第 2 章 能登地方で使用された安山岩砕石のアルカリシリカ反応性と ASR 劣化構造物
2.3 調査結果
2.3.3 奥能登地方の橋梁の調査結果
(1)健全度評価
橋梁の健全度は表-2.3.2 の定義により各損傷の種類において,最も悪い損傷程度を代表損 傷程度として健全度を算出した。図-2.3.2に橋梁を健全度別に色分けし,地区別に各健全度 の数および橋梁位置を示す。
これらを地図へのプロットを行った結果,旧行政地区同一の生コン工場ごとに健全度に大 きな差があることが判明した。安山岩 A を多く供給している門前地区では,今後さらに追 跡点検が必要と判断される健全度3より悪い橋梁の割合が,隣接地区である輪島地区の12%
に対して,2倍以上の26%であることが分かった。記録する損傷が認められないとされてい る健全度5の橋梁の割合は,他地区がほぼ50%に対して旧門前地区では22%と極端に少な い結果となった。
(2) ASR劣化度評価
図-2.3.3に橋梁のASR劣化度別に色分けし,地区別に各ASR判定橋梁数および橋梁位置 を示す。門前地区にASR,擬ASR と判定された橋梁が多く分布していることが判明した。
門前地区のASR発生率は地区にある約半分の橋梁の47%であり,他地区の約20%強と比較 し突出している結果となった。一方,輪島地区ではASR劣化の橋梁の割合が他地区に比較 し,少ない結果となった。
表-2.3.2 橋梁健全度判定表9)
損傷状況及び対応の概念
良 5
点検の結果から記録する損傷は認められ ない。4
損傷が認められ、その程度を記録する必 要がある。3
損傷が認められ、追跡調査を行う必要が ある。2
損傷が大きく、詳細調査を実施し、補修・補 強の要否の検討を行う必要がある。悪 1
損傷が著しく、交通安全確保の支障となる 恐れがある。健全度
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図-2.3.2 地区別橋梁健全度分布図
健全度5 健全度4 健全度3 健全度2
門前地区 輪島地区
町野地区
14 13 44%
41%
12%4 1 3%
橋 橋
橋 橋 46%62
42%56 10%14
2%2 橋
橋 橋
橋
22% 29 52% 69 32 24%
2% 2
橋
橋 橋 橋
図-2.3.3 地区別ASR判定度橋梁分布図
ASR 劣化無し ASR 疑い
ASR
門前地区 輪島地区
町野地区
10%1413 10%
80%107
27% 36
20% 26 53% 70
橋
橋
橋 5
16% 3 9%
24 75%
橋 橋 橋
橋 橋
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次に,橋梁が建設された年代に着目して調査を実施した。調査対象を全地区の橋梁とし,
ASRおよび擬ASRと判定された橋梁の割合を図-2.3.4に示す。
昭和39年以前に建設された橋梁において, 51橋中ASRと判定された橋梁は14橋とASR
発生率が27%であった。一方,昭和40年代に建設された橋梁では,76橋中35橋とASR発
生率は46%となり,さらに昭和50年代では供用してからの経過年数が短い状況でありなが
ら,85橋中59橋と約7割の橋梁でASRが発生していた。
石川県能登地区では,昭和 40 年代半ばまで建設工事が少なく,その地区の中小河川の砂 利や砂を洗浄したものをコンクリート用骨材として使用しており,前述した 3 箇所の安山 岩砕石を用いたコンクリートの使用は昭和40年代後半からのため,これらが建設年代によ りASR発生率に差が生じた原因と考えられる。
安山岩Aの使用が多い,門前地区には前述した3つの年代での全ASR発生橋梁108橋の うち57%の62橋が集中していることが分かった。
図-2.3.4 建設年代別ASR発生率図
27%
73%
ASR+ 擬 ASR
ASR 未発生
14 橋 37 橋
建設年度:昭和 40 年~ 49 年 建設年度:昭和 39 年以前
46%
54%
ASR+ 擬 ASR
ASR 未発生
35 橋 41 橋
建設年度:昭和 50 年~ 59 年
69%
31%
ASR+ 擬 ASR
ASR 未発生
59 橋
26 橋
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図-2.3.5に奥能登の先端部の1市1町の橋梁のASR発生率を示す。能登町は平成の市町村 合併により旧能都町,旧内浦町,旧柳田村の2町1村で成り立っている。ASRの発生率は 珠洲市と内浦町のASR発生率が8%と低いのに対し,能都町と柳田村のASR発生率は20%
前後と高くなっている。内浦町はもともと珠洲郡に属しており,さらに,レディーミクス ト工場がないため,珠洲市より供給されたと考えられ,このため珠洲市と旧内浦町は同一 の骨材が使用されていると推定されるため,ASR発生率はほぼ同じであったと推察される。
さらに,旧能都町と旧柳田村の ASR 発生率はそれぞれ 19%,24%と前述の珠洲市や旧内 浦町より高い結果となっている。この発生率は図-2.3.3の輪島地区やの町野地区とほぼ同様 の発生率であり,骨材の流通状況を調査した結果,旧能都町と旧柳田村での使用骨材は輪 島地区や町野地区で使用されていたものと同一であった。
このように,石川県奥能登地区でのASRの発生率と使用骨材とには相関があり,ASRの 発生状況を調査するうえで骨材の供給状況を調べることは大変重要であることがわかった。
図-2.3.6 に石川県の加賀地区と能登地区とをつなぐ高規格幹線道路(旧,能登有料道路)
に建設された橋梁の点検結果を示す。本道路は南北に長く,多くの自治体を経由している。
前述の門前地区に隣接した区間では,同様にASRが発生している橋梁が多数あり,その橋 梁の多くで安山岩Aを使用していたことが明らかになっている。それらの中にはASR劣化 に起因して,鉄筋破断やコンクリートの剥落などの深刻なASR劣化を生じている橋梁もあ った。また,ASR 劣化が生じている橋梁が多いことから,橋梁健全度についても今後さら に追跡点検が必要と判断される健全度3より悪い橋梁の割合多い傾向であった。
このため,橋梁の健全度を左右する重要な劣化原因として ASR 劣化が大きく関係してい ることがわかった。
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図-2.3.5 奥能登先端部1市1町の橋梁のASR発生率
珠 洲 市 旧珠洲郡内浦町
旧 能 都 町 旧 柳 田 村
図-2.3.6 高規格幹線道路(のと里山海道)での橋梁健全度とASR判定度別橋梁分布図
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