• 検索結果がありません。

大雨災害時の避難の在り方

ドキュメント内 平成24年度 防災白書 閣議版 (ページ 118-121)

1 1編編

2   大雨災害時の避難の在り方

① 災害時の避難に関する専門調査会

伊勢湾台風を契機として「災害対策基本法」が制定された後,特に大雨による被害は著しく減少 しており,各種災害対策が一定の機能を果たしてきているといえる。

一方で,短時間強雨は増加傾向にあり,中小河川の外水氾濫や下水道による内水氾濫等の発生の 危険性が増している(図表 2-1-2)。平成 21 年 7 月の中国・九州北部豪雨では,土砂災害が発生し,

福祉施設において避難が間に合わず犠牲となる事例がみられた。また,同年 8 月の台風第 9 号では,

避難場所への移動中に犠牲になったと思われる事例がみられた。これらのことから,災害時の避難 の在り方が課題となっている(図表 2-1-3)。

また,「災害対策基本法」制定当時と比較し,氾濫流等の外力への耐性が強い鉄筋コンクリート 造りの住居構造が増加,スマートフォン等の個人が携帯できる情報端末の普及,高齢化の進展,高 齢者の単身世帯の増加等,避難を考える上での社会環境が変化している。

こうした近年の大雨災害の課題と社会環境の変化を背景に,平成 22 年 4 月,中央防災会議に「災 害時の避難に関する専門調査会」を設置し,平成 24 年 3 月に報告書を取りまとめた。

各種災害対策への取組の方向性と平成

23

年以降発生した主な災害とその対応︵東日本大震災を除く︶

第第

2 2部部

図表 2-1-2  短時間強雨の増加傾向

出典:気象庁資料(気候変動監視レポート)に基づき内閣府作成

図表 2-1-3  平成 21 年〜23 年の主な大雨災害事例

ᐔᚑ㪉㪉ᐕ㣮ఽፉ⋵ᄶ⟤࿾ᣇ䈮䈍䈔䉎ᄢ㔎 㣮ఽፉ⋵ᄶ⟤࿾ᣇ

ᱫ⠪㪊ੱ䋬ᶐ᳓ⵍኂ⚂㪐㪇㪇᫟

ᐔᚑ㪉㪈ᐕบ㘑╙㪈㪏ภ ၯ₹⋵䈘䈇䈢䉁Ꮢ╬

ᱫ⠪㪌ੱ䋬ᶐ᳓ⵍኂ⚂㪊㪃㪍㪇㪇᫟

ᐔᚑ㪉㪊ᐕ㪎᦬ᣂẟ䊶⑔ፉ⽕㔎 ᣂẟ⋵䋬⑔ፉ⋵╬

ᱫ⠪㪋ੱ䋬ᶐ᳓ⵍኂ⚂㪏㪃㪐㪇㪇᫟

ᐔᚑ㪉㪉ᐕ᪢㔎೨✢䈮䉋䉎ᄢ㔎 ጘ㒂⋵นఽᏒ╬㩿਻Ꮊ䈎䉌᧲ർ࿾ᣇ㪀 ᱫ⠪䊶ⴕᣇਇ᣿⠪㪉㪈ੱ䋬ᶐ᳓ⵍኂ⚂㪎㪃㪌㪇㪇᫟

ᐔᚑ㪉㪊ᐕบ㘑╙㪈㪉ภ ᄹ⦟⋵䋬๺᱌ጊ⋵╬

ᱫ⠪䍃ⴕᣇਇ᣿⠪ 㪐㪋ੱᶐ᳓ⵍኂ⚂ 㪉ਁ㪋㪃㪏㪇㪇᫟

ᐔᚑ㪉㪊ᐕบ㘑╙㪈㪌ภ ᗲ⍮⋵䋬㕒ጟ⋵╬

ᱫ⠪䍃ⴕᣇਇ᣿⠪㪈㪐ੱ䋬ᶐ᳓ⵍኂ⚂ 㪎㪃㪏㪇㪇᫟

ᐔᚑ㪉㪈ᐕ㪎᦬ਛ࿖䊶਻Ꮊർㇱ⽕㔎 ጊญ⋵㒐ᐭᏒ䋬⑔ጟ⋵ᄢ㊁ၔᏒ╬

ᱫ⠪㪊㪌ੱ䋬ᶐ᳓ⵍኂ⚂㪈㪈㪃㪐㪇㪇᫟

ᐔᚑ㪉㪊ᐕบ㘑╙㪍ภ

྾࿖࿾ᣇ╬

ᱫ⠪㪉ੱ䋬ᶐ᳓ⵍኂ⚂㪈㪌㪇᫟

ᐔᚑᐕบ㘑╙ภ

౓ᐶ⋵૒↪↸㧘ጟጊ⋵⟤૞Ꮢ╬

ᱫ⠪࡮ⴕᣇਇ᣿⠪ੱ㧘ᶐ᳓ⵍኂ⚂᫟

䈎䈮䈚

䉂䉁䈘䈎䈚 䈘䉋䈉䈤䉊䈉

䈾䈉䈸䈚 䈍䈍䈱䈛䉊䈉䈚

出典:中央防災会議「災害時の避難に関する専門調査会」資料

各種災害対策への取組の方向性各種災害対策への取組の方向性第第

1 1編編

② 避難に関する取組の方向性

ここでは,中央防災会議「災害時の避難に関する専門調査会」の報告を紹介する。

(「避難」の考え方の明確化)

一般的に「避難」という概念については,避難先として指定されている小中学校の体育館や公民 館等公的な施設へ移動することを前提として捉えている場合が多い。

しかし,既に河川氾濫が発生している場合等は,避難先への移動がかえって危険を伴うことがあ る。また,都市部等人口が集中した地区においては,多くの住民等が避難先へ移動すると,避難先 の収容量を超えてしまったり,避難路において混雑が発生したりすることで,適切な避難ができな いことも懸念される。

こうしたことから,災害時の安全確保行動を「緊急的な行動」と「仮の生活をおくる行動」の 2 つに分類し,その上で,「待避」,「垂直移動」,「水平移動(一時的)」及び「水平移動(長期的)」

の 4 つに整理した。また,避難先については,「緊急的な避難先」と「避難生活をおくるための避 難先」の 2 つに整理した。これにより,災害の発生に対して住民等の安全を確保するためには,状 況によって,自宅等の建物の上階への移動やその場に留まるような行動も有効であるという考え方 を明確に示した(図表 2-1-4)。

ただし,早期の避難を心がけるのが前提であり,このような行動は,緊急時・切迫時の次善の策 である場合が多いことに留意が必要である。

図表 2-1-4  災害時の安全確保行動の整理

行動の視点 安全確保行動 具体的な行動例

緊急的な行動

待避 自宅等の居場所や安全を確保できる場所に留まる 垂直移動 屋内の 2 階以上の安全を確保できる高さに移動する

水平移動(一時的) その場を立退いて,近隣の安全を確保できる場所に一時的に移 動する

仮の生活をおくる行動 水平移動(長期的) 居住地と異なる避難先等で一定期間仮の避難生活をおくる 出典:中央防災会議「災害時の避難に関する専門調査会」資料

(避難勧告等の適切な発令に向けて)

「災害対策基本法」では,災害時の避難勧告及び避難指示の発令権限が市町村長に付与されてい る。平成 17 年 3 月に内閣府等が取りまとめた「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライ ン」の策定以後,市町村においては,発令の判断のための具体的な基準の策定が進められている が,未策定の市町村も少なくない。

過去の記録を超える降雨が発生していること等から,発令基準未策定の市町村は,早急に策定し ていく必要があり,また,既に策定済みの市町村においても,気象や災害の状況に合わせて適切に 発令の判断をすることができるか(実効性)や,発令された内容が住民による適切な安全確保行動 を促すか(有効性)について検証する必要がある。その際,都道府県,気象台,河川事務所等の国 の機関と連携する必要がある。

(住民の避難の判断に資する情報提供の在り方)

市町村が出す避難勧告等の情報が,住民等に十分に理解されず,適切な安全確保行動に結びつい ていない場合がある。このため市町村等は,平時より,住民等が安全確保行動をとる際の判断根拠 となる情報を提供できるよう努めることが必要であり,特に,住民等が身近な危険を把握できる情 報提供の方策を検討する必要がある。また,情報伝達に当たっては,市町村等が自ら保有している 防災行政無線や広報車等の手段を活用するだけでなく,スマートフォン等の個人が携帯できる端末

各種災害対策への取組の方向性と平成

23

年以降発生した主な災害とその対応︵東日本大震災を除く︶

第第

2 2部部

を用いたエリアメール,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)等の活用も含めた,多 様な手段を活用した情報伝達を行うことが必要である。

(各主体の災害対応能力の向上に向けた取組の徹底)

災害対応を迅速に行うためには,避難に関する情報の送り手である行政と,情報の受け手であり 自ら情報を獲得する立場にある住民,情報を得て災害対応を行う地域の担い手等が連携して対応す ることが求められている。

さらに,各主体が,各自の特性を踏まえ,それぞれの災害対応能力の向上に努めることが重要で ある。

そのために行政は,住民等が確かな情報を獲得し,自ら優先順位を判断し行動ができるように,

防災教育を推進することや,防災担当職員の災害対応能力の向上のための継続した研修・訓練等の 実施が必要である。

災害時の避難については,避難を支援するためのハード対策,土地利用,都市計画,その他ソフ ト対策等総合的な対策が必要であり,住民,地域の担い手及び行政ができるだけ早く実行に移すこ とが重要である。また,避難は緊急時の行動であるが,平時から訓練等を通し十分準備を整え,そ の有効性を検証し,改善を加えることにより,全ての住民が自ら適切な安全確保行動をとることが できるように努めなければならない。

ドキュメント内 平成24年度 防災白書 閣議版 (ページ 118-121)