Ⅲ 4 年間の調査結果から課題として考えられる内容と学習指導
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1「数と計算」
(1)「数と計算」における課題
ここでは,次の設問を取り上げて説明する。
左の図 1 は平成 19 年度算数 A ♶演算決定 の問題である。本問題の正答率は 54.3%であ り,小数の乗法の意味について理解し,問題 の場面から式を考えることに課題があること がうかがえる。
また,本問題の誤答についてみると,4を 選択した児童が 30.1%いた。これは,文章に
「倍」という表現が含まれることから乗法と判 断していると考えられる。
具体的な問題を基に考察したが,過去4年 間の乗法や除法の意味についての課題を整理 すると次のようになる。
○ 小数の乗法の意味について理解し,問題の場面から式を考えることに課題がある。
○ 小数の計算における乗数と積の大きさ,除数と商の大きさの関係についての理解に 課題がある。
○ 基準量(基準にする大きさ)よりも比較量(割合に当たる大きさ)の方が小さい場面で,
何倍かを求めるために除法が用いられることの理解に課題がある。
○ 商が 1 より小さくなる等分除「(整数)÷(整数)」の場面で,除法が用いられることの 理解に課題がある。
乗法や除法の意味を理解すること
【該当する調査問題・調査結果等】
■ 調査問題:平成 19 年度 A ♶ 演算決定 正答率 54.3%
→調査問題・調査結果等(P116 〜 P117 参照)
■ 調査問題:平成 20 年度 A ♵ 乗数と積の大きさ,除数と商の大きさの関係 正答率 45.3%
→調査問題・調査結果等(P118 〜 P119 参照)
■ 調査問題:平成 20 年度 A ♶(2) 除法の意味 (割合を求める場合)
正答率 55.7%
→調査問題・調査結果等(P120 〜 P122 参照)
■ 調査問題:平成 22 年度 A ♴(1) 除法の意味 正答率 54.1%
→調査問題・調査結果等(P123 〜 P124 参照)
4
答えが210 * 0.6の式で求められる問題を,下の1から4までの中 から1つ選んで,その番号を書きましょう。
1 砂さ糖とうを0.6 kg買って,210円はらいました。
この砂糖1 kgのねだんはいくらでしょう。
2 210 kgの大豆を0.6 kgずつふくろにつめます。
大豆を全部つめるには,ふくろはいくついるでしょう。
3 1 mのねだんが210円のリボンを0.6 m買いました。
リボンの代金はいくらでしょう。
4 赤いテープの長さは210 cmです。
赤いテープの長さは白いテープの長さの0.6倍です。
白いテープの長さは何cmでしょう。
小算A− 4
図 1 平成 19 年度調査問題算数 A 4
計算の指導に当たっては,計算の意味について理解すること,計算の仕方を考えること,
また計算に習熟し活用できるようにすることが大切な狙いである。その中でも特に,「計算 の意味について理解すること」に関して,乗法の学習は第2学年から,一方,除法の学習は 第3学年から指導される。そして,それぞれの学年の内容に「計算の意味について理解する こと」が明記されている。乗法や除法の意味について理解することは,第2,第3学年から 系統的に指導することが求められるのである。また,過去4年間の調査結果から,学習指導 に当たって工夫改善を要する重点事項は次のようになる。
○「倍」という表現を含む文章から,何が基準量になっているのかを確認して数量関係 を捉えられるようにすること
○ 数直線や図などを用いたり,具体的な場面に当てはめたりして数量の関係を捉えるよう にして,乗数と積の大きさ,除数と商の大きさの関係を調べる活動を取り入れること ○ 簡単な数に置き換えて数量関係を考える活動を取り入れ,児童が自ら問題を解決する
手がかりを作っていけるようにすること
○ 基準量よりも比較量の方が小さい場面で,割合(倍)が1より小さくなることを理解 できるようにすること
○ 商が1より小さくなる等分除「(整数)÷(整数)」の場面では,何が被除数で,何が除数 かを捉えて立式できるようにすること
課題の解決に向けた「授業アイディア例」
◆ 授業アイディア例① [ 対象:第5学年以上 ] ○ 除法の結果を表す分数について理解する。
(P192 参照)
◆ 授業アイディア例② [ 対象:第5学年以上 ]
○ 付点音符と付点 2 分音符の長さの関係(1.5 倍)を正しく図に表し,図が正しいわけ を説明する。
(P193 参照)
(2)これからの「数と計算」における学習指導のポイント
− 32 − − 33 − 授業で用いられる求積の問題には,一般的に解決に必要な情報のみが与えられていて,そ
れ以外の情報は含まれていないことが多い。過去4年間の調査結果から,問題解決に必要な 情報を選択したり,見いだしたりする力が弱いことが明らかになっている。また,図形の性 質を基に,統合的・発展的に考える力も弱いことが明らかになっている。
そこで,過去4年間の調査結果から,学習指導に当たって工夫改善を要する事項は次のよ うになる。
○ 情報過多の場面を提示し,面積を求めるために必要な情報を取り出す活動を取り入れ るようにすること
○ 図形の性質を基に面積の関係を捉える活動を取り入れるようにすること
○ 既に分かっていることと新しい事柄との関係を把握する活動を取り入れるようにすること
課題の解決に向けた「授業アイディア例」
◆ 授業アイディア例③ [ 対象:第 5 学年以上 ]
○ 方眼上の三角形の底辺と高さを測定し,面積を求める。
(P196 参照)
◆ 授業アイディア例④ [ 対象:第 6 学年 ]
○ 円を分割して並べ替えた図形と元の円を対応させて,円の面積の求め方を考える。
(P197 参照)
◆ 授業アイディア例⑤ [ 対象:第 5 学年以上 ]
○ 等しい面積になることを説明した考えを解釈する。
(P198 〜 P199 参照)
(2)これからの「量と測定」における学習指導のポイント
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3「図形」
(1)「図形」における課題
ここでは,次の設問を取り上げて説明する。
左 の 図 4 は 平 成 21 年 度 算 数 B 1(2)の問題である。本問題で は,示された部分の長さを直接 測らなくても調べられる理由を,
図形の性質を基に考えることが 求められた。本問題の正答率は 65.3%であり,問題解決の根拠と なる図形の性質を判断すること に課題があることがうかがえる。
また,本問題の誤答についてみる と,5を選択した児童が 19.9%い た。これは,平行四辺形の定義 を選択しているものであり,問 題解決の根拠として適切な図形 の性質を選択できていないもの である。
具体的な問題を基に考察した が,過去 4 年間の図形の性質を基 に事象を判断することについて の課題を整理すると次のようにな る。
図形の性質を基に事象を判断すること
【該当する調査問題・調査結果等】
■ 調査問題:平成 19 年度 B ♷(1) 事象の観察と判断 (道路)
正答率 71.4%
→調査問題・調査結果等(P138 〜 P139 参照)
■ 調査問題:平成 21 年度 B ♳(2) 事象の観察と論理的な考察 (階段)
正答率 65.3%
→調査問題・調査結果等(P140 〜 P141 参照)
■ 調査問題:平成 22 年度 B ♸(1) 事象の観察と論理的な考察 (バス)
正答率 65.1%
→調査問題・調査結果等(P142 〜 P143 参照)
⑵ 下の図の点オから点クまでのところに,かざりをつけようと思います。
点オから点クまでの の部分の長さを知りたいのですが,高い場所 なので,長さを直接はかることができません。
上の四角形オカキクは,平行四辺形とみることができます。
そ こ で,ゆ う じ さ ん は,点オか ら 点クま で の 長 さ を 知 る た め に は,
点カから点キまでの長さをはかればよいと考えました。
このように考えたわけとして正しいものを,下の1から 5までの中か ら1つ選んで,その番号を書きましょう。
1 平行四辺形は,2つの対角線の長さが等しいから。
2 平行四辺形は,4つの辺の長さが等しいから。
3 平行四辺形は,向かい合っている辺の長さが等しいから。
4 平行四辺形は,向かい合っている角の大きさが等しいから。
5 平行四辺形は,向かい合っている辺が平行だから。
小算B− 2
図 4 平成 20 年度調査問題算数 B 1(2)
小学校学習指導要領解説算数編において,第5学年 C(1)ウでは,「図形の性質を見いだし,
それを用いて図形を調べたり構成したりすること」が明記されている。図形の性質を基に事 象を判断することは,第5学年において指導することはもちろんのこと,調査問題から分か るように第3学年及び第4学年から系統的に指導を充実することが大切である。
過去4年間の調査結果から,学習指導に当たって工夫改善を要する事項は,次のようになる。
○ 直感的に図形を見いだしたり,図形の定義や性質を根拠に筋道を立てて考えて図形を 見いだしたりするなど,目的に応じて図形を見いだす活動を取り入れること
課題の解決に向けた「授業アイディア例」
◆ 授業アイディア例⑥ [ 対象:第5学年以上 ]
○ 与えられた条件を基に,図と文章を対応させて筋道を立てて考える。
(P202 参照)
◆ 授業アイディア例⑦ [ 対象:第5学年以上 ]
○ 具体物を用いた操作を振り返り,操作の数学的な意味を理解する。
(P203 参照)
○ 問題解決の根拠となる図形の性質を判断することに課題がある。
○ 与えられた条件や図形の定義,性質を基に,事象から見いだした図形を判断し,そ の理由を選択することに課題がある。
(2)これからの「図形」における学習指導のポイント