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多面体ブロックの接触判定

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2.4 多面体ブロックの剛体計算手法

2.4.3 多面体ブロックの接触判定

本研究では多面体ブロック間の接触は考慮しておらず,ブロック間の接触判定処理は導 入しなかった.しかし,問題によっては多面体ブロック間の接触判定が必要となるため,

ここで既往の研究にみられる代表的な接触判定手法を述べる.

最も一般的な接触判定手法は,多面体の全ての頂点・辺・面に対して相互に接触判定を 行い,その全ての組み合わせを網羅するものである.個別の接触判定については,本研究 の壁面-粒子間 接触で取り扱ったよ うな計算を行う.このよ うな接触判定は不連続変 形法

(DDA)の研究例16)にみられ,DDAでは頂点が接触面と成す三角錐体積や,接触辺と成す 三角形面積を計算することで貫入量を算定し,ペナルティばねを挿入して全体の釣り合い 方程式を解くことで貫入を解消する計算を行っている 17).このような接触判定においては 多面体ブロックの構成頂点が増えると接触関係の組み合わせが非常に多くなる問題がある.

Cundallは上記の問題を解消する接触判定手法としてcommon-plane19)を用いた手法を提案

しており,3次元DEMの商用コードである3DEC19),20)に組み込まれている.この手法では 接触の可能性のある2つの多面体ブロックの重心間の中心にcommon-planeを定義し,それ ぞれの多面体の構成頂点の内,common-plane との距離が最小となるものを検索する.最小 距離は負値も考慮し,common-planeの裏側に頂点が食い込んでいる場合は負値となるため,

両ブロック間の最小距離の合計が負値であれば接触と判定される.接触時は最小距離の合 計の絶対値を計算し貫入量として処理する.凸なブロックだけでなく,凹なブロックにつ いても幾つかのサブブロックに分割することで同様の計算が可能である.接触判定の計算 回数は両方のブロックの頂点数の合計であり,組み合わせが増大する問題がない.また,

common-plane は必ず定義可能であり,滑動によって接触法線軸がずれた場合にも貫入量が

急激に変化しないため安定である.

Cundallらが用いているcommon-plane法を採用するにあたっては,境界壁面との接触判定

手法を考える必要がある.最も簡単な方法は,境界壁面の裏側に仮想の頂点を考慮して四 面体を生成し,common-plane 法を用いることで計算が可能であると考えられる.本研究に おいても多面体ブロック間の接触が生じる問題については,本項で説明したアルゴリズム の導入を今後検討する.

2.5 2 章のまとめ

本章では本研究で用いた解析手法の一つである個別要素法の概要を説明し,本研究で導 入した壁境界や粒子集合剛体,多面体ブロックの計算手法について述べた.以下に本章に おける要点をまとめる.また,表-2.2に本研究で採用した計算手法をまとめて示した.

1) 本研究では回転行列を用いた全体座標系と局所座標系の成分変換による 3 次元解析を 行っている.他の研究例として成分変換を行わない計算手法があり,具体的な比較は 行っていないが,今後大幅に計算効率を改善することが期待できる.

2) 三角形パッチによる壁境界の計算手法を個別要素法に導入し,壁面要素と粒子間の接 触判定と作用力計算の方法を説明した.本手法は滑らかな境界面や複雑な境界面のモ デル化に適していることを具体的に示した.

3) 粒子集合による剛体モデルの導入方法について示した.剛体の質量と慣性テンソルは 初期時刻において構成粒子の質量と位置ベクトルから計算し,慣性テンソルはクォー タニオンによる姿勢の更新と回転行列の計算により,初期時刻の値を回転することに よって計算する.剛体の運動は構成粒子に働く作用力を合計し,剛体重心に作用させ ることで個別の粒子と同じ方法によって計算できる.

4) 粒子集合による剛体モデルにおいて生じると考えられる表面の凹凸を解消するため,

多面体ブロックによる剛体計算手法を導入し,その計算方法を示した.質量と慣性テ ンソルの計算方法以外の基本的な計算は粒子集合による剛体と同じである.なお,こ こで示した多面体ブロック間の接触判定を用いることで,ブロック間接触問題への応 用が今後可能である.

表-2.2 本研究で採用した計算手法のまとめ 個別要素法の機能項目 本研究で 採用した計算手法

3 次元計算における成分変換 回転行列を用いた吉田らによる手法 運動方程式の時間積分法 Eu le r法 / Le apf rog法による陽解法

壁面境界の取り扱い 開発した三角形壁面要素を用いた計算手法( 粒子壁も利用可能)

任意形状の粒子集合剛体計算 田中らによる手法を採用し剛体姿勢は四元数で 取り扱う 任意形状の多面体剛体計算 粒子集合剛体の手法を多面体に適用( 接触判定は未導入)

【参考文献】

1) 伯野 元彦:破壊のシミュレーション,森北出版,1997 2) 粉体工学会:粉体シミュレーション入門,産業図書,1998

3) 粉体工学会:粉体層の操作とシミュレーション,日刊工業新聞社,2009

4) 小国 健二,堀 宗朗,阪口 秀:破壊現象の解析に適した有限要素法の提案,土木学会 論文集,第766号/I-68,pp.203-217,2004

5) 酒井 譲,山下 彰彦:SPH理論に基づく粒子法による構造解析の基礎的検討,日本機 械学会論文集(A編),第67巻659号,pp.1093-1102,2001

6) 小野 祐輔,西田 真悟,清野 純史:SPH法による土構造物の弾塑性解析,応用力学論 文集,Vol.9,pp.717-723,2006

7) 吉田 博,桝谷 浩,今井 和昭:個別要素法による敷砂上の落石の衝撃特性に関する解 析,土木学会論文集,第392号/I-9,pp.297-306,1988

8) 後藤 仁志:数値流砂水理学,森北出版,2004

9) 後藤 仁志,鷲見 崇,酒井 哲郎:個別要素法への陰解法の導入による数値移動床の改 良,土木学会論文集B,Vol.62 No.2,pp.201-209,2006

10) 酒井 幹夫:粉体の数値シミュレーション,丸善,2012

11) 吉田 郁政,大庭 啓輔,中瀬 仁:MPS 法による地震応答解析の安定性限界となる時 間刻みに関する検討,応用力学論文集,Vol.13,pp.545-554,2010

12) 田中 正幸,酒井 幹夫,越塚誠一:粒子ベース剛体シミュレーションと流体との連成,

日本計算工学会論文集,No.20070007,2007

13) 越塚 誠一:粒子法シミュレーション,培風館,2008

14) Fletcher Dunn,Ian Parberry,松田 晃一 訳:ゲーム3D数学,オライリー・ジャパ

ン,2008

15) F. Tonon:Explicit Exact Formulas for the 3-D Tetrahedron Inertia Tensor in Terms of its Vertex Coordinates, Journal of Mathematics and Statistics 1 (1), pp.8-11, 2004 16) 呉 建宏,大西 有三,門間 敬一,西山 哲:3次元不連続変形法(3D DDA)による岩

盤斜面崩落のシミュレーション,材料,Vol.52 (5),pp.488-493,2003 17) 日本計算工学会 編:不連続変形法(DDA),丸善,2005

18) 中川 光雄,山田 正雄,中谷 紀行,近重 朋晃:合理的な接触判定法に基づく 3 次元 個別要素法による落石・岩盤崩落シミュレーション,日本地すべり学会誌,Vol.47 (3), pp.147-154,2010

19) P.A. Cundall:Formulation of a three-dimensional distinct element model-Part I. A scheme to detect and represent contacts in a system composed of many polyhedral blocks, International Journal of Rock Mechanics and Mining Sciences &

Geomechanics Abstracts, Volume 25, Issue 3, pp.107–116, 1988

20) R. Hart, P.A. Cundall, J. Lemos:Formulation of a three-dimensional distinct element model-Part II. Mechanical calculations for motion and interaction of a system composed of many polyhedral blocks, International Journal of Rock Mechanics and Mining Sciences & Geomechanics Abstracts, Volume 25, Issue 3, pp.107–116, 1988

第3章 個別要素法による敷砂の衝撃応答解析

3.1 実物大サンドクッションの解析

山間部の道路に設けられている落石防護構造物は,想定される落石・崩土に対して,人 命,道路構造物を保護することが求められている.このような現象において予想される荷 重は衝撃作用により非常に大きく,できるだけ衝撃荷重を小さくするために,一般に敷砂 やEPS等の緩衝材を構造物上面に設けている1)

,2),3)

.しかし,流動や大変形によって衝撃力 を緩衝する材料の運動は複雑であり,構造物に伝達される衝撃力の評価は十分明らかにさ れているわけではない.合理的な設計を行う上では,衝撃力が緩衝材を介して空間的また は時間的にどのように伝達され,構造物のどの部位にどのような大きさで作用するのかを 把握することは重要であり,性能照査型設計を行うためにも実験・解析的研究の進展が望 まれている4),5),6)

本研究では,敷砂材に落石等の衝撃荷重が作用した際の衝撃挙動と構造物への伝達荷重 の推定に 3 次元個別要素法を適用し,離散体集合が呈する複雑な流動挙動と衝撃力の伝達 特性の推定精度に関する検討を行った.この解析においては,防護構造物上の土槽を三角 形パッチによる滑らかな壁境界でモデル化し,局所的な土圧分布の推定を可能とした.解 析対象としては,斜め入射落石を受ける防護構造物の設計に役立つ知見を得るために行っ た,実規模の土槽への重錘落下実験データを利用した.

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