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救命救急を目的とした映像の開発

ドキュメント内 博 士 学 位 論 文 (ページ 107-111)

第 6 章 結論

1.2 救命救急を目的とした映像の開発

1.2.1 救急現場におけるニーズ

3章で行った慈恵医大を拠点とする実態調査の中で映像に関する要望が高かったため,

具体的な映像SPECを特定するために救急関係者へのインタビューを行った.

(1)救急隊(救急現場)のニーズ

1.負傷者数が重要“負傷者数=救急車の台数=病院数”となるため 2.車体変形,事故形態を把握したい

⇒レスキュー,応援の必要性の有無を判断

3.乗員の状態,加害部位を把握するため車内映像の優先度が高い (2)医療関係者のニーズ

1.乗員の意識レベル,傷害程度を把握したい 2.頭部から胸腹部,下肢までの映像が必要 3.事故頻度から前席乗員の画像が優先順位が高い

基本的には,救急隊は出動,救出活動に必要な情報を重視し,医療関係者は事故後の乗 員の治療に必要な情報を重視する事が調査から明らかになった.これら双方のニーズを満 足するための撮像範囲と取り付け位置,カメラの基本SPECとしては以下の要件が望ましい

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こととした.Fig.A.2.1にインタビューの結果から,望まれる設置位置と映像を示す.

① 人数,事故形態,傷害程度の把握が可能な設置位置・レンズ画角.

②衝突時にカメラが破損する可能性が低い位置への設置.

① の要件より下記部位を撮像範囲に入れる.

・人数把握のため,前席を中心とするが,後席部分

・傷害程度把握のため,加害部位として頻度の高い各ピラー/インパネ,ステアリング/ド アパネル等

・事故形態把握,車外放出の把握のため,窓部分,乗員の動作範囲

② 要件より,下記部分にカメラを設置

・事故時の衝撃,車体変形を受けづらい箇所⇒Bライン上であり,なおかつレール,フレ ーム上に設置

Fig.A.2.1 救急関係者のニーズを反映した映像

1.2.2 映像情報における必要 SPEC

(1)動画におけるフレーム数

事故後の乗員に関し,動画によるリアルタイムの状況把握を想定し,医療関係者,救急 隊員に様々なフレーム数の映像を見ていただくことで,車載カメラに求められるフレー ム数の検討を行った.

・救急隊のニーズ:

乗員の大きな動き(手を振るなど)が分かれば良い.→確認結果:5fps以上必要

・医療関係者のニーズ:

車内カメラ映像としては,モノクロでも良いがカラーのほうがより良い(血液の色の確認 が可能)

意識確認のため“瞬き”が検知できるフレーム数が必要

→確認結果:7fps以上必要

Fig.A.2.2に救急隊と医療関係者の要望の確認に使用した映像を示す.この動画映像によ

り,瞬きの検知には7fps以上が十分条件であることが判明した.

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Fig.A.2.2 救急関係者への確認動画

瞬きの1回の速さは平均で100~150ミリ秒.まばたきの回数は子供では1分間につき約 5~18回,大人では男性が20回,女性が15回程度であるため,理論上も7fps が必要条件 と判断できる.

Fig.A.2.3 に緊急通報で動画を送る場合の事故前後のシーン毎について必要なフレーム

レートを示す.緊急通報時にデータとして送信する事故の蓄積映像については,10fps以上,

事故の加害部位の確認やエアバッグ等の動作を確認する場合はさらに高いフレームレート が求められる.乗員の状態をリアルタイムで確認する段階に於いては,7fps を必要要件と した.

Fig.A.2.3 シーン毎の必要フレーム数 (2) 解像度

搭載するカメラの重要な仕様に画像の解像度がある.ここに於いても医療関係者からニ ーズのあった瞬きの確認が可能な仕様の検討を行った.

まず瞬きを検知するためには,目の部分の画素数がどの程度必要か,サンプル画像の解 像度を目と認識できるまで解像度を落とし,評価をおこなった. Fig.A.2.4 に使用したサ ンプル画像を示す.

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Fig.A.2.4 目の認識可能な解像度

瞬きを検知するには,白目・黒目という明確な区別は必要なく,顔の肌に対し,瞬きした 際に色の変化があればよい.目として18~45画素程度あれば瞬きは検知可能と言う結果が 得られた.一方車室内で広角レンズを使った時の乗員の目の撮像される大きさから,wVGA

(752×480)の解像度であれば,目の画素数が約 200 画素有り問題なし.必要条件として

はQVGA(320x240 )で瞬きが確認できると言う結果を得た.

(3) 映像のSPECまとめ

Table A.2.1 に事故後緊急通報を行う場合に必要な映像仕様を示す.車載のカメラが緊 急通報時に機能するためには他にも要件が考えられる.事故は夜間にも発生するため,夜 間にも撮像が可能でなければならない.そのため室内全体を映し出す赤外線投光機能が必 要となる.また逆に昼間の明るい状況特に西日などの環境下においても映像の確認ができ るダイナミックレンジを持つ必要があり,これらを満たしたカメラを搭載する必要がある.

Table A.2.1 緊急通報に必要な映像仕様

本研究においては,特に救急関係者へのインタビューを通して救急活動に必要な映像の 要求を明らかにし,その結果を反映したカメラ仕様の必要条件を導きだした.

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