) 理解 関係
通す 深める 着 目する 考察する 作図 考察
理解する 知る 分解する 関連する 位置
表す
D 変わる 表す 調べる 対応する 関係 変化
考える よみとる (できる) (する) 意味
よむ 混合する 用いる 理解する
当てはめる 応 じる 集める 分類整理する 伸ばす 起こる 検討する 計算す■る 第 5 学年
深ぁる 決める 類別する 知る
理解 計算
用いる (できる) (する) 移す 意味 関係
つくる 伸ばす 含める まとめる
成 り立つ 理解する 計算する 直す
表す 乗除する できる 応 じる
見積もる 調べる
求める 深める 伸ばす 知る 計算 理解
分ける 理解する とらえる 用いる 考え 意味
表す 比べる ′(できる) (する) 測定 概測
平均
観察する 構成する (する) 通す 理解 対
深める 理解する 決まる 着 目する 応意味
見いだす 用いる 調べる かく
理解する 用いる 表す (いる)I 意味 関係
変わる 着 目する みる 調べる 対応 琴解
深める よむ (できる) (する) 知る 当てはめる 応 じる 分類整理する 第 6 学年
理解する 用いる 伸ばす 深める 意味 理解
(ある) 含める まとめる 知る 計算 ■
みる 関する 表す
通す 求める (できる) (する) 実験 実測
知る 深める 伸ばす 測定する 測定 理解
理解する 用いる 関係
深める 理解する 着 目する 考察する 理解 意廃 、
まとめる よむ かく ■通す 構成 分解
知る 操作
理解する 用いる 変わる 考察する■ 意味 関係
伸ばす 調べる■ 表す 着目する 比例 処理
(できる) 知る 表現する (する) 求める 分かる (ある) 応 じる
選ぶ 工夫する 作る 起こる
(得る) 整理する 伴 う
以上が動詞を抽出してきた結果である。ここでの留意点を挙げると、上表において擬似 動詞とは「する」を語尾に付けると動詞になる名詞を指しているoその漢字構成は動詞と 名詞の組み合わせや動詞どうしの組み合わせの場合があり、いずれの場合も全体として動 詞的性格が強い。ここでの考察の対象としていないが活動の内面化過程で重要になってく ると考える。また動詞中の(できる)、 (みる)等括弧つきの動詞は特に活動を表しているわ けではないので、ここでは考察の対象から除外する。
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5甘2 抽出されてきた動詞の分析 この表を元にして動詞の分析を進める。
①他動詞が多い。
重複を避けて一度のみ数えると,全部で68個の動詞が学習指導要領に表れる。そのうち 自動詞は「成り立っ」、 「増える」、 「増減する」, 「できる」、 「変わる」, 「起こる」, 「決まる」、
「混合する」の8個のみである*㌔自動詞がある事態を表現しているのに対し,他動詞は数 学教育の基礎にある対象‑の能動性を象徴している。換言すれば,算数では対象に働きか ける活動が中心になって、授業が展開していることを実証している。
②動詞連用形の名詞的用法。
確かめ,落ち,重なり、仕組み,散らばり等。
③ 「‑・方」という表現。
仕方,見方、変わり方,考え方等。
④擬似動詞が多く見られる。
理解、関係、比例、分解、構成等。
②、 ③、 ④は活動の対象化と関連している。動詞を名詞化して扱い、それに対して何らか の働きかけを行うことを表している。例えば「重なる」という動詞の連用形は、 「重なり」
であるが、この語によって重なりの度合いを問題にすることができる0
⑤全領域に共通している動詞は6個である。
「用いる」, 「よむ」、 「理解する」、 「表す」、 「知る」、 「深める」。
⑥動詞「深める」の役割。
特に⑤の動詞のうち最後の「深める」に注目すると、 AからDの各領域における初出が第 2学年、第3学年、第3学年,第5学年となっている。この活動はそれ以前に得た知識を 元に展開する活動を表しており、初出学年までを基本的、それ以降を発展的と見なすこと ができる。
④領域AとDに重複する動詞は20個ある。
それはDのほぼ60%を占めている。領域Dでは領域Aの基礎の上に活動が展開される ことが分かる。つまり「数と計算」で得られた概念が、 「数量関係」では
対象化されて考察されている。
表5‑7 日本の学習指導要領に表れる各領域ごとの動詞の数
A B C D
各領 域 に属 す る動詞 の数 4 3 17 22 34
5‑3‑3 動詞の構造
次に、動詞相互間の構造について考察する。先述の68個の動詞を分析すると、まず自動
詞(8個)と他動詞(60個)に分けられ、後者はさらに、人を主語にもたない動詞(4個)と人 を主語にもつ動詞(56個)に分けられる。本研究では子どもの活動を考察するため、考察す る動詞は最後の範噂であるが,その中から固定した目的語とのみ結びつき数学的活動と特 に関係のない動詞5個((場令も)「含める」、 (見当を)「つける」、 (良さが)「分かる」、 (目的 に) 「応じる」, (能力を) 「伸ばす」)を除いた51個の動詞が最終的な考察対象である。それら について分析すると次の結果が得られた。
表5・8 日本の学習指導要領に表れる動詞の領域と活動別の動詞
領域 個人の外面的活動 を表す動詞 個 人 の 内 面 的 活動 を表す動詞
個 人 間 の活 動 を表 す 動 詞
A 関係付ける 数 える 等分す る かけ る 見積 もる 割 る 適用 す る 類別す る移す 直す 乗 除す
る 決める 確 かめる B 測 る 測定す る 分ける
C 分解する 観察す る 認める 言い表す
D 当てはめる 集 める 検討する よみ とる 工夫す る
表現す る A B 比べ る
A C 構成する
A D 分類 す る 整理す る 考 える 分類 整 理す る計算す る
み る(見 る) B C とらえる
B D 選ぶ 求 める
C D 考察す る か く A B C 通す
A B D
A C D 着 目す る 調べる ま とめる 作 る B C D
A B C D 用い る よむ 深 める 理解す る 知 る
表す
この分類に当たり、まず活動を個人間の活動と個人内の活動に分け,後者を更に外面的 と内面的に分け、それぞれの活動に対応する3つ動詞の範噂を設定した。ただしそれらの 活動が相互に関わっていることは明らかである。後に述べるように、個人の外面的活動を 表す動詞を中心に今後分析を進めていきたいので,外面的活動と内面的活動の双方の活動
が関わっている場合は、前者の範時に優先的に含めた。またそれぞれの範時における動詞
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の領域ごとの割り振りに関しては, AとBの両方に属する動詞はABに記したo従ってA のところに記された動詞はAのみに属する動詞である。
ここで6つの普遍的活動を振り返ると、 Bishopは、 「説明する」 「遊ぶ」はメタレベルの 活動であることを指摘している(p.103),後者には一定の留保があるものの「説明する」
の優先的役割については次のように述べている。
《それら(6つの活動)の間に順位を付ける唯一の基準なるものは存在しないoしか し、おそらく「説明する」は例外かもしれない。なぜならその活動は残りの5つの記 号化活動を通して得られた説明を基盤としているからである。》 (p. 121)
またこれらの6つの活動の表現方法である動詞に上の分類を適用するならば、 「説明す る」 「遊ぶ」は個人間の活動を表す動詞であるのに対し,残りの4つ「数える」 「位置づけ る」 「測定する」 「設計する」は個人の外面的活動を表す動詞である。
以上の考察より、背景にある活動の構造を考慮すると次のような動詞の構造が得られるo 表5‑9 個人間の活動と個人内の活動の層
これらの動詞の内、動詞型カリキュラムの主要な考察の対象となるのは個人の外面的活 動を表す動詞(略して外面的動詞)である。個人の内面的活動は当然重要であり,また個人
間の活動はコミュニケーションとして昨今その重要性が指摘されている(金本, 1998)が, それは常に外面的活動との関連においてである。もちろん逆の指摘も可能である。つまり 外面的活動を行っているときには,それ以外の活動が並行また促進する形で働いている,
ということである。しかし外的な観察のしやすさと、最終的な結果である数学的概念との 直接の結びつきを考慮する観点より,今後この外面的動詞を中心として分析を進めていき たい。
外面的動詞に属する先述の4つの動詞は活動レベルでの普遍性を備えているが、それが 現在指導要領の領域A, B、 Cと密接に関連していることは容易に観察できる。本研究で 上げた51個の動詞によって表される活動は、この4つの活動が特定の文化で具体化される 過程において分節された活動と考える。
また単独の領域に属する動詞がある一方で、 「比べる」, 「用いる」のように二つ以上の領 域に属する動詞も多く存在する。それは柔軟性に支えられて、一つの動詞が異なる対象に 適用される証左である。
最後に個人間の活動「遊ぶ」と「説明する」について考察を付け加えたい。活動「遊ぶ」は
ある程度メタレベルに属している(Bishop,1991)しかしその言及は限られており、活動
「遊ぶ」の数学教育における役割を明確にすることはこれからの課題である。一方「説明 する」に関してであるが,その活動の重要性は再三繰り返されている。個人間的活動「説 明する」は、個人内の内面的活動「理解する」と密接に関連している。自己内で自律的に 展開する「理解する」に対して、 「説明する」はその展開の契機を与えるo例えば活動「数え る」を巡って, 「理解する」と「説明する」が括抗するとき「数える」が反省されるのだろ
う..