具体的な内容を下記に示す。
① 特許付与を阻止するための手段<表1:参照>
(i) 特許付与前の異議申立(特許法第 25 条 (1) )
出願公開から特許付与前までの間、 何人も新規性・進歩性の面、 不正な取得によ るもの、技術開示上の問題、生物素材の出所・原産地開示 ( 注 1) 、対応する外国出 願の情報提供不履行などの事由により、 インド特許意匠商標総局長官に異議を申し 立てることができ、審査は異議部でなされる。
(ii) 特許付与後の異議申立(特許法第 25 条 (2) )
特許付与公告日から 1 年間は、 如何なる利害関係人も、 上記 (i) と同様の事由によ
なお、 「特許取消の申立て」 の特許取消し事由として、 「特許付与前・後の異議申 立」の事由以外の事項も規定されていることに注意すべきである。
(例 : 「優先日前にインドにおいて秘密に実施されていた場合 (以下注記参照) 」 、 「地 域社会で入手可能な知識から予測できるものの発明」 、 「有用でない発明」など)<
詳細は、表1( 77 頁)参照。>
(注記)優先日前にインドにおいて秘密に実施されている場合に、以下のいずれか に相当するときを除き、特許無効事由として扱われる。(特許法第 64 条 (1)(l) )
(a) 合理的な試験又は実験の目的での使用
(b) 出願人から当該発明を知らされた政府機関による使用
(c) 出願人から当該発明を知らされた第三者が出願人の同意を得ずにした使用
Vadehra 氏の見解では、この政策意図は以下のとおりである。
< Vadehra 氏からの回答>
「インド政府は、政府にとって有益な発明が誰かにより使用されているかどうかを 確認したいと考えている。さらに、原子力又は防衛上の目的に関係する発明の場合、
その秘密裡での使用は国の安全保障上の不利益をもたらすものともなりうる。
また、特許制度は所定の期間に限り発明の独占権を認める代わりに発明を特許権者 に開示させ、それにより社会の発展を促すものであることから、発明の秘密での使用 は、かかる特許制度の目的自体をも否定するものとなる。」
(iv) 審判部への審判請求(特許法 117A 条 (2) の 25 条 (4) 関連)
「特許付与後の異議申立」の結果、特許維持の命令が発せられた場合、何人も 3 ヶ月以内に「審判部への審判請求」をすることができる。ただし、 Vadehra 氏の見 解によれば「 2007 年 2 月現在、審判部は未だ設立されていないため、審判は高等 裁判所においてなされる。 」とのこと。
特許法第117A条
(2)次の各条に基づく長官又は中央政府の何らかの決定、命令、若しくは指示に対しては、審判部に対し て審判請求をすることができる。すなわち、・・・第25条(4)・・・。(以下省略)
第25条
(4) 異議部の勧告の受領時に、かつ、特許権者及び異議申立て人に聴聞を受ける機会を与えた後、長官は 特許を維持若しくは補正又は取消の何れかとすべき旨を命令する。
② 拒絶査定・特許取消を覆すための手段
(i) 再審査申請(特許法第 77 条 (f)(g) 、特許規則 130(1)(2) )
インド特許意匠商標総局より拒絶理由通知を受領し、意見書や補正書を提出して
もなお拒絶理由が解消せず、拒絶された場合、 1 ヶ月以内(特許規則 Form 4 によ
る 1 ヶ月以内の延長可)にインド特許意匠商標総局に再審査請求をすることができ
る。 (特許規則 Form 24 )
特許法第77条 民事裁判所の一定の権限を有する長官
(1) 本件について制定された如何なる規則にも従うことを条件として、長官は、本法に基づいて長官に係 属する如何なる手続においても、次に掲げる事項に関して、1908年民事訴訟法(1908年法律第5号)に基 づく訴訟を審理する民事裁判所と同一の権限を有する。
(中略)
(f) 所定の期間内に、所定の方法でされた申請に基づいて、自己の決定を審査すること
(g) 所定の期間内に、所定の方法でされた申請に基づいて、当事者の一方に発した命令を破棄すること 特許規則 規則130 長官の決定に係る審査又は命令の破棄の申請
(1) 第77条(1)(f)に基づいて長官の決定についての審査を求める長官への申請については、申請人に対す
る当該決定の通知の日から1月以内又はForm 4によりされた請求に基づいて長官が許可するその後1月 を超えない付加期間内に、Form 24によりこれをしなければならず、かつ、当該審査を求める理由を記述 した陳述書を添付しなければならない。当該決定が申請人に加え他の者にも関係する場合は、長官は、申 請書及び陳述書の写し各1通を当該他の関係人に直ちに送付しなければならない。
(2) 第77条(1)(g)に基づいて長官により当事者の一方のみに発せられた命令の破棄を求める長官への申請
については、申請人に対する当該命令の通知の日から1月以内又はForm 4によりされた請求に基づいて 長官が許可するその後1月を超えない付加期間内に、Form 24によりこれをしなければならず、かつ、
当該申請が基礎とする理由を記述した陳述書を添付しなければならない。当該命令が申請人に加え他の者 にも関係する場合は、長官は、当該申請書及び陳述書の写し各1通を当該他の関係人に直ちに送付しなけ ればならない。
(ii) 審判部への審判請求(特許法 117A 条 (2) の 25 条 (4) 関連)
上記① (i) 「特許付与前の異議申立」 、及び (ii) 「特許付与後の異議申立」の結果、
特許取消又は補正の命令が発せられた場合、何人も 3 ヶ月以内に「審判部への審判 請求」をすることができる。ただし、 Vadehra 氏の見解によれば「 2007 年 2 月現 在、 審判部は未だ設立されていないため、 審判は高等裁判所においてなされる。 」 と のこと。
特許法第117A条
(2)次の各条に基づく長官又は中央政府の何らかの決定、命令、若しくは指示に対しては、審判部に対し て審判請求をすることができる。すなわち、… (中略)… 第25条(4)… (以下省略)
(4) 各審判請求は、長官若しくは中央政府の決定、命令若しくは場合に応じて指示の日から3ヶ月以内、
又は審判部がそれの制定した規則に従って許可する付加期間内に、提起しなければならない。
第25条
(4) 異議部の勧告の受領時に、かつ、特許権者及び異議申立て人に聴聞を受ける機会を与えた後、長官は 特許を維持若しくは補正又は取消の何れかとすべき旨を命令する。
<日米欧>
日本:① 拒絶査定不服審判請求 ( 日本特許法第 121 条 ) ② 審決取消訴訟 ( 日本特許法第 178 条 )
③ 特許無効審判請求 ( 日本特許法第 122 条 ) 米国:① 審判請求
(i) 特許出願人が請求できるのは、クレームが 2 回拒絶されたか最終拒絶が出 された場合に限られる。
(ii) 特許権者が請求できるのは、再審査手続きにおいて審査官からの最終拒絶
を受けた場合である。
(iii) 第三者が請求できるのは、当事者系の再審査手続きで審査官からクレーム
が特許性を有しているとの最終決定がなされた場合である。
② 審決取消訴訟
連邦巡回控訴裁判所( CAFC )に控訴するか、ワシントン DC の地方裁判所 に民事訴訟として提訴する手段がある。
③ 再審査請求
登録特許に対して、 「査定系再審査」 ( 35 U.S.C 第 302 条) と、 特許権者から の応答に対して請求人が意見を述べることができる「当事者系再審査」 ( 35
U.S.C 第 311 条)がある。
欧州:① 審判請求( EPC 第 21 条)
「決定により不利な影響を受けた手続きに関与した者」が審判請求できる
( EPC 第 107 条) 。審判部の決定は最終的なものであり、審決取消訴訟に相 当するものはない。
② 異議申立( EPC 第 99 条)
登録特許に対して、 当該特許権者以外は誰でも異議申立をすることができる。
(10) 特許取消制度
① 取り消し理由
前項「 (9) 異議・審判制度①特許付与を阻止するための手段」において挙げたもの以 外に強制ライセンス許諾命令の日から 2 年以内に当該特許発明がインド内にて実施され ていない場合などを理由として、利害関係人は特許取消しを申請することができる(第
85 条)。
特許法第85条 不実施に対する長官による特許の取消
(1) 特許に関して、強制ライセンスが許諾されたときは、中央政府又は何らかの利害関係人は、最初の強 制ライセンス許諾の命令の日から2年の期間満了後には、特許発明がインド領域内で実施されていないこ と、又は特許発明に関する公衆の合理的な需要が充足されていないこと、又は当該特許発明が合理的に手 頃な価格で公衆にとって利用可能でないことを理由として、当該特許を取り消すべき旨の命令を長官に申 請することができる。
(2) (1)に基づく各申請書には、所定の明細及び当該申請の基礎としている事実、並びに中央政府以外によ
る申請の場合は、当該申請人の利害の内容も記載しなければならない。
(3) 長官は、特許発明に関する公衆の合理的な需要が充足されていないこと、又は特許発明がインド領域 内で実施されていないこと、又は当該特許発明が合理的に手頃な価格で公衆に取って利用可能でないこと に納得するときは、当該特許を取り消す命令を発することができる。
(4) (1)に基づく各申請については、それが長官に提出された後通常は1年以内に決定を下す。
② 特許取消の実績
Vadehra 氏によれば、 「インド特許意匠商標総局の公報にて入手可能。 (モンサント社
が所有しているコットンシードに関する特許が政府により取り消された事例がある。 ) 」 とのこと。
(11) 訂正審判制度の有無
特許権者から申請がある場合に、インド特許意匠商標総局長官は明細書の訂正を許可 することができる。
ただし、特許侵害訴訟や特許取消手続きが係属している間は、訂正の可否を判断でき ない。この間は、特許侵害訴訟や特許取消手続きを扱っている審判部又は高等裁判所が 訂正を許可することができる。また、審判部又は高等裁判所が特許無効の判決をすると きは、特許を取り消すかわりに訂正を許可することができる。
認められる訂正は、権利の部分放棄、誤記の訂正、又は明瞭でない記載の釈明に限定 され、かつ、その訂正は事実の挿入以外の目的では認められない。さらに、その訂正の 効果として、訂正後の明細書が訂正前の明細書において、実質的に開示していないか又 は示していない事項をクレームし記載することになるとき、及び訂正後の明細書のクレ ームが訂正前の明細書のクレームの範囲内に完全には含まれなくなるときは許可されな い。 (特許法第 57 条〜第 59 条、特許規則 81 )
特許法第57条 長官に対する特許願書及び明細書の補正
(1) 第 59条の規定に従うことを条件として、長官は、本条に基づいて特許出願人又は特許権者から所定 の方法による申請のあるときは、長官において適当と認める条件があればそれを付して、特許願書若しく は完全明細書又はそれらに係る他の書類を補正することを許可することができる。
ただし、特許侵害の訴訟が裁判所において又は特許の取消手続が高等裁判所において係属している間 は、当該訴訟又は手続が当該補正申請書の提出前か若しくは後に開始されたかを問わず、本条に基づく特 許願書若しくは明細書又はそれに係る他の書類の補正申請を許可するか又は拒絶する命令を発してはな らない。
(2) 本条に基づく特許願書若しくは完全明細書又はそれに係る書類の各補正許可申請書には、その企図す る補正の内容を明示し、かつ、当該申請の理由の十分な明細を記載しなければならない。
(3) 本条に基づく特許願書若しくは完全明細書又はそれに係る書類に関して特許の付与後にされた補正 許可申請及び企図した補正の内容については、公告することができる。
(4) (3)に基づく申請の公告があったときは、如何なる利害関係人も、その公告後所定の期間内に、それに
対する異議を長官に申し立てることができる。前記期間内に当該申立てがあったときは、長官は、本条に 基づく請求を行った者にその旨を通知し、その者及び異議申立て人に対して事件の決定前に聴聞を受ける 機会を与えなければならない。
(5) 本条に基づく完全明細書の補正については、クレームの優先日の補正とし又はそれを含めることがで きる。
(6) 本条の規定は、特許の付与前に発せられた長官の命令を順守するために、自己の明細書又はそれに係 る書類を補正する特許出願人の権利を害さない。
第58条 審判部又は高等裁判所に対する明細書の補正
(1) 特許の取消訴訟が審判部又は高等裁判所に係属中は、審判部又は場合に応じて高等裁判所は、第 59 条の規定に従うことを条件として、特許権者に対して審判部又は高等裁判所において適当と認める方法に より、かつ、費用、公告及びその他の条件に従い、その者の完全明細書を補正することを許可することが でき、また特許の取消訴訟において審判部又は高等裁判所が特許無効の判決をするときは、審判部又は高 等裁判所は、特許を取り消す代わりに本条に基づいて当該明細書の補正を許可することができる。
(2) 本条に基づく命令の申請を審判部又は高等裁判所に対して行ったときは、申請人は、長官に対してそ の旨を届け出なければならず、長官は、出頭し、聴聞を受けることができ、かつ、審判部又は高等裁判所 が指示するときは出頭しなければならない。
(3) 特許権者に対して明細書の補正を許可する審判部又は高等裁判所のすべての命令書の写しについて は、審判部又は高等裁判所が長官にこれを送達し、長官は、それの受領により、登録簿にその旨の記録及 びそれに関する言及をさせる。